新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.106、2001/7/3 17:19

[民事・不法行為]
質問:日照権について教えて下さい。
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回答:日照権とは、判例上認められた権利で、住民が最低限の日照を得ることができる権利です。この日照権を具体的に保護するために、建築基準法56条の2では、いわゆる日影規制が規定され、例えば、第一種及び第二種低層住居専用地域の場合、午前8時から午後4時までの間に、地面から1.5mの平面上で、境界線から5m以上10m未満の部分について、3〜5時間以上の日影を生じさせないように建てなければならないと規制されています。
 隣地所有者が建築基準法に違反している場合は、建築士に日影図を作成してもらい、差止請求や慰謝料請求訴訟を提起することができますが、いずれも受忍限度を越えた日影被害でなければ請求は認められませんし、慰謝料請求自体が認められたとしても、慰謝料の金額は低めに抑えられているのが現状です。判例は、受忍限度を越えているかどうかの基準として、@被害の内容・程度、A地域性、B先住関係、C加害・被害の回避可能性、D規制違反の有無、E交渉経過、などの諸事情を示しています。
 今までに認められた慰謝料の例としては、@低層住宅の多い地域で地域適合性のない建物の建築を強行したことから、真夏でも建物の一部に30分程度日が射すのみで、室内の日照が無くなってしまったケースで、住民一人につき100万円を相当とするもの(大阪地裁平成6年(ワ)7960号)、A日照時間が冬至において一日に1時間半〜4時間になってしまっており、低層住宅が多数を占めることが今後も予想される地域であり、被害回避の配慮も不足していたケースで住民8人に合計490万円としたもの(札幌地裁昭和47年(ワ)614号)などがあります。

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