新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.130、2001/11/2 16:58
[民事・不法行為]
質問:交通事故や暴行傷害事件でけがをしました。健康保険を使って病院で治療を受けられますか?
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回答:
1、交通事故や暴行傷害事件でも、保険証が原則として使えますが、@加害者から既に賠償金を受け取っている場合、A業務中に事故にあったとき(労災保険)、B被害者が飲酒運転や無免許運転など違法行為をしていたとき(健康保険法60条)等特別な事由がある場合には、保険証が使えないことがあります。また、病院では、前記の手続が複雑なためか、窓口で「交通事故の場合は保険証は使えません」と回答しているところもあるようですが、法律上は使えることになっていますので、お困りの場合は、市町村の窓口や社会保険事務所にご相談になってみて下さい。弁護士が相手方と交渉して、仮払金として治療費を支払わせる場合もあります。
2、なお、健康保険法67条と国民健康保険法64条で、第三者の行為で保険給付が行われた場合に、保険者(国や健康保険組合)が、保険給付を行った部分について、第三者に対して損害賠償請求権を取得する旨規定しています。けがをした被害者は、保険給付を受けた限度で第三者(加害者)に損害賠償請求ができなくなります。
3、例で説明すると、交通事故で病院にかかって、治療費が10万円かかったとして、保険診療(自己負担3割)にした場合、病院では3万円だけ支払って、7万円は保険が負担します。交通事故の相手方が100パーセント過失がある場合は、けがをした人は、加害者に対して3万円を請求できますが、残りの7万円は国が請求権を取得するので請求できなくなる、ということです。治療費は10万円ですが、自分が支払った3万円しか相手方には請求できません。
4、保険診療を受ける場合は、「第三者の行為による傷病届」を市町村の国民健康保険係や社会保険事務所に提出します。後で、損害賠償請求権の取得について通知が来ます。自分が支払った治療費以上の金額は受け取れませんのでご注意下さい。