新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.148、2004/3/24 13:36 https://www.shinginza.com/rikon/index.htm

[民事・不法行為][刑事・違法性]
質問:夫が不倫をしているようなので、勝手に夫の携帯メールを見てしまいました。そこには、不倫相手に対して、『今度会おう』など交際事実を仄めかす内容が記載されていました。夫の携帯を勝手に見たのは、罪になるのでしょうか。また、裁判で慰謝料請求をする場合、証拠になるのでしょうか。

回答:
1、例えば、夫宛の手紙を勝手に開けて読んだ場合には、信書開封罪(刑法133条)となりえますが、携帯メールを勝手に読んだだけでは、犯罪にはなりません。
2、ただ、夫といえども、他人の携帯電話のメールや発受信記録を勝手に見る行為は、個人のプライバシーの権利を侵害しうる行為であるといえます。プライバシーの権利を侵害した場合、慰謝料の問題ということになりますが、夫婦間でメールを見たという程度では、慰謝料請求が認められる可能性は低く、結局のところ、プライバシー権の侵害の責任をとわれることも少ないと言えます。
3、裁判における不倫の証拠とは、肉体関係があったことを推認させる証拠ということになります。したがって、例えば、ホテルに2人で出入りする写真などは有力な証拠となります。メールの場合、それ自体、証拠としては弱いですが、直接、肉体関係があったという内容が記載されていれば、証拠になるといえます。
4、しかし、他愛のない会話だけでは、不倫の証拠とすることは難しいでしょう。本件の『今度会おう』との記載からは、当人同士に肉体関係があることまでは読み取ることができませんので、このメールを、夫の不倫を立証するための証拠とすることは難しいといえます。
5、ただ、本人に不倫関係を認めさせるための資料としては使える場合もありえますので、まったく価値がないとはいいきれません。

【民法】
第七百九条  故意又ハ過失ニ因リテ他人ノ権利ヲ侵害シタル者ハ之ニ因リテ生シタル損害ヲ賠償スル責ニ任ス
第七百十条  他人ノ身体、自由又ハ名誉ヲ害シタル場合ト財産権ヲ害シタル場合トヲ問ハス前条ノ規定ニ依リテ損害賠償ノ責ニ任スル者ハ財産以外ノ損害ニ対シテモ其賠償ヲ為スコトヲ要ス

【刑法】(信書開封)
第百三十三条  正当な理由がないのに、封をしてある信書を開けた者は、一年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する

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