新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.157、2004/4/8 17:02 https://www.shinginza.com/qa-hanzai.htm
[刑事・起訴前]
質問:ゴルフ場の更衣室で高価なアクセサリーを拾い、そのまま持ち帰っていたところ、警察に逮捕されてしまいました。落し物だと思って持ち帰ったのですが、どのような犯罪になるのでしょうか。
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回答:
1、あなたの行為は、窃盗罪(刑法235条)か、占有離脱物横領罪(刑法254条)に該当します。どちらに該当するかは、物品が被害者に占有されていたか否かで判断されます。占有とは、自己のためにする意思をもって物品を所持することをいい、その物品が落し物(遺失物)であれば、占有者の意思に基づかないで占有を離れ、未だ何人の占有にも属さないものとなります。
2、会員制のゴルフ場であれば、ゴルフ場の管理体制が行き届いているため、落し物を拾ったと主張しても、落とし主に占有がなくとも、ゴルフ場に占有があり、ゴルフ場との関係で窃盗罪が該当する可能性がありますが、監視体制のない、つまり、一般人が自由に出入りができるゴルフ場(パブリック制)であれば、ゴルフ場の管理下にあったとは考えにくく、占有離脱物横領罪に該当します。つまり、状況がどのような管理体制であったかにより、解釈が異なることになります。窃盗罪の判例をご参照ください。@乗客が列車内に遺留した物品の占有は、当然に列車乗務員に属するものではない。(大判大15.11.2刑集5-591)、Aバスを待つ間、写真機を置き忘れたが、被害者の実力的支配のうちにあったもので、占有を離脱したものとは認められない。(最高裁判例刑事判例集11巻12号3061頁)
3、まず、あなたが逮捕されたら、お近くの弁護士に相談し、被害者との示談を進めてください。和解が成立したら、軽微な損害であれば釈放、略式手続き若しくは不起訴処分になる可能性が高くなります。窃盗罪の処罰は、十年以下の懲役に処する、占有離脱物横領罪の処罰は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金若しくは科料に処するとあるため、早急な判断が必要となります。