新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.170、2004/6/17 11:50 https://www.shinginza.com/qa-saisei.htm

[債務整理・再生]
質問:住宅ローンを支払えないのですが、民事再生の手続きについて教えてください。

回答:
1、住宅ローンの返済が困難な場合、「個人債務者再生手続」によることも可能です。平成13年4月に民事再生法が改正され、住宅ローンや多額の債務を抱えている個人の生活の再建をはかるために、「個人債務者に関する再生手続」という法律が施行されました。個人債務者再生手続を利用することで、住宅ローンの返済計画を変更することが可能になり、破産して住宅を手放すことなく、生活を立て直すことが可能となります。
2、個人再生手続には、@小規模個人再生手続とA給与所得者等再生手続がります。個人でお店を経営なさっているような小規模な個人事業者は@の手続を、会社員や公務員など毎月ある程度の収入を見込める方はAの手続を利用することとなります。@とAのちがいは、最低弁済額(@よりもAのほうが多額の返済をしなければならない場合があります)、債権者による決議の有無(Aでは不要です)、再度の申立の可否(Aでは破産免責確定の日から10年以内にはできないなどの一定の制限がありますが、@は制限がありません)。
3、個人債務者再生手続の手順は、@裁判所(自分の住所を管轄する地方裁判所)に対する申立→A裁判所による開始決定→B債権額の決定→C財産の調査(財産目録を裁判所に報告)→D再生計画案(ローンの返済方法)作成→E書面決議または意見聴取→F裁判所による認可、となります。
4、マイホームの住宅ローンのリスケジューリング(返済計画の繰り下げ)を行う場合には、再生計画案に住宅資金特別条項を追加して定めることになりますが、抵当権者の協力や、様々な法律の要件を満たす必要がありますので、申立前の事前協議や法律関係調査が必要になります。最長10年(但し債務者が70歳を越えないこと)まで弁済期を延ばすことが出来ます。但し、住宅ローンについては、基本的に減額はできません。
5、これまでの民事再生手続にくらべると、比較的短期間に迅速な手続で進めることが出来ますが、破産や任意整理といった従来の債務整理手続と比べると若干時間と手間がかかるといえます。一度弁護士などの専門家にご相談なさることをお勧めいたします。

法律相談事例集データベースのページに戻る

法律相談ページに戻る(電話03−3248−5791で簡単な無料法律相談を受付しております)

トップページに戻る