新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.181、2004/7/20 16:32
[民事・消費者]
質問:
私は平成5年にあるゴルフ場の会員となり入会金100万円、預託金500万円を支払いました。会員証には、預託金はゴルフ場開場の時から10年間の据え置きと記載されていました。ゴルフ場は翌年1月に開場しましたので今年の1月には預託期間10年間が経過しました。そこで、預託金の返還をゴルフ場会社に請求したのですが、ゴルフ場経営会社は、理事会で返還期間を延長したので返還請求には応じられないということで、預託金を支払ってくれません。このような場合、預託金の返還請求はできないのでしょうか。またゴルフ場が民事再生の手続きを取った場合はどうなるのでしょうか。
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回答:
1、預託金の返還については、会員証等に「事情により預託金の返還期間を延長できる。」という記載があるのが普通です。この様な規定に基づき返還期間を延長する事がしばしばみられます。このような、記載があると返還期間の延長は可能となりますが、問題はどのような事情がある場合に認められるかということになります。
2、どのような事情があれば期間の延長が認められるかについては、議論があり判例もあります。一概には言えませんが、原則としては延長は認められないと考えて良いと思われます。例外として延長が認められるのは、会員のほとんどが返還期間の延長に合意していると認められるような特別な場合に限られると考えて良いでしょう。たとえば、会員のアンケートを採って多数の会員が賛成しているという場合や、理事が会員の選挙で選ばれている等会員の代表として認められる場合で理事会で延長を決議した場合で、預託記の返還請求が他の会員の利益を侵害するような場合が考えられます。
3、以上のようなことから、最近は、預託金期間の延長は認められないことを前提に、ゴルフ場経営会社は民事再生等の法的な手続きを取って預託金の返還を免れる方向で処理することが一般となっています。その場合は、預託金返還請求権は他の債権と同様の扱いとなり、預託金の数パーセントしか返還されないことになります。その場合プレー権はどうなるかという問題もありますが、ゴルフ場経営会社は一般的には会員としてのプレー権を認めているようです。
4、ゴルフ場経営会社が償還に応じない場合は、お近くの弁護士にご相談ください。