起訴後の保釈請求
刑事|地方裁判所|権利保釈と裁量保釈|保釈保証金
目次
質問:
夫が覚せい剤を所持していたとして,警察に逮捕され,その後,起訴されてしまいました。
夫はずっと身柄を拘束されています。夫はサラリーマンで,会社にはまだ知られていませんが,これ以上会社にごまかすこともできなくなってきています。
一刻も早く身柄が解放されてほしいのですが,どうすればよいですか。
回答:
1、起訴後であれば,地方裁判所に,保釈請求をすることができます。なお,保釈請求は,起訴前にはできません。
保釈には,権利保釈(刑事訴訟法89条)と裁量保釈(刑事訴訟法90条)があります。権利保釈とは,裁判所は,刑事訴訟法89条1号から5号に規定する事由がある場合を除いて,保釈を許可しなければならないものです。裁量保釈とは,権利保釈が認められない場合に,裁判所が,適当と認める時に,職権で保釈を許可するものです。
2、保釈が認められるかに関して,一般論を言えば,なかなか認められない場合もあり,特に,法定刑が重い重大事犯の場合,否認している場合,前科がある場合,共犯がいる場合等は,犯罪の証拠を隠滅するおそれや逃亡のおそれが高いと判断されやすく,保釈は認められにくい傾向にあると言えるでしょう。
これに対して,軽犯罪の場合,自白している場合,前科がない場合,単独犯の場合等は,執行猶予判決も予想され,犯罪の証拠を隠滅するおそれや逃亡のおそれが低いと判断されやすく,保釈は認められやすい傾向にあると言えるでしょう。
ただ,上記の傾向はあくまで一般論であって,個別具体的に検討する必要があります。
3、また,保釈が認められるためには,保釈保証金が必要です。
保釈保証金は,逃亡して裁判に出頭しなかった場合や犯罪の証拠を隠滅したような場合は,没取されますが,そのようなことをしなければ,裁判終了後,返還されます。保釈保証金の額は,裁判所の裁量により決められ,保釈が認められやすい事案であればある程,低額になり,逆に,保釈が認められにくい事案であればある程,高額になる傾向にありますが,一般的には150万から300万円になることが多いようです。
4、保釈請求を検討する場合は,弁護士に相談し,依頼するのがよいでしょう。
5、保釈に関する関連事例集参照。
以上