新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.183、2004/7/20 17:17 https://www.shinginza.com/qa-hanzai.htm

[刑事・起訴後]
質問:夫が覚せい剤を所持していたとして,警察に逮捕され,その後,起訴されてしまいました。夫はずっと身柄を拘束されています。夫はサラリーマンで,会社にはまだ知られていませんが,これ以上会社にごまかすこともできなくなってきています。一刻も早く身柄が解放されてほしいのですが,どうすればよいですか。

回答:
1、起訴後であれば,地方裁判所に,保釈請求をすることができます。なお,保釈請求は,起訴前にはできません。保釈には,権利保釈(刑事訴訟法89条)と裁量保釈(刑事訴訟法90条)があります。権利保釈とは,裁判所は,刑事訴訟法89条1号から5号に規定する事由がある場合を除いて,保釈を許可しなければならないものです。裁量保釈とは,権利保釈が認められない場合に,裁判所が,適当と認める時に,職権で保釈を許可するものです。
2、保釈が認められるかに関して,一般論を言えば,なかなか認められない場合もあり,特に,法定刑が重い重大事犯の場合,否認している場合,前科がある場合,共犯がいる場合等は,犯罪の証拠を隠滅するおそれや逃亡のおそれが高いと判断されやすく,保釈は認められにくい傾向にあると言えるでしょう。これに対して,軽犯罪の場合,自白している場合,前科がない場合,単独犯の場合等は,執行猶予判決も予想され,犯罪の証拠を隠滅するおそれや逃亡のおそれが低いと判断されやすく,保釈は認められやすい傾向にあると言えるでしょう。ただ,上記の傾向はあくまで一般論であって,個別具体的に検討する必要があります。
3、また,保釈が認められるためには,保釈保証金が必要です。保釈保証金は,逃亡して裁判に出頭しなかった場合や犯罪の証拠を隠滅したような場合は,没取されますが,そのようなことをしなければ,裁判終了後,返還されます。保釈保証金の額は,裁判所の裁量により決められ,保釈が認められやすい事案であればある程,低額になり,逆に,保釈が認められにくい事案であればある程,高額になる傾向にありますが,一般的には150万から300万円になることが多いようです。
4、保釈請求を検討する場合は,弁護士に相談し,依頼するのがよいでしょう。

≪条文 刑事訴訟法≫
第八十九条  保釈の請求があつたときは、左の場合を除いては、これを許さなければならない。
一  被告人が死刑又は無期若しくは短期一年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
二  被告人が前に死刑又は無期若しくは長期十年を超える懲役若しくは禁錮にあたる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき。
三  被告人が常習として長期三年以上の懲役又は禁錮にあたる罪を犯したものであるとき。
四  被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
五  被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき。
六  被告人の氏名又は住居が判らないとき。
第九十条  裁判所は、適当と認めるときは、職権で保釈を許すことができる。

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