新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.184、2004/8/6 14:33 https://www.shinginza.com/qa-sarakin.htm
[債務整理]
質問:手形を担保に高利の業者からお金を借りてしまいました。
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回答:最近、手形や小切手を担保に取る悪質な金融業者が増えています。業者の手口は、「振出日」「支払期日」が空欄の手形を発行させ、それを書留郵便で業者の住所に送り、郵便局の受理票をFAXすると、即日融資のお金が振りこみされるというものですが、2〜3週間で返済しなければならないにも関わらず、振出された手形の7割程度の金額しか振込しないため、年率に換算すると、500%以上の利息を請求していることになってしまいます。このような業者から一度でも借りてしまうと、返済をするために、新たな借り入れを重ねてしまい、結局、手形が不渡りになり取引停止処分を受けて倒産してしまうことになります。
法律上は、利息制限法制限利率(100万円以下なら年率18%)を越える利息を支払う義務はありませんし、年率29.2%を越える貸付に付いては出資法違反で刑事処分の対象となる恐れもあります。弁護士に依頼して、利息の減額の主張をしてもらうと良いでしょう。取引回数が多ければ、今までの返済金のうち、利息制限法超過部分を元本の返済に充てて計算しなおすと、元本が消滅していることや、逆に支払過ぎになっているので、過払い請求が可能な場合があります。この場合、弁護士は、手形の返還を請求し、過払い金についても、返還請求を行います。
しかしながら、これらの手形金融業者は、数ヶ月毎に事務所を移転し、名前を変えて営業していることも多く、偽名を用いた個人営業の形態を取り、会社登記もせず、貸金業登録もしていないことが多いため、相手を特定して民事訴訟を提起するなどの手段を取ることが極めて困難になっています。弁護士に、任意整理や刑事告発を依頼して、手形や過払金返還請求を主張してもらうと良いでしょう。
弁護士が代理人となり、交渉した場合は、手形を支払提示せず、利息制限法所定利率での計算に応じる業者も多いですが、場合によっては、既に手形が別の業者に移転しており、取り戻しが困難なケースもあります。
手形が交換所に回されていても、不渡報告前であれば、依頼返却の手続きにより、手形を戻してもらう方法があります。銀行に手形小切手を詐取された旨の事故届を提出し、不渡届が出た場合は手形金額と同額の異議申立提供金を用意して、支払銀行を通じて異議申立書を提出してもらえば、取引停止処分を免れることが出来ます。
万が一、取引停止処分を受けて、営業が出来なくなった場合でも、裁判所の手続きで会社の財産と負債を清算することが出来ます。代表者の方も破産免責後は、再度仕事を始めることもできます。悲観せず弁護士に相談してください。