新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.186、2004/8/18 15:51 https://www.shinginza.com/dvprevention.htm

[刑事・被害]
質問:これまでも内縁の夫から暴力を受けることがありましたが,先日は,殴られて骨折しました。夫の暴力から逃れる方法はありますか。また,怪我をさせられたことについて,夫を刑事告訴することはできますか。

回答:
1、平成13年4月に「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」(いわゆる『DV法』)が作られ,同年10月から施行されました。「DV法」における「配偶者からの暴力」とは,身体に対する不法な攻撃であって生命または身体に危害を及ぼすものをいいます(1条)。また,ここにいう「配偶者」とは,法律上の婚姻関係にある者のみならず,事実上婚姻関係と同様の事情にあるものも含みます。したがって,本件のように内縁の夫からの暴力であっても,本法の適用対象となります。
2、DV法は,都道府県に,配偶者暴力支援センターを設置することを定めており,多くの場合,「婦人相談所」などがこれにあたります。ここでは,暴力を避けるため家を出た被害者を一時保護として受け入れています。上記が公的なシェルターであるのに対し,緊急の一時避難施設としては,民間団体によって運営されている民間のシェルターもあります。したがって,本件のように夫から逃げたい場合,実家や知人宅に逃げることも考えられますが,夫に居場所を知られたくないような場合には,公的・民間の各種シェルターへの一時避難が考えられます。
3、さらに,DV法は,接近禁止命令や退去命令の申立の制度を設けています(10条)。これにより,暴力を振るう配偶者が被害者の住居・勤務先付近に近づくことを禁じ,また,暴力を振るう配偶者を家から出て行かせることができるようになりました。これらの命令に違反した配偶者には1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科せられることになっています。したがって,実家などに避難したところ,それを知った夫が追いかけてきて,さらに暴力を振るわれる危険があるような場合には,上記申立を利用し,夫が近づかないような措置を講じることができます。
4、夫婦間でも傷害罪は成立しますので,本件の場合,告訴や被害届けの提出をすることができます。配偶者から暴力を受けたら警察に通報し,すぐ医師の診察を受け,診断書をもらっておくとよいでしょう。写真などものちのちの証拠として有益な場合があります。
5、身の安全と証拠を確保した上で,弁護士に相談するのが良いでしょう。

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