新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.196、2004/9/16 10:34 https://www.shinginza.com/seinen-kouken.htm
[家事]
質問:成年後見制度について、教えてください。
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回答:
1,成年後見制度とは,精神上の障害により判断能力の減退した方が,契約等の法律行為(賃貸不動産,銀行口座,病院,保険金の管理など)を自分で行うことが困難であったり,悪質商法の被害にあったりする場合に備えて,このような方を保護するための制度です。成年後見制度には,法定後見制度と任意後見制度があります。
2,法定後見制度は,保護が必要な場合に,家庭裁判所に申立てをして,保護者を選任し保護を開始するもので,保護が必要な程度に応じて,後見,保佐,補助があります。なお,従来は,禁治産,準禁治産の制度でしたが,法改正されました。後見は,精神上の障害により事理弁識能力を欠く方を対象にし,また,保佐は,精神上の障害により事理弁識能力が著しく不十分な方を対象にし,また,補助は,精神上の障害により事理弁識能力が不十分な方を対象にしています。後見の場合,本人(成年被後見人)保護の要請が強く,本人の自己決定の余地は限られ,その反面,保護者(成年後見人)の権限が広く認められています。逆に,補助の場合,本人(被補助人)の自己決定の余地は広く,その反面,保護者(補助人)の権限は限られています。
3,任意後見制度は,現在判断能力に問題ないが,判断能力が減退した場合に備えて,任意後見契約により,保護者(任意後見人)を予め選任し,また,保護者の権限の範囲を予め決めておくものです。
4,法定後見制度(後見,保佐,補助)を利用する場合は,家庭裁判所に申立てをして,家庭裁判所の審判を受けることが必要です。任意後見制度を利用する場合は,公正証書による任意後見契約書の作成が必要です。成年後見制度の利用を考えている方は,弁護士に相談されるのがよいでしょう。