新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.204、2004/11/17 18:31 https://www.shinginza.com/rikon/index.htm
[民事・契約]
質問:式場の予約も済ませ、披露宴参列者にも招待状を発送した後、婚約者から婚約解消(婚約破棄)の申入れがありました。慰謝料や損害賠償を請求することはできますか。また結納金は戻さなければならないのでしょうか。
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回答:
1、婚約者から婚約の解消の申し入れがあった場合については、まず婚約解消の申し入れが正当な理由に基づく場合とそうでない場合を分けて考える必要があります。
2、正当な理由に基づく場合は、損害賠償の請求はできません。正当な理由か否かは、通常その様な事情がある場合、婚約を解消することもやむを得ないと、社会通念上考えることができるか否かという基準で判断されることになります。事案によっては微妙な判断が必要になることもありますが、常識で判断してそんな場合は結婚できないと考えられるのであれば、正当な理由(異性関係の問題、多額の借金を抱えていた、重大な病気を隠していたなど。)に基づく婚約の解消といえることになります。
3、正当な理由に基づかない婚約の解消の申し入れにより結婚が破談となり、結婚式場や披露宴をキャンセルした場合は、損害賠償(民法709条)が可能になります。損害賠償の範囲については、経済的な損害、例えばキャンセル料等の現実に発生している損害の賠償が可能です。経済的には評価できない精神的な損害の賠償として慰謝料の請求が可能です。慰謝料の金額については、はっきりした基準はありません。本来は具体的に事情により金額が異なるはずですが、実際は細かく具体的な事情を考慮に入れて金額を算定すると言うことはしていません。大まかな事実を基に100万円程度の金額で解決されている様です。
4、婚約解消に伴う損害賠償については極めて私的な事柄と言うことで主に示談交渉や調停といった話し合いで解決される場合が多く裁判になる例は少ないようです。できるだけ、話し合いで解決するのが良いと思われます。仮に裁判になった場合でも、話し合いにより和解で解決する事案が多いようです。