新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース 一、起訴前弁護について 二、宅下げについて 被収容者の所持している物品を受け取る手段として、「宅下げ」があります。
No.205、2004/11/17 18:36 https://www.shinginza.com/qa-hanzai.htm
[刑事・起訴前]
質問:夫が喧嘩をして人に怪我をさせてしまい、現行犯逮捕されました。現在は勾留中とのことです。これからどうすればよいのでしょうか。また、夫は逮捕された際、キャッシュカードを持っていたのですが、現在私の手元には現金がほとんどなく、生活費をおろすためにキャッシュカードがどうしても必要です。どうすればよいのでしょうか。
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回答:@怪我をされた被害者の方に謝罪をし、示談をすることが必要です。Aキャッシュカードについては、宅下げという手段をとることができます。
1、窃盗や傷害、強盗など個人的法益を害する犯罪の場合、当然、被害者が存在することになります。このような犯罪の場合、起訴前弁護としてなすべきこととして最も重要なことは、被害者に対して謝罪し、被害を弁償することです。事案にもよりますが、比較的軽微な犯罪であり、かつ初犯であるような場合には、被害者の方に誠意を持って謝罪をし、被害を弁償して示談に応じていただければ(被害届け・告訴状などを取り下げていただくことが出来れば)、不起訴処分となることも考えられます。起訴後であっても示談をすることは可能ですが、起訴されている以上、無罪とならない限りは、仮に執行猶予が付いたとしても前科はついてしまうことになります。もっとも、示談の有無は情状に大きく影響を与えるものですから、起訴後においても示談が重要であることにかわりはありません。
2、また、強姦・強制わいせつ・器物損壊などの親告罪(起訴するためには被害者等からの告訴状の提出が必要となる犯罪)については、示談が成立し、告訴状を取り下げていただくことが出来れば、起訴されることはなくなります。
1、宅下げの意義 宅下げとは、被収容者の金品を受け取り、持ち帰ることをいいます。
2、どのような場合に宅下げが必要か「現行犯で逮捕され、その際にキャッシュカードや通帳などを所持していた。家族のものとしては、手元に現金がほとんどないことから、生活費等に使用するためにキャッシュカードや通帳を用いてお金を下ろす必要がある。」このような場合に宅下げという方法をとることになります。事件に関連する物、例えば殺人の被疑事件で逮捕・勾留されている場合に、犯行に用いられたとされる包丁などについて宅下げをすることが認められません。このことについては当然のこととして理解していただけると思います。しかし、事件に関連しない物、例えば逮捕当時たまたま所持していたキャッシュカードなどについては、事件の捜査をする上で必要がない一方、家族の方々にとっては必要不可欠である場合があります。このような場合に、宅下げという方法によって物を受け取ることが出来るのです。また、被収容者の洗濯物などの宅下げを受け、洗濯後、差し入れという形であらためて被収容者に渡すことも可能です。
3、宅下げは、原則として面会の機会を利用して行うことになります。したがって、面会が許されている時間内でしか宅下げは出来ないことになります。もっとも、被収容者に弁護人がついている場合、弁護人は緊急の用があれば一般の面会許可時間外でも被収容者と接見することが可能です。そして、その機会を利用して宅下げをすることも可能です。ただし、被収容者の所持している金品(金銭、高価な品など)は保管庫に入れられており、夜間などには取り出せないという取り扱いになっています。したがって、保管庫から物を取り出せる時間のうちに、警察などに宅下げをお願いしたい旨連絡しておく必要があります。保管庫から物品を取り出せる時間はいつか、という点については収容場所によって取り扱いが異なる場合がありますので、電話などで問い合わせてみるのがよいでしょう。どうしても、うまくいかないときには、お近くの弁護士さんに相談してください。