新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.236、2005/4/20 10:18
[民事・消費者]
質問:ある日、電話で未公開株の購入という形での投資を勧誘されました。「3年以内に上場予定の有望企業がある、出資しないか?」と言われ、未公開株を1000万円分買わされました。不安なのですが、このままにしておいていいのでしょうか。
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回答:
1、未公開株式、非上場株式とは、その名のとおり、証券取引所に上場されていない銘柄(会社)の株式です。通常の株取引は、このような証券取引所に公開されている株式を売買することによって行います。しかし、株式というものは、自由に譲渡できるのが原則ですから、証券取引所を通じなくても 取引することはできます。しかし、ここでいう取引とは、単純に株式を取得することは可能ではある、というだけのことで、一般の人が単純に「株取引」というときの投資・投機活動とは異なるものです。
2、投資目的ではなく、現実にその会社の株主になりたいと思ったときは、当該会社の株を購入するだけでなく、その会社の株主名簿に登録してもらう必要があります。しかし、未公開株式の会社の多くは、株式に譲渡制限というものをつけています(正確には、定款という会社の憲法のようなものに記載します)。譲渡制限付きの株式は、誰かからこれを譲り受けても、取締役会の承認がなければ名義書換はできません。
3、また、投資・投機目的で未公開株式の取引をする場合でも、最近は、詐欺被害などの増加にともなって、日本証券業協会がグリーンシートという未公開株式取引の制度をスタートさせていますので、安心に取得したい場合にはこのような方法もあります。
4、ここでご質問の回答ですが、まず、株取引というものは、投機的要素が強く、いわばギャンブルのようなものです。ギャンブルに「絶対儲かる」はありえません。詳しいリスクの説明もなしに電話で強引に勧誘する業者は、それだけで詐欺の可能性が高いといえます。さらにこれが未公開の株式ともなると、実際にそのような株式が存在するのかもわかりませんし、公開されていないので時価も全くわかりません。このような株式を、株取引の素人が購入しても、利益が出る可能性はほとんどありません。また、業者の中にはありもしない株式の売買を持ちかけてきたり、買うと言うと、「うちでは売れないが、売ってくれる人を紹介する、うちでは購入代金を融資するから、借りてもらわないと売れない」などといって結局は高利のヤミ金融に引きずり込もうとしたり、ひどいときには株券を偽造して見せたりすることもあるようです。
5、当然ながら、上記のような手口は、全て詐欺によるものです。電話で突然儲け話を持ちかけてくるというケースは、ほとんどが詐欺によるものです。「資料だけでも見て欲しい」などと言ってきますが、相手にすると、業者のペースにはまってしまうので注意しましょう。もし、実際に被害にあったり、しつこく勧誘を受けているなどでお困りの場合は、お早めにお近くの弁護士にご相談ください。