新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.237、2005/4/20 10:45 https://www.shinginza.com/qa-hanzai.htm

[刑事・被害]
質問:犯罪被害に遭ったときに,国から給付金のようなものがもらえる制度があると聞いたことがあるのですが,それはどのような場合に支給されるのでしょうか。また,どれくらいの額の支給を受けることができるのでしょうか。

回答:
1、ご質問のような犯罪被害者本人やそのご遺族の方への給付金支給に関して定めている法律として「犯罪被害者等給付金の支給等に関する法律」があります。以下,かかる法律に基づいて,犯罪被害者給付金制度の概要をご説明致します。
2、どのような場合に支給を受けられるかについてですが,まず,犯罪行為によって生命が奪われた場合又は身体を害された場合に限られます(第2条)。ですので,窃盗により自分の財産が奪われたなどのケースでは,給付金は支給されません。
3、次に,上のような犯罪行為による被害であっても,過失(不注意)による被害の場合や,正当防衛,正当行為(刑法35条,36条1項)が成立する行為による被害の場合は,給付金は支給されません(第2条)。例えば,交通事故により死亡した場合は原則として対象外となってしまいます。また,親族間での犯罪,被害の原因が被害者にもあるような場合,労災保険等の公的給付や加害者からの損害賠償を受けた場合などは,給付が受けられなかったり,支給額が減額されたりすることもあります(第6条)。
4、そして,支給される給付金の種類としては,@遺族給付金(被害者死亡の場合のご遺族に支給される給付金),A重傷病給付金(重傷病を負った被害者ご本人に支給される給付金),B障害給付金(障害が残った被害者ご本人に支給される給付金)の3種類あります。@に関しては,支給を受けることのできる優先順位が決まっており,まず,配偶者(事実婚も含む)が優先し,次に,被害者の収入で生計を維持していた子,父母,孫,祖父母が記載の順で優先することになります(第5条)。
5、支給額に関しては,@遺族給付金の場合が,320万円〜1573万円,A重傷病給付金の場合が,3か月分を上限とした医療費の自己負担分,B障害給付金の場合が,18万円〜1849万円の各範囲内で,被害者の年齢や障害の程度などの様々な事情を考慮して決定されますが,支給される条件が欠けるような場合には,支給自体が認められないこともあります。
6、かかる給付金の支給を受けるには,申請する方の住所地を管轄する都道府県公安委員会に申請する必要があり(第10条1項),具体的には,住所地を管轄する警察署又は警察本部に,申請書及び必要書類を提出することになります。なお,給付金の支給を受けるには,被害の発生を知った日から2年以内又は被害が発生してから7年以内に申請する必要がありますので注意が必要です(第10条2項)。

法律相談事例集データベースのページに戻る

法律相談ページに戻る(電話03−3248−5791で簡単な無料法律相談を受付しております)

トップページに戻る