新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.241、2005/4/20 13:31 https://www.shinginza.com/qa-roudou.htm

[民事・労働]
質問:新しく労働審判法が成立して、労働問題の裁判が変わると聞きましたが、具体的にどのようなものなのか教えてください。

回答:
1、個別的な労働関係の民事事件を、紛争の実情に即して迅速、適正かつ実効的な解決をはかることを目的とした労働審判法が、平成16年4月28日に国会で成立し、同年5月12日に公布されました。この労働審判手続きは従来の手続きとは違う画期的な内容が含まれ、実施のためには多くの準備を必要とするため、実際に施行されるのは平成18年4月の見込みです。
2、この労働審判法の趣旨は、昨今個別的な労働関係の民事事件が増加している状況に対応するため、専門的な知識経験を生かした迅速かつ適正な紛争解決の促進をすることにあります。そのために、労働審判法は以下のような画期的な審判手続きを設けました。
3、新しい労働審判制度は、当事者の申立てに基づき全国の地方裁判所に設けられる労働審判委員会で行われます(第2条、第5条)。この労働審判委員会は、裁判官である労働審判官一人と労使から選任された民間の専門家である労働審判員二人で構成されます(第7乃至9条)。審理は、原則三回以内の期日で行うことになっています(第15条)。この審理をもとに労働審判がなされ、当事者双方が審判の内容に同意すると裁判上の和解と同様の効果を持ちますが、審判の内容に不同意のときは、2週間以内に異議申し立てができます。異議申し立てをすると、審判の効力は失効し、自動的に地方裁判所に通常の訴えの提起があったものとみなされ、正式な裁判に移行します(第20乃至22条)。
4、労働審判法の成立によって、紛争当事者は通常裁判(地位保全の仮処分)か労働審判かの選択をすることができるようになりました。ただ、労働審判を充実したものにできるか否かは、いかに有能な民間の労働審判員を確保できるかにあると言われています。ご不明な点はお近くの法律事務所に相談して下さい。

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