新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.251、2005/5/20 14:26 https://www.shinginza.com/chikan.htm
[刑事・起訴後]
質問:痴漢で逮捕され、略式処分で罰金を支払いました。担当検察官から、自分が勤めている会社に知らせるか検討していると言われたのですが、会社に知られてしまうのでしょうか。民事の示談は成立していません。
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回答:
1、今回、略式処分で罰金を支払った形で終結させていますので、一般的に、あなたには、前科(犯罪歴)が付いたことになります。略式手続きとは、簡易裁判所で原則として50万円以下の罰金又は科料が相当とされる事件については、公判を開かずに書面審理だけによって裁判をする手続です。罰金を支払った後の検察側としては、事件終了とし、事務処理の手続きに移ります。
2、ご相談のように、罰金の支払い後、どのような経緯で検察官が会社に知らせると発言したのかは分かりませんが、罰金を支払ったのであれば、それ以上の捜査はありません。検察官が、被疑者の自宅や会社に連絡をする可能性があるとすれば、そのほとんどが被疑者の身元を確認するためであり、通常は逮捕時にあります。従って、逮捕時でも被疑者が進んで身元を明らかにして身分証明書などで確認が取れれば通常勤め先、家族に連絡することはありません。しかし、逮捕後、勾留請求されず、釈放される場合にご家族、ご兄弟、上司等に身元引き受けを要請することがあり、その場合はご家族等に事実関係が明らかになってしまうでしょう。どうしても妻、家族に知られることが困る場合は、両親、ご兄弟に身元引き受けをお願いするのも方法です。
3、被疑者の中には、自分の行為について、家族や会社に知られたくないと考える方が多いと思いますが、検察庁からの呼出状が自宅に届くと、家族に知られてしまう可能性が生じてしまうことは否定できません。仮に、被疑段階で家族や会社に知られたくないという事情があれば、選任した弁護人から捜査機関に対し、家族や会社には連絡しないよう要請し、被疑者に対する事務連絡等は、弁護士宛にお願いする方法があります。更に、マスコミなどの報道機関に対する情報漏れについても要請できます。しかし、情報がどこから漏れるか分からないのが現実であり、完全に食いとめることは困難です。憲法で保障されている報道の自由もマスコミ側にあり、捜査機関への問い合わせに対し事件の概要を明らかにすることが捜査機関にも求められるからです。事件性から判断し、そのような恐れがある場合には、弁護人が何度も捜査機関に確認と要請を続け、情報漏れを要請することになります。司法記者が捜査機関を定期的に巡回しているようですが、被疑者段階では、捜査機関との協議により報道の価値がある重要事件の情報は開示されているようです。そうでなければ、いくらマスコミといえどもまだ公になっていない事件を自ら察知することは困難と思われるからです。
4、最後に、今回のような痴漢事件(迷惑防止条例違反、強制わいせつ罪などの親告罪)は、被害者との示談交渉が重要であると考えます。弁護士が被害者との示談交渉をした結果、被害者から被害届取下げ及び告訴取消書、被害者があなたを宥恕するという何らかの書面を検察庁に提出することができれば、検察官の判断になりますが、不起訴処分になる可能性もあります。ご不明な点は、お近くの法律事務所にご相談ください。