新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.292、2005/9/8 13:13
[民事・消費者]
質問:最近,街頭募金を行っていたグループの中心人物が詐欺などの容疑で逮捕されたというテレビ報道を見ました。私もときどき駅の近くなどで募金箱にお金を入れることがあるのですが,今回の報道を見て,もしかしたら,自分も騙されて募金をしたことがあるのではないかと疑うようになりました。その一方で,恵まれない方々に募金をしたいという気持はやはりあるのですが,今後,このような街頭募金に募金しようとするとき,どのような点に注意すればいいでしょうか。
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1、ご質問は,街頭募金に関するものですが,近時,慈善事業を行う団体などと称して偽の募金活動を行って収益を上げる団体の存在が社会問題となっています。
2、本来,街頭募金は,国内外の社会的弱者等の救済のために,駅前や繁華街などで道を行く人から募金することいい,まさに,社会全体の善意によって恵まれない境遇の方々を救済することを本来の目的とし,実際,このような正当な目的の下,多くの団体が何ら問題のない街頭募金活動を行っています。
3、しかし,実に悲しいことですが,街頭募金を行う団体のごく一部には,当初から集まった募金を社会的弱者救済のための寄付等に充てず,専ら自己の収益にする目的で募金活動を団体も存在します。このような行為は,他人の善意につけ込んだ極めて卑劣な行為であり,刑事法上も,詐欺などの犯罪に当たる行為を行っていることになります。また,かかる詐欺集団の存在により募金しようとする人が募金に対して萎縮するようになり,多くの正当な募金活動への募金までが十分に集まらないという極めて重大な弊害も生じてしまします。さらに,被害者が,街頭などで,個々の募金を行った者であるため,被害者の特定はもとより,被害者意識に乏しく,被害額も個々においては少額であるため,なかなか犯罪として立件されにくいといった側面もあります。
4、そして,募金する際の注意点に関してですが,最近では,実在する慈善事業団体名を名乗り街頭募金詐欺を行う集団まで出てきておりますので,瞬時に正当な募金活動か否かを判断することは困難ですが,詐欺的な募金活動においては,募金の求め方が異常なまでに執拗である,募金の目的や募金の使途に関して質問をしても十分な回答が返ってこない,募金を受ける側であるにもかかわらず,募金額に関して意見をする(金額が少ないなど)といった傾向があります。また,募金をする人を安心させようと警察の許可証を提示してくることもあるようですが,かかる証明書は,道路の使用許可証であり,警察がその募金活動の正当性を証明しているものではありませんので注意が必要です。
5、もっとも,前述したとおり,ほとんどの募金活動は,奉仕の精神等に基づく正当な活動でありますので,募金にお金を投じようとする際には,募金活動を行っている方の説明を十分に受け,募金活動の趣旨を理解した上で,信頼できる団体か否かを自分自身で納得がいくまで検討し,募金するか否かを判断されることが肝要ではないかと思われます。