新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.298、2005/9/12 15:07 https://www.shinginza.com/rikon/index.htm
[家事・夫婦]
質問:私は専業主婦です。法改正で,離婚しても夫の厚生年金が受け取れると聞きました。詳しく教えてください。離婚後,自分が再婚した場合は引き続きいただけるのですか。再婚相手が年金を受け取っている場合はどうなりますか。
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回答:
1,離婚前の妻(専業主婦の場合)は,3号被保険者(会社員等2号被保険者に扶養されている配偶者)とされていますが,離婚により1号被保険者に切り替わり,離婚後の保険料は本人負担となります。
2,夫が会社員や公務員だった場合には,夫の厚生年金をもらえるかが問題となります。妻が65歳になると,妻自身の老齢基礎年金のほかに,夫の厚生年金の加給年金(配偶者がいる分多く支給されます)がある場合,そこから妻の年金へ振替加算されますので,それ以降の離婚であれば,加算分をそのまま受け取ることができます(具体的な年金額等は,お近くの社会保険事務所にご相談下さい。)。しかし,現時点で,65歳未満の妻が夫と離婚する場合には,現在の法制度上は,夫の厚生年金からの支給を妻が直接受け取ることはできません。財産分与として,夫に対する裁判等で,将来的に支給される厚生年金の2分の1等の金額を,妻にその都度支払うよう請求する方法も考えられます(認めた裁判例もあります)が,まだ判例が確立していないので,裁判で認められない可能性もあります。改正された年金制度によれば,夫婦が離婚する際,夫婦間の合意または裁判所の決定により,夫が将来受ける厚生年金受給権の一部(婚姻期間中に支払った保険料に対応する夫婦合計の年金額の最大2分の1まで)を妻に分割することが認められますが,この制度は2007年4月以降に離婚が成立した人が対象となりますし,確実に支給されるとは限りません。さらに,この法案によれば,妻が3号被保険者となっている期間のうち2008年4月以降の部分については,夫の合意が無くても,妻単独の請求により,2分の1を分割できることになりますが,それ以前の期間については,やはり,合意や裁判所の決定が必要となりますので,婚姻期間全てについて,確実に2分の1をもらえるわけではありません。
3,離婚により上記の年金分割を受けた妻が再婚した場合,再婚相手が年金を受け取っている場合についても,上記年金分割制度には,例外や変更等の規定は見あたりませんので,引き続き支給されることになると思われます。