新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース 道路交通法24条「車両等の運転者は,危険を防止するためやむを得ない場合を除き,その車両等を急に停止させ,又はその速度を急激に減ずることになるような急ブレーキをかけてはならない。」
No.306、2005/11/14 17:21 https://www.shinginza.com/qa-jiko.htm
[民事・不法行為]
質問:車を運転中,前を走行していた車が,急ブレーキをかけたため,追突してしまいました。前を走行していた車の運転者は,運転ミスで急ブレーキをかけてしまったのですが,追突した方が100%悪いと言い張ります。私が100%悪いことになるのでしょうか。
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回答:
1、交通事故は,様々な態様が考えられますので,どちらの車の運転者にどれだけの過失があったのかは,交通事故の態様などによって個別に考えることになります。そして,交通事故の紛争が起こった場合,裁判所では,なるべく一律・公平に事件を解決するために,財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部発行の「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」(通称「赤本」)で,事故類型別に整理された過失相殺率を尊重して,事件を解決することが多いのが現状です。
2、そして,平成17年度版の赤本によりますと,前を走行していた車の運転者は,運転ミスで急ブレーキをかけてしまい,道路交通法24条(※注─下記に条文)違反の行為があったと考えられますから,過失割合としては,基本的に,被追突車は20%,追突者は80%とされています。よって,原則として,追突車の運転者が100%悪いことになるわけではありません。
3、但し,平成17年度版の赤本によりますと,追突車に15km以上30km未満の速度違反があった場合には,過失割合は,被追突車は10%,追突車は90%とされ,追突車の速度違反がさらに著しいと,追突車が100%になる場合もあり得ます。逆に,追突車に速度違反がなく,事故が起こった道路が幹線道路であった場合には,被追突車は30%,追突車は70%とされるなど,その他の状況によって,上記の基本的な過失割合は修正されます。
4、そして,例えば,被追突車の運転者の損害が100万円,追突車の運転者の損害が50万円で,過失割合が,被追突車は20%,追突者は80%とされた場合を考えますと,損害の負担は以下のようになります。すなわち,被追突車の運転者の損害につき,追突車の運転者は,100万円×0.8=80万円を負担することになり,残りの20万円は,被追突車の運転者が負担することになります。 また,追突車の運転者の損害につき,被追突者の運転者は,50万円×0.2=10万円を負担することになり,残りの40万円は,追突車の運転者が負担することになります。