新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.307、2005/11/14 17:23 https://www.shinginza.com/rikon/index.htm

[家事・夫婦]
質問:離婚調停中です。妻が男を作って、家を出て行きました。妻の居場所を突き止めるために、調停後に後を着けたら問題になりますか。

回答:
1、奥様が、別の男性と肉体関係を結んで、家を出ていくことは、立証ができれば、法的には、離婚請求(民法770条第1項第1号、第2号あるいは第5号)や慰謝料請求(民法709、710条)の原因となります。しかし、奥様の行為が法的に許されない行為だとしても、こちらが手段を選ばず、奥様の行動を追及していいことにはなりません。
2、奥様のあとをつけたり、つきまとったり、別居先に押し掛けたりする行為は、ストーカー規制法の規制対象となり(ストーカー行為等の規制等に関する法律第2条)、警察から警告(第4条)等を受ける可能性があります。警告に違反した場合には、禁止命令(第5条)が出されるかもしれませんし、行為がくり返し行われたり、禁止命令の違反があったりすれば、懲役刑も含めた罰則があります(第13条、第14条)。また、法律の定めるストーカー行為に当たらない場合でも、各地方自治体で条例を規定して、罰則を定めている場合があります。
3、調停においても、裁判所は、あらゆる事態を想定して、事故のないように警戒していますので、あなたが、奥様の居場所を突き止める以上のことを考えていなくても、もし、奥様があなたの行動に気づき、調停の書記官に相談するようなことになれば、裁判所から厳重な注意を受けるでしょうし、調停委員や裁判官の心証も悪くなり、調停に悪影響をもたらすことになるでしょう。奥様も、調停の際には注意して行動しているでしょうから、あなたの行動に気がつきやすいと思われますし、居場所が突き止められるかも疑問です。あなたの行動に不安を抱いた奥様が、調停にも出頭しなくなってしまったら、調停を成立させること自体が難しくなります。調停が不調になると、離婚問題の解決は訴訟(裁判)でということになってしまいます。訴訟では、相手が出頭しなくても、それなりの手続もとれますが、やはり時間と費用がかかりますし、仮に、財産的に請求できるとの判決を手に入れても、相手が出頭しないままでは、その実現が難しくなってしまいます。財産の所在がわからなければ強制執行も無理ですから、相手の出頭をまず確保し、相手と話し合って得るべき利益も確保した方が、早期かつ円滑な解決につながります。
4、以上の観点から、もしあなたが既に弁護士を依頼していているとすれば、当然、弁護士は、あなたの行動を止めると思いますし、あなたがそれに従わなければ、代理人を辞任する(やめる)こともあります。相手のあとをつけるなどの実力行使は、やはりお勧めできません。法的な権利の実現は、合法的に行うしかありませんし、現実にもそれが得策だと思います。もし、法的手続き等でお困りの時は、弁護士に相談することをお勧めいたします。

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