新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.309、2005/12/5 10:21 https://www.shinginza.com/sakimono.htm
[民事・消費者]
質問:私は60歳代の主婦ですが,先日,「外貨預金のような取引で,確実に利益の出る商品があります。一度,ご自宅に伺わせていただいて詳しくご説明させていただきたいのですが。」との電話がありました。私は断り続けたのですが結局断り切れず,その方が自宅に来ることになり,自宅訪問の際,「損はしない。私たちにお任せ下さい。」などと言われ,気付くと外国為替証拠金取引の契約をさせられ,証拠金として100万円を預けることになりました。その後も,たびたび自宅に追加投資に関する勧誘の電話があり,すでにその会社に800万円近くも預けてしまいました。これだけの金額を預けてしまったので,お金が返ってくるか不安です。私のお金は返ってくるのでしょうか。
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1、近時,外国為替証拠金取引に関するトラブルが増加しています。その多くは,これまでに投資経験のない,しかも高齢者の方によるものが多数を占めているようです。外国為替証拠金取引は,簡単にいうと,顧客がかかる取引の取扱業者に対して一定の証拠金を預け,その証拠金の何倍もの外国為替取引を業者に依頼する取引をいいます。
2、この取引は,その仕組み自体が複雑であり,また,その多くは業者と顧客の利益が対立する構造を持っているものであるため,通常の預貯金とは異なり,外国為替相場を始めとする知識,理解及び経験が十分でないと,全ての証拠金を短期間に失ってしまうほどの非常にリスクの高い取引であると言えますので,金融商品などの専門家でない限り,かかる取引を行うべきとはいえません。
3、ですので,このような取引に関する勧誘があった場合には,決して安易に応じず,話自体を打ち切ってしまう,そうできないとしても,毅然とした態度で取引を行わない旨を主張し,決して自己の意思に反して取引を開始することのないように対処する必要があります。
4、また,本件のようにすでに取引を開始してしまった場合には,被害がより拡大しないうちに弁護士や消費生活センター等に相談して,その取引に問題がないかにつきアドバイスを受けた方がよろしいでしょう。
5、なお,かかる取引によって生じた被害は,相手方業者との訴訟又は交渉を通じて回復することが可能です。しかしながら,相手方業者の経済的基盤が脆弱であったりすると,たとえ訴訟で勝訴したとしても,倒産などされると現実的に金銭の返還が受けられない場合もありますので,このような取引によってお困りの方は,なるべく早期に弁護士等の専門家にご相談された方がよろしいでしょう。