新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.317、2005/12/13 14:30
[刑事・被害]
質問:インターネットの掲示板に私の名前を挙げて、具体的に誹謗中傷する記載がなされているのですが、これは名誉毀損になりませんか。名誉毀損にあたるならば、具体的にどのような手段をとることができますか。
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回答:
1、掲示板への記載が相談者の社会的評価を客観的に低下させるものであれば、名誉毀損行為に該当します。インターネットはパソコンを通じて全世界に公開されているので、その記載は不特定多数の目にさらされており、その被害は甚大であるといえます。
2、名誉毀損行為の場合には、以下のような手段をとることが考えられます。
(1)まず、掲示板の管理者に対し、名誉毀損に該当する表現の存在を指摘して、その記載の削除を求める手段があります。管理者に対し内容証明郵便を送り削除を求めることになります。ただ、掲示板の管理者は慎重であることが多く迅速な対応を求めるのは難しいです。また、将来の表現としてスレッドの運用について強制することは難しいです。
(2)つぎに、名誉毀損行為をした行為者に対し、民法上の不法行為に基づき慰謝料などの損害賠償請求、名誉回復のための謝罪広告の請求をすることができます。ただ、訴訟手続きをとるためには、行為者の氏名、住所などを具体的に特定する必要があります。したがって、行為者を具体的に特定できれば、損害賠償請求、謝罪を求めることはできます。謝罪の方法としては、謝罪広告が一般的であり、ネット上の謝罪については新しい問題であり、現行法で強制することは難しいです。
(3)さらに、名誉毀損罪(刑法230条)に基づき警察署に刑事告訴をする方法があります。ただ、表現の内容、被害の程度によっては警察がなかなか受理せず、捜査しないこともあります。
3、以上の通りの手段が考えられますが、前提として、当該行為が名誉毀損にあたるかが一番の問題となります。個人攻撃のスレッドの立ち上げだけでなく、具体的な社会的な信用を低下させる表現がなされる必要があります。この判断は多分に主観的なものであるので、争いになり最終的に裁判所の判決で白黒をつけることになり、時間費用がかかり結論がどう出るかの保障ができません。したがって、一般的に難しい問題であるといえます。よって、相手方と話し合いの余地があるのであれば、裁判の手間、費用、不確実性を考えると、多少金額が低くても早期に和解をして慰謝料等を回収したほうが現実的には得策とも言えます。