新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.322、2006/1/5 11:02 https://www.shinginza.com/qa-sarakin.htm

[債務整理・破産]
質問:私は,埼玉で暮らす会社員ですが,一時,パチンコに熱中したことがあり,パチンコ資金として複数の消費者金融から合計300万円ほど借り入れをしてしまいました。その後,パチンコは止めたのですが,消費者金融への返済が厳しく,返済に回すための資金や生活資金としてさらに借り入れをしてしまい,現在は金利も含め,借入額は500万円を超えてしまいました。最近は,毎月の返済で給与のほとんどがなくなってしまい,家賃を払うことすら困難になってきたので,できれば破産をしたいと考えています。しかし,私のような借金の主な原因が借金である場合でも,破産をすることによって,債務が帳消しになるのでしょうか。

回答:
1、破産に関するご質問ですが,世間一般で言われている「破産」という手続は,破産法上では,大別して破産手続と免責手続に分類されます。簡単にご説明すると,破産手続は,裁判所が破産申立人の負債,財産,収入などの状況から,申立人が支払不能であると判断する場合に,破産開始決定をし,その後,債権者に配ることのできる財産があれば,配当手続によって,債権額に応じて配当を行うという手続です。なお,この手続のみでは,直ちに債務から逃れられるという効果は生じません。
2、一方,免責手続は,裁判所から選任された管財人(通常,弁護士がなります。)が,債務の原因などから免責の可否を調査し,免責相当の場合には,管財人から意見を聞いた裁判所が免責許可決定を出す手続です。この免責決定が確定した場合,返済できなかった債務について自然債務という債務になり,事実上,返済義務から免れることができます。
3、以下,東京地裁における破産免責手続を前提にご説明致しますが(近時の東京地裁の運用としては,申立人が東京23区在住でなくとも,破産免責許可申立を受理してくれます。),弁護士に破産を依頼する場合,破産申立と免責許可申立は同時に行います。なお,近時の破産法改正により,破産申立は原則として免責許可申立をしたものとみなされるようになりました(破産法248条4号)。
4、そして,今回のケースで債務が帳消しになるかは,ギャンブルの支出がある場合に免責許可決定が出るかによるところ,破産法上では,ギャンブルが借金の原因である場合には,いわゆる免責不許可事由に該当し,免責許可が得られないことが原則となっています(破産法252条1項4号)。
5、しかし,このように免責不許可事由に該当する場合でも,管財人の調査により,免責相当とされる場合には,裁量免責により,免責決定を得ることが可能です(破産法252条2項)。そして,かかる裁量免責が得られるかに関しては,総債務額のうち,ギャンブルによる支出がどれくらいかなどにもよりますが,申立後,管財人からの質問や書類提出などの要請に対して誠実に応対することなど,多重債務の状態となった後の事情も重要な判断材料となっています。
6、ですので,本件のように,たとえ借金の主な原因がギャンブルであったとしても,その後,誠実な態度で破産免責手続に臨めば,最終的には債務を逃れられる可能性は十分にありますので,まずは,弁護士などの専門家に相談されるとよろしいでしょう。

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