新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.329、2006/1/5 14:55

[家事・夫婦]
質問:結婚をして夫婦別姓にしたいのだが、可能でしょうか。仮に、婚姻届を提出しない事実婚の形にし、その後子供が産まれた場合、子供の戸籍はどうなるのか。

回答:
1、現行民法上は、結婚をする場合には、夫又は妻の氏を称することが義務付けられており(民法750条)、夫婦別姓は法的には認められていません。夫婦別姓は国会において議論がなされていますが、反対意見なども多く、まだ法律としては成立していません。現在、結婚する際に夫婦同姓か別姓かのいずれかを選べる選択的夫婦別姓の導入が活発に議論されています。
2、現状で夫婦別姓を実行する方法としては、大きく二つが挙げられます。一つは、法律的には婚姻届を出し一方の姓に変えた上で、姓を変えた方が実生活において通称として旧姓を使用する方法です。二つ目は、婚姻届を出さず、法律的には婚姻関係に入らないまま、事実上の夫婦生活をするという、いわゆる事実婚をする方法です。
3、事実婚は、法律的には婚姻関係は成立せず、事実上の結婚する意思がある男女の共同生活体であり、法律婚に準じた解釈、運用がなされていますが、ただ、相続権や税法上の取扱いにおいて法律婚と比べて不利な扱いがなされています。
4、事実婚の男女間に生まれた子供は、婚姻関係にない男女間に生まれた子供であるので非嫡出子として扱われます。出生した場合、まず母親の戸籍に非嫡出子として記載され、氏は母親の氏を称することになり(民法790条2項)、親権者は母親になります。父親は非嫡出子を認知することができ(民法779条)、子供及び母親から父親に対し認知を請求することもできます(民法787条)。認知がなされることによって、父親の戸籍にもその旨が記載されます。父親の氏を称するためには、家庭裁判所の許可を得る必要があります(民法791条1項)。親権について、父母の協議で、父親の親権に移すこともできます(民法819条4項)。
5、非嫡出子は、他に嫡出子がいる場合には、非嫡出子の法定相続分が嫡出子の法定相続分の二分の一となる不利益があります(民法900条4項)。これ以外には、法律上の区別はありません。なお、非嫡出子の相続分の差別規定については、不合理な差別として、撤廃の議論がなされています。

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