新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.338、2006/1/13 11:31

[民事・消費者]
質問:「あなたに代わって、債権を取り立てます」というチラシが、電柱に貼りついていますが、信用できますか。債権回収について、法律ではどのように規定されていますか。

回答:
1、現在,債権回収については,債権管理回収業に関する特別措置法(以下「サービサー法」といいます。)による法規制がなされています。
2、サービサー法の立法趣旨は,不良債権の処理等を促進するため,弁護士法の特例として,債権管理回収業を法務大臣による許可制をとることによって民間業者に解禁する一方,許可に当たり,暴力団等反社会的勢力の参入を排除するための仕組みを講じるとともに,許可業者に対して必要な規制・監督を加え,債権回収過程の適正を確保しようとするものであり,法務大臣による許可においては,@5億円の最低資本金,A暴力団員等の関与がないこと,B常務に従事する取締役の1名以上に弁護士が含まれていることなどが要件とされています。
3、サービサー法によって,債権管理回収業を行うことができる民間企業は,法務大臣によって許可された株式会社に限定されることになり(法3条),許可された会社は,「債権回収」という文字を商号に含めなければならない一方で,許可を受けた債権回収会社でない者が債権回収会社と誤認させるおそれのある文字を商号に含めることは禁止されています(法13条。なお,法務大臣が債権管理回収業の営業を許可した株式会社は,法務省のホームページで確認することができます。)。また,許可を受けた会社であっても,取り扱うことができる債権は,サービサー法に規定された金融機関等が保有する貸付債権などに限定されます(法2条1項)。
4、債権回収会社の業務に関する規制としては,@名義貸しの禁止,A弁済時の受取証書交付及び債権証書の返還義務,B業務遂行に当たり,人を威迫し又はその私生活・業務の平穏を害するような言動により,相手方を困惑させる行為の禁止,C相手方の請求があった場合における商号や取立て従事者名等の明示義務,D業務遂行に当たり,暴力団員等を業務に従事させ又はこれらを業務の補助として使用する行為の禁止,E債権の管理・回収に当たり偽りその他不正の手段を用いることの禁止,F利息制限法に定める制限額を超える利息・賠償額の支払いの約定がなされている債権について,利息制限法の制限額内に引き直さずに履行の要求を行うことの禁止等があります(法14条ないし19条)。
5、なお,法に違反する行為に対しては,罰則等の規定があります(法33条ないし37条)。
6、以上の説明から明らかだと思いますが,電柱に貼りついている「あなたに代わって、債権を取り立てます」というチラシは,悪質業者のものである可能性が極めて高く,このようなチラシを安易に信用すると,思わぬ被害に遭いかねませんので,十分にご注意ください。

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