新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.345、2006/1/25 15:37 https://www.shinginza.com/rikon/qa-rikon-youikuhi.htm
[家事・親子]
質問:1、私は離婚する際、子供の養育費について一切請求しない旨の合意をしてしまいました。しかし、離婚後私の生活は困窮し、子供の学費など養育の費用に窮する事態に陥りました。今から別れた夫に対して養育費の請求をすることができるでしょうか。2、私は離婚する際、親権を妻に譲り、養育費として1ヵ月10万円支払う旨合意をしました。しかし、その後私は失業し収入が激減しました。一方、別れた妻は再婚し、子供は再婚相手と養子縁組をしたようです。今から養育費の減額をすることができるでしょうか。
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回答:
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(1)養育費は子供のための扶養を受ける権利ですから、監護者である親が一方的に子供の扶養請求の権利を処分することは出来ません。したがって、協議離婚の際に夫婦間で子供の養育費を一切請求しない旨の合意をしていたとしても、その合意は法的には無効であり、子供を拘束することは出来ません。よって、本件では別れたご主人に対して、養育費の請求をすることが出来ます。本件合意は無効となり、養育費について何も取り決めをしていないことになります。
(2)したがって、別れたご主人が養育費の支払いに応じない場合には、家庭裁判所に対して養育費支払いの調停又は審判の申立てをすべきでしょう。離婚後に生活が困窮して、子供の学費などの養育費がまかなえなくなった事情は、養育費を請求する重要な要素といえますので、離婚後の事情について詳しく書面にまとめて、裁判所に主張をするとよいでしょう。
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(1)養育費の支払いについては原則的には離婚時の合意に従うことになりますが、離婚後に事情の変化がある場合には、養育費の減額や増額、又は免除を求めることも認められています。基本的には当事者間の協議によりますが、それが難しい場合には家庭裁判所に調停の申立てをすることが出来ます。また、調停において相手方が出頭しない場合や話し合いがまとまらない場合には、裁判官の決定を仰ぐ審判の手続きを求めることが出来ます。
(2)養育費の増減の際に考慮される事情としては、子供の病気、進学など子供自体の費用の必要性、失業、収入低下など養育費を支払う側の経済的事情の変化、養育費を受け取る側の病気、収入の増加又は低下などの事情の変化、急激なインフレなど物価水準の大幅な変化などが挙げられます。子供を引き取った配偶者が再婚した場合について、再婚しただけでは、その再婚相手には子供の扶養義務がないので、ただちに養育費の減額にはなりません。しかし、再婚相手と子供が養子縁組をした場合には、再婚相手も法律上の親として子供の扶養義務が生じますので、養育費の減額の事情として考慮されます。
(3)本件の場合、養育費を支払う者が失業して収入が激減するという経済的事情の変化があり、養育費を受け取る者が再婚して、子供も再婚相手と養子縁組をして、扶養義務者が増え、経済的に安定する事情の変化があることから、養育費の減額が認められる可能性があります。家庭裁判所に対し養育費減額請求の調停を申し立てるとよいでしょう。