新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.363、2006/3/8 15:59

[民事・消費者]
質問:痴漢示談詐欺について教えて下さい。弁護士事務所から連絡が来た場合に確認する方法は。

回答:
1、痴漢示談詐欺とは,典型的には,「あなたの息子さんが痴漢をした。示談金100万円を支払わなければ,警察に告訴する。」などと突然の電話を行い,これを信じてしまった方からお金を騙し取る手口で,いわゆる「振り込め詐欺」の一種です。そして,この種の詐欺の場合,被害者の代理人と称して弁護士や法律事務所を名乗るなど,手口が更に悪質化している傾向があります。
2、一般的に,弁護士が痴漢等の被害者の代理人として加害者に慰謝料等を請求する場合,内容証明郵便等の文書で加害者本人宛に通知するのが通常であり,加害者の家族に電話で請求するようなことは考えがたいので,このような電話があったら,「詐欺ではないか」と疑ってかかることが大切です。
3、このような事案で,「詐欺」かどうかを見極める方法としては,息子さん本人に確認するのが最も簡便で有効だと思いますが,すぐに息子さん本人に連絡がとれない場合には,以下のように,相手が名乗っている弁護士や法律事務所が実在するかどうか確認するなどしてみてください。
(1)相手が名乗っている弁護士の氏名(フルネーム),所属弁護士会,登録番号,法律事務所の正式名称や所在地・電話番号等を聞き出してください。もし,これらに回答してもらえないようであれば,相手が本物の弁護士でないことが明らかですので,本件は「詐欺」の事案であるといえるでしょう。
(2)日本弁護士連合会のホームページ(http://www.nichibenren.or.jp/)では,全ての弁護士についての情報を検索することができますので,相手が,氏名(フルネーム),所属弁護士会,登録番号,法律事務所の正式名称や所在地・電話番号等を明らかにした場合については,上記URLにアクセスし,「弁護士情報検索」を利用してみてください。例えば,相手が「山田太郎」と名乗っているのであれば,「山田太郎」弁護士が実在するのかどうかを確認し,もし,実在しないのであれば,本件は「詐欺」の事案であることが明らかとなります。もし,「山田太郎」弁護士が実在するのであれば,検索した登録番号や所属弁護士会,所属事務所の名称,住所,電話番号等が,相手から聞きだした登録番号や所属弁護士会,事務所所在地,電話番号等と一致するかどうかを確認し,もし,一致しなければ,やはり,本件は「詐欺」の事案であることが明らかになります。
(3)上記ホームページを利用できない場合には,弁護士会に同様の問い合わせを行うことでも,「詐欺」であるかどうかを判別することが可能です。
(4)もし,「山田太郎」弁護士が実在し,登録番号や所属弁護士会,事務所所在地,電話番号等も一致するのであれば,臆することなく,その事務所に問い合わせを行ってください。
4、このような痴漢示談詐欺は,刑法上の詐欺罪(246条)に該当しますので,お金を騙し取られてしまった場合(既遂)はもちろん,実際にお金を騙し取られるには至らなかった場合(未遂)であっても,警察に届出を行ってください。

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