新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.364、2006/3/8 16:04
[民事・裁判]
質問:裁判所から訴状が送られてきて、第1回期日が指定されています。指定された期日には仕事がありどうしても都合が悪いのですが、欠席をすることができるでしょうか。何か不利益はありますか。また、期日の変更・延期をお願いすることができるのでしょうか。
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回答
1、裁判の期日は裁判長の職権により指定されます(民訴法93条1項)。すなわち、民事訴訟を提起する場合、原告が被告を相手取り、訴状を作成し裁判所に提出し、裁判長により訴状の審査をした上で、第一回期日の指定がなされ、訴状が被告に送達されて裁判が始まります。口頭弁論の期日には、当事者双方が出頭して、主張・立証をする必要があります。したがって、原則として第1回期日には自ら出頭するか、弁護士を代理人に選任して代理で出頭してもらう必要があります。正当な理由なく期日に出頭しない場合には、裁判所は被告が相手方の主張を認めたものと扱い、原告の請求を全て認める判決がなされ(いわゆる欠席判決)、全面敗訴になる不利益があります。
2、ただ、最初の口頭弁論の期日は、顕著な事由がある場合及び当事者の合意がある場合には、変更が認められます(民訴法93条3項)。ただ、単なる仕事上の都合だけでは、相手方が合意しない限り、期日の変更は認められないでしょう。しかし、第1回期日は被告の事情を聞くことなく一方的に指定されたものですから、裁判所に事情を説明すれば、事実上の取り扱いとして期日の延期が認められる可能性はあります。
3、さらに、第1回の期日には擬制陳述が認められています。すなわち、原告又は被告が最初にすべき口頭弁論の期日に出頭せず、又は出頭したが本案の弁論をしないときは、裁判所は、その者が提出した訴状又は答弁書その他の準備書面に記載した事項を陳述したものとみなし、出頭した相手方に弁論をさせることができるとされています(民訴法158条)。これにより、本来は答弁書を期日に出頭して提出する必要があるところ、第一回期日に限り、期日に出頭することなく、答弁書を提出するだけで反論をすることができます。したがって、期日までに答弁書を作成して裁判所に提出して、欠席の上で擬制陳述する旨を連絡しておけばよいです。ただ、この場合でも、次回以降は原則どおり期日に出頭して主張・立証をする必要があります。ですから、次回期日の候補日を裁判所に事前に連絡しておいて、候補日に指定されるように打ち合わせをしておくべきです。
4、答弁書とは、原告の訴状に対する被告の回答をする書面であり、具体的には訴状に記載されている請求の趣旨及び原因に対する答弁、認否を記載することになります。原告の主張を争う場合には、原告の主張を否定し反論をしていくことになります。ただ、被告の場合には事前の準備をする余裕がないことが多いので、とりあえず請求の趣旨に対して、「原告の請求を棄却する。訴訟費用は原告の負担とする。との判決をもとめる」との答弁を記載して、請求原因記載の具体的事実の認否及び被告の主張については、追って次回期日以降に詳細に主張すればよいでしょう。しかし、実際に初めて答弁書を作成するのは難しいところもありますので、弁護士に訴状をみてもらい事情を説明して、答弁書の作成を依頼した方が確実でよいでしょう。