新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース 《参考》 出入国管理及び難民認定に関する法律
No.412、2006/5/24 14:52
[行政・許認可]
質問:会社で外国人を採用したいと考えています。どのように手続したら良いでしょうか。
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回答:
1、まず、外国に居住している外国人を日本に呼び寄せて採用する場合、採用予定者が日本に入国するためには、事前に外国人自身が在外日本公館(大使館など)で、パスポートに就労可能な査証(ビザ)の押印を受ける必要があります。(在留が認められる期間は在留資格によって異なりますが、初回は1年で、更新時に3年が認められるケースが一般的です。)ビザを取得するためには、外国人本人が自分で書類を用意して申請することも出来ますが、日本において、あらかじめ、受け入れ会社から「在留資格認定証明書交付申請」を法務省入国管理局に対して行い認定を受けてから、証明書を採用予定の外国人に送り、外国人本人が在外日本公館においてビザ(査証)申請をすれば、スムーズにビザ(査証)の発給を受けることが出来ます。次に、日本に在留している外国人を日本で採用(転職)する場合は、現在の在留資格で問題無く就労を継続できるかどうか「就労資格証明書交付申請」を行い、事前にチェックする必要があります。同じ職種でも、会社が異なれば、在留資格に適合しているかどうかの審査は、ゼロからやり直すことになりますので、御注意下さい。
2、以上が手続きの概略ですが、次に外国人の在留資格について説明します。外国人の在留資格については、「出入国管理及び難民認定に関する法律」で詳細に定められています。この法律は、国の入管政策を反映した法律ですので、次のような、基本的考え方に立って、制定・運用されていると考えられます。
(1)外国人に単純労働をさせない(一部例外を除く)。パート勤務で収入が少なかったり、家計が安定しないと、外国人犯罪の温床となるおそれがあります。また、パート勤務の単純労働は、技術習得期間として正規雇用にも繋がる貴重な雇用機会ですので、これを、日本人のために確保する必要があると考えているのです。
(2)国際化、経済振興に役立つ外国人は受け入れる。外国人が自国固有の知識技能を用いて仕事をする場合や、高度の知識技能を駆使した仕事をする場合や、日本に投資して日本法人を設立して日本市場において経営参画する場合など、日本国内の国際化や経済振興に必要な外国人については、在留を認める方向で制度設計されています。
以上を踏まえて、仕事の内容や、対象となる外国人の経歴等を良く検討して採用の可能性を検討して下さい
3、実際に採用する場仕事内容がパート勤務であれば、就労できるのは、すでに日本に在留している外国人であって、かつ、在留資格が「永住者」、「定住者」、「日本人・永住者の配偶者等」、「留学、就学など本来就労目的ではないが、入国管理局で資格外活動許可を得た者」に限定されます。ですから、雇い入れる場合は、通常の履歴書の他に、住民票に代わるものとして、市区町村が発行する、「外国人登録原票記載事項証明書」の交付を受けて下さい。パスポート写しの提出を受けても良いと思います。
4、仕事内容が、専門技能に関するものであって、通常の契約社員や正社員契約で、日本人と同等以上の給与を支払うことが出来るものであれば、日本国内で仕事をすることができる在留資格を認定される可能性があります。主な在留資格の名称と、代表的な仕事例を次に列挙してみますので、参考にして下さい。
『教授』・・大学の教員、高等専門学校の教員
『芸術』・・作曲家、作詞家、画家、彫刻家、写真家、文学作家
(但し、入賞・入選歴等があり、芸術活動のみで安定収入の見込が必要)
『医療』・・医師、歯科医師、薬剤師、看護師
『研究』・・会社の研究所の研究員
『教育』・・小学校、中学校、高等学校の教員
『技術』・・設計士、プログラマー、システムエンジニア
『人文知識・国際業務』・・英会話教室講師、出版編集者、翻訳家、輸出入事務
『企業内転勤』・・外国会社日本支店社員
『興行』・・スポーツ選手、コンサート演奏者、演劇出演者、映画出演者
『技能』・・外国料理のコック、大工、調教師、パイロット、スポーツコーチ、ソムリエ
5、上記のような、 就労可能な在留資格の場合は、はじめに説明したように必要な資料を用意して、「在留資格認定証明書交付申請」を日本において法務省入国管理局に対して行います。認定された場合は、証明書を外国人に送り、在外日本公館においてビザ(査証)申請をすれば、パスポートにビザ(査証)の発給を受けることが出来ます。
6、また、既に日本で就労している外国人が転職する場合は、地方入国管理局に「就労資格証明書交付申請」を行い、転職後も問題無く就労を継続し、その後の更新手続にも問題が無いかどうか、事前にチェックをしてもらうことが出来ます。許可・不許可の見込は、仕事内容や、外国人の経歴や、契約条件により異なってきますので、ある程度具体的な希望が固まった時点で、外国人関係業務をやっている法律事務所や行政書士事務所に御相談になると良いでしょう。なお、外国人に在留資格で認められた業務範囲外の業務をさせたり、オーバーステイの外国人、不法入国者などのいわゆる「不法就労者」を雇用したり、不法就労となる外国人をあっせんした者など不法就労を助長した者は3年以下の懲役または300万円以下の罰金に処せられますので、注意が必要です。心配な場合は、弁護士や行政書士に相談することができます。
第73条の2 次の各号のいずれかに該当する者は、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 事業活動に関し、外国人に不法就労活動をさせた者
二 外国人に不法就労活動をさせるためにこれを自己の支配下に置いた者
三 業として、外国人に不法就労活動をさせる行為又は前号の行為に関しあつせんした者
2 前項において、不法就労活動とは、第十九条第一項の規定に違反する活動又は第七十条第一項第一号から第三号の二まで、第五号、第七号、第七号の二若しくは第八号の二から第八号の四までに掲げる者が行う活動であつて報酬その他の収入を伴うものをいう。