新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.429、2006/6/30 10:42

[民事・契約]
質問:先日、知人にお金を貸しているという債権者から、私が保証人になっているから債務を弁済して欲しいという連絡がありました。私は保証人になった覚えなど一切ありませんが、どのように対応したら良いでしょうか。

回答:
1、まず、原則論から申し上げますと、あなたが、自分の意思で債権者と保証契約を締結したということがない限り、原則としては、あなたが保証人として、支払い義務を負うことはないということです。ですから、まずは、その知人の方に、どういう状況なのか、何故債権者がそのようなことを言っているのか確認をしてみましょう。もしかしたら、保証人になっていたことを思い出すかもしれません。
2、その上で、債権者に、契約書を見せるように要求しましょう。仮に、保証契約が成立していたとしても、その履行の問題は残る訳ですから、契約内容をしっかりと確認する必要はあるはずです。契約書を見せていただくまでは、一切の要求には応じられないという態度で良いと思います。
3、契約書がない、あるいは、契約書を債権者が出さない場合・・契約というのは口約束でも成立するのが原則ですから、あなたが保証人としての責任を負う可能性はない訳ではありません。しかし、契約書も見ないで債権者のいいなりに支払うべきではありませんし、仮に裁判になった場合でも、債権者の側であなたとの間で保証契約が成立したということを立証しない限り、あなたが裁判で負けることはありません。裁判で認められたら支払うが現時点では支払えないという対応でかまわないと思います。なお、2005年4月1日に民法が改正され施行されており、この日以降に成立する保証契約については書面あるいは電磁的記録によるものでない限り無効(466条2項、3項)ということになっていますので、債権者が、この日以降の契約を主張するのであれば、書面(ないし電磁的記録)がなければ払えないという主張は当然のことということになります。ただし、契約書は無くても、あなたの署名・押印した委任状があるような場合には、裁判所でも表見代理が認められたり、あるいは直接保証契約が認められ、あなたが責任を負うケースもでてくる可能性があることは注意して下さい。
4、契約書が有る場合・・契約書が有る場合には、契約書の署名があなたの自書かどうか、あなたが自分の意思で押した印影かどうかということがポイントになり、あなたの意思がなければ、無効であるという原則は変わりませんが、実際の裁判では、押されている印影があなたの印鑑であれば、本人の意思に基づいて作成された文書であるというところまで推定される、ということになっていますから、例えば、印鑑が盗まれた、契約書が偽造されたというようなことはあなたが主張し・立証できなければ、裁判でも負けてしまうということになります。また、仮に、偽造などの事実が認められたとしても、あなたが他人に実印を預けていたなどの事実や白紙の委任状にサインしたような事実がある場合には表見代理によって責任を負う可能性も高いというようなことは言えます。ただし、債権者が金融機関のような場合には、保証人の意思確認が厳格に要求されると考えられ、このような事実はあなたの責任を否定する要素となり得るでしょう。契約書などが出てきた場合には、訴訟での勝敗の蓋然性も含めて訴訟にすべきかどうかどうかを専門家に相談してみた方が良いかもしれません。

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