新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.433、2006/6/30 10:51 https://www.shinginza.com/rikon/index.htm
[家事・親子]
質問: 開業医をしてきた夫の元で、専業主婦として暮らしていました。男の子を一人授かり、しっかりした教育をと思い、これまで育ててきて、今年、現役で大学入試に合格しました。喜んでいたのもつかの間、夫から、子供も大学に入ったし、離婚して欲しい、と言われ、家を出られてしまいました。今までも何度もこんなことがあって、私は私でいろいろ我慢してきたので、経済的なことを保証してもらって、離婚に応じてしまおうか、という気持ちもあるのですが、息子の学費が気がかりです。夫が家にあまり家にいなかったので、私がその分、息子を大事に育ててきたつもりですから、成人まで残り少ない期間とはいえ、できれば親権は譲りたくないのですが、息子の将来を考えると、親権を放棄した方がいいでしょうか。息子の入学金、学費等は請求できるでしょうか。
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回答:
1.確かに、通常、養育費として認められるのは、その時点で働いていなくても、成人(20歳)まで、というケースが多く、大学卒業までは認められないことも多いと思います。また、裁判所で認められる養育費は、本当に最低限のものですから、現実には、学費も考えると不十分、ということも想定しなければなりません。
2.しかし、父親に社会的地位、資力もあり、父親と子供の間でも、大学に進学することが、具体的な合意となっている場合には、大学卒業までに必要な費用が、ある程度認められることもあります(福岡高判昭和47年2月10日)。本件の場合も、これまでの経緯から、この場合にあたるとして、請求が認められる余地もあると思われます。
3、これまで子育てに専念されてこられて、今さら親権をとられるのは納得がいかない、とのお気持ちは当然のことですし、いくら経済的に安心だからといって、これまでの父親の態度を見て、お子様が精神的にどう受け止めているのか、お気持ちの問題も大きいと思います。親権についても、もう、お子様のご意向が最優先の年齢ですので、まずは、上記の事情をお子様によく説明した上で、お子様のご意向を確認し、もし、お母様に親権者になっていただきたい、ということであれば、最大限、お子様のために交渉をなさって下さい。相手から離婚を主張する法的な原因が乏しい、ということであれば、それにもかかわらず応じる代わりに、経済的に相当な解決を、ということで、交渉を有利に進めることもできると思います。これは、お母様ご自身の経済的な保証についてもいえることです。もし、ご自身での交渉が難しい、ということでしたら、お近くの法律事務所等にご相談下さい。