新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.463、2006/9/1 14:33 https://www.shinginza.com/qa-sarakin.htm
「債務整理・裁判」
質問:借金をして、返済のためにまた借り入れをしているうちに、どんどん借金が増えて、返済が追いつかなくなってしまい、ついに、5年ほど前から借り入れ、返済を繰り返していた金融業者一社から、裁判を起こされてしまいました。私が借りて、取引のあった店舗は、自宅の近くなのですが、本社の所在地で裁判を起こされました。ここからは遠方で、交通費だけで一回数万円はかかってしまい、返済に追われる今の状況では、とても出頭することはできません。あきらめるしかないでしょうか。
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回答:
1.貸金返還請求等の民事訴訟では、答弁書(訴状への回答書)も出さず、出頭もしなければ、欠席判決となり、そのまま、金融業者の主張通りの判決が出てしまいます。確かに、5年以内に借入れや返済があるのであれば、時効の主張も難しいと思いますし、借りたときには、利息制限法以上の利息で契約していても、早期、円滑に判決を得るために、利息制限法の範囲内で計算し直した金額で裁判を起こす業者も多いので、減額も難しいかもしれません。また、裁判まで起こした業者との、分割の和解も、難航することが多いとは思います。しかし、そのまま判決が出てしまえば、強制執行で財産を差し押さえられてしまいますので、できる限りの検討、努力はした方がいいでしょう。答弁書は、必ず出して下さい。
2.訴えを起こされた裁判所の所在地が遠方であることが、大きな問題となっていますが、管轄移送申立をして、実際の取引が行われた、あなたの住所地を管轄する(受け持つ)裁判所に、事件を移してもらえないか、訴状を送ってきた裁判所の判断を求めて下さい。書面で行った方がいいと思います(記載方法等は、裁判所の担当書記官に問い合わせて下さい)。あなたの住所地近くの裁判所に、事件を移してもらえる可能性もあります。仮に、契約をしたときに、本社所在地での裁判となることに合意してしまっていて、借用書にその記載があった場合でも、実際の取引が行われた場所であるという事情を考慮して、やはり移してもらえる場合もあります。この移送によって、第1回期日まで時間がかかる場合もあり、その場合には、こちらも、いろいろ準備検討の時間ができることになります。
3.そもそも、今回の裁判を何とか乗り越えても、他の返済が滞ってしまえば、結局、状況は悪化するばかりです。厳しい状況とわかっていたのに、この業者とだけ和解してしまうと、後日、仮に、破産せざるを得なくなった場合に、他の業者と比べて不公平な弁済をしたとして、免責に支障を来すおそれも否定できません。まずは、債務全体をどう整理するのか、この裁判への対応をどうするのか(できれば、書面を出す前に相談した方がいいでしょう)、至急、お近くの法律事務所等にご相談下さい。裁判所に破産申立をして、破産手続開始の決定を得た後は、この裁判の判決が出ていても、債権者は強制執行ができなくなります。とにかく、早く方針を決めることが大事です。