新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.475、2006/9/21 13:31 https://www.shinginza.com/rikon/index.htm
[民事・契約]
質問:私と彼は,同じ高校の同級生で,高校1年生の時から交際するようになり,大学1年生の時,将来結婚することを約束して,肉体関係も結び,その後も肉体関係を伴う交際を継続してきました。お互いの両親や友人にも,婚約者として紹介していました。しかし,大学卒業してすぐ,彼から,他に好きな人ができたと言われて,一方的に別れを告げられました。ちなみに,私達は,結納をしたり,結婚式の日取りを決めたり,婚約指輪を交わしたりしておりません。このような場合でも,婚約の一方的破棄を理由に,慰謝料を請求できますか。
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回答:
1,婚約(婚姻予約)は,当事者間において,将来婚姻することを約束することによって成立します。そして,婚約が成立すると,法律上,当事者は,誠実交際義務や貞操維持義務などの義務を負い,また,一方当事者が,正当な理由なく婚約を破棄した場合,他方当事者に,債務不履行又は不法行為責任として,損害賠償義務を負うことになります。
2,このように,本来,婚約は,当事者間において,将来婚姻することを約束すれば成立し,特別の方式を必要とするものではありません。しかし,他方,婚約が成立したか否かで,当事者の負う義務も大きく異なってくるにもかかわらず,恋愛関係にある男女においては,例えば,「一生一緒にいよう。」などと約束することがあり,法律上,婚約が成立したと言えるかの判断が微妙な場合もあることから,婚約が成立したか否かの判断は,なるべく明確な基準で判断すべきであるという要請もあります。そこで,裁判実務では,婚約の成立を推認させる外形的事実(結納,式場の予約,婚約指輪の交換等)を重視して,婚約の成否を判断する傾向があるといえます。
3,しかし,婚約は,あくまで,当事者間において,将来婚姻することを約束すれば成立するものですから,上記のような外形的事実がなければ,婚姻の成立が認められないわけではありません。裁判例でも,本件事案に似た事案として,「同じ高校に通う男女が恋愛関係に入り,交際を継続し,成年後,将来夫婦になることを約して肉体関係を結び,その後,男は進学し,女は男の卒業・就職を待ち続け,その間,愛情の手紙を交わし,女は他の縁談も断り,男も休暇で帰省するとその大半を女のもとで過ごし,女と情交を重ね,双方の両親は将来婚姻する約束をしていることを知っており,男が大学卒業後就職すれば結婚させてもよいとの考えでその関係を黙認し,近隣の者も両名が将来夫婦になろうと噂していたケースについて、たとえ当事者間に結納を取り交わしたり仮祝言を挙行したりした事実がなくても,婚姻予約は成立すると判示した原判決を支持した」最高裁昭和38年12月20日判決があります。
4,ただ,様々な事情を考慮して判断する必要があるため,お近くの弁護士に相談するのがよいでしょう。