新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース ≪参考条文≫ 児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律 刑法
No.503、2006/10/30 17:47 https://www.shinginza.com/qa-hanzai.htm
〔児童ポルノ〕
質問:児童のポルノのDVDを自分のコレクションとして自分だけが見る目的でダビングしたところ、知人から新しい法律で児童ポルノの複製を作ること自体犯罪にあたる、といわれ心配になりました。このようなことも犯罪になるのでしょうか。
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回答:
1、あなたが、自ら作成した児童ポルノを他の写真やDVDなどの電磁的記録媒体に記録させてポルノを作成することは「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」(以下「児童ポルノ法」と表記します)第7条3項に該当し、3年以下の懲役または300万円以下の罰金に処せられます。しかし、他人が作成した児童ポルノであれば、他人に提供する目的でなければ、この条項には該当せず犯罪とはなりません。
2、解説・・平成16年3月施工の法改正により、それまでは提供目的での児童ポルノ製造が処罰されていたのに加えて、そのような目的がなくても児童を相手とする性行為など(具体的には児童ポルノ法第2条3項各号に詳しく規定されています)児童に一定の姿態とらせ、これを写真などの児童ポルノとして作成することは、回答に記載してあるとおり法律が改正され、提供の目的で製造するのと同様の刑罰を受けることになりました。ですから、自分だけのコレクションなどと説明しても、犯罪となります。そして、そのような者が更に、自ら製造した児童ポルノをダビングして別の記録媒体を作成した場合、そのような行為も製造にあたり別の犯罪として処罰されるとするのが最高裁判所の判例です(平成18年2月20日、第3小法廷)。このようなダビング行為が製造に当たるかいなかについては、反対の意見もあったのですが、最高裁判所の判断が示されたことにより、今後も警察により取り締まられることになりました。このような解釈により犯罪の検挙、立証が容易になるとともに、ダビングした記憶媒体は犯罪により生じた物となり没収の対象となります(刑法19条1項3号)。
3、しかし、この判例によっても、自分がそのような児童に対して一定の姿態をとらせてポルノを製造した者が、更にダビングすることが製造にあたるというものですから、他人の作成した児童ポルノを自分だけが見るためにダビングすることは、ここで言う製造とはならず犯罪には当たりません。いずれにしろ、児童ポルノは犯罪行為により作成されたものであることは間違いありませんから、そのようなものを取得する行為やダビングする行為は慎むべきでしょう。
(定義) 第二条 3 この法律において「児童ポルノ」とは、写真、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に係る記録媒体その他の物であって、次の各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいう。
一 児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態
二 他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
三 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
(児童ポルノ提供等) 第七条 3 前項に規定するもののほか、児童に第二条第三項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ、これを写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第一項と同様とする。
(没収) 第十九条 次に掲げる物は、没収することができる。
一 犯罪行為を組成した物
二 犯罪行為の用に供し、又は供しようとした物
三 犯罪行為によって生じ、若しくはこれによって得た物又は犯罪行為の報酬として得た物
四 前号に掲げる物の対価として得た物