医道審議会の審議対象となった場合に想定しておくべき事項
行政|医師法|免許取消|医業停止|「医師及び歯科医師に対する行政処分の考え方」(平成31年1月30日改正)日
目次
質問:
私は都内で勤務する医師です。先日、自動車の運転中に、私の前方不注視が原因で歩行者に衝突してしまい、怖くなってそのまま立ち去ってしまいました。
既に警察の捜査は終了し、管轄の検察庁に在宅事件として事件送致されています。
被害者の方に謝罪し、示談の申入れをしたいと考えているのですが、今後の刑事処分の見通しについて教えてください。検察官からは、このままいくと公判請求して正式裁判になるだろうと伝えられております。
また、今回の事案は医道審議会で行政処分の対象となるでしょうか。今のところ、報道の対象にはなっていないのですが、将来行政処分の対象となった場合、実名報道されてしまうのでしょうか。さらに、医業停止となった場合、いつから勤務ができなくなるのかなど、色々と分からないことが多く不安です。
回答:
1 自動車運転中の人身事故、ひき逃げの場合、自動車運転行為処罰法の過失運転致傷罪と、道交法の救護義務違反・報告義務違反の罪が成立します。
救護義務違反の事案は、怪我の程度によっては、公判請求されて正式裁判となる可能性があり、何もしなくとも罰金で済むという安易な考えは間違いです。
2 罰金含め、刑事処分が科された場合は、医師免許に対する行政処分の対象となります。
厚生労働省が公表している「医師及び歯科医師に対する行政処分の考え方」(平成31年1月30日改正)によれば、交通事犯の処分量定に関し、単なる過失運転致傷は原則的に戒告等の軽い処分とする一方で、ひき逃げ等については、司法処分の量刑を参考にしながら、医師としての倫理が欠けていると判断される場合は、医業停止以上の重めの処分とすることとされています。
司法処分の量刑の程度が行政処分の考慮要素とされる旨明記されている以上、刑事処分は、可能な限り罰金以下にとどめられるよう、弁護人を通じて被害者との示談をしておくことが肝要です(軽微な怪我の場合、不起訴となる可能性もあります。)。
3 行政処分の流れとしては、最初に事案報告の要請が来て、書面で回答を行います。その後、意見ないし弁明の聴取の日程調整の連絡が来て、日程が決まり次第、聴取通知が届きます。事案報告から聴取までの間にどの程度の期間が空くかは、特に規則性があるわけではないため、ある日突然連絡が来るというのが実態です。日程調整の連絡から実際の聴取日までは、概ね1ヶ月程度しか時間的猶予がありませんので、事前に出来る準備はしておくべきです。
聴取期日当日は、口頭で何点か質問を受けます。弁護士を補佐人に選定して、一緒に出頭することも可能です。
聴取期日から概ね1〜2ヶ月後に、医道審議会医道分科会が開催され、同審議会での審議を経て、厚生労働大臣による具体的な行政処分が決定します。医道審議会の開催日当日に、決定した行政処分の内容が、各対象者宛てに電話にて連絡されます。その上で、医道審議会開催日の日付で作成された命令書という正式な書類が各対象者の自宅に郵送されます。医業停止処分ないし免許取消処分の場合は、命令書の日付(医道審議会の開催日)の翌日から14日目に処分の効力が生じることとされており、医行為ができなくなるのは、その日からです。
4 報道についてですが、医道審議会で行政処分の内容が決まる度に、マスコミ関係者向けにプレスリリース用の資料が配布されます。同資料の中には、①処分対象者の住所(市区町村まで)、②氏名、年齢、行政処分の内容、③事件当時の在籍医療機関名、④事件の概要(公訴事実のような記載)、⑤司法処分の内容(判決年月日、裁判所名、判決内容)が記載されており、個人を完全に特定できる内容が網羅的に記載されております。
これを受け、大手報道機関が、医道審議会当日から一定期間(概ね2週間)、インターネット上に、これらの情報の概要を記事として掲載する行為がこれまで確認されています。そのため、残念ながら、実名報道を完全に阻止するのは困難といえます。他方で、掲載期間経過後は速やかに記事が削除されますので、第三者により執拗に拡散されるような事態にならない限りは、そこで収束はします。
5 関連事例集1743番他参照。その他、医道審議会に関する関連事例集参照。
解説:
1 刑事処分の見通し
本件で成立する犯罪は、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(以下「自動車運転行為処罰法」といいます。)の過失運転致傷罪(第5条)と、道路交通法の救護義務違反(第117条1項2項、第72条1項前段)、報告義務違反(第119条1項17号、第72条1項後段)です。
怪我の程度にもよりますが、過失運転致傷単体であれば、罰金以下で済む可能性が高いところ、救護義務違反が加わると、正式裁判による懲役刑の可能性も出てきます。初犯であれば、執行猶予が付く可能性が相応にあるとはいえ、医師免許に対する行政処分との関係では、司法処分の内容(懲役刑か罰金刑か)が大きく量定に影響を及ぼすことになるため、刑事処分をなるべく罰金以下に軽減できるよう、弁護人を入れて示談をしておくことが推奨されます。これも怪我の程度にはよりますが、仮に宥恕文言(「刑事処罰を望みません。」という文言)入りの示談合意が成立した場合は、罰金以下で済む可能性が高まります(極軽症の場合は、不起訴も見込めるでしょう。)。任意保険に加入しているでしょうが、保険会社任せにせず、示談交渉をする必要があります。
2 行政処分の見通し
⑴ 行政手続きの概要
ア 医師法(歯科医師法も同様)の定め
医師が罰金刑以上の刑に処せられ、刑が確定すると、厚生労働大臣による行政処分の対象となります(医師法7条1項、4条1項3号)。罰金以上の刑が確定すると検察庁から厚生労働省に連絡することになっています。行政処分の内容は、戒告処分、3年以内の医業停止処分、免許取消処分のいずれかです(医師法7条1項各号)ただし、例外的に軽微な事案については、行政指導による厳重注意に止められる例もあります。
厚生労働大臣は、医師に対する行政処分をするにあたり、あらかじめ、医道審議会の意見を聴く必要があります(医師法7条3項)。厚生労働省のホームページに医道審議会医道分科会の議事録要旨が定期的に掲載されるのは、このためです。
そして、医師に対する行政処分は、行政庁が不利益処分をしようとする場合に該当しますので、行政手続法の規定にしたがい、取消処分を予定している場合は「聴聞」、それ以外の場合は「弁明の機会の付与」が必要となります(行政手続法13条1項)。しかし、厚生労働大臣は、各都道府県知事にこれらの手続きを委託することができ、ほとんどの場合は、都道府県の免許担当が聴取を行うことになります。具体的には、取消処分を予定している場合は「意見の聴取」(医師法7条4項)、それ以外の場合は「弁明の聴取」(医師法7条10項)をもって、手続きを代替することが可能とされています。
イ 事案報告について
これらの規定にしたがい、検察官からの情報提供等により事案を把握した厚生労働省は、管轄の都道府県に手続きを委託し、各都道府県の免許担当から対象の医師に対して、まずは書面にて事案報告の要請が来ます。
自治体により様式の違いはあれど、概ね、履歴書、事案の概要を簡単に記入する回答用紙、刑事罰の内容が分かる判決書の写しを返送するように指示があります。通常、1ヶ月程度の回答期限が設けられておりますが、準備に時間を要するなど特段の事情があれば、提出期間を伸長してもらうことも一定程度可能です。
ウ 意見ないし弁明の聴取手続きについて
事案報告後は、適宜のタイミングで、都道府県の免許担当から、意見の聴取又は弁明の聴取を実施するとの電話連絡があり、聴取日の日程調整が行われます。
基本的には、直近(次回開催。一年に二回行われているようです。)の医道審議会で処分内容の審議が行われることを前提とした連絡であり、聴取日程は、通常、電話の時点から1ヶ月前後先に設定されます。都道府県の担当者は、厚生労働省より、次回の医道審議会に向けて、対象となる複数の事案の聴取期限を設けられており、当該期限を大幅に超えるような日程を組むことはできません。すなわち、県の職員から日程調整の連絡が来た時点で、弁明のための準備期間は1ヶ月程度しかない、ということになります。そして、日程が決まり次第、聴取通知書が書面で届きます。聴取通知書には、聴取の日時に出頭して意見を述べ、かつ証拠書類や証拠物を提出することができる旨の案内が記載されております。不利益処分が科されようとしている以上、万全の対策をするべきですが、上記のとおり、この時には既に1ヶ月程度しか準備期間が取れないことに留意が必要です。
このことから、事案報告から聴取日程の電話連絡までの間に、可能な限りの事前準備をしておくことが肝要ということが分かります(例えば、刑事記録の閲覧謄写には相応の時間を要するため、聴取の通知が来てから慌てて動いても意味がありません。)。
とはいえ、事案報告から電話連絡まで、どの程度の期間が空くのかという、対象者が最も気になる点について、行政側には広範な裁量が与えられており、フリーハンドで決めている(規則性がない)と指摘せざるを得ない運用実態が見られます。ただし、少なくとも、形の言い渡しが効力を失わない(刑が消滅しない。刑法34条の2)間に行政処分が決定される運用が取られていることは間違いないでしょう。
この点、平成14年12月13日に医道審議会が公表している「医師及び歯科医師に対する行政処分の考え方」(平成31年1月30日改正)によれば、「医事に関し犯罪を行った者については、罰金以上の刑に処せられ、その刑の言渡しが効力を失った後であっても、医師法第4条第4号又は歯科医師法第4条第4号に規定する事由に該当するものとして、当然に処分の対象となる」ことが定められており、逆に考えれば、医事に関連しない犯罪は、刑の消滅により処分を免れる可能性があるといえます。このこともあり、厚生労働省は、刑の消滅間近の事案を優先して聴取対象とし、医道審議会に付議しているといえます。
聴取日当日の聴取時間は、1時間程度で終わります。弁明のための意見書や自身に有利な証拠関係(示談合意書や勤務先の嘆願書等)を事前にあるいは当日でも提出することが出来ますが、聴取の場では、当然口頭でのやり取りも予定されております。概ね、①処分対象行為の認否の状況(認めているか、否認しているか)、②処分対象行為に至った経緯、③現在の心境、④今後の行動等について、口頭で質問がなされることが多く、きちんとした受け答えができるように心構えをしておく必要があります。
エ 医道審議会の開催と処分の決定
聴取期日から概ね1〜2ヶ月後に、医道審議会医道分科会が開催され、同審議会での審議を経て、厚生労働大臣による具体的な行政処分が決定します。医道審議会の開催日当日に、決定した行政処分の内容が、各対象者宛てに電話にて連絡されます。その上で、医道審議会開催日の日付で作成された命令書という正式な書類が各対象者の自宅に郵送されます。医業停止処分ないし免許取消処分の場合は、命令書の日付(医道審議会の開催日)の翌日から14日目に処分の効力が生じることとされており、医行為ができなくなるのは、その日からです。勤務先や患者等、関係各所に迷惑を掛けないためにも、この運用はきちんと把握しておくべきですが、実際には広く周知されているわけでもなく、混乱を招く要因となっています。
なお、免許取消を除く行政処分を受けた医師(歯科医師)は、再教育研修を受けることとなっており、行政処分の内容が重ければ重い程、その負担は重くなります。
オ 報道可能性について
医道審議会移動分科会において、複数名の医師(歯科医師)に対する行政処分の内容が決定すると、その日のうちに、マスコミ関係者向けにプレスリリース用の資料が配布されます。同資料の中には、①処分対象者の住所(市区町村まで)、②氏名、年齢、行政処分の内容、③事件当時の在籍医療機関名、④事件の概要(公訴事実のような記載)、⑤司法処分の内容(判決年月日、裁判所名、判決内容)が記載されており、個人を完全に特定できる内容が網羅的に記載されております。
これを受け、大手報道機関が、医道審議会当日から一定期間(概ね2週間)、インターネット上に、これらの情報の概要を記事として掲載する行為がこれまで確認されています。
そのため、残念ながら、実名報道を完全に阻止するのは困難といえます。他方で、掲載期間経過後は速やかに記事が削除されますので、第三者により執拗に拡散されるような事態にならない限りは、そこで収束はします。
これとは別に、社会的関心の高い事案については、そもそも刑事事件の際に、警察署広報からの情報提供で個別に報道されることがあります。これはこれで注意が必要なところであり、刑事弁護人から報道の牽制をかけるような働きかけをする場合もあるでしょう。
⑵ 行政処分の処分量定と本件での対応策
ア 行政処分の指針、処分量定
厚生労働大臣が処分を決する際の指針については、上掲の「医師及び歯科医師に対する行政処分の考え方」(平成31年1月30日改正)が参考になります。
同指針は、《基本的考え方》と《事案別考え方》の2部構成となっており、《基本的考え方》については、次のとおりの記載が見られます。
① まず、医療提供上中心的な立場を担うべきことを期待される医師、歯科医師が、その業務を行うに当たって当然に負うべき義務を果たしていないことに起因する行為については、国民の医療に対する信用を失墜するものであり、厳正な対処が求められる。その義務には、応招義務や診療録に真実を記載する義務など、医師、歯科医師の職業倫理として遵守することが当然に求められている義務を含む。
② 次に、医師や歯科医師が、医療を提供する機会を利用したり、医師、歯科医師としての身分を利用して行った行為についても、同様の考え方から処分の対象となる。
③ また、医師、歯科医師は、患者の生命・身体を直接預かる資格であることから、業務以外の場面においても、他人の生命・身体を軽んずる行為をした場合には、厳正な処分の対象となる。
④ さらに、我が国において医業、歯科医業が非営利の事業と位置付けられていることにかんがみ、医業、歯科医業を行うに当たり自己の利潤を不正に追求する行為をなした場合については、厳正な処分の対象となるものである。また、医師、歯科医師の免許は、非営利原則に基づいて提供されるべき医療を担い得る者として与えられるものであることから、経済的利益を求めて不正行為が行われたときには、業務との直接の関係を有しない場合であっても、当然に処分の対象となるものである。
⑤ なお、医事に関し犯罪を行った者については、罰金以上の刑に処せられ、その刑の言渡しが効力を失った後であっても、医師法第4条第4号又は歯科医師法第4条第4号に規定する事由に該当するものとして、当然に処分の対象となるものである。
その上で、《事案別考え方》について、1)医師法、歯科医師法違反(無資格医業、無資格歯科医業の共犯、無診察治療等)、2)保健師助産師看護師法等その他の身分法違反(無資格者の関係業務の共犯等)、3)医療法違反(無許可開設の共犯等)、4)薬事法違反(医薬品の無許可販売又はその共犯等)、5)麻薬及び向精神薬取締法違反、覚せい剤取締法違反、大麻取締法違反 (麻薬、向精神薬、覚せい剤及び大麻の不法譲渡、不法譲受、不法所持、自己施用等)、6)再生医療等の安全性の確保等に関する法律違反 (再生医療等提供計画を提出しないで再生医療等の提供を行った場合 等)、7)殺人及び傷害(殺人、殺人未遂、傷害(致死)、暴行等)、8)業務上過失致死(致傷)、9)猥せつ行為(強制猥せつ、売春防止法違反、児童福祉法違反、青少年育成条例違反等)、10)贈収賄(収賄罪、贈賄罪等)、11)詐欺・窃盗(詐欺罪、詐欺幇助、同行使等)、12)文書偽造(虚偽診断書作成、同行使、虚偽有印公文書偽造等)、13)税法違反(所得税法違反、法人税法違反、相続税法違反等)、14)診療報酬の不正請求等 (診療報酬不正請求、検査拒否(保険医等登録取消))、15)各指定医の指定取消等の処分理由となった行為 (精神保健指定医、難病患者医療法に基づく指定医、児童福祉法に基づく指定医 等)の15項目を挙げ、典型的な違反行為の類型ごとの処分量定の考え方が示されています。
本件は、これらの違反行為の類型のうち、8)業務上過失致死(致傷)の「交通事犯(業務上過失致死、業務上過失傷害、道路交通法違反等)」に該当するところ、同指針によれば、以下の考え方が採用されています。
自動車等による業務上過失致死(傷害)等については、医師、歯科医師に限らず不慮に犯し得る行為であり、また、医師、歯科医師としての業務と直接の関連性はなく、その品位を損する程度も低いことから、基本的には戒告等の取り扱いとする。ただし、救護義務を怠ったひき逃げ等の悪質な事案については、行政処分の対象とし、行政処分の程度は、基本的には司法処分の量刑などを参考に決定するが、人の命や身体の安全を守るべき立場にある医師、歯科医師としての倫理が欠けていると判断される場合には、重めの処分とする。
イ 本件の対応策
本件でも、上記①乃至⑤の基本的考え方をもとに、交通事犯の事案別考え方を基準としつつ、処分が決定されることになります。
事案別考え方において指摘されているとおり、単なる過失運転致傷は、原則的に戒告等の軽い処分とする一方で、ひき逃げ等の悪質な事案については、司法処分の量刑を参考にしながら、医師としての倫理が欠けていると判断される場合は、医業停止以上の重めの処分とすることとされています。
本件は、いわゆるひき逃げの事案ですから、不起訴とならない限り、戒告処分以下の軽い処分で済む可能性は低いことが分かります。また、執行猶予付きの懲役刑なのか、略式手続きによる罰金刑なのかといった、司法処分の量刑の程度は、行政処分の軽重に直結しますので、まずは、刑事処分を可能な限り軽くしておくことが、将来の行政処分を軽減する上で極めて重要であることが分かります。
冒頭の刑事処分の見通しにおいて述べたとおり、保険会社による民事上の示談とは別に、被害者との間で、被害届の取下げを前提とした宥恕文言入りの示談合意が成立すれば、罰金以下で済む可能性が高まりますので、刑事弁護人を通じた示談の申入れは不可欠といえます。その際、将来医道審議会の審議対象となる可能性を考慮して、刑事処分のみならず行政処分についても重い処分を望まない旨の被害者の上申を取り付けることができると、より良いでしょう。
その上で、刑事処分が不起訴処分とはならず、何らかの刑事罰を受けた場合は、医道審議会の対象となることが見込まれますので、上で述べた行政手続きの概要を踏まえて、必要な準備をしていきます。
前提として、弁護士は、聴取手続きにおいて、補佐人として関与することが出来ます。刑事記録を検討して有利となり得る証拠関係を収集したり、被害者との示談が未了の場合は示談の申入れをしたり、勤務先関係者や患者の嘆願書を取り付けたり、過去の同種事案の行政処分例との比較検討を行ったりと、様々な観点から弁明事項を検討し、弁明の意見書を作成、提出することが出来ます。勿論、聴取日当日は、同席も可能です。
3 終わりに
以上のとおり、本件事案は、刑事処分と行政処分の双方が見込まれます。そして、行政処分の決定において、司法処分の量刑の程度(刑事処分の内容)が大きな考慮要素となる以上、まずは刑事処分を可能な限り軽減しておくことが、何よりも重要となります。またその際、示談合意書等について、将来の行政処分を見据えた内容のものを取り交わすことも有用であり、医師の行政処分の実務上の運用を熟知した弁護士に刑事弁護を依頼することで、万全の対策を練ることができます。刑事弁護は、単に刑事処分を軽減するという視点のみならず、会社内の懲戒手続き、公務員の懲戒手続き、国家資格に対する行政上の不利益処分等、事件後の生活への影響といった視点にも配慮する必要があると考えます。弊所では、このような広い視点で弁護活動を提供しておりますので、お困りのことがあれば、お問い合わせください。
以上