新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース 2.自分名義契約の携帯電話については、契約の名義を変えず、携帯電話機だけ譲渡する場合であっても、同居家族や親族以外であれば、携帯電話事業者の承諾が必要になります(第7条第1項)。この承諾を得ずに、業として、つまり反復継続して、携帯電話機を有償で譲渡した場合には、2年以下の懲役もしくは、300万円以下の罰金となります(懲役と罰金が両方言い渡される場合もあります。第20条第1項)。一度だけであれば、処罰まではされないとは思われますが(ただ、将来的には、罰則が作られることもあるかもしれません)、犯罪に携帯電話が利用されれば、捜査への協力が必要になったり、責任追及の電話がかかってきたりすると思われます。もちろん、実際に違法行為にその携帯電話機が使われ、騙された人に損害が生じたときには、事情によっては、損害賠償(民法709条)を請求される可能性もあります。 3.他人名義契約の携帯電話機を、業として、つまり反復継続して、他の人に渡してお金を得てしまうと、2年以下の懲役もしくは、300万円以下の罰金となります(懲役と罰金が両方言い渡される場合もあります。第20条第2項)ので、その後友人も処罰されることになります。 4.心配ない、と言われて勧誘されることもあるかもしれませんが、他人名義の電話を使いたい、というのは、自分の存在を隠したい、ということですから、その人が悪用する可能性が高く、それに巻き込まれる危険もある、ということです。新法の制定に伴い、取締も強化されているはずです。犯罪に加担するつもりはなかった、と主張しても、このような行為をした以上、有罪になり、同情すべき有利な事情(情状)として多少考慮されるかどうか、ということになってしまいます。詳細は、お近くの法律事務所にご相談下さい。 ≪参考条文≫ 携帯電話不正利用防止法 民法
No.573、2007/2/5 10:13 https://www.shinginza.com/qa-hanzai.htm
【刑事 携帯電話不正利用防止法】
質問: 友人から、携帯電話を契約して、その携帯電話機をそのまま流通ルートに載せれば、高くお金が入る仕事になる、いっしょにやらないか、と誘われました。自分で契約すればいいのに、どうして、お金を出してまで携帯電話をほしがるのか、おかしい気はするのですが、法律上、やはり問題はありますか。
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回答:
1.最近の「オレオレ詐欺」や「架空請求詐欺」といった、悪質な「振り込め詐欺」には、契約者が誰なのか、連絡先がどこなのか、特定できない携帯電話が利用されることが多いことから、携帯電話不正利用防止法が制定され、平成18年4月1日から施行されています。
第7条 契約者は、自己が契約者となっている役務提供契約に係る通話可能端末設備を他人に譲渡しようとする場合には、親族又は生計を同じくしている者に対し譲渡する場合を除き、あらかじめ、携帯音声通信事業者の承諾を得なければならない。
2 携帯音声通信事業者は、譲受人等につき譲渡時本人確認を行った後又は前条第1項(媒介業者等についての規定)の規定により媒介業者等が譲渡時本人確認を行った場合でなければ、前項に規定する承諾をしてはならない。(第6条第1項:携帯音声通信事業者は、本人確認又は譲渡時本人確認を、当該携帯音声通信事業者のために役務提供契約の媒介、取次ぎ又は代理を業として行う者(以下「媒介業者等」という。)に行わせることができる。)
第20条第1項 第7条第1項の規定に違反して、業として有償で通話可能端末設備を譲渡した者は、2年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2 相手方が第7条第1項の規定に違反していることの情を知って、業として有償で当該違反に係る通話可能端末設備を譲り受けた者も、前項と同様とする。
民法第709条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。