職場女装問題(学校女装問題)
民事|LGBTQ問題|国連人権理事会決議|最高裁判所令和5年7月11日判決
目次
質問:
不動産仲介業の会社に勤務して10年になります。私は戸籍上男性ですが、子供のころから自分の性別に違和感があり、自分は女性だと思っています。女性風の服装が好きで着ることがあります。地味な女性向きのアクセサリーをつけたり、薄く化粧をすることもあります。職場の同僚には「女装趣味なのね」と言われたりしました。先日、職場の上司に呼ばれ「接客することもある仕事だから女装するのはやめてくれないか」と言われてしまいました。私は、自分らしく生活しているだけであり、女装をやめると言っても具体的にどうすれば良いのか分からず途方に暮れてしまいました。職場の上司の指示に従わらなければなりませんか、私はどうしたら良いのでしょうか。
回答:
1、単なる女装趣味とは異なり、性同質性障害と診断される場合は、いわゆるLGBTQのうちトランスジェンダーと言われる問題になります。あなた自身の認識が戸籍上の性別に違和感を感じてしまっている状態です。それは医学的には性ホルモン濃度の違いとして検査することができますし、問診などを経て、医師による性同一性障害という診断を受ける場合もありますし、女性ホルモン投与療法(HRTホルモン補充療法)を受ける場合もあります。このような状態になっているあなたに対して、職場や学校などの社会的な取り扱いはどのように考えるべきでしょうか。この問題に対する国際的な認識の高まりを受けて、本邦における社会的な取り扱いも変化しつつあります。
2、LGBTQに関連する国連人権理事会決議2011年6月17日と、本邦の法令として、性同一性障害特例法(GID特例法)とLGBT理解増進法がありますので簡単にご紹介致します。
3、職場トイレ問題に関する令和5年7月11日最高裁判例がありますのでご紹介致します。
4、ご相談の事例で具体的に解決するにはどのようにすべきなのか、法令などから簡易に判定することはできません。それぞれの職場の事情に合わせて、また、対象者の事情にあわせて、個別具体的な話し合いの結果として、適宜の措置を選択していく必要があるでしょう。職務命令に単純に従わない態度をとることや解雇処分などを受けて裁判所の判断を仰ぐようなことは最終手段と考えるべきです。職場で決定的な対立を生んでしまう前に、誤解を無くすように、辛抱強く、相互に話し合いを続けることが大切です。どうしても難しい場合は、冷静な第三者として代理人弁護士を同席するなどして話し合いをすることも有効でしょう。協議の中から、相当な落としどころを探っていくことが必要です。
5、LGBTQに関する関連事例集参照。
解説:
1、LGBTQ問題
あなたの性自認の違和感が、いわゆるLGBTQと言われる問題となる場合について解説します。
LGBTQとは、Lesbian(レズビアン、女性同性愛者)、Gay(ゲイ、男性同性愛者)、Bisexual(バイセクシュアル、両性愛者)、Transgender(トランスジェンダー、性自認が出生時に割り当てられ戸籍に記載された性別とは異なる人)、QueerやQuestioning(クイア風変りな、クエスチョニング分からないので調べている、自分の性のあり方が特定の枠にあてはまらない人)の頭文字をとった言葉で、性的マイノリティ・性的少数者を示す呼称です。この5つの類型のどれかひとつに当てはめることができない場合もありますし、複数の類型に当てはまる場合もあります。
あなた自身の認識が戸籍上の性別に違和感を感じてしまっている状態は、特にトランスジェンダーと呼ばれ、戸籍上の男性で女性の自認がある場合をMtF、戸籍上の女性で男性の自認がある場合をFtMと言います。それは医学的には性ホルモン濃度の違いとして検査することができますし、問診などを経て、医師による性同一性障害という診断を受ける場合もありますし、女性ホルモン投与療法(HRTホルモン補充療法)を受ける場合もあります。
このような状態になっているあなたに対して、職場や学校などの社会的な取り扱いはどのように考えるべきでしょうか。この問題に対する国際的な認識の高まりを受けて、本邦における社会的な取り扱いも変化しつつあります。
※日本精神神経学会、性同一性障害に関する診断と治療のガイドライン
https://www.jspn.or.jp/modules/advocacy/index.php?content_id=23
日本精神神経学会のガイドラインでは、次の手順と基準に従って診察し、2名の精神科医の意見が一致することにより性同一性障害の確定診断が行われるとされています。1年以上の観察期間を設けて慎重に診断されることが多いようです。
1)ジェンダー・アイデンティティの判定
(1) 詳細な養育歴・生活史・性行動歴について聴取する。
日常生活の状況、たとえば、服装、人間関係、職業歴などを詳細に聴取し、現在のジェンダー・アイデンティティのあり方、性役割の状況などを明らかにする。また必要に応じて、当事者の同意を得た範囲内で、家族あるいは当事者と親しい関係にある人たちから症状の経過、生活態度、人格に関わる情報、家族関係ならびにその環境などに関する情報を聴取する。
(2) 性別違和の実態を明らかにする。
①自らの性別に対する不快感・嫌悪感自分の第一次ならびに第二次性徴から解放されたいと考える。自分が間違った性別に生まれたと確信している。乳房やペニス・精巣などを傷つけたりする。FTM では声をつぶそうと声帯を傷つけたりする。
②反対の性別に対する強く持続的な同一感
反対の性別になりたいと強く望み,反対の性別として通用する服装や言動をする。ホルモン療法や手術療法によって、でき得る限り反対の性別の身体的特徴を得たいとの願望をもっている。
③反対の性役割を求める
日常生活のなかでも反対の性別として行動する、あるいは行動しようとする。しぐさや身のこなし・言葉づかいなどにも反対の性役割を望み、反映させる。
(3) 診察の期間については特に定めないが、診断に必要な詳細な情報が得られるまで行う。
2)身体的性別の判定
(1) 身体的性別の判定は原則として、MTF は泌尿器科医、FTM は婦人科医により実施される。染色体検査、ホルモン検査、内性器ならびに外性器の診察ならびに検査、その他担当する医師が必要と認める検査を行い、その結果を診断を担当する精神科医が確認する(原則として文書で入手する)。
(2) 上記診察と検査結果に基づき、性分化疾患(性染色体異常など)、身体的性別に関連する異常の有無を確認する。
3)除外診断
(1) 統合失調症などの精神障害によって、本来のジェンダー・アイデンティティを否認したり、性別適合手術を求めたりするものではないこと。
(2) 反対の性別を求める主たる理由が、文化的社会的理由による性役割の忌避やもっぱら職業的利得を得るためではないこと。
2、国連人権理事会決議、本邦の法令
(1)人権理事会決議
LGBT問題は、1966年に採択され日本も1979年に批准した国際人権条約では明確に取り上げられておりませんでしたが、人権意識の高まりを受けて、国際的な議論も高まり、2011年6月17日に、国連人権理事会において、差別と性的指向に関する調査を求める決議が提出され採択されました。この採択が国連において初めて採択されたLGBT市民の権利に言及した決議であり、LGBT市民の権利保護の第一歩となるマイルストーンとなりました。この決議は、法的には本邦において何ら効力を生じるものではありませんが、国際的な人権意識の変化を表徴するものであり、本邦における法解釈に間接的な影響を与え得る事情のひとつであると考えることができます。
https://www.unic.or.jp/files/a_hrc_res_17_19.pdf
決議全文を引用します。
人権理事会によって採択された決議
17/19 人権、性的指向およびジェンダー同一性
人権理事会は、世界人権宣言および、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約、市民的及び政治的権利に関する国際規約、並びに他の関連する中核的な人権文書のような他の人権文書にその後推敲されて定められたような、人権の普遍性、相互依存性、不可分性、相互関連性を想起し、世界人権宣言が、全ての人間は、生まれながらにして自由であり、かつ尊厳と権利とにおいて平等であることを確認し、また全ての者が人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的その他の意見、国民的もしくは社会的出身、財産、門地その他の地位によるいかなる差別も受けることなく、全ての権利と自由とを共有することが宣言において定められていることをまた想起し、人権理事会が、あらゆる種類の区別なくまた公平かつ平等な方法で、全ての人の人権および基本的自由の保護の普遍的尊重を促進することに責任を有することを総会が宣言した、2006 年 3 月 15 日の総会決議 60/251 をさらに想起し、世界の全ての地域において、性的指向およびジェンダー同一性を理由として個人に対して行われる暴力と差別の全ての行為に重大な懸念を表明し、
1.国際連合人権高等弁務官に対して、世界の全ての地域における、性的指向およびジェンダー同一性に基づいた差別的な法律および実行並びに個人に対する暴力行為について、また如何に国際人権法が性的指向およびジェンダー同一性に基づく暴力と関連する人権侵害を阻止するために用いられるのか 2011年12月に終了する研究を委託し、文書として提供することを要請する。
2.人権理事会の第 19 回会期の間に、高等弁務官によって委託された研究に含まれた事実によって伝えられた、パネルディスカッションを開催し、性的指向およびジェンダー同一性に基いた差別的な法律および実行並びに個人に対する暴力行為の問題に関する建設的、学識のある、率直な対話を行うことを決定する。
3.パネルが、高等弁務官によって委託された研究の勧告への適切なフォローアップについても討論することをまた決定する。
4.この優先的な問題について引き続き取り組むことをさらに決定する。
第 34 回会合
2011 年 6 月 17 日
(2)性同一性障害特例法(GID特例法)
性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律が、2003年(平成15年)7月10日に成立しました。平成15年7月16日から施行されています。特定の条件のもとに、戸籍上の性別変更を認める法律です。
性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律(趣旨)
第一条 この法律は、性同一性障害者に関する法令上の性別の取扱いの特例について定めるものとする。
(定義)
第二条 この法律において「性同一性障害者」とは、生物学的には性別が明らかであるにもかかわらず、心理的にはそれとは別の性別(以下「他の性別」という。)であるとの持続的な確信を持ち、かつ、自己を身体的及び社会的に他の性別に適合させようとする意思を有する者であって、そのことについてその診断を的確に行うために必要な知識及び経験を有する二人以上の医師の一般に認められている医学的知見に基づき行う診断が一致しているものをいう。
(性別の取扱いの変更の審判)
第三条 家庭裁判所は、性同一性障害者であって次の各号のいずれにも該当するものについて、その者の請求により、性別の取扱いの変更の審判をすることができる。
一 十八歳以上であること。
二 現に婚姻をしていないこと。
三 現に未成年の子がいないこと。
四 生殖腺せんがないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること。
五 その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること。
2 前項の請求をするには、同項の性同一性障害者に係る前条の診断の結果並びに治療の経過及び結果その他の厚生労働省令で定める事項が記載された医師の診断書を提出しなければならない。
(性別の取扱いの変更の審判を受けた者に関する法令上の取扱い)
第四条 性別の取扱いの変更の審判を受けた者は、民法(明治二十九年法律第八十九号)その他の法令の規定の適用については、法律に別段の定めがある場合を除き、その性別につき他の性別に変わったものとみなす。
2 前項の規定は、法律に別段の定めがある場合を除き、性別の取扱いの変更の審判前に生じた身分関係及び権利義務に影響を及ぼすものではない。
※家庭裁判所の手続き案内ページ
https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_23/index.html
家庭裁判所は,性同一性障害者であって,次の1から6までの要件のいずれにも該当する者について,性別の取扱いの変更の審判をすることができます。
1、二人以上の医師により,性同一性障害であることが診断されていること2、18歳以上であること
3、現に婚姻をしていないこと
4、現に未成年の子がいないこと
5、生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること
6、他の性別の性器の部分に近似する外観を備えていること
条文では明記されていませんが、戸籍上の性別を変更するために、事実上性転換手術(性別適合手術)を受けることが必要とされているものです。この要件については過酷すぎるとして、この要件が違憲ではないかという裁判が、家事審判の却下に対する抗告審(高等裁判所)や特別抗告(最高裁判所)で係属していますが、未だ明確な結論は出ていません。
(3)LGBT理解増進法
前記の性同一性障害特例法は、性同一性障害の確定診断を受けて性転換手術(性別適合手術)も受けた者の戸籍上の戸籍変更に関する例外的な取り扱いを定めたものでしたが、令和5年2023年6月16日に成立し、6月23日に公布され即日施行されたLGBT理解増進法では、社会生活上の取り扱い全般について、国民の理解を促す内容となっています。これは女装問題・男装問題をも包摂する法規範と言えます。
性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律(目的)
第一条 この法律は、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解が必ずしも十分でない現状に鑑み、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する施策の推進に関し、基本理念を定め、並びに国及び地方公共団体の役割等を明らかにするとともに、基本計画の策定その他の必要な事項を定めることにより、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性を受け入れる精神を涵かん養し、もって性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に寛容な社会の実現に資することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「性的指向」とは、恋愛感情又は性的感情の対象となる性別についての指向をいう。
2 この法律において「ジェンダーアイデンティティ」とは、自己の属する性別についての認識に関するその同一性の有無又は程度に係る意識をいう。
(基本理念)
第三条 性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する施策は、全ての国民が、その性的指向又はジェンダーアイデンティティにかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものであるとの理念にのっとり、性的指向及びジェンダーアイデンティティを理由とする不当な差別はあってはならないものであるとの認識の下に、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを旨として行われなければならない。
(国の役割)
第四条 国は、前条に定める基本理念(以下単に「基本理念」という。)にのっとり、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する施策を策定し、及び実施するよう努めるものとする。
(地方公共団体の役割)
第五条 地方公共団体は、基本理念にのっとり、国との連携を図りつつ、その地域の実情を踏まえ、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する施策を策定し、及び実施するよう努めるものとする。
(事業主等の努力)
第六条 事業主は、基本理念にのっとり、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関するその雇用する労働者の理解の増進に関し、普及啓発、就業環境の整備、相談の機会の確保等を行うことにより性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する当該労働者の理解の増進に自ら努めるとともに、国又は地方公共団体が実施する性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する施策に協力するよう努めるものとする。
2 学校(学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する学校をいい、幼稚園及び特別支援学校の幼稚部を除く。以下同じ。)の設置者は、基本理念にのっとり、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関するその設置する学校の児童、生徒又は学生(以下この項及び第十条第三項において「児童等」という。)の理解の増進に関し、家庭及び地域住民その他の関係者の協力を得つつ、教育又は啓発、教育環境の整備、相談の機会の確保等を行うことにより性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する当該学校の児童等の理解の増進に自ら努めるとともに、国又は地方公共団体が実施する性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(施策の実施の状況の公表)
第七条 政府は、毎年一回、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する施策の実施の状況を公表しなければならない。
(基本計画)
第八条 政府は、基本理念にのっとり、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する基本的な計画(以下この条において「基本計画」という。)を策定しなければならない。
2 基本計画は、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解を増進するための基本的な事項その他必要な事項について定めるものとする。
3 内閣総理大臣は、基本計画の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。
4 内閣総理大臣は、前項の規定による閣議の決定があったときは、遅滞なく、基本計画を公表しなければならない。
5 内閣総理大臣は、基本計画の案を作成するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、資料の提出その他必要な協力を求めることができる。
6 政府は、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性をめぐる情勢の変化を勘案し、並びに性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する施策の効果に関する評価を踏まえ、おおむね三年ごとに、基本計画に検討を加え、必要があると認めるときは、これを変更しなければならない。
7 第三項から第五項までの規定は、基本計画の変更について準用する。
(学術研究等)
第九条 国は、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する学術研究その他の性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する施策の策定に必要な研究を推進するものとする。
(知識の着実な普及等)
第十条 国及び地方公共団体は、前条の研究の進捗状況を踏まえつつ、学校、地域、家庭、職域その他の様々な場を通じて、国民が、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する理解を深めることができるよう、心身の発達に応じた教育及び学習の振興並びに広報活動等を通じた性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する知識の着実な普及、各般の問題に対応するための相談体制の整備その他の必要な施策を講ずるよう努めるものとする。
2 事業主は、その雇用する労働者に対し、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する理解を深めるための情報の提供、研修の実施、普及啓発、就業環境に関する相談体制の整備その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
3 学校の設置者及びその設置する学校は、当該学校の児童等に対し、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する理解を深めるため、家庭及び地域住民その他の関係者の協力を得つつ、教育又は啓発、教育環境に関する相談体制の整備その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(性的指向・ジェンダーアイデンティティ理解増進連絡会議)
第十一条 政府は、内閣官房、内閣府、総務省、法務省、外務省、文部科学省、厚生労働省、国土交通省その他の関係行政機関の職員をもって構成する性的指向・ジェンダーアイデンティティ理解増進連絡会議を設け、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する施策の総合的かつ効果的な推進を図るための連絡調整を行うものとする。
(措置の実施等に当たっての留意)
第十二条 この法律に定める措置の実施等に当たっては、性的指向又はジェンダーアイデンティティにかかわらず、全ての国民が安心して生活することができることとなるよう、留意するものとする。この場合において、政府は、その運用に必要な指針を策定するものとする。
この法律では、具体的に強制力のある法規範を定めるものではありませんが、国民各自の性的指向(恋愛感情又は性的感情の対象となる性別についての指向)やジェンダーアイデンティティ(自己の属する性別についての認識に関するその同一性の有無又は程度に係る意識)を相互に尊重して、相互理解の増進に努めるべきことが政府機関や各事業者や学校運営者に求められているものです。
具体的に、職場や学校において、女装や男装を認めるかどうなのか、トイレをどうするのか、ということについて、法律で具体的に明示しているわけではありませんが、相談体制の整備などを通じて、それぞれの立場を尊重して、問題解消に努めるよう努力すべきことが規定されています。
今回の問題で、関係する条文は、10条2項と3項です。
2項 事業主は、その雇用する労働者に対し、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する理解を深めるための情報の提供、研修の実施、普及啓発、就業環境に関する相談体制の整備その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。 3項 学校の設置者及びその設置する学校は、当該学校の児童等に対し、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する理解を深めるため、家庭及び地域住民その他の関係者の協力を得つつ、教育又は啓発、教育環境に関する相談体制の整備その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
このように、「理解を深める」ための相談体制の整備などが努力義務として定められていますが、社会生活上の取り扱いを具体的に定める法規範は制定されませんでした。個々の職場や学校の個別具体的な事情に基づいて、また、相互理解の状況に応じて、どのように取り扱っていくべきかも日々変わっていくために、法律で一律に定めることは困難であると考えられるためです。
(4)日本国憲法13条、新しい人権
日本国憲法第13条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
日本国憲法で定められた基本的人権である幸福追求権は、人々の生活や意識や社会関係が日々変化していくことを受けて、従来議論されてこなかった「新しい人権」も保障し得る根拠規定になると解されています。過去には、肖像権、プライバシー権、環境権、日照権、静穏権、眺望権、入浜権、嫌煙権、健康権、情報権、アクセス権、平和的生存権などが主張され、肖像権とプライバシー権については、裁判例でも法的保護に値する具体的権利であると判示されています。これは法律による根拠が無くても権利が認められたものであり、いわば天賦の人権、自然権的基本権の内容が日々変化しているものと考えることができます。裁判所は変化した基本的人権を法解釈により掬い上げたのです。人類も進化していきますし、人権も進化していくと考えることができます。
※最高裁昭和44年12月24日判決、京都府学連事件『ところで、憲法一三条は、「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」と規定しているのであつて、これは、国民の私生活上の自由が、警察権等の国家権力の行使に対しても保護されるべきことを規定しているものということができる。そして、個人の私生活上の自由の一つとして、何人も、その承諾なしに、みだりにその容ぼう・姿態(以下「容ぼう等」という。)を撮影されない自由を有するものというべきである。
これを肖像権と称するかどうかは別として、少なくとも、警察官が、正当な理由もないのに、個人の容ぼう等を撮影することは、憲法一三条の趣旨に反し、許されないものといわなければならない。』
※最高裁昭和56年4月14日判決、前科照会事件
『前科及び犯罪経歴(以下「前科等」という。)は人の名誉、信用に直接にかかわる事項であり、前科等のある者もこれをみだりに公開されないという法律上の保護に値する利益を有するのであつて、市区町村長が、本来選挙資格の調査のために作成保管する犯罪人名簿に記載されている前科等をみだりに漏えいしてはならないことはいうまでもないところである。』
このように、1947年の日本国憲法施行時には議論の対象にされていなかったような新しい人権が、国民の社会生活の変化に伴って問題となる場合がありますが、LGBTQの人々の社会生活上の要望事項も、「自分らしく生活したい」という要求ですから、基本的人権である幸福追求権の観点から考えますと、尊重すべき利益になり得るものと考えることができますし、各種法令や契約の解釈の場面において、尊重すべき利益となりつつあることが分かります。
3、判例紹介
職場トイレ問題に関する令和5年7月11日最高裁判例がありますのでご紹介致します
最高裁判所令和5年7月11日判決『⑴ 国家公務員法86条の規定による行政措置の要求に対する人事院の判定においては、広範にわたる職員の勤務条件について、一般国民及び関係者の公平並びに職員の能率の発揮及び増進という見地から、人事行政や職員の勤務等の実情に即した専門的な判断が求められるのであり(同法71条、87条)、その判断は人事院の裁量に委ねられているものと解される。したがって、上記判定は、裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したと認められる場合に違法となると解するのが相当である。
⑵ これを本件についてみると、本件処遇は、経済産業省において、本件庁舎内
のトイレの使用に関し、上告人を含む職員の服務環境の適正を確保する見地からの調整を図ろうとしたものであるということができる。
そして、上告人は、性同一性障害である旨の医師の診断を受けているところ、本件処遇の下において、自認する性別と異なる男性用のトイレを使用するか、本件執務階から離れた階の女性トイレ等を使用せざるを得ないのであり、日常的に相応の不利益を受けているということができる。
一方、上告人は、健康上の理由から性別適合手術を受けていないものの、女性ホルモンの投与や≪略≫を受けるなどしているほか、性衝動に基づく性暴力の可能性は低い旨の医師の診断も受けている。現に、上告人が本件説明会の後、女性の服装等で勤務し、本件執務階から2階以上離れた階の女性トイレを使用するようになったことでトラブルが生じたことはない。また、本件説明会においては、上告人が本件執務階の女性トイレを使用することについて、担当職員から数名の女性職員が違和感を抱いているように見えたにとどまり、明確に異を唱える職員がいたことはうかがわれない。さらに、本件説明会から本件判定に至るまでの約4年10か月の間に、上告人による本件庁舎内の女性トイレの使用につき、特段の配慮をすべき他の職員が存在するか否かについての調査が改めて行われ、本件処遇の見直しが検討されたこともうかがわれない。
以上によれば、遅くとも本件判定時においては、上告人が本件庁舎内の女性トイレを自由に使用することについて、トラブルが生ずることは想定し難く、特段の配慮をすべき他の職員の存在が確認されてもいなかったのであり、上告人に対し、本件処遇による上記のような不利益を甘受させるだけの具体的な事情は見当たらなかったというべきである。そうすると、本件判定部分に係る人事院の判断は、本件における具体的な事情を踏まえることなく他の職員に対する配慮を過度に重視し、上告人の不利益を不当に軽視するものであって、関係者の公平並びに上告人を含む職員の能率の発揮及び増進の見地から判断しなかったものとして、著しく妥当性を欠いたものといわざるを得ない。
⑶ したがって、本件判定部分は、裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法となるというべきである。』
この判例は、一般職の国家公務員であり、性同一性障害である旨の医師の診断を受けている原告が、国家公務員法86条の規定により人事院に対し職場のトイレの使用等に係る行政措置の要求をしたところ、いずれの要求も認められない旨の判定を受けたことから、国を相手に本件判定の取消し等を求めた事案でした。
原告(上告人)の置かれた状況を箇条書きに致します。
・原告は一般職の国家公務員に任用され、10年以上、経済産業省の同一の部署で執務している。
・上記部署の執務室がある庁舎には、男女別のトイレが各階に3か所ずつ設置されている。なお、男女共用の多目的トイレは、上記執務室がある階には設置されていないが、複数の階に設置されている。
・原告は、生物学的な性別は男性であるが、幼少の頃からこのことに強い違和感を抱いていた。
・原告は、平成10年頃から女性ホルモンの投与を受けるようになり、同11年頃には性同一性障害である旨の医師の診断を受けた。
・原告は、平成18年頃までに、≪略≫を受けるなどし、同20年頃から女性として私生活を送るようになった。
・原告は、平成22年3月頃までには、血液中における男性ホルモンの量が同年代の男性の基準値の下限を大きく下回っており、性衝動に基づく性暴力の可能性が低いと判断される旨の医師の診断を受けていた。
・原告は、健康上の理由から性別適合手術を受けていない。
・上告人は、平成21年7月、上司に対し、自らの性同一性障害について伝え、同年10月、経済産業省の担当職員に対し、女性の服装での勤務や女性トイレの使用等についての要望を伝えた。これらを受け、平成22年7月14日、経済産業省において、上告人の了承を得て、上告人が執務する部署の職員に対し、上告人の性同一性障害について説明する会が開かれた。
・担当職員は、本件説明会において、上告人が退席した後、上告人が本件庁舎の女性トイレを使用することについて意見を求めたところ、本件執務階の女性トイレを使用することについては、数名の女性職員がその態度から違和感を抱いているように見えた。そこで、担当職員は、上告人が本件執務階の一つ上の階の女性トイレを使用することについて意見を求めたところ、女性職員1名が日常的に当該女性トイレも使用している旨を述べた。
・本件説明会におけるやり取りを踏まえ、経済産業省において、上告人に対し、本件庁舎のうち本件執務階とその上下の階の女性トイレの使用を認めず、それ以外の階の女性トイレの使用を認める旨の処遇を実施することとされた。
・上告人は、本件説明会の翌週から女性の服装等で勤務し、主に本件執務階から2階離れた階の女性トイレを使用するようになったが、それにより他の職員との間でトラブルが生じたことはない。
・原告は、平成23年、家庭裁判所の許可を得て名を現在のものに変更し、同年6月からは、職場においてその名を使用するようになった。
・上告人は、平成25年12月27日付けで、国家公務員法86条の規定により、職場の女性トイレを自由に使用させることを含め、原則として女性職員と同等の処遇を行うこと等を内容とする行政措置の要求をしたところ、人事院は、同27年5月29日付けで、いずれの要求も認められない旨の判定をした。
この判例は、あくまでも経済産業省における個別事案について判断したものですが、民間事業所や学校等において、任意のトランスジェンダー女性や男性の取り扱いを判断する場合の参考にできる判断を含んでいるものです。
この判例の判断に至る論理構造は次の通りです。
(1)広範にわたる職員の勤務条件について、一般国民及び関係者の公平並びに職員の能率の発揮及び増進という見地から、人事行政や職員の勤務等の実情に即した専門的な判断が求められるのであり、その判断は人事院の裁量に委ねられているものと解される。人事院には勤務条件を定める裁量があり、原則として司法審査の対象とならないが、裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したと認められる場合には違法となり得る。
(2)本件処遇の目的は、経済産業省において、本件庁舎内のトイレの使用に関し、上告人を含む職員の服務環境の適正を確保する見地からの調整を図ろうとしたものであった。目的は正当なものと是認できる。
(3)上告人は、性同一性障害である旨の医師の診断を受けているところ、本件処遇の下において、自認する性別と異なる男性用のトイレを使用するか、本件執務階から離れた階の女性トイレ等を使用せざるを得ないのであり、日常的に相応の不利益を受けているということができる。
(4)一方、上告人は、健康上の理由から性別適合手術を受けていないものの、女性ホルモンの投与や≪略≫を受けるなどしているほか、性衝動に基づく性暴力の可能性は低い旨の医師の診断も受けている。現に、上告人が本件説明会の後、女性の服装等で勤務し、本件執務階から2階以上離れた階の女性トイレを使用するようになったことでトラブルが生じたことはない。他の女性職員等の不利益は確認されていない。
(5)本件処遇の根拠となった事情は、本件説明会において、上告人が本件執務階の女性トイレを使用することについて、担当職員から数名の女性職員が違和感を抱いているように見えたにとどまり、明確に異を唱える職員がいたことはうかがわれない。さらに、本件説明会から本件判定に至るまでの約4年10か月の間に、上告人による本件庁舎内の女性トイレの使用につき、特段の配慮をすべき他の職員が存在するか否かについての調査が改めて行われ、本件処遇の見直しが検討されたこともうかがわれない。
(6)以上によれば、遅くとも本件判定時においては、上告人が本件庁舎内の女性トイレを自由に使用することについて、トラブルが生ずることは想定し難く、特段の配慮をすべき他の職員の存在が確認されてもいなかったのであり、上告人に対し、本件処遇による上記のような不利益を甘受させるだけの具体的な事情は見当たらなかったというべきである。
(7)そうすると、本件判定部分に係る人事院の判断は、本件における具体的な事情を踏まえることなく他の職員に対する配慮を過度に重視し、上告人の不利益を不当に軽視するものであって、関係者の公平並びに上告人を含む職員の能率の発揮及び増進の見地から判断しなかったものとして、著しく妥当性を欠いたものといわざるを得ない。
このように見てくると、任用者側の職場環境を整備する裁量権は、無限定に与えられているものではなく、環境整備の目的に従って合理性を持っていることが必要であると分かります。そして、その環境整備措置は、トランスジェンダー対象者と他の職員との「利益衡量」によって判断されていることが分かります。比較衡量論は、私法でも公法でも憲法問題でも幅広い法分野で用いられる重要な判断基準です。それぞれの当事者が主張する利益が法的保護に値するものであるかどうかを検討した上で、その相互の利益を比較検討するのです。対象者の自分らしく生活したい、女装したい、女性用トイレを利用したいという気持ちと、他の女性職員らの羞恥心や違和感などの気持ちが比較衡量されています。当然ながら、双方の立場の人格的な権利がそれぞれ尊重される必要があります。対象者の要望に応えることによる対象者の利益(認めないことによる不利益)と、これを認めることによって生じ得る他の職員らの不利益を天秤に掛けているのです。
この判断の枠組みを見ると、他の職員らの不利益が具体的に観察されないのに、その「恐れ」や「懸念」だけで対象者の不利益を無視して一方的に不利益となる措置を続けた場合は、裁量権の逸脱と判断され得ることが分かります。更に、任用者側には、一旦処遇を決めたとしても、時間の経過に伴い、配慮を要する職員の存否についての調査を改めて行って、処遇の変更を検討するなどの見直し措置も求められていることが分かります。勿論、継続的な職場内の啓蒙活動も求められています。
この比較衡量や見直し措置は、LGBT理解推進法施行後には、あらゆる事業所や学校において、事業主や学校運営者の理解促進の努力義務が付加されますので、ますますトランスジェンダー対象者に有利に作用していくことが期待されます。
LGBT理解促進法10条2項と3項が定めるように、「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する理解を深めるための情報の提供、研修の実施、普及啓発、就業環境に関する相談体制の整備その他の必要な措置を講ずるよう」求められていますので、何らの措置をとることもなく漫然と他の職員に「羞恥心がありますか、違和感がありますか」と質問するだけでは足りないとされる可能性があります。職場内や学校内において、ジェンダー多様性についての啓発活動の努力を行ったうえで、不都合が無いかどうかを定期的に調査すべきことが求められているのです。
4、まとめ
今回は、あなたが不動産仲介業者にお勤めであって、上司から女装をやめるように要請されてお困りだということです。
この場合も、「あなた自身のこれまでの受診歴や経緯など個別具体的な事情」、「職場における理解増進努力状況」、「あなたの不利益と他の人々の不利益の比較衡量」この3点について詳細な検討が必要になって参ります。
それぞれの判断基準となりうる事情を挙げてみたいと思います。あなたの事案ではどのようになっているか、再確認なさって下さい。
・あなた自身のこれまでの経緯など個別具体的な事情。
どのような自覚症状があるか、この幼少時からの経緯。
どのような社会生活上の不都合を生じているか。
医師からどのような診断を受けているか、診断書はあるか。
性同一性障害の診断を受けているか、診断書はあるか。
抑うつ、心因反応など医師の診断を受けているか、診断書はあるか。
睾丸摘出術、乳房形成術を受けているか、この証明資料はあるか。
性別適合手術を受けているか、この証明資料はあるか。
性ホルモン補充療法を受けているか、診断書はあるか。
血液検査などによる性ホルモン濃度はどうなっているか。
あなたの普段の服装、客観的にどのように見えるか、証明資料。
・職場における理解増進努力状況
性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する理解を深めるための情報の提供はあるか、どのようになされているか。
研修の実施はあるか、どのようなものがあるか。
普及啓発活動はあるか、どのようになされているか。
就業環境に関する相談体制の整備はあるか、どのように運営されているか。
・あなたの不利益と他の人々の不利益の比較衡量
あなたが受ける不利益の内容と程度(根拠資料)
他の人々が受ける不利益の内容と程度(根拠資料)
職場全体が受ける不利益(業務量や残業が増加してしまうなど)
職場全体が受ける経済的不利益(損益計算書、貸借対照表が悪化したか)
ご相談の事例で具体的にどのようにすべきなのか、法令などから簡易に判定することはできません。それぞれの職場の事情に合わせて、また、対象者の事情にあわせて、個別具体的な話し合いの結果として、適宜の措置を選択していくほかありません。職務命令や解雇処分などを受けて裁判所の判断を仰ぐのは最終手段と考えるべきです。職場で決定的な対立を生んでしまう前に、誤解を無くすように、辛抱強く、適宜資料も提出するなどしながら、相互に話し合いを続けることが大切です。学校における取り扱いも同じです。前世紀の時代のように、LGBT市民の要望を頭ごなしに否定するような取り扱いはできなくなってきていることを、丁寧に辛抱強く説明する必要があります。どうしても難しい場合は、冷静な第三者として代理人弁護士を同席するなどして話し合いをすることも有効でしょう。協議の中から、相当な落としどころを探っていくことが必要です。
以上