新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース 質問:ダイレクトメールの葉書でほかから借りられない人にも融資をしますという案内が来たので,申込みの電話をかけました。すると,「信用力を確認する必要がある。」などと言われて,指定口座に10万円振り込むように言われました。怪しいと思うのですが,どうでしょうか。 解説: 【2】申込をしてきた人に対し「信用力を確認します。」「融資実行に必要です。」「保証制度加入費用が必要です。」「負債状況データの訂正・削除料がかかります。」などと,様々な口実で貸付けに先立ってお金を支払わせようとします。支払の方法は振込みだけではなく,電信為替居宅払いや,小包での郵送などの場合もあります。 【3】一度お金を支払ってしまうと,次々と勧誘が来ます。詐欺仲間同士が横で繋がっているか,別の業者を騙っていても中身は同一人物だったりして,「カモ」から搾り取れるだけ搾り取ろうとするのだろうと推察されます。このような被害は法的保護を受けられない地方、山村等日本全国に広がっていると思います。「アダルトサイト閲覧」の被害と同様に事件の性質上第三者に相談できないであろうという隙、人間の弱みを衝いて請求してくるもので大変悪質です。弁護士は刑法上守秘義務というものがあり相談上の秘密は他に漏洩する事は出来ませんので安心して相談協議して見ましょう。数万円の費用で代理人にもなって直接対応してくれるはずですし、ほとんどの場合請求は停止されるはずです。 【4】保証金を返金してほしいと求めても応じてくれません。相手はお金を騙し取ろうとしているのですから,当たり前です。それどころか,「登録情報削除料」「解約手数料」などとでたらめな理由をつけて,さらにお金を支払わせようとしてくることもあります。 ■ 低利で高額融資,そんなウマい話はありえません。 以下,単純化した例でご説明します。 「100万円を年利3%,無担保・無保証で貸します!」という業者がいたとします。この業者が同じ条件で100人のお客さんに同時に貸し付けるには,元手が100万×100で1億円必要です。100人のお客さん全員が1年後に元金と利息を全額返済してくれたら,業者は,元金1億円と利息300万円(1人当たりの利息3万円×100人分)を手にすることになります。とはいえ,利益が300万円では,従業員の給料や店舗の賃料といった経費すら賄えないでしょう。 さらに,100人のお客さんのうち,たった3人が1円も返せないまま破産したら,それだけで赤字に転落します(103万円×97人=9991万円)。「3人もが1円も返さないことなんてあるわけがない!」と思いますか。よく考えてみてください。大手のサラ金業者から借りられなくなっているようなお客さんです。そういうお客さんは,きっとほかにも返済しなければならないところが既に沢山あるはずだと思いませんか。 また,近年の日本全国における個人の自己破産申立件数を見てみましょう。この数字は,平成15年に約24万件に達してから,平成16年に約21万件,平成17年に約18万件,平成18年に約16万5000件と次第に減ってきていますが,それでもこれほどの数に上っています。100人のお客さんのうち3人がこの中に入らないと言い切れるでしょうか。こうして,そもそも利益が見込めないこと,それどころか損をするリスクが非常に高いことを考慮すれば,上記のような貸付けがビジネスとして成立しえないことは明らかです。どうか現実を見て目を覚ましてください。 ■ 「一本化」よりも抜本的な解決――資格のある専門家に相談 ■ もし被害に遭われたら ■ 振り込んだお金を取り返せるか 他方,刑事事件として裁判が開かれ,有罪が確定した場合には,組織犯罪処罰法の改正により,平成18年12月1日から始まった被害回復給付金支給制度に基づく給付の申請ができる場合があります。その意味でも,警察に被害届を出すことが重要だといえます。大変残念なことに,警察のなかには被害届を受理したがらないところもありますが,そのようなときでも諦めず,熱心にかつ冷静に,被害を訴えてください。費用はかかりますが,弁護士に被害届の作成・提出を依頼することもひとつの方法でしょう。被害回復の制度は捜査機関が損害にあった財産を没収、追徴した場合の救済処置ですから犯罪者が被害財産を隠匿、消費した場合には実効性が十分でありませんから、被害を受けそうなときは必ず法的専門家、警察に問い合わせしましょう。 なお,被害回復給付金支給制度について詳しくは,別項を設けてご紹介したいと思います。 ≪参考リンク≫ ≪参考条文≫
No.648、2007/7/31 15:38
[消費者,貸します詐欺にご注意ください!対応]
↓
回答:それは振り込め詐欺の一種ですので,絶対に振り込まないでください。
■ 「貸します詐欺」とは?
「融資保証金詐欺」などと呼ばれることもあります。その手口には次のような特徴があります。
【1】ダイレクトメール,携帯メール,WEB上のニセ広告などで,大手のサラ金業者と比べて低利で多額を借りられたり,大手から借りられなくなってしまった人でも借りられたりするかのようなような宣伝をします。
貸します詐欺をする悪質業者がいるのはわかったけど,自分に貸してくれるという業者だけは違うかもしれないと思っていませんか?
お金に困っているときほど,そういった話にすがりたくなるでしょう。しかし,貸します詐欺業者が宣伝するような低利で高額融資などというウマい話は,貸金業者の営業として成り立つものではなく,現実的にありえません。
「超低利融資で多重債務を一本化」などという甘い言葉に惑わされてはいけません。多重債務の整理は,弁護士に相談,依頼してください。多重債務に陥った経緯などを正直にお話しして,任意整理,自己破産,個人再生といった複数の選択肢の中から最適な方法はどれかをよく相談してください。任意整理,自己破産,個人再生については,当ホームページの相談事例集でも別項を設けてご説明しておりますので,そちらもご参照いただければお役に立てるかと存じます。
もし,既に貸します詐欺の被害に遭われてしまったら,これは立派な犯罪被害ですので,すぐにお近くの警察署に被害届出のご相談をなさってください。また,地方自治体のなかには,被害者ホットラインを設置しているところもあります。例えば,東京都産業労働局金融部下資金業対策課がそうです。本稿末尾にURLアドレスを記載いたしますのでご参照ください。
振り込んでしまったお金を一部でも取り返せるかについては,加害者が刑事事件の被疑者として逮捕されないうちは,非常に難しい問題を抱えています。理論的には,返してもらうよう請求する権利があるのは当然です。しかし,貸します詐欺をするような違法業者は,違法に売買された他人名義の預金口座や携帯電話などを使うことが多く,また,ダイレクトメールに記載されている事務所所在地なども虚偽だったり,そもそも実在しない住所だったりすることもあります。そうすると,現実的な回収はかなり難しいというのが正直なところです。弁護士に相談する際は,あらかじめこのことをご理解ください。
東京都産業労働局サイト内のページ
http://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.jp/kasimasusagi.pdf
犯罪被害財産等による被害回復給付金の支給に関する法律
(平成十八年六月二十一日法律第八十七号)
(目的)
第一条 この法律は、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成十一年法律第百三十六号。以下「組織的犯罪処罰法」という。)第十三条第二項各号に掲げる罪の犯罪行為(以下「対象
犯罪行為」という。)により財産的被害を受けた者に対して、没収された犯罪被害財産、追徴されたその価額に相当する財産及び外国譲与財産により被害回復給付金を支給することによって、その財産的被害の回復を図ることを目的とする。