新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース 質問:私は,今年の6月1日,妻と子供3人(1人は会社員で,他は大学生と高校生です)と現在暮らしている不動産(土地及び建物)を知人が紹介してくれたAさんに2000万円で売却する旨の売買契約を締結しましたが,実際に転居するまでは,私自身がそこに居住する必要がありますので,不動産の引渡しと残代金の決済は9月末日とした上,手付金100万円を受領しました。しかし,その後,諸事情により転居ができなくなったため,先日(6月末),私は,Aさんに手付倍返しによる契約解除の話をしたところ,Aさんは,残代金について銀行に住宅ローンを申し込み,既に審査が通ったことは既に説明しているのだから,もはや契約の解除はできないと主張してきました。私は,本当に,手付解約をすることはできないのでしょうか。又,仮に私達家族が各々8月末までに全員引っ越しを終了連絡し,その後新たに3000万円の買主がでてきた場合私(又はAさん)は手付解除できるでしょうか。 2.解約手付による解除権は,557条1項の規定から「当事者の一方が履行に着手するまで」に行使しなければなりませんが,Aさんの「残代金について銀行に住宅ローンを申し込み,既に審査が通ったことは既に説明している」という事情は,買主側が「履行に着手した」と解釈できませんので,解除権の行使は有効です。 3.貴方の家族全員が各々引越しを終了した場合については,557条1項は「当事者の一方が履行に着手するまで」解約手付による解除ができると規定していることから,貴方は契約当事者の一方であり,貴方の行為が履行の着手にあたるとすれば解約手付の行使はできないとも考えられます。この点判例(最判昭和40年11月24日の多数意見)は,「当事者の一方」とは,解除権を行使する相手方を意味し,解除権を行使する者は含まれないと判断しています。すなわち,履行に着手した者でも,相手方が「履行に着手する」まで解除権を行使できるというのです。従って,最高裁の多数意見に従う限り解約手付の行使による解除は可能と考えられます。しかし,このような解釈は解説で説明するとおり疑問があります。私としては,履行に着手した当時者も解約手付の行使はできないと解釈すべきであると考えています。 解説: 2.この手付契約の内容について,不動産業者が仲介した契約書にどのような意味を持つか書いてあれば問題ないのですが,貴方のように第三者の紹介で独自に契約書を作成し,ただ単に「手付金」と記載してあった場合,手付契約の意味内容について解釈が分かれる可能性があります。すなわち,手付金は,売買契約成立を証明するものか(証約手付),売買契約による将来の履行を違約した場合の違約金か(違約手付),最終決済前に理由のいかんを問わず契約自体を解約できる権利の保有の趣旨(解約手付)かどうか解釈に疑義が生じてしまいますし,当事者にとり解釈如何により重要な利害を生じることになります。 3.そこで,法は,民法557条により当事者の意思内容が不明な場合は,解約手付契約がなされたものと推定しています。推定ですから契約当事者が契約書で明確に解約手付の意味を排除すれば解約手付として効力は生じません。 4.では,どうして民法557条は解約手付契約と推定したのでしょうか。それは,売買契約当事者の合理的意思に最も合致し,適正,公平な売買,手付契約関係を維持できると考えたからです。売買契約において従たる手付契約が締結されるのは,契約成立時と履行決済時期に隔たりがある場合です。その理由は,売主の場合,貴方のように引越し(又は,買い替え)等により引渡しまでに期間が必要な場合もあれば,買主からすれば,手持ちの現金がなければ融資を受けなければならず手続にある程度の時間が必要になります。契約を締結した以上契約は守られなければなりませんし,不履行になれば損害賠償も出来るのですから,本来であれば別個の手付契約など結ぶ必要がないはずです。しかし,買主側から見ると契約締結後通常仮登記等保全処置(不動産の場合)もされていませんから,売主が損害賠償支払い覚悟で第三者に不動産を譲渡しないとも限りませんし,売主側の事情により最終決済まで時間的余裕がかなりある場合,買主としてはその間にもっと価値のある物件を見つけることが出来るかもしれません。 他方,売主側からすれば買主側の事情により決済までかなりの期間があるようであればもっと条件のよい買主が現れるかも解かりませんし,本当に買主が最終決済をしてくれるか不安に思い新たな買主を探す衝動に駆られる状況も生じます。そこで,このような契約当事者双方の利害,不安を回避,調整するために締結された手付契約は,「当事者の一方が契約の履行に着手するまで」という一定の条件の下に理由の如何を問わず買主の手付流し,又は売主の手付倍返しにより,互いに本契約である売買契約の解除権を留保したものであると推定,解釈するのが手付取引の沿革,慣習,当事者の合理的意思に最も合致し,当事者にとり公平で適正な契約関係を維持できると法は考えたのです(民法1条)。すなわち,履行に着手された後に相手方から理由なく解除されると履行した当事者は不測の損害を蒙りますし(一部の履行行為が経済的に無駄になってしまいます),履行の着手があれば相手方は契約決済を信頼するのが通常であり,その信頼を法的に保護することが適正,公平の原則に合致するからです。ところが「契約の履行に着手するまで」という文言は抽象的ですから,大審院時代からこの意味内容をめぐって長い間裁判上争われてきました。 5.ところで貴方は,557条により手付倍返しで解除権を行使したところ,買主はローンの許可が通ったので解除は出来ないと主張していますが,557条は,「当事者の一方(本件では買主A)の履行の着手があるまでは解除できる」と規定しており,本来であれば買主の履行は残代金1900万円の支払いでありこの様な売買代金支払いのための期限前の準備手続行為も「履行の着手」と評価できるかが問題となります。 6.「履行の着手」とは,原則的には期限時における契約上、基本的債務本来の履行(現実の提供及びこれに準ずる提供)をさしますが,例外的に履行期前の前提準備行為であっても,契約締結から決済までの期間,期間を設けた目的,理由,契約上準備行為の不可分,重要性,準備行為による相手方の信頼性,準備行為後に解除される事による準備行為者の不測の損害等を全体的,外形的客観的に考察し,本来の履行に準ずるものも含まれるものと解釈します。 7. Aまず,決済までの期間が余りにある場合の準備行為は,履行の着手と評価すると,相手方が解除権保有の利益(他にもっといい買主,売主がいるかもしれないという利益)を奪うので認められません。 B決済期間を設けた目的,理由も大切です。今回のように,売主側に理由(引越し,買い替え等)があれば,買主の準備行為により売主は解除権を喪失し(引越し等が出来なければ)債務不履行になる危険(例えば債務不履行による損害約定が20%であれば400万円支払う事になりますし,引越しが出来ないのに明け渡す必要が生じます)が生じてしまいます。 C履行の内容によっては,必ず密接不可分な準備行為もあり,この様な行為が客観的に明白であれば相手方の解除権を失わせても不公平とはいえず,履行の着手の判断要素となります。家屋の内装をして引渡す売買契約における,売主の内装工事の着手などはその例です。 D577条の本来の趣旨,目的は,履行の着手という要件を定め,相手方の信頼性,履行着手者の経済的利益を守り,適正公平な売買契約を考慮することにありますから,本来の履行にとらわれることなく準備行為を含め適正公平な解釈をおこなうことが必要です。 E適正,公平な解釈という面から全体性,客観性は自ずと求められる事になります。 F尚,最高裁判所の判例(最判昭和40年11月24日,)は,履行の着手とは,「客観的に外部から認識し得るような形で履行行為の一部をなし,または履行の提供をするために欠くことのできない前提行為をした場合」であるとして,履行期前の前提行為でも一定の条件(外部客観性と履行に不可欠な前提行為)の下に「履行の着手」に該当する場合があることを認めています。すなわち,履行の提供のための単なる前提行為は履行の準備行為と呼ばれ,「履行の着手」には該当ないことになります。事案としては,第三者(大阪府)から不動産を取得して売却する契約(他人の物の売買)において,履行期前に大阪府から不動産の所有権を取得し移転登記した行為は履行に着手したものと判断しました。当事者の公平という観点から妥当な判決です。 G又,最高裁(最判昭和41年1月21日)は,履行期前の買主の代金提供(預金小切手持参)について「履行の着手」の概念を認め,更に履行期と履行の着手との関係について,「債務に履行期限の約定がある場合であっても,当事者が,債務の履行期前には履行に着手しない旨合意している場合等格別の事情のない限り,直ちに,右履行期限前には,民法557条1項にいう履行の着手は生じ得ないと解すべきものではない」としており,履行期前であるからといって,履行の着手にあたらないとは必ずしもいえないことを明らかにしています(控訴審判決破棄,差し戻し)。この判例の特色は,履行期前の前提行為でも「履行の着手」に該当する場合があることを明らかにした点です。本件は,売主が履行期日指定権を有しながら二重売買を考え,これを行使しない状況下での履行提供であり公平の原則から妥当な解釈です。 H更に,最高裁(最判平成5年3月16日)は,解約手付が交付された場合において,債務者が履行期前に債務の履行のためにした行為が,民法557条1項にいう「履行の着手」にあたるか否かについては,「当該行為の態様,債務の内容,履行期限が定められた趣旨・目的等諸般の事情を総合勘案して決すべき」であり,履行の着手の有無を判定する際には,履行期限が定められた趣旨・目的及びこれとの関連で債務者が履行期前に行った行為の時期等もまた右事情の重要な要素として考慮されるべきである」としています。この判例は,契約締結(代金8500万円,手付100万円)が,昭和61年3月,時期が決済1年9ヵ月後に定められており,その間に売主は買い替えの予定であった。ところが,買主は,契約後1ヶ月以内に実面積を測量して売買代金を実面積に応じて確定し,更に8ヵ月後融資,手持ち財産の売却により約8400万円の資金を準備して口頭の提供をして履行の催告をしたものである。東京高裁は買主の「履行の着手」を認めたが,最高裁は「履行の着手」を認めず,売主の解除権行使を認めたものです(控訴審判決破棄し,第一審判決取り消し)。この判例の特色は,履行期前でも「履行の着手」を認め,更に履行の前提準備行為でも前述の条件により,本来の履行に準じて履行の「着手」を認めたところにあります。結論的には,行為態様,履行期までの期間,期間設定の目的を詳細に検討して履行の着手を認めませんでした。妥当な解釈と思われます。この時期は,いわゆるバブル,不動産高騰の時期であり,買い替えを目的にしている売主の解除権を阻止するためには買主は手付金を高額にすべきであったと思われます。 I尚,最高裁判決昭和30年12月26日は,賃貸物件の売買契約において賃借人立ち退き後に引渡すという場合,期限到来前の口頭の売買代金提供について「履行の着手」を認めています。最高裁判決昭和51年12月20日は,賃貸物件の売買契約について,立ち退き請求を怠る売主への履行期前の代金提供(明け渡しの本訴も提起)を「履行の着手」に当たるとしています。 J最高裁判決昭和57年6月17日は,農業委員会の許可を条件とした農地の売買において,許可申請を怠っている状況下での買主の(代金について)口頭の提供(仮登記仮処分,本訴請求も提起)を「履行の着手」と判断している(破棄差し戻しです)。 K最判昭和26年11月15日は,履行期後の買主の(売買代金)口頭の提供を履行の着手としている。 L以上のように,判例は当事者の実質的公平の見地から事件内容により要件を緩和しているのですが,あくまで特殊な事案が多く原理原則を放棄したわけではありません。実際の状況を正確に分析し,当事者の公平,適正な解決を求める事が必要です。 8.さて本件を検討しますと,Aさんの行為は,「履行の着手」には該当しないものと判断されます。 A又,売主としては決済まで4ヶ月の間手付金が5%,100万円と低額であり,新たな高額の買い手を見つける利益もありますから,準備行為は客観的に見て外部から認識できる程度の程度が必要であり,ローンの申し込み許可は買主の内部的事務行為であり公平上相手方売主の解除権行使を認めるべきです。 BAさんは,準備行為をしていますが契約が解除されても特に不測の損害が生じることもありませんし,手付倍返しにより損害填補は十分と考えられます。 Cさらに本件の場合,履行期限が定められた趣旨・目的は,あなたが転居先を確保するということにあり,このことは,あなたにとって極めて重要な猶予期間といえ,他方,Aさんの行為は,履行期限まで3か月も期間を残していますので,このような段階で履行の着手ありとすれば,履行期限を定めた趣旨・目的が無意味になってしまいます。 D本件では,履行期前のローン許可だけでなく履行期に接近した時期における1900万円の実際の提供又はこれに準ずる口頭の提供が必要でしょう。 9.次に,貴方が履行期1ヶ月前の家族全員の引越しをした場合ですが,これは「当事者の一方が契約の履行に着手した」ものと解釈出来るでしょう。 10.まず,貴方(売主)は,自ら引越しという履行の前提行為を行い自ら手付解除権を行使しようとしており,本条の「当事者の一方が契約の」の当事者の一方とは相手方(買主)だけでなく解除権を行使しようとしている者(売主)も含むかが問題となります。 11.本条の「当事者」とは,解除権を行使しようとする相手方だけではなく,契約当事者双方を含むものと解釈します。 Aこの点判例(最判昭和40年11月24日の多数意見)は,「当事者の一方」とは,解除権を行使する相手方を意味し,解除権を行使する者は含まれないと判断しています。すなわち,履行に着手した者でも,相手方が「履行に着手する」まで解除権を行使できるというのです。557条は,手付解除権行使によって既に履行に着手した者(相手方)の利益を保護する規定であり,相手方が履行に着手していない以上保護の必要がないので,履行に着手した者でも依然として解除権行使は認めるのです。履行に着手していない相手方の利益は手付金の取得により保護されるというのです。しかし,この考え方は賛成できません。最高裁少数説(横田裁判官1人)がいうように,履行の着手により相手方はもはや契約を解除されないという信頼は保護されるべきであり,手付金の取得により損害填補は十分とはいえない場合があるからです。例えば,売主が履行に一部着手し,その後買主側が売主の解除権行使がもはやないものと信頼し,予備として考えていた新たな売主との交渉を放棄するような事態が考えられこの損害は,手付金の収入では補完されないと思います。 12.次に,売主にとり履行行為は家屋の明け渡しですから,引越し行為はその前提準備行為であり,履行の着手と解釈していいかどうか問題となります。 13.引越し完了及びその通知は「履行の着手」に該当します。 A又,履行期は売主側の都合による設定であり,履行期前に買主の手付解除権喪失を認めても,特に不都合はないと考えられるからです。 B引渡し行為は,客観的に外部から認識できる行為であり,相手方(買主)ももはや契約解除はないと信頼するので相手方に特に不利益は生じないと考えられます。 Cただし,この事案に関する判例は見当たりません。 14.次に,買主Aさん解除権行使ですが,貴方の引越し行為が「履行の着手に」当たる以上勿論,Aさんももはや解除することはできません。 15.貴方の引越しした経済的利益を保護する必要がありますし,Aさんも決済を信用し自らの履行行為を準備しますから,解除権をAさんに保有させておく理由はないからです。 16.以上,手付契約の解釈は判例上も地裁,高裁,最高裁において変遷を重ねておりますので,不安な時は事前に法的専門家にご相談ください。 <参照条文> 民法(手付)
No.739、2008/1/16 10:45 https://www.shinginza.com/qa-fudousan.htm
【民事・手付・履行の着手とは何か・履行の前提行為準備行為は含まれるか・履行に着手した者自身は手付解除できるか】
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回答:
1.貴方の手付契約は,その性質が解約手付契約と推定されますから,解約手付契約による手付倍返しにより200万円をAさんに支払い,不動産売買契約を解除することができます(民法557条1項)。
1.貴方は,2000万円の不動産売買契約締結に際し,Aさんから手付金100万円を受領しています。この手付金ですが,契約書上に「手付金」と記載があることを前提としてお話いたします。売買契約締結時に買主から売主に渡される金員等(必ずしも金員とは限りません。株券でもいいわけです)については,売買代金の一部である「内金」と貴方がおっしゃる「手付金」の場合があるからです。内金の場合は,売買代金の一部の前払いであり,Aさんの債務不履行がない限り契約解除は問題になりません。しかし,手付金であれば,契約書は1つであっても,法的には売買契約(意思表示だけで成立する諾成契約)に付随する別個の手付契約(手付金を渡して初めて成立する要物契約であり従たる契約です)が締結されたという事になりますし,契約の性質内容について解釈が分かれてきます。民法上手付に関する条文は557条しかありませんし,そこには別個の要物契約が成立したとは書いてありませんが解釈上認められています(消費貸借と同じように要物契約性を認めることは契約自由の原則からおかしいとの意見もありますが,沿革上の理由と当事者の意思の厳格な確認という根拠により認められており,意思表示により契約は成立するという原則から例外的契約に位置しています)。
@確かに,条文上は「履行の着手」と規定し,履行とは契約本来の履行行為と解釈するのが自然ですが,法律とは性質上抽象的にならざるをえず,その意味内容は,私的自治の原則に内在する適正,公平,信義則の原理(民法1条)から具体的に明らかにする必要があります。民法577条解約手付の制度趣旨は,売買契約当事者の実質的公平性の確保にあるのですから,種々の売買契約の具体的内容を検討し,多方面から客観的基準を明らかにすることが求められるのです。
@Aさんの履行行為は,1900万円を用意して実際貴方に提供する事であり,ローンの申し込み許可は履行行為の前提,準備行為と考えられます。まず期間の点ですが,ローンの許可は決済まで4ヶ月しかないので特に早めの準備行為とは言えませんが,契約後1ヶ月しか経過していないのにここで履行の着手を認めると,売主の手付解除権の消滅効果を生じ,引越し先が3ヶ月以内に見つからない場合,債務不履行,損害賠償義務発生となり不測の損害を被ることになり不公平となってしまいます。
@本条の趣旨は,決済まで期間がある売買契約関係の適正,公平な調整を目的としていますから,たとえ,解除権を行使しようとする当事者が履行に着手した場合,解除によって自らの損害は生じなくても,相手方は履行に着手した事により,当然最終決済を期待し手付解除権行使がないという信頼が生じ,この信頼を保護する必要があるからです。例えば,買主であれば,決済まで別な有利な売主を探し,準備する行為は停止するのが通常であり,その後解除権行使を認めると不測の損害が生じるからです。
@引渡し期限の9月末まであと1ヶ月ありますが,引越し先は用意に見つかりませんから,特に早めの準備行為といえませんし,引渡しには必ず必要な準備行為であり,本旨に従った履行行為の不可分的重要行為と評価できます。
第557条 買主が売主に手付を交付したときは,当事者の一方が契約の履行に着手するまでは,買主はその手付を放棄し,売主はその倍額を償還して,契約の解除をすることができる。
2 第545条第3項の規定は,前項の場合には,適用しない。