配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律

民事|DV防止法平成20年改正|施行の内容|保護命令の内容|被害者の親族への被害の防止処置

目次

  1. 質問
  2. 回答
  3. 解説
  4. 関連事例集
  5. 参考条文

質問:

1年ほど前から、夫は、酔ってけんかになると突然興奮して、殺してやる、と言いながら花瓶や食器を投げたり、包丁を出してきたりしていたのですが、幸い、目の前にたたきつけたり、壁に当たって壊れるようにしたり、床に包丁を突き刺したり、というところまででとどまっていました。

しばらく我慢していたのですが、偶然当たったらきっと大けがをしますし、とても怖い思いをして、精神科にも通い、警察や女性センターにも相談をしていて、できるだけ壊れた物等の写真を携帯等で残すようにしたりはしていました。1週間ほど前、ついに包丁を持って腕を捕まれそうになったので、とりあえず家から逃げるしかなく、実家に連絡したら、すぐに帰って来なさいといわれたので、遠方ではありましたが、いったん実家を頼りました。しかし、毎日続けて留守電やメールが来て、みっともないからすぐに帰ってこい、話せばわかるからすぐ会いに来い、どこにいるかはわかっていると言われます。

夜中には、言うことを聞かないなら、こちらから会いに行って殺してやる、お前に会えなければ、お前の父親母親も同じ目にあわせる、等と言ってきます。もちろん、携帯には出ないようにしていますが、番号を変えたことがわかると逆上されそうなので、録音やメールを保管したまま、解約できずにいます。

実家にも、手紙や電話がきます。一度週末に、実家に会いに来られて、会わせろと怒鳴られたのですが、父がここにはいないといって、警察も呼んで追い返しました。その際に、再度警察にも相談しているのですが、ゆくゆくは、実家を出なければいけないと思ってはいます。けがをしたことはないのだし、会ってしまおうか、と思ってしまうときもあります。

しかし、両親が心配して納得しませんし、その後の経済的なこともありますし、急には無理かもしれません。また、私が実家を出ても、夫が実家にこないとは限りません。現に、ここにはいないと父親が言ったのに、実家にいるんだろう、と連絡が来ます。

保護命令という制度があるとは聞いたことがあるのですが、実際に、殴る蹴る等のことをされていないと、やはり難しいでしょうか。また、私の両親を守ることは無理でしょうか。

回答:

1.あなたの場合、これまでの法律では難しかったのですが、2008年1月から施行された改正法では、裁判所の保護命令が出る可能性があります。

2.あなたは具体的に暴力を受けていませんが、夫の脅迫的言動を理由に、裁判所の保護命令により身の安全を確保することは可能です。その内容は、接近禁止命令に加えて、面会の要求、監視していると思わせるような言動、連続した、あるいは深夜の、電話やメール等を全て禁止するものも含まれます。

3.また、被害者であるあなたが、相手方に面会を強要される危険がある以上、実家のご両親を保護する目的でも保護命令の申し立ては可能です。

4.心配な点は具体的に弁護士と協議しましょう。

5.DV防止法に関する関連事例集参照。

解説:

1.配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律 DV防止法の趣旨

日本国憲法の理念は、個人の尊厳にあり(憲法13条)、夫婦間においては両性の本質的平等(憲法14条)に基づき、互いに尊重し協力し社会生活を維持していくことが求められるものであり、夫婦間において暴力脅迫行為等の違法行為があれば、法により当然刑事手続等の法的処置がおこなわれることになるはずです。

しかし、夫婦は、今尚、男性の経済的優位性、夫婦の精神的、肉体的一体性、同居協力義務という生活関係、家庭内の問題を公にできないという理由、夫婦間の暴力に関する法的手続の不備、警察権力の家庭内介入の躊躇から事実上家庭内夫婦間の暴力、脅迫等により実質的に女性側が被害を受け泣き寝入りし、このような状況が継続的恒常的に生じても事態を回避することがなかなか困難でした(DV法前文)。

そこで、法的手続きを夫婦間の暴力等に対応整備し公的機関とも協力して、夫婦の一方の被害者を相手方暴力等から実質的に保護するためにDV法は制定されました。各要件の解釈も以上の趣旨に従い、被害側女性の個人の尊厳保障という面から判断されることになります。

2.改正の経過

2001年に制定された、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律(DV防止法)」により、配偶者からの暴力等を受けた被害者からの申立により、裁判所が、警察等への相談や公証人の宣誓供述書等で立証を容易にした、迅速な手続で、被害者への接近禁止命令や退去命令といった保護命令を出せるようになり(同法10条~13条)、違反した場合には罰則を受けることになりました(同法29,30条、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金)。

また、2004年の改正により、同法による「暴力」には、身体的暴力のみならず、これに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動も含まれることになりました(同法1条)。しかし、保護命令については、配偶者から身体的な暴力を受けたときでなければ得ることができず、危険であっても、暴力を受けてからでなければ保護命令が得られないという不備が指摘されていました。また、住居等でのつきまといや付近のはいかいは禁止できても、連絡の禁止等はできず、ストーカー規制法等によらざるを得ませんでしたので、反復継続していることの立証の必要性だけでなく、メールの規制が不十分であること、迅速な手続が取りにくいこと等の問題がありました。さらに、自分や子供以外の、親族に対する行動を制約できませんでした。

これらの問題点の改善を図った、今回の2007年7月の改正法は、2008年1月11日から施行されました。

3.被害状況に関する保護命令決定の要件についての改正

まず、被害者の方が、配偶者から、身体的暴力を実際に受けなくても、「生命等に対する脅迫」、つまり、被害者の生命又は身体に対し害を加える旨を告知してする脅迫を受けた場合であっても、「その生命又は身体に重大な危害を受けるおそれが大きいとき」は、保護命令を発令することができるようになりました(同法10条1項)。

重大な危害を受けるおそれが大きい、という主張立証は、なかなか難しいことも多いのですが、ご相談のケースでは、刃物まで持ち出され、捕まえられそうになり、その後も脅迫されているのですから(その事情の立証には、警察への相談等も使えばいいと思います)、重大な危害を受けるおそれが大きい、と主張可能でしょう。改正法施行後に申立を行えれば、実際に暴力を受けていなくても、保護命令の発令は十分考えられます。

4.保護命令の具体的内容の改正

また、その保護命令の内容としても、接近禁止命令に加えて、面会の要求、監視していると思わせるような言動、連続した、あるいは深夜の、電話やメール等を全て禁止する命令も発令してもらえるよう、申し立てることになると思います(同法10条2項)。

しかし、この命令の発令についても、その生命又は身体に危害が加えられることを防止するため必要といえなければなりませんので、単に、面会の強要、連絡をされたから禁止してもらえる、というものではありません。ご相談のケースでも、遠方なので、接近だけを禁じて、連絡を無視する形をとれば、生命、身体に危害が加えられることはないのでは、と裁判所が判断してしまえば、そこまでは受けられないことになりますので、少し厳しいかもしれません。

それでも、この部分については、例えば、これまでの経験から、そのような言動をしながらますます興奮してくることが多いので、連絡をさせたままにすると危険性が高まる、一度押し掛けられたこともある、あるいは、ご両親への危害を加えるとの話も出ているので、精神状態によっては、どこまで面会を断りきれるかわからない、等の主張をしてみることが大事だと思います。

5.被害者の親族の保護に関する改正

さらに、ご親族として、ご実家のご両親に対する接近禁止命令(同法10条4項)についても、同意を得た上で(実際上は、同意書を得ることになるでしょう)、申立をすることになると思われます。ただ、この命令についても、あくまでも、ご両親を守る、という形ではなく、被害者ご自身が、面会を余儀なくされ、その際に生命身体に危害が加えられる、ということを防止するためのものですから、ただ、「住居に押し掛けて著しく粗野又は乱暴な言動を行っていることその他の事情」(この著しく、という判断をもらうのも大変な場合が多いとは思います。)があるというだけでは命令が出ません。

しかし、被害者の方が実家にいる、という意識が、既に配偶者側にあり、解消されていないこと、警察を呼び相談するほどの状況だったこと等を、しっかり主張して命令を取得すれば、結果として、実際には、ご両親を守る方法にもつながると思います。

6.裁判所との協議

以上の通り、改正されたとはいえ、被害者の方自身への、生命身体への危害を避けるため、という要件は残っていますので、申立をした保護命令が認められるとは限りませんし、一部しか認められないかもしれませんが、ご自身の接近禁止命令だけでも、えておいた方がいいと思います。相手方の住居だと遠方になってしまいますし、ご実家だろう、と思われているのであれば、ご実家の近くの裁判所で申し立てることも考えられます。住民票は実家に移さなくても、居所として申し立てることができます。その上で、実家住所が居所であることまで、相手に示さないですむよう、裁判所と相談することになります。実務上認められる場合が多いとは思いますが、弁護士に依頼して申し立てた方が安心かもしれません。

7.法律事務所との協議

ただ、罰則があるとはいえ、命令を守らないほどの感情的状態である可能性もありますから、引き続きご実家にいらっしゃるかどうかも、やはりご検討された方がいいでしょう。

ご実家の近くの女性センターで、保護施設(シェルター)の利用についてもご相談が必要でしょう。今後、離婚についての手続もとられるかもしれませんが、まずは、身の安全の確保が先決です。

お早めに、お近くの法律事務所にご相談下さい。

以上

関連事例集

Yahoo! JAPAN

※参照条文

<配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律>

(囲んだ部分は今回2007年の改正部分)

我が国においては、日本国憲法 に個人の尊重と法の下の平等がうたわれ、人権の擁護と男女平等の実現に向けた取組が行われている。

 ところが、配偶者からの暴力は、犯罪となる行為をも含む重大な人権侵害であるにもかかわらず、被害者の救済が必ずしも十分に行われてこなかった。また、配偶者からの暴力の被害者は、多くの場合女性であり、経済的自立が困難である女性に対して配偶者が暴力を加えることは、個人の尊厳を害し、男女平等の実現の妨げとなっている。

 このような状況を改善し、人権の擁護と男女平等の実現を図るためには、配偶者からの暴力を防止し、被害者を保護するための施策を講ずることが必要である。このことは、女性に対する暴力を根絶しようと努めている国際社会における取組にも沿うものである。

 ここに、配偶者からの暴力に係る通報、相談、保護、自立支援等の体制を整備することにより、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護を図るため、この法律を制定する。

(定義)

第一条  この法律において「配偶者からの暴力」とは、配偶者からの身体に対する暴力(身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼすものをいう。以下同じ。)又はこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動(以下この項において「身体に対する暴力等」と総称する。)をいい、配偶者からの身体に対する暴力等を受けた後に、その者が離婚をし、又はその婚姻が取り消された場合にあっては、当該配偶者であった者から引き続き受ける身体に対する暴力等を含むものとする。

2  この法律において「被害者」とは、配偶者からの暴力を受けた者をいう。

3  この法律にいう「配偶者」には、婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含み、「離婚」には、婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にあった者が、事実上離婚したと同様の事情に入ることを含むものとする。

第四章 保護命令

(保護命令)

第十条  被害者(配偶者からの身体に対する暴力又は生命等に対する脅迫(被害者の生命又は身体に対し害を加える旨を告知してする脅迫をいう。以下この章において同じ。)を受けた者に限る。以下この章において同じ。)が、配偶者からの身体に対する暴力を受けた者である場合にあっては配偶者からの更なる身体に対する暴力(配偶者からの身体に対する暴力を受けた後に、被害者が離婚をし、又はその婚姻が取り消された場合にあっては、当該配偶者(配偶者からの身体に対する暴力を受けた後に、被害者が離婚をし、又はその婚姻が取り消された場合にあっては、当該配偶者であった者。以下この条、同項第三号及び第十八条第一項において同じ。)であった者から引き続き受ける身体に対する暴力。第十二条第一項第二号において同じ。)により、配偶者からの生命等に対する脅迫を受けた者である場合にあっては配偶者から受ける身体に対する暴力(配偶者からの生命等に対する脅迫を受けた後に、被害者が離婚をし、又はその婚姻が取り消された場合にあっては、当該配偶者であった者から引き続き受ける身体に対する暴力。同号において同じ。)により、その生命又は身体に重大な危害を受けるおそれが大きいときは、裁判所は、被害者の申立てにより、その生命又は身体に危害が加えられることを防止するため、当該配偶者(配偶者からの身体に対する暴力又は生命等に対する脅迫を受けた後に、被害者が離婚をし、又はその婚姻が取り消された場合にあっては、当該配偶者であった者。以下この条、同項第三号及び第四号並びに第十八条第一項において同じ。)に対し、次の各号に掲げる事項を命ずるものとする。ただし、第二号に掲げる事項については、申立ての時において被害者及び当該配偶者が生活の本拠を共にする場合に限る。

一  命令の効力が生じた日から起算して六月間、被害者の住居(当該配偶者と共に生活の本拠としている住居を除く。以下この号において同じ。)その他の場所において被害者の身辺につきまとい、又は被害者の住居、勤務先その他その通常所在する場所の付近をはいかいしてはならないこと。

二  命令の効力が生じた日から起算して二月間、被害者と共に生活の本拠としている住居から退去すること及び当該住居の付近をはいかいしてはならないこと。

2 前項本文に規定する場合において、同項第一号の規定による命令を発する裁判所又は発した裁判所は、被害者の申立てにより、その生命又は身体に危害が加えられることを防止するため、当該配偶者に対し、命令の効力が生じた日以後、同項の規定による命令の効力が生じた日から起算して六月を経過する日までの間、被害者に対して次の各号に掲げるいずれの行為もしてはならないことを命ずるものとする。

一 面会を要求すること。

二 その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。

三 著しく粗野又は乱暴な言動をすること。

四 電話をかけて何も告げず、又は緊急やむを得ない場合を除き、連続して、電話をかけ、ファクシミリ装置を用いて送信し、又は電子メールを送信すること。

五 緊急やむを得ない場合を除き、午後十時から午前六時までの間に、電話をかけ、ファクシミリ装置を用いて送信し、又は電子メールを送信すること。

六 汚物、動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し、又はその知り得る状態に置くこと。

七 その名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。

八 その性的羞恥心を害する事項を告げ、若しくはその知り得る状態に置き、又はその性的羞恥心を害する文書、図画その他の物を送付し、若しくはその知り得る状態に置くこと。

3  第一項本文に規定する場合において、被害者がその成年に達しない子(以下この項及び次項並びに第十二条第一項第三号において単に「子」という。)と同居しているときであって、配偶者が幼年の子を連れ戻すと疑うに足りる言動を行っていることその他の事情があることから被害者がその同居している子に関して配偶者と面会することを余儀なくされることを防止するため必要があると認めるときは、第一項第一号の規定による命令を発する裁判所又は発した裁判所は、被害者の申立てにより、その生命又は身体に危害が加えられることを防止するため、当該配偶者に対し、命令の効力が生じた日以後、同号の規定による命令の効力が生じた日から起算して六月を経過する日までの間、当該子の住居(当該配偶者と共に生活の本拠としている住居を除く。以下この項において同じ。)、就学する学校その他の場所において当該子の身辺につきまとい、又は当該子の住居、就学する学校その他その通常所在する場所の付近をはいかいしてはならないことを命ずるものとする。ただし、当該子が十五歳以上であるときは、その同意がある場合に限る。

4 第一項本文に規定する場合において、配偶者が被害者の親族その他被害者と社会生活において密接な関係を有する者(被害者と同居している子及び配偶者と同居している子を除く。以下この項及び事項並びに第十二条第一項第四号において「親族等」という。)の住居に押し掛けて著しく粗野又は乱暴な言動を行っていることその他の事情があることから被害者がその親族等に関して配偶者と面会することを余儀なくされることを防止するため必要があると認めるときには、第一項第一号の規定による命令を発する裁判所又は発した裁判所は、被害者の申立てにより、その生命又は身体に危害が加えられることを防止するため、当該配偶者に対し、命令の効力が生じた日以後、同号の規定による命令の効力が生じた日から起算して六月を経過する日までの間、当該親族等の住居(当該配偶者と共に生活の本拠としている住居を除く。以下この項において同じ。)その他の場所において当該親族等の身辺につきまとい、又は当該親族等の住居、勤務先その他その通常所在する場所の付近をはいかいしてはならないことを命ずるものとする。

5 前項の申立ては、当該親族等(被害者の十五歳未満の子を除く。以下この項に置いて同じ)の同意(当該親族等が十五歳未満の者又は成年被後見人である場合にあっては、その法定代理人の同意)がある場合に限り、することができる。

(管轄裁判所)

第十一条  前条第一項の規定による命令の申立てに係る事件は、相手方の住所(日本国内に住所がないとき又は住所が知れないときは居所)の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。

2  前条第一項の規定による命令の申立ては、次の各号に掲げる地を管轄する地方裁判所にもすることができる。

一  申立人の住所又は居所の所在地

二  当該申立てに係る配偶者からの身体に対する暴力又は生命等に対する脅迫が行われた地

(保護命令の申立て)

第十二条  第十条第一項から第四項までの規定による命令(以下「保護命令」という。)の申立ては、次に掲げる事項を記載した書面でしなければならない。

一  配偶者からの身体に対する暴力又は生命等に対する脅迫を受けた状況

二  配偶者からの更なる身体に対する暴力又は配偶者からの生命等に対する脅迫を受けた後の配偶者から受ける身体に対する暴力により、生命又は身体に重大な危害を受けるおそれが大きいと認めるに足りる申立ての時における事情

三  第十条第三項の規定による命令の申立てをする場合にあっては、被害者が当該同居している子に関して配偶者と面会することを余儀なくされることを防止するため当該命令を発する必要があると認めるに足りる申立ての時における事情

四 第十条第四号の規定による命令の申立をする場合にあっては、被害者が当該親族等に関して被害者と面会することを余儀なくされることを防止するため当該命令を発する必要があると認めるに足りる申立の時における事情

五  配偶者暴力相談支援センターの職員又は警察職員に対し、前各号に掲げる事項について相談し、又は援助若しくは保護を求めた事実の有無及びその事実があるときは、次に掲げる事項

イ 当該配偶者暴力相談支援センター又は当該警察職員の所属官署の名称

ロ 相談し、又は援助若しくは保護を求めた日時及び場所

ハ 相談又は求めた援助若しくは保護の内容

ニ 相談又は申立人の求めに対して執られた措置の内容

2  前項の書面(以下「申立書」という。)に同項第五号イからニまでに掲げる事項の記載がない場合には、申立書には、同項第一号から第四号までに掲げる事項についての申立人の供述を記載した書面で公証人法 (明治四十一年法律第五十三号)第五十八条ノ二第一項 の認証を受けたものを添付しなければならない。

(迅速な裁判)

第十三条  裁判所は、保護命令の申立てに係る事件については、速やかに裁判をするものとする。

第六章 罰則

第二十九条  保護命令に違反した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

第三十条  第十二条第一項(第十八条第二項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)の規定により記載すべき事項について虚偽の記載のある申立書により保護命令の申立てをした者は、十万円以下の過料に処する。