新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.804、2008/10/28 10:55 https://www.shinginza.com/qa-hasan.htm

【民事・破産宣告後、破産者は消費者金融に対し過払い請求が可能か】

質問:私は平成15年に自己破産をしました。当時、過払金という言葉は聞いたことがなかったので全く気にもとめませんでしたが、最近、過払金という言葉をよく耳にします。実は平成6年に借入れを開始し、平成13年に完済した消費者金融があるのですが、自己破産していても、今から過払金の返還請求はできますか?

回答:
1.今からでも過払金返還請求は可能です。自己破産宣告をしたことにより、過払金返還請求権を失うことはありません。
2.破産宣告が言い渡され、管財人がいれば、管財人が破産財団を構成する債権として過払い請求できますが、同時廃止、又は管財人がいても破産手続きが終結していれば貴方が、過払請求することができます。唯、免責手続き中に裁判所に判明すれば、回収した過払い金は、破産債権者に平等に分配することが免責の条件になる可能性があります。

解説:
1.(一般原則)貴方の破産手続きが継続中であり管財人がいれば、過払い返還請求権は破産財団(破産法2条14項、34条、78条)を構成する立派な財産ですから、管財人は支払いに応じない消費者金融に対して訴訟を提起することになります。配当(法220条)、又は同時廃止(法217条)により破産手続き終了後明らかになった場合、故意に請求権を隠していれば、「破産財団に属し、又は属すべき財産の隠匿」に該当するので、免責の決定に影響があり不許可の可能性もあります(法252条1項1号)。不許可にならなくても、免責の条件として過払い請求により得た財産は総債権者に対する一部弁済金として考慮されるでしょう(法252条2項)。なぜなら、破産手続きが終了しても過払い金はもともと破産財団に属するもので総債権者に支払われる性質のものだからです。また免責決定が出た後でも、「財産隠匿」として詐欺破産罪に該当すれば処罰されますし、免責自体が取り消される場合もあります(法254条、265条)。さらに、悪意で過払い請求権を隠していたのですから違法性が前述のように大きく、クリーンハンドの原則(民法708条)の趣旨から権利濫用として請求は認められないと思われます。破産、免責手続きは、自らが再起更生するために本来支払わなければならない債務の免除を受けるのですから、残り少ない財産を公正、平等に債権者に弁済することが条件であり、悪意で過払い請求権を破産手続において提出しなかったものは保護に値しないと考えられるからです。

2.(問題点の指摘)本件の場合は、過払い請求という権利があること自体が破産、免責手続中理解できなかった事情があり、このような場合に破産者に請求権を認めてもいいかは問題です。というのは、過払い請求権の存在を気付いたのは免責手続き終了後かも知れませんが、破産宣告前に過払いの状態が生じており理論上は破産宣告前に請求権が存在するのであるから、宣告前の財産として本来破産財団に属するものであり、債権者の配当弁済に当てられる性格のものだからです。又、公平上破産者は免責を受けているのですから、さらに破産宣告前の財産を認める必要があるか問題があります。さらに、破産宣告によりこの過払い請求権は理論上管財人の管理下にあり、破産者に訴訟上の当事者適格が奪われている状態であり(法34条、78条)、破産終結と同時に破産者に当事者適格が戻るのかという問題も残されています。

3.(結論)破産者が過払い請求権自体の内容、存在を知らないような状況であれば破産、免責後請求は可能であると考えられます。以下、その理由をご説明します。

4.まず破産手続きの目的は、債権者に対する公平、平等な弁済と破産者の早期の経済的更生にあります。従って、手続きは、適正、公平、迅速におこなう必要あるのです(破産法1条)。その根拠は、個人の尊厳と公正な社会秩序の建設にあります(憲法13条。法の支配の理念)。自由主義経済体制は、自由競争の結果必ず勝者と敗者を生み資本の蓄積により恒常的にその差は拡大します。この経済体制は、公正な社会秩序建設の手段ですからこのような不公平な状態は直ちに是正されなければならず、経済的破綻者はただちに債権者に負債を適正公平に整理弁済し再起更生でき権利を有するのです。これが破産手続きです。従って、破産手続きの解釈については、債権者の公平な配当弁済、破産者の経済的早期再起更生という点から行うことになります(事務所ホームページ、法の支配と民事訴訟実務入門各論19、債務整理参照)。

5.この問題について貸金業者からは、破産手続(免責手続も含む)によって、債務をゼロにしておきながら、後になって過払金の返還を請求するのは、信義則に反し、権利の濫用であるとの主張を受けることがありますが、この主張は明らかに誤っています。この点、仙台高等裁判所平成17年5月25日判決等、複数の裁判例が貸金業者のこれらの主張を排斥する判断を下しています。仙台高裁も利息制限法に反して不当、高利の金員を支払った破産者の利益を保護しても破産債権者ではない消費者金融業者に特別不利益ではないし不公平ではないという判断をしています。破産の目的は、破産債権者への公平な配当ですが、消費者金融は、破産債権者ではなく単に破産者から不当な利息をうけただけであり保護の対象外にありますから当然の解釈です。破産債権が手続き終了後異議を述べれば別でしょうが(免責取り消しなどの主張)、それがない以上破産者の早期更生のため過払い請求は可能であると考えざるを得ないでしょう。

6.破産手続の際、財産目録に過払金を記載しなかったことが、破産法第265条1項1号の「財産隠匿」にあたるのではないか、つまり詐欺破産罪に該当するのではないかという問題があります。しかしながら、財産隠匿は故意に財産を隠すものであり本件のように法的に請求権があるかどうか理解できないような場合は該当しません。そもそも過払金返還請求が一般的に認められるようになったのは、ごく最近のことですから、平成15年の破産手続の際に、過払金の存在を知らずに財産目録に記載しなかったことで財産隠匿をしたと考えることはできません。以前、貸金業者は債務者との過去の取引履歴を開示することを拒否することも少なくなかったため、過払金の存在を確認できないケースも多く存在しました。この問題が解決したのは、平成17年7月19日の最高裁判決以降のことです。この判決で、貸金業者は、債務者から取引履歴の開示を求められた場合、金銭消費貸借契約の付随義務として、信義則上、業務帳簿に基づいて取引履歴を開示する義務を負うことが明確になりました。つまり平成15年当時の実務では過払いかどうかを確定することは今ほど容易なことではありませんでした。

7.また、貸金業者側の貸金業法第43条1項のみなし弁済(任意による利息制限法超過利息の支払いを有効とすること )の主張についても最近まで激しく争われていました。これが認められないことがほぼ確実と言える状況になったのは、平成18年1月13日の最高裁判決が出された以降のことです。この判決では、消費貸借契約に期限の利益喪失約款が付いている場合には、業法43条の要件を満たしていたとしても利息制限法の制限超過部分の支払いを債務者に事実上強制することになるとして、債務者が自己の自由な意思によって制限超過部分を支払ったものということはできないという判断をしました。すなわち「債務者が利息として任意に支払った金銭」とは評価できないということです。又、判例により貸付、弁済終了の各契約を一体として評価し過払い金の新たな契約に対しての充当も認められています。破産事件を取り扱う全国の地方裁判所の対応も、過払金返還請求等に関する判例の影響を受け、平成18年の判決以降くらいからは、明確に過払金を債務者の財産として考えるようになったように思います。それ以前は、少なくとも、過払金を回収容易な財産とは考えていなかったと言えます。

8.原則論から言えば、破産宣告前に生じていた過払い請求権は本来破産財団に属するので破産者に認められるか疑問ですが、この過払い請求権は通常破産者が有する所有権、債権と異なり前述のように判例上解釈により認められてきた権利ですから、本件の経過から破産宣告後に判例上認められ生じた財産、すなわち破産者の自由財産の面もあり、一概に破産財団に属すると断定することもできない面があります。破産者の経済的更生の面を強調すれば自由財産と同様な評価が可能でしょう。

9.尚、当事者適格の問題ですが、当事者適格とは訴訟を具体的に追行する資格を言いますが、破産財団を構成する財産の権利自体はもともと破産者に帰属しますが、残り少ない財産を適正公平、迅速に分配するため中立性を有する管財人が財産の管理処分権を有するところに管財人に当事者適格が与えられる根拠があります(法80条)。しかし、破産、免責手続きが終了し管財人の職務が終了した以上、その反射的効果として破産者に管理処分権、当事者適格が回復されると考えることができるので問題はないと考えられます。

10.このように、消費者問題に関する実務の運用は大きく変化して来ていますので、この事案のように、過払金の存在を認識せずに数年前に自己破産している事案について、今から過払金返還請求を行うことは何ら問題ないと言えます。

11.前述のように、これから自己破産の申立をする場合に、過払金が存在するにもかかわらずあえて財産目録に記載せずに手続を行えば、破産法第265条1項1号の「財産隠匿」にあたり、詐欺破産罪という犯罪にあたる可能性がありますし免責にも大きく影響します。又、過払い請求が確立した現状で請求権の存在を知らなかったということで破産者の自由財産として必ず請求が認められるかどうかは今後の判例を検討する必要があると思います。

12.自己破産をしているからと言って、貸金業者に対する過払金返還請求を躊躇する方もいるかもしれませんが、そもそも多くの貸金業者が、利息制限法という強行法規に違反した違法な高金利で貸付けを行い、それによって不当な利益を得て来たわけですから、その返還を受けること自体は当然の権利であり、何ら躊躇する必要はありません。なお、過払い金返還請求権の消滅時効は、最終取引日より10年とされていますので、消滅時効に関しては注意が必要です。

《参照条文》

憲法
第十三条  すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

破産法
(目的)
第一条  この法律は、支払不能又は債務超過にある債務者の財産等の清算に関する手続を定めること等により、債権者その他の利害関係人の利害及び債務者と債権者との間の権利関係を適切に調整し、もって債務者の財産等の適正かつ公平な清算を図るとともに、債務者について経済生活の再生の機会の確保を図ることを目的とする。
(定義)
第二条  この法律において「破産手続」とは、次章以下(第十二章を除く。)に定めるところにより、債務者の財産又は相続財産若しくは信託財産を清算する手続をいう。
2  この法律において「破産事件」とは、破産手続に係る事件をいう。
3  この法律において「破産裁判所」とは、破産事件が係属している地方裁判所をいう。
4  この法律において「破産者」とは、債務者であって、第三十条第一項の規定により破産手続開始の決定がされているものをいう。
5  この法律において「破産債権」とは、破産者に対し破産手続開始前の原因に基づいて生じた財産上の請求権(第九十七条各号に掲げる債権を含む。)であって、財団債権に該当しないものをいう。
6  この法律において「破産債権者」とは、破産債権を有する債権者をいう。
7  この法律において「財団債権」とは、破産手続によらないで破産財団から随時弁済を受けることができる債権をいう。
8  この法律において「財団債権者」とは、財団債権を有する債権者をいう。
9  この法律において「別除権」とは、破産手続開始の時において破産財団に属する財産につき特別の先取特権、質権又は抵当権を有する者がこれらの権利の目的である財産について第六十五条第一項の規定により行使することができる権利をいう。
10  この法律において「別除権者」とは、別除権を有する者をいう。
11  この法律において「支払不能」とは、債務者が、支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態(信託財産の破産にあっては、受託者が、信託財産による支払能力を欠くために、信託財産責任負担債務(信託法 (平成十八年法律第百八号)第二条第九項 に規定する信託財産責任負担債務をいう。以下同じ。)のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態)をいう。
12  この法律において「破産管財人」とは、破産手続において破産財団に属する財産の管理及び処分をする権利を有する者をいう。
13  この法律において「保全管理人」とは、第九十一条第一項の規定により債務者の財産に関し管理を命じられた者をいう。
14  この法律において「破産財団」とは、破産者の財産又は相続財産若しくは信託財産であって、破産手続において破産管財人にその管理及び処分をする権利が専属するものをいう。
(破産財団の範囲)
第三十四条  破産者が破産手続開始の時において有する一切の財産(日本国内にあるかどうかを問わない。)は、破産財団とする。
2  破産者が破産手続開始前に生じた原因に基づいて行うことがある将来の請求権は、破産財団に属する。
(破産管財人の権限)
第七十八条  破産手続開始の決定があった場合には、破産財団に属する財産の管理及び処分をする権利は、裁判所が選任した破産管財人に専属する。
(当事者適格)
第八十条  破産財団に関する訴えについては、破産管財人を原告又は被告とする。
(破産手続開始の決定後の破産手続廃止の決定)
第二百十七条  裁判所は、破産手続開始の決定があった後、破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足すると認めるときは、破産管財人の申立てにより又は職権で、破産手続廃止の決定をしなければならない。この場合においては、裁判所は、債権者集会の期日において破産債権者の意見を聴かなければならない。
(破産手続終結の決定)
第二百二十条  裁判所は、最後配当、簡易配当又は同意配当が終了した後、第八十八条第四項の債権者集会が終結したとき、又は第八十九条第二項に規定する期間が経過したときは、破産手続終結の決定をしなければならない。
2  裁判所は、前項の規定により破産手続終結の決定をしたときは、直ちに、その主文及び理由の要旨を公告し、かつ、これを破産者に通知しなければならない。
(免責許可の決定の要件等)
第二百五十二条  裁判所は、破産者について、次の各号に掲げる事由のいずれにも該当しない場合には、免責許可の決定をする。
一  債権者を害する目的で、破産財団に属し、又は属すべき財産の隠匿、損壊、債権者に不利益な処分その他の破産財団の価値を不当に減少させる行為をしたこと。
二  破産手続の開始を遅延させる目的で、著しく不利益な条件で債務を負担し、又は信用取引により商品を買い入れてこれを著しく不利益な条件で処分したこと。
三  特定の債権者に対する債務について、当該債権者に特別の利益を与える目的又は他の債権者を害する目的で、担保の供与又は債務の消滅に関する行為であって、債務者の義務に属せず、又はその方法若しくは時期が債務者の義務に属しないものをしたこと。
四  浪費又は賭博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担したこと。
五  破産手続開始の申立てがあった日の一年前の日から破産手続開始の決定があった日までの間に、破産手続開始の原因となる事実があることを知りながら、当該事実がないと信じさせるため、詐術を用いて信用取引により財産を取得したこと。
六  業務及び財産の状況に関する帳簿、書類その他の物件を隠滅し、偽造し、又は変造したこと。
七  虚偽の債権者名簿(第二百四十八条第五項の規定により債権者名簿とみなされる債権者一覧表を含む。次条第一項第六号において同じ。)を提出したこと。
八  破産手続において裁判所が行う調査において、説明を拒み、又は虚偽の説明をしたこと。
九  不正の手段により、破産管財人、保全管理人、破産管財人代理又は保全管理人代理の職務を妨害したこと。
十  次のイからハまでに掲げる事由のいずれかがある場合において、それぞれイからハまでに定める日から七年以内に免責許可の申立てがあったこと。
イ 免責許可の決定が確定したこと 当該免責許可の決定の確定の日
ロ 民事再生法 (平成十一年法律第二百二十五号)第二百三十九条第一項 に規定する給与所得者等再生における再生計画が遂行されたこと 当該再生計画認可の決定の確定の日
ハ 民事再生法第二百三十五条第一項 (同法第二百四十四条 において準用する場合を含む。)に規定する免責の決定が確定したこと 当該免責の決定に係る再生計画認可の決定の確定の日
十一  第四十条第一項第一号、第四十一条又は第二百五十条第二項に規定する義務その他この法律に定める義務に違反したこと。
2  前項の規定にかかわらず、同項各号に掲げる事由のいずれかに該当する場合であっても、裁判所は、破産手続開始の決定に至った経緯その他一切の事情を考慮して免責を許可することが相当であると認めるときは、免責許可の決定をすることができる。
3  裁判所は、免責許可の決定をしたときは、直ちに、その裁判書を破産者及び破産管財人に、その決定の主文を記載した書面を破産債権者に、それぞれ送達しなければならない。この場合において、裁判書の送達については、第十条第三項本文の規定は、適用しない。
4  裁判所は、免責不許可の決定をしたときは、直ちに、その裁判書を破産者に送達しなければならない。この場合においては、第十条第三項本文の規定は、適用しない。
5  免責許可の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
6  前項の即時抗告についての裁判があった場合には、その裁判書を当事者に送達しなければならない。この場合においては、第十条第三項本文の規定は、適用しない。
7  免責許可の決定は、確定しなければその効力を生じない。
(免責取消しの決定)
第二百五十四条  第二百六十五条の罪について破産者に対する有罪の判決が確定したときは、裁判所は、破産債権者の申立てにより又は職権で、免責取消しの決定をすることができる。破産者の不正の方法によって免責許可の決定がされた場合において、破産債権者が当該免責許可の決定があった後一年以内に免責取消しの申立てをしたときも、同様とする。
2  裁判所は、免責取消しの決定をしたときは、直ちに、その裁判書を破産者及び申立人に、その決定の主文を記載した書面を破産債権者に、それぞれ送達しなければならない。この場合において、裁判書の送達については、第十条第三項本文の規定は、適用しない。
3  第一項の申立てについての裁判及び職権による免責取消しの決定に対しては、即時抗告をすることができる。
4  前項の即時抗告についての裁判があった場合には、その裁判書を当事者に送達しなければならない。この場合においては、第十条第三項本文の規定は、適用しない。
5  免責取消しの決定が確定したときは、免責許可の決定は、その効力を失う。
6  免責取消しの決定が確定した場合において、免責許可の決定の確定後免責取消しの決定が確定するまでの間に生じた原因に基づいて破産者に対する債権を有するに至った者があるときは、その者は、新たな破産手続において、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
7  前条第三項の規定は、免責取消しの決定が確定した場合について準用する。
(詐欺破産罪)
第二百六十五条  破産手続開始の前後を問わず、債権者を害する目的で、次の各号のいずれかに該当する行為をした者は、債務者(相続財産の破産にあっては相続財産、信託財産の破産にあっては信託財産。次項において同じ。)について破産手続開始の決定が確定したときは、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。情を知って、第四号に掲げる行為の相手方となった者も、破産手続開始の決定が確定したときは、同様とする。
一  債務者の財産(相続財産の破産にあっては相続財産に属する財産、信託財産の破産にあっては信託財産に属する財産。以下この条において同じ。)を隠匿し、又は損壊する行為
二  債務者の財産の譲渡又は債務の負担を仮装する行為
三  債務者の財産の現状を改変して、その価格を減損する行為
四  債務者の財産を債権者の不利益に処分し、又は債権者に不利益な債務を債務者が負担する行為
2  前項に規定するもののほか、債務者について破産手続開始の決定がされ、又は保全管理命令が発せられたことを認識しながら、債権者を害する目的で、破産管財人の承諾その他の正当な理由がなく、その債務者の財産を取得し、又は第三者に取得させた者も、同項と同様とする。

貸金業法
(任意に支払つた場合のみなし弁済)
第43条 貸金業者が業として行う金銭を目的とする消費貸借上の利息の契約に基づき、債務者が利息として任意に支払つた金銭の額が、利息制限法第1条第1項に定める利息の制限額を超える場合において、その支払が次の各号に該当するときは、当該超過部分の支払は、同項の規定にかかわらず、有効な利息の債務の弁済とみなす。
1.第17条第1項(第24条第2項、第24条の2第2項、第24条の3第2項、第24条の4第2項及び第24条の5第2項において準用する場合を含む。以下この号において同じ。)の規定により第17条第1項に規定する書面を交付している場合若しくは第16条の2第1項並びに第17条第3項及び第4項(これらの規定を第24条第2項、第24条の2第2項、第24条の3第2項、第24条の4第2項及び第24条の5第2項において準用する場合を含む。以下この号において同じ。)の規定により第16条の2第1項並びに第17条第3項及び第4項に規定するすべての書面を交付している場合におけるその交付をしている者に対する貸付けに係る契約(極度方式貸付けに係る契約を除く。)若しくは当該貸付けに係る契約に係る保証契約に基づく支払又は第17条第1項及び第2項(これらの規定を第24条第2項、第24条の2第2項、第24条の3第2項、第24条の4第2項及び第24条の5第2項において準用する場合を含む。以下この号において同じ。)の規定により第17条第1項及び第2項に規定するすべての書面を交付している場合若しくは第16条の2第1項及び第17条第3項から第5項まで(これらの規定を第24条第2項、第24条の2第2項、第24条の3第2項、第24条の4第2項及び第24条の5第2項において準用する場合を含む。以下この号において同じ。)の規定により第16条の2第1項及び第17条第3項から第5項までに規定するすべての書面を交付している場合におけるその交付をしている者に対する極度方式貸付けに係る契約若しくは当該契約に係る保証契約に基づく支払
2.第18条第1項(第24条第2項、第24条の2第2項、第24条の3第2項、第24条の4第2項及び第24条の5第2項において準用する場合を含む。以下この号において同じ。)の規定により第18条第1項に規定する書面を交付した場合における同項の弁済に係る支払
2 前項の規定は、次の各号に掲げる支払に係る同項の超過部分の支払については、適用しない。
1.第24条の6の4第1項の規定による業務の停止の処分に違反して貸付けの契約が締結された場合又は当該処分に違反して締結された貸付けに係る契約について保証契約が締結された場合における当該貸付けの契約又は当該保証契約に基づく支払
2.物価統制令第12条の規定に違反して締結された貸付けの契約又は同条の規定に違反して締結された貸付けに係る契約に係る保証契約に基づく支払
3.出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律第5条第2項の規定に違反して締結された貸付けに係る契約又は当該貸付けに係る契約に係る保証契約に基づく支払
3 前2項の規定は、貸金業者が業として行う金銭を目的とする消費貸借上の債務の不履行による賠償額の予定に基づき、債務者が賠償として任意に支払つた金銭の額が、利息制限法第4条第1項に定める賠償額の予定の制限額を超える場合において、その支払が第1項各号に該当するときに準用する。

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