新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース 質問:会社を定年後に、趣味の同好会や、ボランティア活動をしたいとおもいます。何人か仲間が居るので、将来的には、社会的な信用を得るために、法人設立もしたいとおもいます。公益法人について、どのようなものがあるのか、各法人の違いも含めて教えてください。 2.趣味の同好会のように特定の社会貢献の目的がないようであれば、平成20年12月1日施行の「一般社団法人、一般財団法人」がいいと思います。要件さえ満たしていれば届け出により設立が可能です(これを準則主義といいます)。運営は法人の自主性に任され、会社と同じように国家は介入しません。公益性がありませんから印紙等設立手数料等は会社の設立と同じく必要ですが10万円程度です(株式会社の場合24万円程度)。委任の手続き費用は別途必要です。申請から手続き終了までの期間は1カ月程度です。収益事業については勿論課税されます。 3.特別の公益的な目的があれば、民法上の典型的非営利法人として明治時代からある「公益社団法人、公益財団法人」の申請もできますが(民法34条、全国に25000あります)、公益性から目的が限られ税金の関係上(原則非課税、収益事業には課税されますが一般法人より低額)国(主務官庁)の許可が必要ですし(許可主義といいます)、監督も厳しくなっています。規模、要件が厳格で設立手続きも複雑で貴方の希望には合いません。例えば、医療、学術(財団)、日本医師会、日本赤十字等各種学術団体(社団)などです。この特別法として宗教法人法(昭和26年)、私立学校法(昭和24年成立)があります。付随的に営利行為もできることになっています。財団の基本財産1億円が基準になっているようです。一般財団法人では300万円以上で設立が可能です(法153条2項)。 4.他に、法人格を持たない団体でいいというのであれば「法人格なき社団」もあります。 5.順番にご説明いたします。 解説: 1.(権利能力なき社団)町内会や趣味の同好会など、個人が集まって活動する団体で、法律上の法人格が付与されていない団体を、「法人格なき社団」と言います。勿論、ボランティア団体を、「法人格なき社団」の形式で運営することもできます。活動の初期は、通常、この形式で運営されることが多いと思います。法人格がありませんので、具体的な法律の規定はありませんが、社会的に多数の団体が運営され、トラブルに巻き込まれることもあるので、民事訴訟法では、裁判の当事者能力を認めています。民事訴訟法29条「法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものは、その名において訴え、又は訴えられることができる。」 判例では、次のような定義がされています。 2.(NPO法人)次に「特定非営利活動法人(いわゆるNPO法人)」を説明します。これは、特定非営利活動促進法(以下NPO法)を根拠とする法人で、法律により次のように定義されています。 NPO法2条 この法律において「特定非営利活動」とは、別表に掲げる活動に該当する活動であって、不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与することを目的とするものをいう。 NPO法 別表(第2条関係) NPO法人の設立手続では、「認証主義」が採用されており、必要書類が整い、最低限度の条件を満たせば原則として設立することができます。公益性があるので認証申請にも登記申請にも、税金は一切かかりません。 NPO法12条(認証の基準等)所轄庁は、第十条第一項の認証の申請が次の各号に適合すると認めるときは、その設立を認証しなければならない。 設立時の最低基金の定めはありませんが、社員は10名以上(法12条1項4号)必要です。社員の責任は有限責任と解釈されており、法人の責任を、社員個人が負担することはありません。この法人の特徴は、特定非営利活動に支障が無い範囲で、収益活動(サービス代金の徴収など)ができることですが、収益はすべて、非営利活動の為に使われなければなりません。株式会社の様に、社員に対して利益配当することはできません。法人を解散するときの残余財産を社員で分配することもできません。残余財産の帰属は、他の公益法人や地方自治体や国に限定されています(NPO法32条)。NPO法人では、株式会社のような、持分割合の考え方はありません。全社員は、平等な社員権を有します。持分の譲渡をすることもできません。入会方法については、定款で定めることができますが、法律上、社員の入会の条件に「不当な条件」を定めることが出来ません(NPO法2条2項1号)。つまり、創業者や理事の思いのままに法人を運営することは出来ないということです。設立当初は創業者が理事を担当することが出来ますが、後日、条件を満たした入会申請があれば、これを受け付けなければならず、入会した社員には、社員総会での発言権や議決権が平等に与えられます。創業者といえども社員総会の決議で理事を解任されるかもしれません。これは、ボランティア活動を発展させるというNPO法の精神に則って、オープンに組織が運営されなければならないと国会審議の中で議論されたためであると考えられます。 3.(「一般社団法人」「一般財団法人」)、最後に、「一般社団法人」「一般財団法人」について説明します。根拠規定は平成18年に制定された「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(以下法という)」です。平成18年以前の「中間法人法」が廃止されて移行された新しい法人です。平成20年度に施行される予定です。一般社団法人及び一般財団法人は、その行う事業の公益性の有無にかかわらず(株式会社などの様に)、準則主義により登記することによって設立させることができます。従って、純粋な公益目的でなくても、従来の中間法人のように、社員に共通する利益を図る目的(学校の同窓会や、業界団体や、互助会など)でも設立することができます。定款(法人の基本規定)に加えられる法律の制限は、「社員又は設立者に剰余金又は残余財産の分配を受ける権利を与える旨の定款の定めは効力を有しない(法11条2項、法153条3項)」という点が最も重要です。つまり、一度、一般社団法人や一般財団法人の資産に組み入れられた資産は、構成員に分配することは出来ないことになります。 一般社団法人は2名以上の社員により設立することができます(法10条)。社員の責任は、定款に定められた経費の範囲に制限されます(法27条)。通常は、社員の年会費を定めて、これ以上の責任は負担しないものと考えられます。一般社団法人に必ず設置される機関は、社員総会と、理事です。社員総会の多数決で理事を選任します。理事は、株式会社における取締役同様に、法人との関係は委任関係となります(法64条)。つまり善良なる管理者の注意を払うべき義務が課せられます。法人の資産を不当に減少させると個人責任を負担する可能性があります。その他、必要に応じて、理事会、監事、会計監査人を設置することができます(法60条2項)。一般社団法人の社員は、各自1個の議決権を有しますが、定款で別段の定めをすることにより、設立時の社員に複数の議決権を持たせるなど優遇することもできます(法48条 社員は、各一個の議決権を有する。ただし、定款で別段の定めをすることを妨げない。)。一般財団法人は、300万円以上の基金により設立することができます(法153条2項)。しかし、法人の純資産が2期連続で300万円を下回ると法律上当然に解散します(法202条2項)。一般財団法人の定款における「目的」及び「評議員の選任・解任の方法」は、設立者の意思を尊重する必要があるため、原則として変更することができません(法200条1項)。 一般財団法人に必ず設置される機関は、評議員(3人以上)、評議員会、理事(3人以上)、理事会及び監事です(法170条1項)。必要に応じて、会計監査人を設置することができます(法170条2項)。評議員会は多数決により理事を選任(解任)し、理事会は代表理事を選任(解任)します。監事は、理事の職務執行を監査し、監査報告書を作成します。評議員は、理事・監事・その他使用人(法人の従業員)を兼任することができません。評議員は定款で定められた報酬を受けとることができます(法196条)。理事・監事・会計監査人は、定款又は評議員会で定められた報酬を受け取ることができます(法89条、法105条、)。一般財団法人の評議員・理事・監事・会計監査人と、法人との関係は委任契約の関係となります(法172条1項)。役員は、法人の資産に対して、善良なる管理者の注意を払うべき義務が課せられます。つまり法人の資産を不当に減少させると個人責任を負担する可能性があります。法172条2項では、理事の義務を具体的に規定しています。「理事は、一般財団法人の財産のうち一般財団法人の目的である事業を行うために不可欠なものとして定款で定めた基本財産があるときは、定款で定めるところにより、これを維持しなければならず、かつ、これについて一般財団法人の目的である事業を行うことを妨げることとなる処分をしてはならない。」 4.一般社団法人も一般財団法人も、活動実績や財務状況によって、「公益社団法人」や「公益財団法人」として認定を受け税法上の優遇措置を受けることができます。認定基準や手続は、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(以下、公益法人認定法という)により規定されています。公益法人認定法では、公益目的事業は次の様に定義されています。公益法人認定法2条4号 公益目的事業 学術、技芸、慈善その他の公益に関する別表各号に掲げる種類の事業であって、不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与するものをいう。 別表(第二条関係) 5.上記の通り、NPO法制定や、公益法人制度改革により、比較的簡易に、ボランティア活動の団体が法人格を取得することができるようになりました。どのような団体が最も良いのか、弁護士など専門家に御相談の上、活動を進められると良いでしょう。 ≪条文参照≫ 憲法 民法 特定非営利活動促進法(NPO法)
No.818、2008/12/15 10:21
【民事・契約・公益法人にはどのようなものがあるか・NPO法人・一般社団(財団)法人・公益社団(財団)法人・権利能力なき社団・法人の本質】
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回答:
1.会社法に定められた法人や組合(法人ではなく契約で集まった団体、民法667条)は「営利=団体が営利を目的とするだけでなく獲得した収益を出資者に配当すること」を目的としますが、彼方のご希望は「非営利(非営利は構成員、寄付者に収益を分配しないという意味です。従って、収益事業も可能です)」の法人ですから、ボランティア活動をするのであれば、法で定められた特定の目的を持って積極的に社会貢献を行うようであれば、平成10年制定の特定非営利活動促進法に基づく「特定非営利活動法人(NPO法人)」を設立してください。民法上の公益法人に比較し手続が簡易ですが認証制度があります。運営、事業報告は主務官庁への届けの他、公開されていますが(法28条、29条)、自主性も尊重されています。公益性と税法上の優遇(公益性があり原則非課税、収益事業は課税されますが税率が一般法人より低額になっています)もありますので、主務官庁への届出、報告、監督として法令違反の疑いがある場合検査、改善命令、認証取消があります(法41条乃至43条)。現在全国に3万以上の当該法人があります。尚、公益性があり会社のように国に納める設立手数料はありませんが、手続きを委任する場合、別途費用が必要です。申請から手続き終了までの期間は4カ月程度でしょう。
まず、法人の制度趣旨を説明しておきます。法人とは人間、自然人(民法3条)以外で法律関係において権利義務の主体とされているものといいます(民法33条)。法人には一定の目的(構成員により定められた目的)をもって集まった人の集団である社団法人(例えば会社)と、一定の目的(設立者の意思に基づく目的)に捧げられた財産(設立者が提供した財産をいう。運営のための人的組織もありますが、目的財産を運営するための組織であり、組織によりきめられた目的、財産ではないので社団ではありません)を管理運営するための財団法人があります(法34条、大会社でも医学、科学、通信技術等の発展のため財団を設立し助成しています)。自然人の他にどうして法人が必要かというと、法の支配の理念による適正、公平な法社会秩序建設のためです。私的法律関係は、私有財産制と私的自治の原則により規律されますが、社会生活、経済活動の発展により大きな利潤を求め、また大きな公的、非公的目的を達成するため会社のように、個人が集合結集し、又、財産を提供して活動することが自然に要請され、社会の活動の核になっています。個人の結社の自由(憲法21条、28条)も団体の存在を当然の前提としています。これらの、集団、財産に法主体性を認め権利関係の当事者として認めなければ、私有財産制の維持、契約自由の原則の実質を保障することは実態上不可能であり、個々人の社団、財団を通じて活動する権利を無視し(憲法13条幸福追及権)、公正な社会秩序建設、個人の尊厳の保障は到底達成できないことになってしまいます。そもそも、法主体を自然人に認めるのは生まれながらに自由である個人の尊厳保障の大前提であり、その個人のほかに団体、特定財産が組織的に自らの主張、活動を行い社会的に存在する以上法の支配の理念から公正な社会秩序維持のため当然に法主体が認められるべきです。すなわち、法人は自然人と同じく社会生活上実態として存在するという法人実在説があるべき理論的帰結ということになります。法人が自然人に犠牲して認められたという法人擬制説(又は否認説)は、公正な社会法秩序の維持建設という面から賛成できません。従って、社会に実態として存在し活動を行う社団、財団がある限り、要件を定め公示方法を考え法人設立の道を開くことが本来の姿であり、非営利であっても従来の許可主義であった民法上の公益法人のほかに準則主義によるNPO法人、一般社団財団法人の法律制定施行は法の支配の理念から同然の法改正と考えることができます。唯法人は有体的存在ではありませんので、社会取引秩序維持のため自然人の出生、死亡、意思表示、法律行為、戸籍と同様に、法主体となる意思決定機関、意思表示機関、設立、解散、公示方法(登記)が厳格に定められる必要があります。
(1)昭和39年10月15日最高裁判決要旨「一 法人に非ざる社団が成立するためには、団体としての組織をそなえ、多数決の原則が行なわれ、構成員の変更にかかわらず団体が存続し、その組織において代表の方法、総会の運営、財産の管理等団体としての主要な点が確定していることを要する。二 法人に非ざる社団がその名においてその代表者により取得した資産は、構成員に総有的に帰属するものと解すべきである。」
(2)平成14年6月7日最高裁判決要旨「預託金会員制のゴルフクラブにおいて,多数決の原則が行われ,構成員の変更にかかわらず団体そのものが存続し,規約により代表の方法,総会の運営等が定められていること,同クラブには,固定資産又は基本的財産は存しないが,団体として内部的に運営され対外的にも活動するのに必要な収入の仕組みが確保され,かつ,規約に基づいて収支を管理する体制も備わっていること,同クラブが,ゴルフ場経営会社との間でゴルフ場の経営等に関する協約書を調印し,同会社や会員個人とは別個の独立した存在としての社会的実体を有していることなど判示の事情の下においては,上記クラブは,民訴法29条にいう「法人でない社団」に当たる。」
従って、「法人格なき社団」が運営されている場合、社団の財産は「総有的に帰属」し、社団名義の債務も同様に、各個人の個人財産とは分離されるため、出資した限度で損失を負担すること(株式会社同様の有限責任)が原則になります。
(3)昭和48年10月9日最高裁判決要旨「権利能力のない社団の代表者が社団の名においてした取引上の債務は、社団の構成員全員に一個の義務として総有的に帰属し、社団の総有財産だけがその責任財産となり、構成員各自は、取引の相手方に対し個人的債務ないし責任を負わない。」
この方法で団体を運営する場合は、簡単なものでも良いので、「会の運営規約」を作成し、責任の所在をはっきりさせて運営すると良いでしょう。入会方法についてもとくに法律の規制はありませんので、会規で自由に決めることが出来ます。会を解散するときは、全ての債権者に対する支払を行い、残余財産があれば、構成員全員で平等に分配することが可能です。
2項 この法律において「特定非営利活動法人」とは、特定非営利活動を行うことを主たる目的とし、次の各号のいずれにも該当する団体であって、この法律の定めるところにより設立された法人をいう。
一 次のいずれにも該当する団体であって、営利を目的としないものであること。
イ 社員の資格の得喪に関して、不当な条件を付さないこと。
ロ 役員のうち報酬を受ける者の数が、役員総数の三分の一以下であること。
二 その行う活動が次のいずれにも該当する団体であること。
イ 宗教の教義を広め、儀式行事を行い、及び信者を教化育成することを主たる目的とするものでないこと。
ロ 政治上の主義を推進し、支持し、又はこれに反対することを主たる目的とするものでないこと。
ハ 特定の公職の候補者(当該候補者になろうとする者を含む。)若しくは公職にある者又は政党を推薦し、支持し、又はこれらに反対することを目的とするものでないこと。
一 保健、医療又は福祉の増進を図る活動
二 社会教育の推進を図る活動
三 まちづくりの推進を図る活動
四 学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
五 環境の保全を図る活動
六 災害救援活動
七 地域安全活動
八 人権の擁護又は平和の推進を図る活動
九 国際協力の活動
十 男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
十一 子どもの健全育成を図る活動
十二 情報化社会の発展を図る活動
十三 科学技術の振興を図る活動
十四 経済活動の活性化を図る活動
十五 職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
十六 消費者の保護を図る活動
十七 前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動
一 設立の手続並びに申請書及び定款の内容が法令の規定に適合していること。
二 当該申請に係る特定非営利活動法人が第二条第二項に規定する団体に該当するものであること。
三 当該申請に係る特定非営利活動法人が次に掲げる団体に該当しないものであること。
イ 暴力団
ロ 暴力団又はその構成員若しくは暴力団の構成員でなくなった日から五年を経過しない者の統制の下にある団体
四 当該申請に係る特定非営利活動法人が十人以上の社員を有するものであること。
1 学術及び科学技術の振興を目的とする事業
2 文化及び芸術の振興を目的とする事業
3 障害者若しくは生活困窮者又は事故、災害若しくは犯罪による被害者の支援を目的とする事業
4 高齢者の福祉の増進を目的とする事業
5 勤労意欲のある者に対する就労の支援を目的とする事業
6 公衆衛生の向上を目的とする事業
7 児童又は青少年の健全な育成を目的とする事業
8 勤労者の福祉の向上を目的とする事業
9 教育、スポーツ等を通じて国民の心身の健全な発達に寄与し、又は豊かな人間性を涵養することを目的とする事業
10 犯罪の防止又は治安の維持を目的とする事業
11 事故又は災害の防止を目的とする事業
12 人種、性別その他の事由による不当な差別又は偏見の防止及び根絶を目的とする事業
13 思想及び良心の自由、信教の自由又は表現の自由の尊重又は擁護を目的とする事業
14 男女共同参画社会の形成その他のより良い社会の形成の推進を目的とする事業
15 国際相互理解の促進及び開発途上にある海外の地域に対する経済協力を目的とする事業
16 地球環境の保全又は自然環境の保護及び整備を目的とする事業
17 国土の利用、整備又は保全を目的とする事業
18 国政の健全な運営の確保に資することを目的とする事業
19 地域社会の健全な発展を目的とする事業
20 公正かつ自由な経済活動の機会の確保及び促進並びにその活性化による国民生活の安定向上を目的とする事業
21 国民生活に不可欠な物資、エネルギー等の安定供給の確保を目的とする事業
22 一般消費者の利益の擁護又は増進を目的とする事業
23 前各号に掲げるもののほか、公益に関する事業として政令で定めるもの
第十三条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
第二十一条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
第二十八条 勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。
第三条 私権の享有は、出生に始まる。
(法人の成立)
第三十三条 法人は、この法律その他の法律の規定によらなければ、成立しない。
(目的)
第一条 この法律は、特定非営利活動を行う団体に法人格を付与すること等により、ボランティア活動をはじめとする市民が行う自由な社会貢献活動としての特定非営利活動の健全な発展を促進し、もって公益の増進に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「特定非営利活動」とは、別表に掲げる活動に該当する活動であって、不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与することを目的とするものをいう。
2 この法律において「特定非営利活動法人」とは、特定非営利活動を行うことを主たる目的とし、次の各号のいずれにも該当する団体であって、この法律の定めるところにより設立された法人をいう。
一 次のいずれにも該当する団体であって、営利を目的としないものであること。
イ 社員の資格の得喪に関して、不当な条件を付さないこと。
ロ 役員のうち報酬を受ける者の数が、役員総数の三分の一以下であること。
二 その行う活動が次のいずれにも該当する団体であること。
イ 宗教の教義を広め、儀式行事を行い、及び信者を教化育成することを主たる目的とするものでないこと。
ロ 政治上の主義を推進し、支持し、又はこれに反対することを主たる目的とするものでないこと。
ハ 特定の公職(公職選挙法 (昭和二十五年法律第百号)第三条 に規定する公職をいう。以下同じ。)の候補者(当該候補者になろうとする者を含む。)若しくは公職にある者又は政党を推薦し、支持し、又はこれらに反対することを目的とするものでないこと。
第二章 特定非営利活動法人
第一節 通則
(原則)
第三条 特定非営利活動法人は、特定の個人又は法人その他の団体の利益を目的として、その事業を行ってはならない。
2 特定非営利活動法人は、これを特定の政党のために利用してはならない。
(名称の使用制限)
第四条 特定非営利活動法人以外の者は、その名称中に、「特定非営利活動法人」又はこれに紛らわしい文字を用いてはならない。
(その他の事業)
第五条 特定非営利活動法人は、その行う特定非営利活動に係る事業に支障がない限り、当該特定非営利活動に係る事業以外の事業(以下「その他の事業」という。)を行うことができる。この場合において、収益を生じたときは、これを当該特定非営利活動に係る事業のために使用しなければならない。
2その他の事業に関する会計は、当該特定非営利活動法人の行う特定非営利活動に係る事業に関する会計から区分し、特別の会計として経理しなければならない。
(住所)
第六条 特定非営利活動法人の住所は、その主たる事務所の所在地にあるものとする。
(登記)
第七条 特定非営利活動法人は、政令で定めるところにより、登記しなければならない。
2 前項の規定により登記しなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもって第三者に対抗することができない。
(民法 の準用)
第八条 民法 (明治二十九年法律第八十九号)第四十三条 及び第四十四条 の規定は、特定非営利活動法人について準用する。
(所轄庁)
第九条 特定非営利活動法人の所轄庁は、その事務所が所在する都道府県の知事とする。
2 特定非営利活動法人で二以上の都道府県の区域内に事務所を設置するものにあっては、その所轄庁は、前項の規定にかかわらず、内閣総理大臣とする。