新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.825、2009/1/5 13:03

【青少年に対するインターネットの有害情報の駆逐・平成21年4月施行(通称)青少年ネット規正法・知る権利の制限】

質問:子供がインターネットやメールに接続して有害情報に接するのが心配です。どうしたら良いでしょうか。

回答:教育の一環としてお子様が有害情報に接しないよう日常から注意することは勿論ですが、プロバイダーが設けているフィルタリングサービスを利用したりパソコンの設定を変更するなど自衛の処置を講じ、それでもだめな場合は、サーバーの管理者に対して「青少年による閲覧ができないようにするための措置」を求めることになります。

解説:
1.ご心配の点については、新しい法律が平成20年6月に公布され、1年以内に施行されることとなっておりますので、これに即してご説明したいと思います。ご心配の通り、近時、インターネットを通じた有害情報による事件事故の報道が相次いでおり、練炭自殺やトイレ洗剤を使った自殺事件や、児童買春禁止法違反事件や、学校の裏サイトでの誹謗中傷やネットいじめによる集団暴行事件など、枚挙に暇がありません。これらの事態に対応するため、平成20年6月に「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律(通称、青少年ネット規正法)」が可決成立しました。平成21年4月頃施行される予定です。

2.(問題点) この法律に関して、18歳未満の青少年の知る権利を阻害するのではないか、と懸念する意見もあります。日本も批准している「児童の権利に関する条約」を見るまでも無く、子供は未来の有権者であり、未来における国家の構成員として公正な社会秩序を維持発展させる義務を有する「法の支配」の担い手であり(憲法13条)、自由権的基本的人権の中心である、思想良心の自由(憲法19条)表現の自由(憲法21条)から派生した「知る権利(マスメデイアに対してはアクセス権という)」を当然に有しています。また、人間として精神的に成長するために教育を受ける権利を有し(憲法26条)、多種多様な思想情報を受け取る権利を生まれながらに享有しているのです。従って、最大限の配慮が必要であることは言うまでもありません。 しかし、青少年は未成熟で成長発達段階にあることから批判能力や情報整理能力が不足していますし、パターナリズム(父権主義)が作用する教育・育成段階にありますから、有害情報への接触を一部制限することも合理的な場合があるでしょう。児童は、親権者の教育監護権に復する義務を負い(民法830条)、公正な教育を受ける義務を有する立場にあり(憲法26条)、自由権等の合理的規制は憲法の予想するところです(憲法12条)。必要な情報は制限せず、有害な情報のみ制限するという、運用の努力が必要でしょう。制限の是非については透明性を確保し、大人である国民の間で議論できるようにすることが必要だと思います。

3.(法律の内容) この法律では、有害情報は次のように定義されています。
第2条4項(定義) 前項の青少年有害情報を例示すると、次のとおりである。一 犯罪若しくは刑罰法令に触れる行為を直接的かつ明示的に請け負い      仲介し、若しくは誘引し、又は自殺を直接的かつ明示的に誘引する情報
二  人の性行為又は性器等のわいせつな描写その他の著しく性欲を興奮させ又は刺激する情報
三  殺人、処刑、虐待等の場面の陰惨な描写その他の著しく残虐な内容の情報

4.実際にお子様がおられるご家庭で、関係する条文をいくつかご紹介します。
第17条  携帯電話インターネット接続役務提供事業者は、携帯電話インターネット接続役務を提供する契約の相手方又は携帯電話端末若しくはPHS端末の使用者が青少年である場合には、青少年有害情報フィルタリングサービスの利用を条件として、携帯電話インターネット接続役務を提供しなければならない。ただし、その青少年の保護者が、青少年有害情報フィルタリングサービスを利用しない旨の申出をした場合は、この限りでない。2 携帯電話端末又はPHS端末をその保護する青少年に使用させるために携帯電話インターネット接続役務の提供を受ける契約を締結しようとする保護者は、当該契約の締結に当たり、携帯電話インターネット接続役務提供事業者に対しその旨を申し出なければならない。

つまり、子供に携帯電話を使用させるときは、保護者は、契約時にその旨を業者に申し出なければならず、申し出を受けた業者は、保護者から利用しない旨の申し出を受けない限り、「青少年有害情報フィルタリングサービス」を利用させなければなりません。フィルタリングサービスは各接続業者から随時提供されていますので、現在既に携帯電話の契約が済んでいる方も、新たに申し込みすることを検討すると良いでしょう。

5.第18条(インターネット接続役務提供事業者の義務)インターネット接続役務提供事業者は、インターネット接続役務の提供を受ける者から求められたときは、青少年有害情報フィルタリングソフトウェア又は青少年有害情報フィルタリングサービスを提供しなければならない。ただし、青少年による青少年有害情報の閲覧に及ぼす影響が軽微な場合として政令で定める場合は、この限りでない。

インターネット接続役務提供事業者とは、「インターネットプロバイダ」のことです。ご自宅のパソコンなどで、インターネット接続を利用されている場合は、新たにこのフィルタリングサービスの利用を申し出てみると良いでしょう。

6.第21条(青少年有害情報の発信が行われた場合における特定サーバー管理者の努力義務)特定サーバー管理者は、その管理する特定サーバーを利用して他人により青少年有害情報の発信が行われたことを知ったとき又は自ら青少年有害情報の発信を行おうとするときは、当該青少年有害情報について、インターネットを利用して青少年による閲覧ができないようにするための措置(以下「青少年閲覧防止措置」という。)をとるよう努めなければならない。

7.上記のフィルタリングサービスを行っていても、インターネット掲示板などで有害情報が記載される可能性もあります。具体的に、お子さんがアクセスしているサイトにおいて、有害情報が掲載されているなと思われた場合は、ご自宅のPCにおいて前記サイトをアクセスできないように設定すると同時に、上記21条に基いて、「青少年による閲覧ができないようにするための措置」を求めると良いでしょう。具体的方法としては、サーバー管理者に対して、内容証明郵便による通知書を送付することが考えられます。通知をしてもサーバー管理者が何も対策を取らない場合は、民法709条に基く損害賠償請求などの措置が考えられます。サイト管理者が任意の話し合いに応じない場合は、弁護士に相談して通知書を送ってもらうことを検討されると良いでしょう。

<参考条文>

憲法
第十九条  思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。
第二十条  信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。
○2  何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。
○3  国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。
第二十一条  集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
○2  検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。
第二十六条  すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。
○2  すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。

民法
(監護及び教育の権利義務)
第八百二十条  親権を行う者は、子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う。

青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律
(平成二十年六月十八日法律第七十九号)
第一章 総則(第一条―第七条)
第二章 インターネット青少年有害情報対策・環境整備推進会議等(第八条―第十二条)
第三章 インターネットの適切な利用に関する教育及び啓発活動の推進等(第十三条―第十六条)
第四章 青少年有害情報フィルタリングサービスの提供義務等(第十七条―第二十三条)
第五章 インターネットの適切な利用に関する活動を行う民間団体等
第一節 フィルタリング推進機関(第二十四条―第二十九条)
第二節 インターネットの適切な利用に関する活動を行う民間団体等の支援(第三十条)
第六章 雑則(第三十一条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条  この法律は、インターネットにおいて青少年有害情報が多く流通している状況にかんがみ、青少年のインターネットを適切に活用する能力の習得に必要な措置を講ずるとともに、青少年有害情報フィルタリングソフトウェアの性能の向上及び利用の普及その他の青少年がインターネットを利用して青少年有害情報を閲覧する機会をできるだけ少なくするための措置等を講ずることにより、青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにして、青少年の権利の擁護に資することを目的とする。
(定義)
第二条  この法律において「青少年」とは、十八歳に満たない者をいう。
2  この法律において「保護者」とは、親権を行う者若しくは後見人又はこれらに準ずる者をいう。
3  この法律において「青少年有害情報」とは、インターネットを利用して公衆の閲覧(視聴を含む。以下同じ。)に供されている情報であって青少年の健全な成長を著しく阻害するものをいう。
4  前項の青少年有害情報を例示すると、次のとおりである。
一  犯罪若しくは刑罰法令に触れる行為を直接的かつ明示的に請け負い、仲介し、若しくは誘引し、又は自殺を直接的かつ明示的に誘引する情報
二  人の性行為又は性器等のわいせつな描写その他の著しく性欲を興奮させ又は刺激する情報
三  殺人、処刑、虐待等の場面の陰惨な描写その他の著しく残虐な内容の情報
5  この法律において「インターネット接続役務」とは、インターネットへの接続を可能とする電気通信役務(電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)第二条第三号に規定する電気通信役務をいう。以下同じ。)をいう。
6  この法律において「インターネット接続役務提供事業者」とは、インターネット接続役務を提供する電気通信事業者(電気通信事業法第二条第五号に規定する電気通信事業者をいう。以下同じ。)をいう。
7  この法律において「携帯電話インターネット接続役務」とは、携帯電話端末又はPHS端末からのインターネットへの接続を可能とする電気通信役務であって青少年がこれを利用して青少年有害情報の閲覧をする可能性が高いものとして政令で定めるものをいう。
8  この法律において「携帯電話インターネット接続役務提供事業者」とは、携帯電話インターネット接続役務を提供する電気通信事業者をいう。
9  この法律において「青少年有害情報フィルタリングソフトウェア」とは、インターネットを利用して公衆の閲覧に供されている情報を一定の基準に基づき選別した上インターネットを利用する者の青少年有害情報の閲覧を制限するためのプログラム(電子計算機に対する指令であって、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。)をいう。
10  この法律において「青少年有害情報フィルタリングサービス」とは、インターネットを利用して公衆の閲覧に供されている情報を一定の基準に基づき選別した上インターネットを利用する者の青少年有害情報の閲覧を制限するための役務又は青少年有害情報フィルタリングソフトウェアによって青少年有害情報の閲覧を制限するために必要な情報を当該青少年有害情報フィルタリングソフトウェアを作動させる者に対してインターネットにより継続的に提供する役務をいう。
11  この法律において「特定サーバー管理者」とは、インターネットを利用した公衆による情報の閲覧の用に供されるサーバー(以下「特定サーバー」という。)を用いて、他人の求めに応じ情報をインターネットを利用して公衆による閲覧ができる状態に置き、これに閲覧をさせる役務を提供する者をいう。
12  この法律において「発信」とは、特定サーバーに、インターネットを利用して公衆による閲覧ができるように情報を入力することをいう。
(基本理念)
第三条  青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするための施策は、青少年自らが、主体的に情報通信機器を使い、インターネットにおいて流通する情報を適切に取捨選択して利用するとともに、適切にインターネットによる情報発信を行う能力(以下「インターネットを適切に活用する能力」という。)を習得することを旨として行われなければならない。
2  青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備に関する施策の推進は、青少年有害情報フィルタリングソフトウェアの性能の向上及び利用の普及、青少年のインターネットの利用に関係する事業を行う者による青少年が青少年有害情報の閲覧をすることを防止するための措置等により、青少年がインターネットを利用して青少年有害情報の閲覧をする機会をできるだけ少なくすることを旨として行われなければならない。
3  青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備に関する施策の推進は、自由な表現活動の重要性及び多様な主体が世界に向け多様な表現活動を行うことができるインターネットの特性に配慮し、民間における自主的かつ主体的な取組が大きな役割を担い、国及び地方公共団体はこれを尊重することを旨として行われなければならない。
(国及び地方公共団体の責務)
第四条  国及び地方公共団体は、前条の基本理念にのっとり、青少年が安全に安心してインターネットを利用することができるようにするための施策を策定し、及び実施する責務を有する。
(関係事業者の責務)
第五条  青少年のインターネットの利用に関係する事業を行う者は、その事業の特性に応じ、青少年がインターネットを利用して青少年有害情報の閲覧をする機会をできるだけ少なくするための措置を講ずるとともに、青少年のインターネットを適切に活用する能力の習得に資するための措置を講ずるよう努めるものとする。
(保護者の責務)
第六条  保護者は、インターネットにおいて青少年有害情報が多く流通していることを認識し、自らの教育方針及び青少年の発達段階に応じ、その保護する青少年について、インターネットの利用の状況を適切に把握するとともに、青少年有害情報フィルタリングソフトウェアの利用その他の方法によりインターネットの利用を適切に管理し、及びその青少年のインターネットを適切に活用する能力の習得の促進に努めるものとする。
2  保護者は、携帯電話端末及びPHS端末からのインターネットの利用が不適切に行われた場合には、青少年の売春、犯罪の被害、いじめ等様々な問題が生じることに特に留意するものとする。
(連携協力体制の整備)
第七条  国及び地方公共団体は、青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするための施策を講ずるに当たり、関係機関、青少年のインターネットの利用に関係する事業を行う者及び関係する活動を行う民間団体相互間の連携協力体制の整備に努めるものとする。
第二章 インターネット青少年有害情報対策・環境整備推進会議等
(設置及び所掌事務)
第八条  内閣府に、インターネット青少年有害情報対策・環境整備推進会議(以下「会議」という。)を置く。
2  会議は、次に掲げる事務をつかさどる。
一  第十二条第一項の基本計画を作成し、及びその実施を推進すること。
二  前号に掲げるもののほか、青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするための施策に関する重要事項について審議すること。
(組織)
第九条  会議は、会長及び委員をもって組織する。
2  会長は、内閣総理大臣をもって充てる。
3  委員は、内閣官房長官、関係行政機関の長及び内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第九条第一項に規定する特命担当大臣その他の国務大臣のうちから、内閣総理大臣が指定する者をもって充てる。
(資料提出の要求等)
第十条  会議は、その所掌事務を遂行するために必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、資料の提出、意見の開陳、説明その他必要な協力を求めることができる。
2  会議は、その所掌事務を遂行するために特に必要があると認めるときは、前項に規定する者以外の者に対しても、必要な協力を依頼することができる。
(政令への委任)
第十一条  前二条に定めるもののほか、会議の組織及び運営に関し必要な事項は、政令で定める。
(基本計画)
第十二条  会議は、青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするための施策に関する基本的な計画(以下「基本計画」という。)を定めなければならない。
2  基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
一  青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするための施策についての基本的な方針
二  インターネットの適切な利用に関する教育及び啓発活動の推進に係る施策に関する事項
三  青少年有害情報フィルタリングソフトウェアの性能の向上及び利用の普及等に係る施策に関する事項
四  青少年のインターネットの適切な利用に関する活動を行う民間団体等の支援その他青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするための施策に関する重要事項
3  会議は、第一項の規定により基本計画を定めたときは、遅滞なく、基本計画を公表しなければならない。
4  前項の規定は、基本計画の変更について準用する。
第三章 インターネットの適切な利用に関する教育及び啓発活動の推進等
(インターネットの適切な利用に関する教育の推進等)
第十三条  国及び地方公共団体は、青少年がインターネットを適切に活用する能力を習得することができるよう、学校教育、社会教育及び家庭教育におけるインターネットの適切な利用に関する教育の推進に必要な施策を講ずるものとする。
2  国及び地方公共団体は、青少年のインターネットを適切に活用する能力の習得のための効果的な手法の開発及び普及を促進するため、研究の支援、情報の収集及び提供その他の必要な施策を講ずるものとする。
(家庭における青少年有害情報フィルタリングソフトウェアの利用の普及)
第十四条  国及び地方公共団体は、家庭において青少年によりインターネットが利用される場合における青少年有害情報フィルタリングソフトウェアの利用の普及を図るため、必要な施策を講ずるものとする。
(インターネットの適切な利用に関する広報啓発)
第十五条  前二条に定めるもののほか、国及び地方公共団体は、青少年の健全な成長に資するため、青少年有害情報フィルタリングソフトウェアによる青少年有害情報の閲覧の制限等のインターネットの適切な利用に関する事項について、広報その他の啓発活動を行うものとする。
(関係者の努力義務)
第十六条  青少年のインターネットの利用に関係する事業を行う者その他の関係者は、その事業等の特性に応じ、インターネットを利用する際における青少年のインターネットを適切に活用する能力の習得のための学習の機会の提供、青少年有害情報フィルタリングソフトウェアの利用の普及のための活動その他の啓発活動を行うよう努めるものとする。
第四章 青少年有害情報フィルタリングサービスの提供義務等
(携帯電話インターネット接続役務提供事業者の青少年有害情報フィルタリングサービスの提供義務)
第十七条  携帯電話インターネット接続役務提供事業者は、携帯電話インターネット接続役務を提供する契約の相手方又は携帯電話端末若しくはPHS端末の使用者が青少年である場合には、青少年有害情報フィルタリングサービスの利用を条件として、携帯電話インターネット接続役務を提供しなければならない。ただし、その青少年の保護者が、青少年有害情報フィルタリングサービスを利用しない旨の申出をした場合は、この限りでない。
2  携帯電話端末又はPHS端末をその保護する青少年に使用させるために携帯電話インターネット接続役務の提供を受ける契約を締結しようとする保護者は、当該契約の締結に当たり、携帯電話インターネット接続役務提供事業者に対しその旨を申し出なければならない。
(インターネット接続役務提供事業者の義務)
第十八条  インターネット接続役務提供事業者は、インターネット接続役務の提供を受ける者から求められたときは、青少年有害情報フィルタリングソフトウェア又は青少年有害情報フィルタリングサービスを提供しなければならない。ただし、青少年による青少年有害情報の閲覧に及ぼす影響が軽微な場合として政令で定める場合は、この限りでない。
(インターネットと接続する機能を有する機器の製造事業者の義務)
第十九条  インターネットと接続する機能を有する機器であって青少年により使用されるもの(携帯電話端末及びPHS端末を除く。)を製造する事業者は、青少年有害情報フィルタリングソフトウェアを組み込むことその他の方法により青少年有害情報フィルタリングソフトウェア又は青少年有害情報フィルタリングサービスの利用を容易にする措置を講じた上で、当該機器を販売しなければならない。ただし、青少年による青少年有害情報の閲覧に及ぼす影響が軽微な場合として政令で定める場合は、この限りでない。
(青少年有害情報フィルタリングソフトウェア開発事業者等の努力義務)
第二十条  青少年有害情報フィルタリングソフトウェアを開発する事業者及び青少年有害情報フィルタリングサービスを提供する事業者は、青少年有害情報であって閲覧が制限されないものをできるだけ少なくするとともに、次に掲げる事項に配慮して青少年有害情報フィルタリングソフトウェアを開発し、又は青少年有害情報フィルタリングサービスを提供するよう努めなければならない。
一  閲覧の制限を行う情報を、青少年の発達段階及び利用者の選択に応じ、きめ細かく設定できるようにすること。
二  閲覧の制限を行う必要がない情報について閲覧の制限が行われることをできるだけ少なくすること。
2  前項に定めるもののほか、青少年有害情報フィルタリングソフトウェアを開発する事業者及び青少年有害情報フィルタリングサービスを提供する事業者は、その開発する青少年有害情報フィルタリングソフトウェア又はその提供する青少年有害情報フィルタリングサービスについて、その性能及び利便性の向上に努めなければならない。
(青少年有害情報の発信が行われた場合における特定サーバー管理者の努力義務)
第二十一条  特定サーバー管理者は、その管理する特定サーバーを利用して他人により青少年有害情報の発信が行われたことを知ったとき又は自ら青少年有害情報の発信を行おうとするときは、当該青少年有害情報について、インターネットを利用して青少年による閲覧ができないようにするための措置(以下「青少年閲覧防止措置」という。)をとるよう努めなければならない。
(青少年有害情報についての国民からの連絡の受付体制の整備)
第二十二条  特定サーバー管理者は、その管理する特定サーバーを利用して発信が行われた青少年有害情報について、国民からの連絡を受け付けるための体制を整備するよう努めなければならない。
(青少年閲覧防止措置に関する記録の作成及び保存)
第二十三条  特定サーバー管理者は、青少年閲覧防止措置をとったときは、当該青少年閲覧防止措置に関する記録を作成し、これを保存するよう努めなければならない。
第五章 インターネットの適切な利用に関する活動を行う民間団体等
第一節 フィルタリング推進機関
(フィルタリング推進機関の登録)
第二十四条  青少年有害情報フィルタリングソフトウェアの性能の向上及び利用の普及を目的として、次に掲げるいずれかの業務(以下「フィルタリング推進業務」という。)を行う者は、総務大臣及び経済産業大臣の登録を受けることができる。
一  青少年有害情報フィルタリングソフトウェア及び青少年有害情報フィルタリングサービスに関する調査研究並びにその普及及び啓発を行うこと。
二  青少年有害情報フィルタリングソフトウェアの技術開発の推進を行うこと。
2  前項の登録(以下単に「登録」という。)を受けようとする者は、総務省令及び経済産業省令で定めるところにより、総務大臣及び経済産業大臣に申請をしなければならない。
3  次の各号のいずれかに該当する者は、登録を受けることができない。
一  第二十六条の規定により登録を取り消され、その取消しの日から起算して二年を経過しない者
二  法人で、その役員のうちに前号に該当する者があるもの
4  総務大臣及び経済産業大臣は、第二項の申請をした者が次に掲げる要件のすべてに適合しているときは、登録をしなければならない。
一  インターネットの利用を可能とする機能を有する機器を有し、かつ、次のいずれかに該当する者がフィルタリング推進業務を行うものであること。
イ 一年以上青少年有害情報フィルタリングソフトウェアの開発又は青少年有害情報フィルタリングサービスに関する実務に従事した経験を有する者
ロ イに掲げる者と同等以上の能力を有する者
二  フィルタリング推進業務を適正に行うために次に掲げる措置がとられていること。
イ フィルタリング推進業務を適正に行うための管理者を置くこと。
ロ フィルタリング推進業務の管理及び適正な実施の確保に関する文書が作成されていること。
5  登録は、フィルタリング推進機関登録簿に次に掲げる事項を記載してするものとする。
一  登録年月日及び登録番号
二  登録を受けた者(以下「フィルタリング推進機関」という。)の氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
三  フィルタリング推進機関がフィルタリング推進業務を行う事務所の所在地
6  フィルタリング推進機関は、前項第二号又は第三号に掲げる事項を変更しようとするときは、総務省令及び経済産業省令で定めるところにより、その旨を総務大臣及び経済産業大臣に届け出なければならない。
(業務の休廃止)
第二十五条  フィルタリング推進機関は、フィルタリング推進業務を休止し、又は廃止したときは、総務省令及び経済産業省令で定めるところにより、その旨を総務大臣及び経済産業大臣に届け出なければならない。
2  前項の規定によりフィルタリング推進業務を廃止した旨の届出があったときは、当該フィルタリング推進機関に係る登録は、その効力を失う。
(登録の取消し)
第二十六条  総務大臣及び経済産業大臣は、フィルタリング推進機関が次の各号のいずれかに該当するときは、登録を取り消すことができる。
一  第二十四条第三項第二号に該当するに至ったとき。
二  第二十四条第四項各号のいずれかに適合しなくなったと認めるとき。
三  第二十四条第六項又は前条第一項の規定に違反したとき。
四  不正の手段により登録を受けたとき。
五  次条の規定による報告若しくは資料の提出をせず、又は虚偽の報告若しくは資料の提出をしたとき。
(報告又は資料の提出)
第二十七条  総務大臣及び経済産業大臣は、フィルタリング推進業務の適正な運営を確保するために必要な限度において、フィルタリング推進機関に対し、その業務の状況に関し報告又は資料の提出を求めることができる。
(公示等)
第二十八条  総務大臣及び経済産業大臣は、次に掲げる場合には、その旨を官報に公示しなければならない。
一  登録をしたとき。
二  第二十四条第六項の規定による届出があったとき。
三  第二十五条第一項の規定による届出があったとき。
四  第二十六条の規定により登録を取り消したとき。
2  総務大臣及び経済産業大臣は、前項の規定による公示をしたときは、当該公示の日付及び内容をインターネットの利用その他の方法により公表するものとする。
(総務省令及び経済産業省令への委任)
第二十九条  この節に規定するもののほか、フィルタリング推進機関及びフィルタリング推進業務に関し必要な事項は、総務省令及び経済産業省令で定める。
第二節 インターネットの適切な利用に関する活動を行う民間団体等の支援
第三十条  国及び地方公共団体は、次に掲げる民間団体又は事業者に対し必要な支援に努めるものとする。
一  フィルタリング推進機関
二  青少年有害情報フィルタリングソフトウェアの性能に関する指針の作成を行う民間団体
三  青少年有害情報フィルタリングソフトウェアを開発し又は提供する事業者及び青少年有害情報フィルタリングサービスを提供する事業者
四  青少年がインターネットを適切に活用する能力を習得するための活動を行う民間団体
五  青少年有害情報に係る通報を受理し、特定サーバー管理者に対し措置を講ずるよう要請する活動を行う民間団体
六  青少年有害情報フィルタリングソフトウェアにより閲覧を制限する必要がないものに関する情報を収集し、これを青少年有害情報フィルタリングソフトウェアを開発する事業者その他の関係者に提供する活動を行う民間団体
七  青少年閲覧防止措置、青少年による閲覧の制限を行う情報の更新その他の青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備に関し講ぜられた措置に関する民事上の紛争について、訴訟手続によらずに解決をしようとする当事者のために公正な第三者としてその解決を図るための活動を行う民間団体
八  その他関係する活動を行う民間団体
第六章 雑則
(経過措置の命令への委任)
第三十一条  この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置を定めることができる。

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