新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース 質問:最近、弁護士に依頼して貸金業者から過払い金の返還を受けることができました。しかし、私にはもう一つ債務があります。それは、質屋に宝石を預けている、というものです。しかし、その質屋に対して返済が必要なお金を調べてみると、過払い金返還の根拠である利息制限法をはるかに超えていました。それどころか、出資法で業者を規制している年29.2パーセントも超えた、年107パーセントというものでした。質屋にはこれらの法律の適用は無いのですか?質屋に過払い金の返還を請求することはできませんか? 解説: 2.結論から言えば、質屋営業についても利息制限法の適用があるのは当然です。 3.(その理由を説明します。) @(利息制限法の趣旨)契約自由の原則から言えば、金銭消費貸借契約の利息も自由に定めることができるはずですし、高利であれば借りなければいいはずです。しかし、これは法の理想を理解しない業者側の主張にすぎません。もともと契約自由の原則は内在する公平公正の原理により支配されており、事実上の不公平、不平等契約を是認することはできません。自由主義自由競争社会において、必然的に生じる経済的に窮地におかれた債務者はどのような高金利の条件によっても業者、債権者が言うが儘に事実上契約締結を強制されるのは日常社会生活を見れば明らかです。もともと事実上返済不可能な金利自体、公正な社会秩序を目的とする法の支配の理念から一切是認することができませんし、特に法外な金利は、窮地に追い込まれた債務者をさらに経済的精神的自由を奪う社会悪であり犯罪になるのです。そのため法は厳格に返済可能な利息を定め無効とし、高額な利息約定を犯罪として処罰しているのです。これが、利息制限法(昭和29年成立)であり、いわゆる出資法です。すなわち、利息制限法(及び出資法)は自由主義、競争社会を維持発展させ自由公正な社会を守る基本法、強行法規であり、これに反する合意、立法は許されないのです。 Aしかし、昭和29年の利息制限法は、利息損害金の任意弁済という例外を規定しました(法1条2項、4条)。強行規定に反していても、自ら了承し自由意思で支払った利息損害金は無効にならないというのです。しかし、経済的に窮迫している債務者にとり、常に弁済の事実的強要は常に存在し、この規定は制限法の実体を骨抜きにする危険が明らかになってきました。直ちに最高裁判例(最高裁昭和39年11月18日)は、債務者救済のため文言通り超過利息の返還請求はできないが元本には充当されると判決を示して、超過利息を元本に充当する理論を明らかにしました。続いて元本充当後余剰となった利息についてさらに救済する必要があり、最高裁昭和43年11月13日判決は、超過利息支払いが有効となるのは元本がなくてはならないので、すでに超過利息の元本充当により元本消滅している以上、不当利得になるという解釈により超過利息(損害金も)の返還請求を認めて債務者を保護しました。 Bしかし、昭和58年、利息制限法の1条2項「利息、違約金の任意弁済」の規定を復活されるような貸金の規制等に関する法律(現貸金業法)が制定され法43条で「みなし弁済」が規定されました(違法利息を任意に弁済したという規定)。すなわち、契約成立、弁済ごとの一定の詳細な書面交付を条件に利息制限法の1条2項の任意弁済があったものとみなすという規定が制定されたのです。しかし、この立法は利息制限法の制度趣旨から到底是認することはできません。なぜなら、業者側の一定の書面交付は経済的窮地にある債務者の不平等状態を解消する手段にならないことは明らかであり、不公正な社会秩序を容認するもので法の支配の理念から認められないからです。 Cそこで最高裁は(最高裁判例平成11年1月21日、平成16年2月20日等)、貸金業法43条を限定的に解釈して(業法18条の書面交付の瑕疵を認定して結果的に43条適用を認めない)、超過利息の返還請求を認めました。さらに平成18年1月13日、制限利息、違約金を超える違法な約定(契約)のもとでの利息違約金の支払いは任意の支払いとは言えないとして、実質的に書面交付の有無にかかわらず制限利息超過分の返還請求を認めたのです。ここに貸金業法43条は実質的に意味を失い、再度債務者保護が図られることになりました。この判例を受け、平成18年利息制限法、貸金業法の改正により法43条、利息制限法1条2項が削除されることになったのです。但し、施行時期は別個に決定されます。 Dすなわち、立法手続きによる利息制限法の超過利息支払いの適法性を認める貸金業法の明確な規定も、強行規定である利息制限法の趣旨を蔑ろにすることはできなかったのです。以上、利息制限法の法定金利の例外を認める公正公平な理由に基づく特別な立法がない限り、制限利息超過の返還は認められないことになります。 E(質屋営業法)ところで質屋営業法は、利息制限法の趣旨を変更し高利を認めるために規定されたのでしょうか。そのようなことはありません。質屋営業法の趣旨は、少額の庶民金融の経済的効用を保持するため融資を希望する債務者保護のため民法の質権の特則として制定されています。民法の原則からすると、質屋営業法の営業形態、流質契約は禁止されています(民法349条)。債権者が、窮状にある債務者から少額の貸金で何らの清算なくして不当に高額な質物を取得することを防いでいるのです。質物の換価方法は動産質の簡易な執行方法(民法354条)、又は民事執行法(190条)による競売手続きによることになります。しかし、このような民法の原則論に従い担保権の設定、金融は手続きが煩雑であり、庶民の少額消費者金融の実態に対応できず、簡易で迅速な融資を実現するため公安委員会の届け出を条件に物品の質権設定に限り、質流れの合意を適法として営業を認めたのです。利息制限法の特則ではありません。 F確かに、質屋営業法は36条において、出資法の制限利息を緩和しています。「質屋に対する出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律 (昭和二十九年法律第百九十五号)第五条第二項 の規定の適用については、同項 中「二十九・二パーセント」とあるのは「百九・五パーセント」と、「二十九・二八パーセント」とあるのは「百九・八パーセント」と、「〇・〇八パーセント」とあるのは「〇・三パーセント」。しかしこの規定は、利息制限法の適用除外の根拠にはなりません。なぜなら、本条は、質屋が物品を担保に迅速な短期間の少額融資を行うという性質から、利息が時として高額になりうることがあり、犯罪として処罰するほどの違法性が強くないので出資法の適用に関してのみ適用の範囲を制限した例外規定だからです。従って、この規定を理由に、債務者保護の強行規定である利息制限法の適用自体を否定する拡張解釈はできません。 4.平成15年11月27日 大阪地裁判決も同様の趣旨です。理論的で妥当な判断です。判旨は以下のとおりですので参考にしてください。 第3 争点に対する判断 5.以上より,本件においても金利(年109.5%以内)において出資法には違反しませんが、明らかに利息制限法に反するので超過利息の返還請求は可能ということになります。 ≪条文参照≫ 利息制限法 民法 民事執行法 質屋営業法 貸金業法 出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律
No.854、2009/3/10 15:23 https://www.shinginza.com/qa-sarakin.htm
【利息制限法違反と質屋営業法の金利】
↓
回答:
1.利息制限法違反による金利は、無効ですからこれを超過する利息分を取り戻しできます。質屋営業法は、出資法金利の特則を定めていますが、文言上から明らかなように、利息制限法の法定金利の適用除外の特則を定めたものではないからです。利息制限法の法定金利超過分の有効性は法1条2項の「利息の任意弁済」しかありませんが、最高裁判例により任意弁済は判例の積み重ねにより機能していませんし、廃止が決定しています。
2.さらに、質屋営業について利息制限法1条2項の「利息の任意弁済」の唯一特則を定めた貸金業法「みなし弁済」規定(貸金業法43条1項)の適用もありませんし、そもそもみなし弁済規定も事実上形骸化され、廃止が改正により決定されていますから、いずれにしろ理論的に制限法超過利息を有効とすることはできません。
3.従って、質屋営業法という法律で、出資法が定める制限利率が緩和されており、本件の利息は出資法に違反しませんが、過払い利息の返還は可能です。大阪地裁判決も同趣旨です。貸付金額が通常少額であり事実上過払い請求を認めても社会的影響はないでしょう。
4.尚、平成18年の改正により、利息制限法1条2項、貸金業法「みなし弁済」43条の規定は削除されており、平成22年6月19日までに施行されます。
1.(問題点の指摘)質屋営業者も貸付により金銭消費貸借を行っていますから、利息制限法の適用があると思われますが、質屋営業法は、少額の庶民金融として公安委員会の許可を受けて特に認められた営業であり、出資法の規制の特則規定もあることから、そもそも利息制限法の適用があるか疑問があります。
1 過払い金の返還請求及び本件動産の返還請求について
(1) 質屋営業法によれば,『「質屋営業」とは,物品を質に取り,流質期限までに当該質物で担保される債権の弁済を受けないときは,当該質物をもってその弁済に充てる約款を附して,金銭を貸し付ける営業をいう。』(同1条1項)ものとされており,質屋を営む被告が,原告に金銭を貸し付ける行為も,「金銭を目的とする消費貸借」(利息制限法1条1項)であることは明らかであって,その利息の契約が利息制限法の適用を受けることには疑いがない。
(2) 被告は,質屋による金銭の貸付けについては利息制限法の適用を受けないと主張するから,以下,付言する。
まず,被告は,質屋は,質物をとって金銭を貸し付けるものではあるが,貸し付けた金員の返還を受けられなかった場合,当該質物をその弁済に充てるものとされ,貸し付けた金員の回収ができなかったとしても回収不能となった額の返還を借受人に求めることはできないという特殊性があるから,質屋営業では利息制限法の適用が排除されると主張する。しかしながら,前述のとおり,質屋営業は,「質物をもってその弁済に充てる約款を附して,金銭を貸し付ける」ものであるから,たとえ質物によって貸金全額の回収ができなかったとしても,利息,遅延損害金を含む貸金債権に対する弁済として質物の所有権を移転させることによって貸金債権はすべて消滅するのであるから,その余の請求が不可能となることは当然であって,それが,利息制限法の適用を排除する理由とはならない。
また,被告は,質屋営業には出資法の適用が排除されているとか,質屋には質物の保管義務が課されているなどと主張するが,質屋営業法36条は,高金利の貸付をした場合の刑事罰を規定している出資法5条2項の制限利率の緩和,利息算定方法の特則を定めたにすぎず,利息契約についての私法上の効力を定めた利息制限法の適用とは何ら関係がないし,質物保管義務,保管設備設置義務(質屋営業法7条1項),危険負担(同法20条2項)などについても,恒常的に他人の所有物を保管する質屋営業の業務態様や質置主保護の観点から要請されるものであって,利息制限法の適用排除とは無関係である。
なお,質屋営業法19条1項ただし書には,「質屋は,当該流質物を処分するまでは,質置主が元金及び流質期限までの利子並びに流質期限経過の時に質契約を更新したとすれば支払うことを要する利子に相当する金額を支払ったときは,質物を返還するように努めるものとする。」との規定があるが,同規定は,流質期限の経過によって質物の所有権が質屋に移転するところ(同条項本文),流質期限の経過後であっても,質物の返還が可能である場合に,質屋にその返還を努力すべき義務を課すものにすぎず,同条項の「利子」を利息制限法所定の利率を上回る約定利息であると解すべき根拠もない。
その他,質屋営業法の各規定を精査しても,質屋営業について利息制限法の適用が排除されるとの明文規定やその趣旨をうかがわせるような規定は見あたらない。
(3) したがって,原告と被告との間の利息の約定のうち,利息制限法所定の利率を上回る部分は無効であるから,被告は,原告に対し,過払い金を返還すべき義務がある。また,被担保債権の消滅に伴い,被告の本件動産の占有権原である質権も消滅するから,被告は原告に対し,本件動産を返還すべき義務がある。
2 不法行為に基づく損害賠償請求について
前述のとおり,被告が,原告に過払い金及び本件動産を返還すべき義務を負っているのにこれらの返還を拒絶することは違法であって,不法行為を構成するというべきである。
そして,原告は,書面による返還請求を被告に拒絶されたことから,その権利を実現するため本訴の提起を余儀なくされ,訴訟追行を弁護士に委任したのであるから,その弁護士費用のうち相当と認められる額の範囲内については,上記不法行為と相当因果関係にある損害であるというべきところ,原告代理人が被告に対して2度にわたり書面で過払い金の返還及び本件動産の返還を求めたが被告に拒絶されたために本訴を提起したという経緯,上記のような本件が包含する法律問題の困難性,過払い金返還の請求額及び認容額,本件動産の価額(被告の原告に対する当初貸付額に照らすと,14万5000円程度の価値があるものと考えられる。)等諸般の事情に照らすと,上記相当と認められる額の範囲内の弁護士費用としては2万円が相当である。
3 結論
以上の次第で,原告の請求のうち,本件動産及び過払い金の返還を求める部分,弁護士費用の支払を求める部分のうち2万円の限度並びにこれらに対する遅延損害金の支払いを求める部分には理由があるからこれらを認容し,その余の部分については理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する。
(利息の最高限)
第一条 金銭を目的とする消費貸借上の利息の契約は、その利息が左の利率により計算した金額をこえるときは、その超過部分につき無効とする。
元本が十万円未満の場合 年二割
元本が十万円以上百万円未満の場合 年一割八分
元本が百万円以上の場合 年一割五分
2 債務者は、前項の超過部分を任意に支払つたときは、同項の規定にかかわらず、その返還を請求することができない。
(賠償額予定の制限)
第四条 金銭を目的とする消費貸借上の債務の不履行による賠償額の予定は、その賠償額の元本に対する割合が第一条第一項に規定する率の一・四六倍を超えるときは、その超過部分につき無効とする。
2 第一条第二項の規定は、債務者が前項の超過部分を任意に支払つた場合に準用する。
3 前二項の規定の適用については、違約金は、賠償額の予定とみなす。
(契約による質物の処分の禁止)
第三百四十九条 質権設定者は、設定行為又は債務の弁済期前の契約において、質権者に弁済として質物の所有権を取得させ、その他法律に定める方法によらないで質物を処分させることを約することができない。
(動産質権の実行)
第三百五十四条 動産質権者は、その債権の弁済を受けないときは、正当な理由がある場合に限り、鑑定人の評価に従い質物をもって直ちに弁済に充てることを裁判所に請求することができる。この場合において、動産質権者は、あらかじめ、その請求をする旨を債務者に通知しなければならない。
(動産競売の要件)
第百九十条 動産を目的とする担保権の実行としての競売(以下「動産競売」という。)は、次に掲げる場合に限り、開始する。
一 債権者が執行官に対し当該動産を提出した場合
二 債権者が執行官に対し当該動産の占有者が差押えを承諾することを証する文書を提出した場合
三 債権者が執行官に対し次項の許可の決定書の謄本を提出し、かつ、第百九十二条において準用する第百二十三条第二項の規定による捜索に先立つて又はこれと同時に当該許可の決定が債務者に送達された場合
(定義)
第一条 この法律において「質屋営業」とは、物品(有価証券を含む。第二十二条を除き、以下同じ。)を質に取り、流質期限までに当該質物で担保される債権の弁済を受けないときは、当該質物をもつてその弁済に充てる約款を附して、金銭を貸し付ける営業をいう。
2 この法律において「質屋」とは、質屋営業を営む者で第二条第一項の規定による許可を受けたものをいう。
(質屋営業の許可)
第二条 質屋になろうとする者は、内閣府令で定める手続により、営業所ごとに、その所在地を管轄する都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)の許可を受けなければならない。
2 前項の場合において、質屋になろうとする者は、自ら管理しないで営業所を設けるときは、その営業所の管理者を定めなければならない。
第三十六条 質屋に対する出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律 (昭和二十九年法律第百九十五号)第五条第二項 の規定の適用については、同項 中「二十九・二パーセント」とあるのは「百九・五パーセント」と、「二十九・二八パーセント」とあるのは「百九・八パーセント」と、「〇・〇八パーセント」とあるのは「〇・三パーセント」と、同条第四項 中「貸付けの期間が十五日未満であるときは、これを十五日として利息を計算するものとする。」とあるのは、「月の初日から末日までの期間(当該期間の日数は、その月の暦日の数にかかわらず、三十日とする。)を一期として利息を計算するものとする。この場合において、貸付けの期間が一期に満たないときは一期とし、二以上の月にわたるときは、そのわたる月の数を期の数とする。」とする。
2 質屋については、出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律第五条第三項 、第八条第二項及び第九条第一項第二号の規定は、適用しない。
(受取証書の交付)
第十八条 貸金業者は、貸付けの契約に基づく債権の全部又は一部について弁済を受けたときは、その都度、直ちに、内閣府令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した書面を当該弁済をした者に交付しなければならない。
一 貸金業者の商号、名称又は氏名及び住所
二 契約年月日
三 貸付けの金額(保証契約にあつては、保証に係る貸付けの金額。次条及び第二十一条第二項第四号において同じ。)
四 受領金額及びその利息、賠償額の予定に基づく賠償金又は元本への充当額
五 受領年月日
六 前各号に掲げるもののほか、内閣府令で定める事項
2 前項の規定は、預金又は貯金の口座に対する払込みその他内閣府令で定める方法により弁済を受ける場合にあつては、当該弁済をした者の請求があつた場合に限り、適用する。
3 貸金業者は、極度方式貸付けに係る契約(当該契約で定める利息の額が利息制限法第一条第一項 に定める利息の制限額を超えないものに限る。)又は当該契約の基本となる極度方式基本契約に係る極度方式保証契約に基づく債権の全部又は一部について弁済を受けた場合において、当該弁済をした者に対し、その者の承諾を得て、内閣府令で定めるところにより、一定期間における貸付け及び弁済その他の取引の状況を記載した書面として内閣府令で定めるものを交付するときは、第一項の規定による書面の交付に代えて、次に掲げる事項を記載した書面をその者に交付することができる。この場合において、貸金業者は、当該書面の交付を行つたものとみなす。
一 受領年月日
二 受領金額
三 前二号に掲げるもののほか、内閣府令で定める事項
4 貸金業者は、貸付けの契約のうち、貸付けに係る契約又は保証契約に係る貸付けに係る契約で定める利息の額が利息制限法第一条第一項 に定める利息の制限額を超えないものに基づく債権の全部又は一部について弁済を受けた場合には、第一項に規定する書面の交付又は前項の内閣府令で定める書面の交付若しくは同項の規定により第一項の規定による書面の交付に代えて交付する書面の交付に代えて、政令で定めるところにより、同項又は前項に規定する弁済をした者の承諾を得て、第一項若しくは前項に規定する事項又は同項の内閣府令で定める書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる。この場合において、貸金業者は、これらの書面の交付を行つたものとみなす。
(任意に支払つた場合のみなし弁済)
第四十三条 貸金業者が業として行う金銭を目的とする消費貸借上の利息の契約に基づき、債務者が利息として任意に支払つた金銭の額が、利息制限法第一条第一項 に定める利息の制限額を超える場合において、その支払が次の各号に該当するときは、当該超過部分の支払は、同項 の規定にかかわらず、有効な利息の債務の弁済とみなす。
一 第十七条第一項(第二十四条第二項、第二十四条の二第二項、第二十四条の三第二項、第二十四条の四第二項及び第二十四条の五第二項において準用する場合を含む。以下この号において同じ。)の規定により第十七条第一項に規定する書面を交付している場合若しくは第十六条の二第一項並びに第十七条第三項及び第四項(これらの規定を第二十四条第二項、第二十四条の二第二項、第二十四条の三第二項、第二十四条の四第二項及び第二十四条の五第二項において準用する場合を含む。以下この号において同じ。)の規定により第十六条の二第一項並びに第十七条第三項及び第四項に規定するすべての書面を交付している場合におけるその交付をしている者に対する貸付けに係る契約(極度方式貸付けに係る契約を除く。)若しくは当該貸付けに係る契約に係る保証契約に基づく支払又は第十七条第一項及び第二項(これらの規定を第二十四条第二項、第二十四条の二第二項、第二十四条の三第二項、第二十四条の四第二項及び第二十四条の五第二項において準用する場合を含む。以下この号において同じ。)の規定により第十七条第一項及び第二項に規定するすべての書面を交付している場合若しくは第十六条の二第一項及び第十七条第三項から第五項まで(これらの規定を第二十四条第二項、第二十四条の二第二項、第二十四条の三第二項、第二十四条の四第二項及び第二十四条の五第二項において準用する場合を含む。以下この号において同じ。)の規定により第十六条の二第一項及び第十七条第三項から第五項までに規定するすべての書面を交付している場合におけるその交付をしている者に対する極度方式貸付けに係る契約若しくは当該契約に係る保証契約に基づく支払
二 第十八条第一項(第二十四条第二項、第二十四条の二第二項、第二十四条の三第二項、第二十四条の四第二項及び第二十四条の五第二項において準用する場合を含む。以下この号において同じ。)の規定により第十八条第一項に規定する書面を交付した場合における同項の弁済に係る支払
2 前項の規定は、次の各号に掲げる支払に係る同項の超過部分の支払については、適用しない。
一 第二十四条の六の四第一項の規定による業務の停止の処分に違反して貸付けの契約が締結された場合又は当該処分に違反して締結された貸付けに係る契約について保証契約が締結された場合における当該貸付けの契約又は当該保証契約に基づく支払
二 物価統制令第十二条 の規定に違反して締結された貸付けの契約又は同条 の規定に違反して締結された貸付けに係る契約に係る保証契約に基づく支払
三 出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律第五条第二項 の規定に違反して締結された貸付けに係る契約又は当該貸付けに係る契約に係る保証契約に基づく支払
3 前二項の規定は、貸金業者が業として行う金銭を目的とする消費貸借上の債務の不履行による賠償額の予定に基づき、債務者が賠償として任意に支払つた金銭の額が、利息制限法第四条第一項 に定める賠償額の予定の制限額を超える場合において、その支払が第一項各号に該当するときに準用する
(高金利の処罰)
第五条 金銭の貸付けを行う者が、年百九・五パーセント(二月二十九日を含む一年については年百九・八パーセントとし、一日当たりについては〇・三パーセントとする。)を超える割合による利息(債務の不履行について予定される賠償額を含む。以下同じ。)の契約をしたときは、五年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。当該割合を超える割合による利息を受領し、又はその支払を要求した者も、同様とする。
2 前項の規定にかかわらず、金銭の貸付けを行う者が業として金銭の貸付けを行う場合において、年二十九・二パーセント(二月二十九日を含む一年については年二十九・二八パーセントとし、一日当たりについては〇・〇八パーセントとする。)を超える割合による利息の契約をしたときは、五年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。その貸付けに関し、当該割合を超える割合による利息を受領し、又はその支払を要求した者も、同様とする。
3 前二項の規定にかかわらず、金銭の貸付けを行う者が業として金銭の貸付けを行う場合において、年百九・五パーセント(二月二十九日を含む一年については年百九・八パーセントとし、一日当たりについては〇・三パーセントとする。)を超える割合による利息の契約をしたときは、十年以下の懲役若しくは三千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。その貸付けに関し、当該割合を超える割合による利息を受領し、又はその支払を要求した者も、同様とする。
4 前三項の規定の適用については、貸付けの期間が十五日未満であるときは、これを十五日として利息を計算するものとする。
5 第一項から第三項までの規定の適用については、利息を天引する方法による金銭の貸付けにあつては、その交付額を元本額として利息を計算するものとする。
6 一年分に満たない利息を元本に組み入れる契約がある場合においては、元利金のうち当初の元本を超える金額を利息とみなして第一項から第三項までの規定を適用する。
7 金銭の貸付けを行う者がその貸付けに関し受ける金銭は、礼金、割引料、手数料、調査料その他何らの名義をもつてするを問わず、利息とみなして第一項前段、第二項前段及び第三項前段の規定を適用する。貸し付けられた金銭について支払を受領し、又は要求する者が、その受領又は要求に関し受ける元本以外の金銭についても、同様に利息とみなして第一項後段、第二項後段及び第三項後段の規定を適用する。