新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース 質問:以前、株式会社を経営していましたが、事業自体が先細りになってきたため、休業してしまいました。債務超過等はありませんでした。会社はそのまま放置してきましたが、最近になり、昔の事業が脚光を浴び出したので、事業を再開しようと考えています。何か手続きが必要になりますか? 解説: Aまず、商業登記制度の意義、重要性が理由としてあげられます。 B具体的にいえば、実態と合わない商業登記は、まず商号との関係で許されません。商号とは、商人が営業を行うにおいて自己を表示するために使用する名称であり、財産権であるとともに人格権(経済社会における商人としての名誉もあるので)をも含むものです。商号自由主義(商法11条1項)がとられていても、経済秩序維持のため商号権保護は必要不可欠であり、会社の場合は必ず登記されることになっています(会社法911条3項2号・会社法912条2号・会社法913条2号・会社法914条2号)。従って、誰も不正の目的で類似商号を使えませんし、違反者には使用差し止め、損害賠償が可能になっていますし(会社法8条2項、不正競争防止法2条、3条、4条)、登記も受け付けてくれません(商業登記法27条一定地域内や同業種で同一商号は付けられない)。従って、登記と実体が違う休眠会社を放置すると、営業の自由、商号選定の自由を実質的に侵害する危険が生じることになります。 C又、実態に合致しない商業登記放置は、虚偽の営業年数、経歴の作出、休眠会社の種々の事業許可等(人材派遣、建設業等)の不当取得等違法な会社売買を誘発する可能性があり許されませんし、その利益を求め、会社売買の違法業者(ブローカー)の不正活動も考えられます。 Dさらには、会社が経済活動を行うのに際して利益を追求するあまり、組織的に不正な行為を行うことがあり、これを隠ぺいするため、登記はあるが実体のない会社を利用、介在させることがあるので休眠会社の放置は許されません。例えば脱税等です。 E以上のように、商業登記される会社制度を悪用して不正な経済的活動するような会社も簡単に作られ取得されることになると、結果として、そのような会社とは知らずに取引関係に入った別の会社は、不足の損害を受けることになりますし、その損害を回復することも困難です。また、会社は、通常、不特定多数を相手に反復的な商取引を行いますので、当該会社に対する信用、ひいては公正な経済秩序の信用性も失われることになりかねません。 Fそこで会社法では、これらの危険が発現するのを防止することを目的として、最後の登記の日から12年(会社法により取締役の任期が最長10年になったので)を経過した会社を「休眠会社」とし、休眠会社は解散したものと推定して、登記簿と会社の実態を合致させるための措置として、所定の手続きを経た後に職権で解散の登記ができることを定めています。但し、小規模会社等長期間登記手続きをしなくても適法な企業活動をしている場合があり、これを救済するため手続き上解散の登記の前に当該会社に対して問い合わせを行い、実体のある会社の解散登記を防いでいます。さらに、当該企業について法務大臣が解散したとみなされた後、3年以内に株主総会の決議により、その会社を継続することができることにはなっています(473条)。 G尚、商業登記の重要性にかんがみ、休眠会社のように実態と異なる登記内容を放置すると100万円以下の金銭罰が科せられます(会社法976条)。 2.「解散」の登記がされていた場合には A解散の登記がされていたら Bこのまま会社をたたむ場合 C会社を続けたい場合 (1)清算人・代表清算人 (2)株主総会の招集 (3)代表取締役の選任 (4)登記申請 3.解散の登記がされていなかった場合 4.おわりに 《参考条文》 【会社法】 【商業登記法】 【商法】 【不正競争防止法】 【商業登記法】
No.861、2009/4/24 17:20
[商事・休眠会社・制度趣旨・手続き]
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回答:
まず、事業をいつ頃やめたのかによりますが、当該株式会社に関する最後の登記をした日から、2006年5月の会社法施行前であれば5年、会社法施行後であれば12年間、何の登記も申請しないままでいますと、当該会社は「休眠会社」と認定され、登記官の職権で会社を解散する旨の登記がされている可能性があります(会社法472条)。これは、解散の登記がされたかどうかは、会社の登記簿で確認できます。万一、会社を解散する旨の登記がされていたとしても、解散したものとみなされた日から3年以内であれば、株主総会の決議を得ることによって、再度会社を継続することができます。解散の登記がされていなければ、そのまま事業を開始することができますが、休業していても、法人税法上の申告義務(法人税法160条)や、会社法上の登記義務(会社法第976条1項1号)はありますので、金銭罰(過料100万円以下。)を受けることになりますから注意してください。
1.「休眠会社」制度の意義
@貴方の会社は、活動を事実上停止し放置していますから、会社の商業登記簿もそのままになっているものと考えられます。このように企業実体と異なる登記が残り、最後の登記から12年間経過した会社は休眠会社と認定され、対応を怠ると職権で解散登記手続きをされることになります。休眠会社の認定は、形式的な公示、登記手続きを基準に判断されますので、実質的に営業をしているかどうかに関係はありません。ではどうして、実体があっても異なる登記がある場合、法は厳しい対応をしているのか説明します。
会社の設立は、一定の要件を満たし、一定の手続きを行えば、官公庁の許認可(例えば学校法人は認可)を得ることなく、会社を作ることができるという準則主義がとられており、会社の本店の所在地で設立登記をすれば成立します(会社法第49条、579条)。また、平成2年の商法法改正により物的会社の債権者保護、泡沫会社設立防止という理由から、株式会社では1000万円(有限会社は300万円)の最低資本金制度が取られていましたが、平成17年の会社法成立により最低資本金の制度は廃止になり、資本金の額を0円とする株式会社(有限会社は廃止)を設立することも可能となりました。資本金の計算は、発行済み株式の発行価格の総額(旧商法284条の2)となっていましたが、新会社法では、設立に際して株主となる者が株式会社に対して払込み又は給付した財産の額の2分の1以上の額ということになり(会社法445条1項・2項、払い込みは発起設立の場合1株以上でも可能。会社法25条2項)、資本の額を実態的に把握しますので「財産の額」の計算が設立費用(設立率事務所の賃料、設立認証手数料等)を控除することから計算上0になることも生じました(会社計算規則74条)。これは、社団設立の自由の基本に戻り、起業の自由を促進しようとするものです。ということは、誰でも簡単に株式会社を作れることになりましたが、株式会社制度は、もともと所有と経営の分離により個性のない株主(社員)を大量に集め、経営の専門家により巨大な利益を目的に活動するもので、経営に興味のない社員株主の利益、会社の財産しか担保のない無数の債権者の利益を保護する必要があります。株式会社はもともと有形のものではなく実体を把握することはできませんから、会社の基本的事項は定款に記載し、さらに重要事項を公に公開し、利害関係人に開示し、会社制度の信用を維持し、安心して取引ができるように自由で公正な経済社会秩序を形成しなければなりません。そこで、会社法は登記事項を規定し(会社法911条)、役員、目的、資本金の額等の登記すべき事項に変更があった場合には、一定の期間内に登記するよう義務付けているのです(会社法第915条)。これが商業登記制度です(商業登記法第1条)。従って、実態と異なる登記が外形上継続することは法の理想から許されず、常に実態に合致した商業登記が求められるのです。
@解散の登記がされるまで
法務局は、ある一定の日を定め、その日に、官報において、休眠会社を整理する旨を公告します。次いで、整理の対象となっている会社に対しては、官報公告がなされた旨を郵便で通知し、公告の日から2ヶ月以内に登記を申請するか、あるいは、「まだ営業を廃止していない」旨の届出をするように促します。そして、期間内に、登記の申請も届出もされなかった会社について、職権で解散の登記を入れます。会社法では、休眠会社の要件として、「最後の登記から12年」と定めていますが、これは、会社法では、取締役の任期について最長10年と定めているため、長い間他の登記事項(本店、商号、目的、資本金の額等)について変更がなかったとしても、少なくとも10年に1度は取締役の変更の登記が申請されることを予定していることから、当該期間と定めています。なお、12年間の間に当該会社の登記事項証明書や印鑑証明書を交付申請したかどうかは、関係がありません。
解散の登記により、会社は清算手続きに入ります(商法第475条)。清算手続き中は、会社は清算の目的の範囲内においてのみ存続するとされていますので(商法第476条)、他の会社を吸収合併すること(吸収合併されることは可能)や、承継会社となる会社分割、株式交換、株式移転はできなくなります。また、資本金の額や準備金の増減もすることができなくなります。一方、商法下では認められなかった、清算会社の株式・社債の発行、支店設置は、会社法の下では、清算業務の範囲内である限り認められるとされています(会社法482条3項、489条6項、487条2項)。
このまま会社をたたむということであれば、清算手続きを行います。清算手続きでは、会社の権利義務の一切を解消し、債権者への弁済や残余財産を株主に分配して、資産と負債をゼロにします。清算手続きが結了しますとその時点で、会社は消滅します。そして、決算報告書を作成して株主総会で承認を受けた後、清算結了の登記をすることにより、会社は本当に登記簿上からもなくなることになります(会社法929条)。なお、別途、税務署への届出等は必要ですので、詳細については会計士、税理士等にご相談されることをお勧めします。
会社を続けたい場合には、解散したものとみなされた日(官報公告で定めた2ヶ月の期間満了時)から3年以内であれば、株主総会の特別決議により、会社を継続することができます(会社法473条、309条2項11号)。会社を継続をする場合には、@清算人・代表清算人の就任(就任登記)A株主総会の開催・継続する旨の特別決議B取締役・代表取締役の選任決議C会社継続及び取締役・代表取締役就任の登記、を行います。具体的な手続きは以下のとおりとなります。
解散したものとみなされたことにより、会社は清算会社となります。定款に特別の定めがある場合はそれに従いますが、特別の定めがなければ、法定清算人として、解散当時の取締役が清算人になり、代表取締役がいる場合には、その者は代表清算人になります(会社法476条、477条)。清算人・代表清算人の就任の登記は、株主総会の前でも後でも可能です。
特別決議により、会社の継続を決議します。そして、取締役を選任(定款で、株主総会で代表取締役を選任するとされている場合には、代表取締役も併せて選任)します。
定款の規定に従い、取締役の互選あるいは取締役会の決議により、代表取締役を選任します。
@清算人・代表清算人の就任登記(この登記は、株主総会開催前でも後でも申請することができます。)A会社継続の登記B取締役・代表取締役就任の登記を同時に行います。
会社を休眠する場合には、税務署、都道府県税事務所、市区町村に「休眠の届け」をする必要があります。もし、この届出をしているのであれば、「再開の届け」をして、開始することになります。なお、登記や税務申告については、休眠中も登記義務、申告義務がありますので、例えば、取締役や監査役の任期が切れて登記懈怠になっている等の場合には、その申請を行います。詳しくは、司法書士、税理士にご相談ください。
ご相談の内容からですと、以前手がけていた事業が、現在脚光を浴びているとのことですので、ご自身で会社を経営されるという選択肢の他に、他の会社への吸収合併や会社分割、清算手続きの中で特許権や不動産等の会社の財産を個々に売却していくという方法もあります。手続きの方法により税務上も違いが生じますので重要です。いずれにしても、法人税の申告や登記等の手続きがありますので、一度、弁護士、税理士等の専門家にご相談されることをお勧めします。
第8条 何人も、不正の目的をもって、他の会社であると誤認されるおそれのある名称又は商号を使用してはならない。
2 前項の規定に違反する名称又は商号の使用によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある会社は、その営業上の利益を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
第25条 株式会社は、次に掲げるいずれかの方法により設立することができる。
一 次節から第八節までに規定するところにより、発起人が設立時発行株式(株式会社の設立に際して発行する株式をいう。以下同じ。)の全部を引き受ける方法
二 次節、第三節、第三十九条及び第六節から第九節までに規定するところにより、発起人が設立時発行株式を引き受けるほか、設立時発行株式を引き受ける者の募集をする方法
2 各発起人は、株式会社の設立に際し、設立時発行株式を一株以上引き受けなければならない。
第二節 定款の作成
(定款の記載又は記録事項)
第27条 株式会社の定款には、次に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。
一 目的
二 商号
三 本店の所在地
四 設立に際して出資される財産の価額又はその最低額
五 発起人の氏名又は名称及び住所
第二十八条 株式会社を設立する場合には、次に掲げる事項は、第二十六条第一項の定款に記載し、又は記録しなければ、その効力を生じない。
一 金銭以外の財産を出資する者の氏名又は名称、当該財産及びその価額並びにその者に対して割り当てる設立時発行株式の数(設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合にあっては、設立時発行株式の種類及び種類ごとの数。第三十二条第一項第一号において同じ。)
二 株式会社の成立後に譲り受けることを約した財産及びその価額並びにその譲渡人の氏名又は名称
三 株式会社の成立により発起人が受ける報酬その他の特別の利益及びその発起人の氏名又は名称
四 株式会社の負担する設立に関する費用(定款の認証の手数料その他株式会社に損害を与えるおそれがないものとして法務省令で定めるものを除く。)
(株式会社の成立)
第49条 株式会社は、その本店の所在地において設立の登記をすることによって成立する。
(株主総会の決議)
第309条 株主総会の決議は、定款に別段の定めがある場合を除き、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数をもって行う。
2 前項の規定にかかわらず、次に掲げる株主総会の決議は、当該株主総会において議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(3分の1以上の割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の3分の2(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上に当たる多数をもって行わなければならない。この場合においては、当該決議の要件に加えて、一定の数以上の株主の賛成を要する旨その他の要件を定款で定めることを妨げない。
一〜十(略)
十一 第6章から第8章までの規定により株主総会の決議を要する場合における当該株主総会
十二(略)
3〜5(略)
(休眠会社のみなし解散)
第472条 休眠会社(株式会社であって、当該株式会社に関する登記が最後にあった日から12年を経過したものをいう。以下この条において同じ。)は、法務大臣が休眠会社に対し2箇月以内に法務省令で定めるところによりその本店の所在地を管轄する登記所に事業を廃止していない旨の届出をすべき旨を官報に公告した場合において、その届出をしないときは、その2箇月の期間の満了の時に、解散したものとみなす。ただし、当該期間内に当該休眠会社に関する登記がされたときは、この限りでない。
2 登記所は、前項の規定による公告があったときは、休眠会社に対し、その旨の通知を発しなければならない。
(株式会社の継続)
第473条 株式会社は、第471条第一号から第三号までに掲げる事由によって解散した場合(前条第1項の規定により解散したものとみなされた場合を含む。)には、次章の規定による清算が結了するまで(同項の規定により解散したものとみなされた場合にあっては、解散したものとみなされた後3年以内に限る。)、株主総会の決議によって、株式会社を継続することができる。
(解散した株式会社の合併等の制限)
第474条 株式会社が解散した場合には、当該株式会社は、次に掲げる行為をすることができない。
1 合併(合併により当該株式会社が存続する場合に限る。)
2 吸収分割による他の会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部の承継
(清算の開始原因)
第475条 株式会社は、次に掲げる場合には、この章の定めるところにより、清算をしなければならない。
1 解散した場合(第471条第四号に掲げる事由によって解散した場合及び破産手続開始の決定により解散した場合であって当該破産手続が終了していない場合を除く。)
2・3(略)
(清算株式会社の能力)
第476条 前条の規定により清算をする株式会社(以下「清算株式会社」という。)は、清算の目的の範囲内において、清算が結了するまではなお存続するものとみなす。
(業務の執行)
第482条
1・2(略)
3 前項の場合には、清算人は、次に掲げる事項についての決定を各清算人に委任することができない。
一 支配人の選任及び解任
二 支店の設置、移転及び廃止
三 第298条第1項各号(第325条において準用する場合を含む。)に掲げる事項
四 清算人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他清算株式会社の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備
4(略)
第477条 清算株式会社には、1人又は2人以上の清算人を置かなければならない。
2 清算株式会社は、定款の定めによって、清算人会、監査役又は監査役会を置くことができる。
3 監査役会を置く旨の定款の定めがある清算株式会社は、清算人会を置かなければならない。
4 第475条各号に掲げる場合に該当することとなった時において公開会社又は大会社であった清算株式会社は、監査役を置かなければならない。
5 第475条各号に掲げる場合に該当することとなった時において委員会設置会社であった清算株式会社であって、前項の規定の適用があるものにおいては、監査委員が監査役となる。
6 第4章第2節の規定は、清算株式会社については、適用しない。
(清算人の就任)
第478条 次に掲げる者は、清算株式会社の清算人となる。
一 取締役(次号又は第三号に掲げる者がある場合を除く。)
二 定款で定める者
三 株主総会の決議によって選任された者
四 前項の規定により清算人となる者がないときは、裁判所は、利害関係人の申立てにより、清算人を選任する。
2〜6(略)
(清算人会の権限等)
第489条
1〜5(略)
6 清算人会は、次に掲げる事項その他の重要な業務執行の決定を清算人に委任することができない。
一 重要な財産の処分及び譲受け
二 多額の借財
三 支配人その他の重要な使用人の選任及び解任
四 支店その他の重要な組織の設置、変更及び廃止
五 第676条第一号に掲げる事項その他の社債を引き受ける者の募集に関する重要な事項として法務省令で定める事項
六 清算人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他清算株式会社の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備
7、8(略)
(清算人の第三者に対する損害賠償責任)
第487条
1(略)
2 清算人が、次に掲げる行為をしたときも、前項と同様とする。ただし、当該清算人が当該行為をすることについて注意を怠らなかったことを証明したときは、この限りでない。
一 株式、新株予約権、社債若しくは新株予約権付社債を引き受ける者の募集をする際に通知しなければならない重要な事項についての虚偽の通知又は当該募集のための当該清算株式会社の事業その他の事項に関する説明に用いた資料についての虚偽の記載若しくは記録
二〜四(略)
第二節 会社の登記
第一款 本店の所在地における登記
(株式会社の設立の登記)
第911条 株式会社の設立の登記は、その本店の所在地において、次に掲げる日のいずれか遅い日から二週間以内にしなければならない。
一 第四十六条第一項の規定による調査が終了した日(設立しようとする株式会社が委員会設置会社である場合にあっては、設立時代表執行役が同条第三項の規定による通知を受けた日)
二 発起人が定めた日
2 前項の規定にかかわらず、第五十七条第一項の募集をする場合には、前項の登記は、次に掲げる日のいずれか遅い日から二週間以内にしなければならない。
一 創立総会の終結の日
二 第八十四条の種類創立総会の決議をしたときは、当該決議の日
三 第九十七条の創立総会の決議をしたときは、当該決議の日から二週間を経過した日
四 第百条第一項の種類創立総会の決議をしたときは、当該決議の日から二週間を経過した日
五 第百一条第一項の種類創立総会の決議をしたときは、当該決議の日
3 第一項の登記においては、次に掲げる事項を登記しなければならない。
一 目的
二 商号
三 本店及び支店の所在場所
四 株式会社の存続期間又は解散の事由についての定款の定めがあるときは、その定め
五 資本金の額
六 発行可能株式総数
七 発行する株式の内容(種類株式発行会社にあっては、発行可能種類株式総数及び発行する各種類の株式の内容)
八 単元株式数についての定款の定めがあるときは、その単元株式数
九 発行済株式の総数並びにその種類及び種類ごとの数
十 株券発行会社であるときは、その旨
十一 株主名簿管理人を置いたときは、その氏名又は名称及び住所並びに営業所
十二 新株予約権を発行したときは、次に掲げる事項
イ 新株予約権の数
ロ 第二百三十六条第一項第一号から第四号までに掲げる事項
ハ ロに掲げる事項のほか、新株予約権の行使の条件を定めたときは、その条件
ニ 第二百三十六条第一項第七号並びに第二百三十八条第一項第二号及び第三号に掲げる事項
十三 取締役の氏名
十四 代表取締役の氏名及び住所(第二十二号に規定する場合を除く。)
十五 取締役会設置会社であるときは、その旨
十六 会計参与設置会社であるときは、その旨並びに会計参与の氏名又は名称及び第三百七十八条第一項の場所
十七 監査役設置会社(監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある株式会社を含む。)であるときは、その旨及び監査役の氏名
十八 監査役会設置会社であるときは、その旨及び監査役のうち社外監査役であるものについて社外監査役である旨
十九 会計監査人設置会社であるときは、その旨及び会計監査人の氏名又は名称
二十 第三百四十六条第四項の規定により選任された一時会計監査人の職務を行うべき者を置いたときは、その氏名又は名称
二十一 第三百七十三条第一項の規定による特別取締役による議決の定めがあるときは、次に掲げる事項
イ 第三百七十三条第一項の規定による特別取締役による議決の定めがある旨
ロ 特別取締役の氏名
ハ 取締役のうち社外取締役であるものについて、社外取締役である旨
二十二 委員会設置会社であるときは、その旨及び次に掲げる事項
イ 取締役のうち社外取締役であるものについて、社外取締役である旨
ロ 各委員会の委員及び執行役の氏名
ハ 代表執行役の氏名及び住所
二十三 第四百二十六条第一項の規定による取締役、会計参与、監査役、執行役又は会計監査人の責任の免除についての定款の定めがあるときは、その定め
二十四 第四百二十七条第一項の規定による社外取締役、会計参与、社外監査役又は会計監査人が負う責任の限度に関する契約の締結についての定款の定めがあるときは、その定め
二十五 前号の定款の定めが社外取締役に関するものであるときは、取締役のうち社外取締役であるものについて、社外取締役である旨
二十六 第二十四号の定款の定めが社外監査役に関するものであるときは、監査役のうち社外監査役であるものについて、社外監査役である旨
二十七 第四百四十条第三項の規定による措置をとることとするときは、同条第一項に規定する貸借対照表の内容である情報について不特定多数の者がその提供を受けるために必要な事項であって法務省令で定めるもの
二十八 第九百三十九条第一項の規定による公告方法についての定款の定めがあるときは、その定め
二十九 前号の定款の定めが電子公告を公告方法とする旨のものであるときは、次に掲げる事項
イ 電子公告により公告すべき内容である情報について不特定多数の者がその提供を受けるために必要な事項であって法務省令で定めるもの
ロ 第九百三十九条第三項後段の規定による定款の定めがあるときは、その定め
三十 第二十八号の定款の定めがないときは、第九百三十九条第四項の規定により官報に掲載する方法を公告方法とする旨
(合名会社の設立登記)
第912条
合名会社の設立の登記は、その本店の所在地において、次に掲げる事項を登記してしなければならない。
一 目的
二 商号
(合資会社の設立の登記)
第913条
合資会社の設立の登記は、その本店の所在地において、次に掲げる事項を登記してしなければならない。
一 目的
二 商号
(合同会社の設立の登記)
第九百十四条 合同会社の設立の登記は、その本店の所在地において、次に掲げる事項を登記してしなければならない。
一 目的
二 商号
(過料に処すべき行為)
第976条 発起人、設立時取締役、設立時監査役、設立時執行役、取締役、会計3与若しくはその職務を行うべき社員、監査役、執行役、会計監査人若しくはその職務を行うべき社員、清算人、清算人代理、持分会社の業務を執行する社員、民事保全法第516条に規定する仮処分命令により選任された取締役、監査役、執行役、清算人若しくは持分会社の業務を執行する社員の職務を代行する者、第960条第1項第五号に規定する一時取締役、会計参与与、監査役、代表取締役、委員、執行役若しくは代表執行役の職務を行うべき者、同条第2項第三号に規定する一時清算人若しくは代表清算人の職務を行うべき者、第967条第1項第三号に規定する一時会計監査人の職務を行うべき者、検査役、監督委員、調査委員、株主名簿管理人、社債原簿管理人、社債管理者、事務を承継する社債管理者、代表社債権者、決議執行者、外国会社の日本における代表者又は支配人は、次のいずれかに該当する場合には、百万円以下の過料に処する。ただし、その行為について刑を科すべきときは、この限りでない。
1 この法律の規定による登記をすることを怠ったとき。
2から35(略)
(清算結了の登記)
第929条 清算が結了したときは、次の各号に掲げる会社の区分に応じ、当該各号に定める日から2週間以内に、その本店の所在地において、清算結了の登記をしなければならない。
一 清算株式会社 第507条第3項の承認の日
二・三(略)
(変更の登記)
第915条 会社において第911条第3項各号又は前3条各号に掲げる事項に変更が生じたときは、2週間以内に、その本店の所在地において、変更の登記をしなければならない。
2、3(略)
(過料に処すべき行為)
第976条 発起人、設立時取締役、設立時監査役、設立時執行役、取締役、会計参与若しくはその職務を行うべき社員、監査役、執行役、会計監査人若しくはその職務を行うべき社員、清算人、清算人代理、持分会社の業務を執行する社員、民事保全法第五十六条に規定する仮処分命令により選任された取締役、監査役、執行役、清算人若しくは持分会社の業務を執行する社員の職務を代行する者、第九百六十条第一項第五号に規定する一時取締役、会計参与、監査役、代表取締役、委員、執行役若しくは代表執行役の職務を行うべき者、同条第二項第三号に規定する一時清算人若しくは代表清算人の職務を行うべき者、第九百六十七条第一項第三号に規定する一時会計監査人の職務を行うべき者、検査役、監督委員、調査委員、株主名簿管理人、社債原簿管理人、社債管理者、事務を承継する社債管理者、代表社債権者、決議執行者、外国会社の日本における代表者又は支配人は、次のいずれかに該当する場合には、百万円以下の過料に処する。ただし、その行為について刑を科すべきときは、この限りでない。
一 この法律の規定による登記をすることを怠ったとき。
(目的)
第1条 この法律は、商法(明治32年法律第48号)、会社法(平成17年法律第86号)その他の法律の規定により登記すべき事項を公示するための登記に関する制度について定めることにより、商号、会社等に係る信用の維持を図り、かつ、取引の安全と円滑に資することを目的とする。
会社計算規則
(株式会社の設立時の株主資本)
第74条 法第二十五条第一項各号に掲げる方法により株式会社を設立する場合における株式会社の設立時に行う株式の発行に係る法第四百四十五条第一項に規定する株主となる者が当該株式会社に対して払込み又は給付をした財産の額とは、第一号に掲げる額から第二号に掲げる額を減じて得た額(零未満である場合にあっては、零)とする。
一 次に掲げる額の合計額(零未満である場合にあっては、零)
イ 法第三十四条第一項又は第六十三条第一項の規定により払込みを受けた金銭(当該金銭がハに規定する財産に該当する場合における当該金銭を除く。)の金額(外国の通貨をもって金銭の払込みを受けた場合にあっては、払込みがあった日の為替相場に基づき算出された金額)
ロ 法第三十四条第一項の規定により給付を受けた金銭以外の財産(当該財産がハに規定する財産に該当する場合における当該財産を除く。)の給付があった日における当該財産の価額
ハ 法第三十四条第一項又は第六十三条第一項の規定により払込み又は給付を受けた財産(当該財産の株式会社における帳簿価額として、当該財産の払込み又は給付をした者における当該払込み又は給付の直前の帳簿価額を付すべき場合における当該財産に限る。)の払込み又は給付をした者における当該払込み又は給付の直前の帳簿価額の合計額
二 法第三十二条第一項第三号に掲げる事項として、設立に要した費用の額のうち設立に際して資本金又は資本準備金の額として計上すべき額から減ずるべき額と定めた額
2 設立(法第二十五条第一項各号に掲げる方法によるものに限る。 以下この条において同じ。)時の株式会社のその他資本剰余金の額は、零とする。
3 設立時の株式会社の利益準備金の額は、零とする。
4 設立時の株式会社のその他利益剰余金の額は、零(第一項第一号イからハまでに掲げる額の合計額から同項第二号に掲げる額を減じて得た額が零未満である場合にあっては、当該額)とする。
5 第一項第一号の規定の適用については、設立時に発起人が出資する金銭以外の財産について定款に定めた額と、当該財産の帳簿価額(当該出資に係る資本金及び資本準備金の額を含む。)とが同一の額でなければならないと解してはならない。
第四章 商号
(商号の選定)
第11条 商人(会社及び外国会社を除く。以下この編において同じ。)は、その氏、氏名その他の名称をもってその商号とすることができる。
2 商人は、その商号の登記をすることができる。
(他の商人と誤認させる名称等の使用の禁止)
第12条 何人も、不正の目的をもって、他の商人であると誤認されるおそれのある名称又は商号を使用してはならない。
2 前項の規定に違反する名称又は商号の使用によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある商人は、その営業上の利益を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
(過料)
第13条 前条第一項の規定に違反した者は、百万円以下の過料に処する。
(商号の譲渡)
第15条 商人の商号は、営業とともにする場合又は営業を廃止する場合に限り、譲渡することができる。
2 前項の規定による商号の譲渡は、登記をしなければ、第三者に対抗することができない。
(定義)
第2条 この法律において「不正競争」とは、次に掲げるものをいう。
一 他人の商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものをいう。以下同じ。)として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供して、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為
十二 不正の利益を得る目的で、又は他人に損害を加える目的で、他人の特定商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章その他の商品又は役務を表示するものをいう。)と同一若しくは類似のドメイン名を使用する権利を取得し、若しくは保有し、又はそのドメイン名を使用する行為
(差止請求権)
第3条 不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、その営業上の利益を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
2 不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した物(侵害の行為により生じた物を含む。第五条第一項において同じ。)の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の停止又は予防に必要な行為を請求することができる。
(損害賠償)
第4条 故意又は過失により不正競争を行って他人の営業上の利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずる。ただし、第十五条の規定により同条に規定する権利が消滅した後にその営業秘密を使用する行為によって生じた損害については、この限りでない。
第二節 商号の登記(第二十七条〜第三十四条)
(同一の所在場所における同一の商号の登記の禁止)
第二十七条
商号の登記は、その商号が他人の既に登記した商号と同一であり、かつ、その営業所(会社にあつては、本店。以下この条において同じ。)の所在場所が当該他人の商号の登記に係る営業所の所在場所と同一であるときは、することができない。