新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース 【質問】私の母が、最近肩こりがひどいと言っていたのですが、昨日、自宅に訪問に来た健康器具の販売業者から、「この特殊な素材を使った磁気治療器を使えば、血行が良くなって肩こりもよくなりますよ」「毎日続けることが大事です」と言われたので、高額な治療器を購入して、クレジット契約を締結してしまいました。母から喜んだ様子で連絡をもらったのですが、詳細の説明もいらないといって購入してしまったようなので、心配になって、翌日、実家に帰って、まずは母を病院に連れていって聞いてみたところ、「骨格や筋力といった体格の問題かもしれないので、この治療器で血行が多少良くなったとしても、効果があるかは疑問だ」と言われました。クーリングオフや取消等を申し出て、返品したいと思いますが、訪問販売業者に通知しても、クレジット会社からの引き落としは止められないでしょうか。もし、引き落とされてしまったら、その分は、返ってこないでしょうか。今後、このようなことがあったらどうしたらいいでしょうか。 2.しかし、クレジット会社にはクーリングオフ等ができず、業者の詐欺、お母様の誤解等を理由にした取消、無効(これを主張しても、引き落とされた分は戻ってきません)は難しそうです。消費者契約法による、不利益事実の不告知での取消を主張することも、説明を断っていれば難しくなります。従って、原則として既払い分はクレジット会社から取り戻すことはできません。 3.しかし、平成20年6月から1年6ヶ月以内とされている、割賦販売法改正法施行後は、クレジット契約自体も取消しやすくなり、既に引き落とされた分も返すよう主張しやすくなると思われます。 4.事務所事例集bW85、bV67、bV51、bV19、bT90、bR50、bR27、bR02、bQ62、bQ28、bQ27、bP49、bP40、bP20も参考にしてください。 【解説】: Aしかし、本件販売会社は元々クレジット会社の加盟店であり、クレジット会社からクレジット契約成立後に渡されるカード等の証票により、販売店(又はクレジット会社)から本件商品を受け取り、すでにクレジット会社が販売会社に支払っている商品代金をクレジット会社に分割して支払っていくことになっていますので、クレジット会社との契約は「割賦購入あっせん契約」にあたります(法2条3項1乃至3号。2号はクレジット会社から商品を受け取る形態です。)。販売業者とクレジット会社が一体となって割賦販売を行う所に特色があります。これに対して、販売店の単なる提携金融機関から購入者が代金を借入して商品を購入する販売契約はローン提携販売といいます(法2条2項)。割賦販売法には以上3つの形態が規定されています。 B割賦販売法の趣旨は、業者から社会生活における必要品等を購入する一般消費者を保護し公正、公平な社会経済秩序の実現にあります。形式的に自由意思により購入したように見えても、実は不平等の契約になっているからです。その内容は商取引業者の規制と消費者保護のための解除権、取消権の付与、抗弁権の主張等です。私的法律関係においては契約自由の原則が支配しますから公序良俗に反しない限り契約内容も自由ですし、契約した以上履行しなければ違約金を請求され、契約の解除も解除しようとする人が解除理由を具体的に立証しなければなりません。そこで業者は以上の法理論を奇貨として更なる営利を追求するため社会生活上の消費的取引行為について業者の経済力、情報力、組織力、営業活動の宣伝、広告等を利用し事実上消費者に実質的に不利益な種々の商取引態様を考え出し、一般社会生活における商取引に無防備な消費者利益を侵害する事態が生じました。 そこで契約自由の原則の本来の目的である適正な社会経済秩序の確立し、一般消費者保護のため特に規制のために制定されました。この契約の特殊性は、業者の説明に応じ消費者が分割払いということで安易に契約しやすいことが挙げられます。又分割払いといいながら金利の関係で実質的に売買代金が高額になり、契約の際の説明と異なるという不利益をこうむる危険を有しています。さらに目的物に瑕疵等があっても業者が提案するローン、クレジット契約による取引形態により消費者が代金のみを支払い続けるという問題も生じることになり、「分割」という一見消費者に有利な契約の文言に惑わされることにもなっています。そこで割賦販売法が制定されました。以上より、当法律の解釈に当たっては適正、公平、権利濫用防止の原則(憲法12条、民法1条、2条、割賦販売法1条。)から商取引に優位性をもつ業者の利益よりも無防備な消費者保護の視点が特に重視されなければなりません。本法律の改正も同様の趣旨に基づきおこなわれます。 2.(クーリングオフとクレジット契約の関係) 3.(クレジット会社に対する抗弁権の主張) 4.(その他のクレジット会社に対する抗弁権の主張) 5.(平成20年の割賦販売法の改正) 6.(まとめ) ≪条文参照≫ 以下条文中、「改正」とあるのは、平成20年6月11日成立改正です。 改正法第35条の3の13
No.898、2009/7/7 12:17 https://www.shinginza.com/cooling.htm
【民事・クーリングオフと割賦販売法・割賦購入あっせん契約・平成20年改正について】
↓
【回答】:
1.現行の割賦販売法上、本契約は割賦購入あっせん契約にあたり、クーリングオフによる契約解除を理由に解除後の支払いは拒否することができます(法30条の4)。
1.(割賦販売、クレジット契約の性格、割賦購入あっせん契約、制度趣旨)
@まず販売業者と相談者の健康器具販売契約の構造はクレジット会社が介入していますが、実質的にみれば代金を2か月以上3回以上の分割で支払うことになっていると思いますので、割賦販売契約の性格を有しています(法2条1項1号)。
確かに、現在の割賦販売法上は、販売業者が訪問販売の方法で、クレジット契約を利用して商品を販売した場合、クーリングオフができることとその方法を記載した書面(同法30条の2)を交付されてから8日以内に、商品購入の契約をクーリングオフできると規定していますが(同法30条の2の3)、クレジット契約自体は、この条文のクーリングオフの対象となっていませんから、このクーリングオフをしただけでは、クレジット契約の効力がそのまま残ってしまいます。従って、クーリングオフにより、今後の支払いはクレジット会社に対し拒否することはできますが(30条の4、30条の5、抗弁権の接続)、既払い分を取り戻すことは原則としてできません。
そこでクレジット契約自体についても、効力がないと主張するためには、まず、販売業者に対して、お母様に対してよくなると詐欺を行ったことを理由に取消の主張をするか(民法96条1項)、お母様がよくなると誤信したことを理由に錯誤の主張をすることを前提とした上で(民法95条)、その抗弁権を、クレジット業者にも主張できるという(同法29条の4、30条の4、30条の5、抗弁権の接続)規定を根拠に、対抗することが必要となります。しかし、詐欺については騙す意思の証明が必要ですから、業者がその時点で、治るというのが虚偽だと考えていたにもかかわらず勧誘した、という内心の問題まで証明が必要となり、難しいように思います。また、錯誤については、効果があるとまでいえなくても、ありそうだということであれば購入する場合があると考えると、法律行為の要素の錯誤といえず、主張できない可能性が高く、また、説明を断っていますので、お母様の重過失の可能性も否定できません。なお、この規定を根拠にする抗弁の主張は、未払いの金額の支払いを拒否できるのみ、とするのが実務上の運用の大勢ですので(批判はあるのですが)、まだ引き落としまでには時間があるかもしれませんが、この主張の前に、引き落としがなされていた場合には、既払金額となり、返還までは求められないおそれが高いと思います。クレジット業者から一括で代金相当額を受け取った売主に、不当利得(民法703、704条)として返還を請求することも考えられますが(ただし、こちらにも実質的損害があることが必要ですので、既払い分だけ、となる可能性が高いと思います)、悪質な業者で所在不明になってしまった場合、あるいは強制執行できる資産の所在が不明な場合には、損害の回復が難しいと思います。
この点、クレジット業者が、クレジット申込書面を販売業者に預けて、その契約の締結作業をこの業者に任せていることから、消費者契約法によって、クレジット契約媒介を委託された販売業者が不当な勧誘行為(同法4条)を行った場合には、クレジット業者にも取消の主張ができる(同法5条)という方法を使うことも考えられます。この場合は、クレジット業者に対してクレジット契約を取り消すことになるので、引き落とされた分も返還の主張が可能です。そして、この業者は、肩こりがよくなる、というお母様にとって利益となる事実を告げて、そうとは限らない、という不利益な事実を告げていません(同法4条2項)。しかし、お母様が説明を断ったということになれば、この規定は適用されません(同法同条同項但書)から、この取消も主張することが難しそうです。
しかし、平成20年6月に、割賦販売法は改正、公布されており、そこから1年6ヶ月以内に、改正法が施行されることになります。それ以降は、改正法を根拠に、販売業者だけでなく、クレジット業者に対しても、取消を主張できる余地が出てくると思われます。この改正法では、商品の効能について(特定商取引法第6条第1項第1号、経済産業省令第6条の2)、購入者の判断に影響を与える重要な事実で、故意に不利益な事実を告知しなかった場合には、クレジット契約を取り消すことができると規定されています(法第35条の3の13)。故意の証明は必要となりますが、不利益な事実を、効果がない、という確定的な事実でなく、効果がない場合がある、という可能性だと考えれば、立証が軽減されるかもしれません。また、この方法であれば、説明を断ったかどうかは問題とされていませんし、クレジット契約自体の取消ですので、既に引き落とされた分でも返還の請求が可能となります。元々、割賦購入あっせん契約と商品販売契約は、業者が割賦販売を促進するために考えた一体的契約ですから割賦販売法の趣旨から妥当な改正です。
このようなクーリングオフや取消の主張は、非常に構成が複雑ですので、確信が持てなくても早急に通知することが大事になる場合もありますが、まずは、お早めに、お近くの法律事務所等にご相談下さい。
<割賦販売法>
第一章 総則
(目的及び運用上の配慮)
第1条 この法律は、割賦販売等に係る取引を公正にし、その健全な発達を図ることにより、購入者等の利益を保護し、あわせて商品等の流通及び役務の提供を円滑にし、もつて国民経済の発展に寄与することを目的とする。
2 この法律の運用にあたつては、割賦販売等を行なう中小商業者の事業の安定及び振興に留意しなければならない。
(定義)
第二条 この法律において「割賦販売」とは、次に掲げるものをいう。
一 購入者から商品若しくは権利の代金を、又は役務の提供を受ける者から役務の対価を二月以上の期間にわたり、かつ、三回以上に分割して受領すること(購入者又は役務の提供を受ける者をして販売業者又は役務の提供の事業を営む者(以下「役務提供事業者」という。)の指定する銀行その他預金の受入れを業とする者に対し、二月以上の期間にわたり三回以上預金させた後、その預金のうちから商品若しくは権利の代金又は役務の対価を受領することを含む。)を条件として指定商品若しくは指定権利を販売し、又は指定役務を提供すること。
(書面の交付)
第三十条の二 割賦購入あつせん業者は、購入者又は役務の提供を受ける者が割賦購入あつせん関係販売業者又は割賦購入あつせん関係役務提供事業者から第二条第三項第一号に規定する割賦購入あつせんに係る購入又は受領の方法により指定商品若しくは指定権利を購入したとき又は指定役務を受領するときは、遅滞なく、経済産業省令で定めるところにより、当該割賦購入あつせんに関する次の事項を記載した書面を購入者又は役務の提供を受ける者に交付しなければならない。
一 購入者又は役務の提供を受ける者の支払総額(当該商品若しくは当該権利の現金販売価格又は当該役務の現金提供価格及び割賦購入あつせんの手数料の合計額をいう。)
二 割賦購入あつせんに係る各回ごとの商品若しくは権利の代金又は役務の対価(割賦購入あつせんの手数料を含む。)の支払分の額並びにその支払の時期及び方法
三 前二号に掲げるもののほか、経済産業省令で定める事項
2 割賦購入あつせん業者は、購入者又は役務の提供を受ける者が割賦購入あつせん関係販売業者又は割賦購入あつせん関係役務提供事業者から第二条第三項第三号に規定する割賦購入あつせんに係る購入又は受領の方法により指定商品若しくは指定権利を購入したとき又は指定役務を受領するときは、遅滞なく、経済産業省令で定めるところにより、当該割賦購入あつせんに関する次の事項を記載した書面を購入者又は役務の提供を受ける者に交付しなければならない。
一 当該商品若しくは当該権利の現金販売価格又は当該役務の現金提供価格
二 弁済金の支払の方法
三 前二号に掲げるもののほか、経済産業省令で定める事項
3 割賦購入あつせん業者は、指定商品、指定権利又は指定役務に係る第二条第三項第三号に規定する割賦購入あつせんに係る弁済金の支払を請求するときは、あらかじめ、経済産業省令で定めるところにより、次の事項を記載した書面を購入者又は役務の提供を受ける者に交付しなければならない。
一 弁済金を支払うべき時期
二 前号の時期に支払われるべき弁済金の額及びその算定根拠
4 割賦購入あつせん関係販売業者又は割賦購入あつせん関係役務提供事業者は、第二条第三項第一号又は第三号に規定する割賦購入あつせんに係る販売又は提供の方法により指定商品若しくは指定権利を販売したとき又は指定役務を提供するときは、遅滞なく、経済産業省令で定めるところにより、当該商品若しくは当該権利の販売又は当該役務の提供に関する次の事項を記載した書面を購入者又は役務の提供を受ける者に交付しなければならない。
一 商品若しくは権利の現金販売価格又は役務の現金提供価格
二 商品の引渡時期若しくは権利の移転時期又は役務の提供時期
三 契約の解除に関する事項
四 前三号に掲げるもののほか、経済産業省令で定める事項
5 割賦購入あつせん関係販売業者又は割賦購入あつせん関係役務提供事業者は、購入者又は役務の提供を受ける者が第二条第三項第二号に規定する割賦購入あつせんに係る購入又は受領の方法により指定商品若しくは指定権利を購入したとき又は指定役務を受領するときは、遅滞なく、経済産業省令で定めるところにより、当該割賦購入あつせんに係る購入又は受領に関する次の事項を記載した書面を購入者又は役務の提供を受ける者に交付しなければならない。
一 購入者又は役務の提供を受ける者の支払総額
二 割賦購入あつせんに係る各回ごとの商品若しくは権利の代金又は役務の対価の全部又は一部(当該代金又は当該対価の全部又は一部に係る割賦購入あつせんの手数料を含む。)の支払分の額並びにその支払の時期及び方法
三 商品の引渡時期若しくは権利の移転時期又は役務の提供時期
四 契約の解除に関する事項
五 前各号に掲げるもののほか、経済産業省令で定める事項
(契約の申込みの撤回等)
第三十条の二の三 割賦購入あつせん関係販売業者若しくは割賦購入あつせん関係役務提供事業者が営業所等以外の場所において割賦購入あつせんに係る販売若しくは提供の方法により指定商品(割賦購入あつせんに係る販売の方法により販売する場合の販売条件についての交渉が割賦購入あつせん関係販売業者と購入者との間で相当の期間にわたり行われることが通常の取引方法である商品として政令で定める指定商品を除く。以下この条において同じ。)若しくは指定権利を販売する契約若しくは指定役務を提供する契約の申込みを受けた場合における当該申込みをした者又は割賦購入あつせん関係販売業者若しくは割賦購入あつせん関係役務提供事業者の営業所等以外の場所において割賦購入あつせんに係る販売若しくは提供の方法により指定商品若しくは指定権利を販売する契約若しくは指定役務を提供する契約を締結した場合における当該購入者若しくは当該指定役務の提供を受ける者(割賦購入あつせん関係販売業者又は割賦購入あつせん関係役務提供事業者の営業所等において当該契約の申込みをした購入者又は役務の提供を受ける者を除く。以下この条において「申込者等」という。)は、次に掲げる場合を除き、書面により当該契約の申込みの撤回又は当該契約の解除(以下この条において「申込みの撤回等」という。)を行うことができる。この場合において、割賦購入あつせん関係販売業者又は割賦購入あつせん関係役務提供事業者は、当該申込みの撤回等に伴う損害賠償又は違約金の支払を請求することができない。
一 申込者等が第二条第三項第一号又は第三号に規定する割賦購入あつせんに係る販売又は提供の方法により指定商品若しくは指定権利を販売する契約又は指定役務を提供する契約の申込者等にあつては第三十条の二第四項の書面を受領した日(その日前に前条第一項本文の書面を受領した場合にあつては、当該書面を受領した日)、第二条第三項第二号に規定する割賦購入あつせんに係る販売又は提供の方法により指定商品若しくは指定権利を販売する契約又は指定役務を提供する契約の申込者等にあつては第三十条の二第五項の書面を受領した日(その日前に前条第一項本文の書面を受領した場合にあつては、当該書面を受領した日)以後において割賦購入あつせん関係販売業者又は割賦購入あつせん関係役務提供事業者から申込みの撤回等を行うことができる旨及びその申込みの撤回等を行う場合の方法について経済産業省令で定めるところにより告げられた場合において、その告げられた日から起算して八日を経過したとき。
二 申込者等が、第二条第三項第一号に規定する割賦購入あつせんに係る販売若しくは提供の方法による販売若しくは提供の場合における当該契約に係る第三十条の二第一項第二号の支払分又は第二条第三項第二号に規定する割賦購入あつせんに係る販売若しくは提供の方法による販売若しくは提供の場合における当該契約に係る第三十条の二第五項第二号の支払分の全部の支払の義務を履行したとき。
三 申込者等が割賦購入あつせん関係販売業者から、指定商品でその使用若しくは一部の消費により価額が著しく減少するおそれがある商品として政令で定めるものを使用し、又はその全部若しくは一部を消費したときは申込みの撤回等を行うことができない旨を経済産業省令で定めるところにより告げられた場合において、申込者等が当該商品を使用し、又はその全部若しくは一部を消費したとき。
2 申込みの撤回等は、前項前段の書面を発した時に、その効力を生ずる。
3 申込みの撤回等があつた場合において、当該契約に係る指定商品の引渡し又は指定権利の移転が既にされているときは、当該商品の引取り又は当該権利の返還に要する費用は、割賦購入あつせん関係販売業者の負担とする。
4 割賦購入あつせん関係販売業者又は割賦購入あつせん関係役務提供事業者は、割賦購入あつせんに係る販売又は提供の方法により指定権利を販売する契約又は指定役務を提供する契約につき申込みの撤回等があつた場合には、既に当該指定権利の行使により施設が利用され若しくは役務が提供されたとき又は当該指定役務を提供する契約に基づき役務が提供されたときにおいても、申込者等に対し、当該契約に係る役務の対価その他の金銭又は当該権利の行使により得られた利益に相当する金銭の支払を請求することができない。
5 割賦購入あつせん関係役務提供事業者は、割賦購入あつせんに係る提供の方法により指定役務を提供する契約につき申込みの撒回等があつた場合において、当該契約に関連して金銭を受領しているときは、申込者等に対し、速やかに、これを返還しなければならない。
6 割賦購入あつせんに係る販売又は提供の方法により指定権利を販売する契約又は指定役務を提供する契約における申込者等は、当該契約につき申込みの撒回等を行つた場合において、当該契約に係る役務の提供に伴い申込者等の土地又は建物その他の工作物の現状が変更されたときは、申込者等と当該契約を締結した割賦購入あつせん関係販売業者又は割賦購入あつせん関係役務提供事業者に対し、その原状回復に必要な措置を無償で講ずることを請求することができる。
7 前各項の規定に反する特約であつて申込者等に不利なものは、無効とする。
8 前各項の規定は、割賦購入あつせんに係る販売若しくは提供の方法により指定商品若しくは指定権利を販売し、若しくは指定役務を提供する契約であつて次の各号のいずれかに該当するもの又はその申込みについては、適用しない。
一 特定商取引に関する法律第二条第四項 に規定する指定商品(同法第九条第一項 (第二号を除く。)の政令で定めるものを除く。)、指定権利若しくは指定役務、同法第四十一条第二項 に規定する特定継続的役務若しくは当該特定継続的役務の提供を受ける権利若しくは同法第四十八条第二項 に規定する関連商品に係る契約、連鎖販売個人契約又は業務提供誘引販売個人契約
二 申込者等のために商行為となる契約(前号に掲げるものを除く。)
(準用規定)
第二十九条の四 第四条の二の規定はローン提携販売業者に、第八条(第六号を除く。)の規定はローン提携販売に準用する。この場合において、第四条の二第一項中「第三条第二項若しくは第三項又は前条各項」とあるのは「第二十九条の二第二項若しくは第三項又は第二十九条の三各項」と、同条第二項中「前条第一項又は第二項」とあるのは「第二十九条の三各項」と、第八条中「第四条の四」とあるのは「第二十九条の三の三」と、「第二号から第六号まで」とあるのは「第二号から第五号まで」と読み替えるものとする。2 第三十条の四の規定は、第二条第二項第一号に規定するローン提携販売に係る分割返済金の返済についてローン提携販売業者に対して生じている事由をもつてローン提供業者(同号に規定する債務の保証を受けてローン提携販売に係る購入者又は役務の提供を受ける者に対して同号に規定する金銭の貸付けを業として行う者をいう。)に対抗する場合に準用する。この場合において、第三十条の四第一項中「第三十条の二第一項第二号又は第五項第二号の支払分」とあるのは「第二十九条の三第一項第二号の分割返済金」と、同条第四項中「支払分」とあるのは「分割返済金」と読み替えるものとする。
3 第三十条の五の規定は、第二条第二項第二号に規定するローン提携販売に係る弁済金の支払について準用する。この場合において、第三十条の五第一項中「前条」とあるのは、「第二十九条の四第二項において準用する前条」とするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。
(割賦購入あつせん業者に対する抗弁)
第三十条の四 購入者又は役務の提供を受ける者は、第二条第三項第一号又は第二号に規定する割賦購入あつせんに係る購入又は受領の方法により購入した指定商品若しくは指定権利又は受領する指定役務に係る第三十条の二第一項第二号又は第五項第二号の支払分の支払の請求を受けたときは、当該指定商品若しくは当該指定権利の販売につきそれを販売した割賦購入あつせん関係販売業者又は当該指定役務の提供につきそれを提供する割賦購入あつせん関係役務提供事業者に対して生じている事由をもつて、当該支払の請求をする割賦購入あつせん業者に対抗することができる。
2 前項の規定に反する特約であつて購入者又は役務の提供を受ける者に不利なものは、無効とする。
3 第一項の規定による対抗をする購入者又は役務の提供を受ける者は、その対抗を受けた割賦購入あつせん業者からその対抗に係る同項の事由の内容を記載した書面の提出を求められたときは、その書面を提出するよう努めなければならない。
4 前三項の規定は、第一項の支払分の支払であつて次に掲げるものについては、適用しない。
一 政令で定める金額に満たない支払総額に係るもの
二 その購入が購入者のために商行為となる指定商品に係るもの(連鎖販売個人契約及び業務提供誘引販売個人契約に係るものを除く。)
第三十条の五 第二条第三項第三号に規定する割賦購入あつせんに係る弁済金の支払については、当該弁済金の支払が、その支払の時期ごとに、次の各号に規定するところにより当該各号に掲げる当該割賦購入あつせんに係る債務に充当されたものとみなして、前条の規定を準用する。この場合において、同条第一項中「第三十条の二第一項第二号又は第五項第二号の支払分」とあるのは「第三十条の二第三項第二号の弁済金」と、同条第四項中「支払分」とあるのは「弁済金」と、同項第一号中「支払総額」とあるのは「第三十条の二第二項第一号の現金販売価格又は現金提供価格」と読み替えるものとする。
一 遅延損害金があるときは、それを優先し、次に、当該割賦購入あつせんの手数料、これら以外の債務の順で、それぞれに充当する。
二 前号の遅延損害金については、その発生が早いものから順次に充当する。
三 第一号の手数料については、その支払うべき時期が早いものから順次に充当する。
四 遅延損害金及び割賦購入あつせんの手数料以外の債務については、その割賦購入あつせんの手数料の料率が高いものから順次に充当し、その充当の順位が等しいものについては、その債務が発生した時期が早いものから順次に充当する。
2 前項に定めるもののほか、第二条第三項第三号に規定する割賦購入あつせんに係る弁済金の支払に関し前条の規定を準用するために弁済金の充当について必要な事項は、政令で定める。
購入者又は役務の提供を受ける者は、個別信用購入あっせん関係販売業者または個別信用購入あっせん関係役務提供事業者が訪問販売に係る個別信用購入あっせん関係販売契約若しくは個別信用購入あっせん関係役務提供契約に係る個別信用購入あっせん関係受領契約又は電話勧誘販売に係る個別信用購入あっせん関係販売契約若しくは個別信用購入あっせん関係役務提供契約に係る個別信用購入あっせん関係受領契約の締結について勧誘をするに際し、次に掲げる事項につき不実のことを告げる行為をしたことにより、当該告げられた内容が事実であるとの誤認をし、または第1号から第5号までに掲げる事項につき、故意に事実を告げない行為をしたことにより当該事実が存在しないとの誤認をし、これらによって当該契約の申し込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。
<省略>
3 商品の種類及びその性能若しくは品質又は権利若しくは役務の種類及びこれらの内容その他これらに類するものとして特定商取引に関する法律第6条第1項第1号又は第21条第1項第1号に規定する経済産業省令で定める事項のうち、購入者又は役務の提供を受ける者の判断に影響を及ぼすこととなる重要なもの
→経済産業省令 第6条の2
法第6条第1項第1号の経済産業省令で定める事項は、次の各号に掲げるものとする。1 商品の効能(以下略)
<省略>
6 前各号に掲げるもののほか、当該個別信用購入あっせん関係受領契約又は当該個別信用購入あっせん関係販売契約若しくは当該個別信用購入契約あっせん関係役務提供契約に関する事項であって、購入者又は役務の提供を受ける者の判断に影響を及ぼすこととなる重要なもの
<民法>
(錯誤)
第九十五条 意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない。
(詐欺又は強迫)
第九十六条 詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。
2 相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知っていたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。
3 前二項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意の第三者に対抗することができない。
<消費者契約法>
第二章 消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消し
(消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消し
第四条 消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対して次の各号に掲げる行為をしたことにより当該各号に定める誤認をし、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。
一 重要事項について事実と異なることを告げること。 当該告げられた内容が事実であるとの誤認
二 物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものに関し、将来におけるその価額、将来において当該消費者が受け取るべき金額その他の将来における変動が不確実な事項につき断定的判断を提供すること。 当該提供された断定的判断の内容が確実であるとの誤認
2 消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対してある重要事項又は当該重要事項に関連する事項について当該消費者の利益となる旨を告げ、かつ、当該重要事項について当該消費者の不利益となる事実(当該告知により当該事実が存在しないと消費者が通常考えるべきものに限る。)を故意に告げなかったことにより、当該事実が存在しないとの誤認をし、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。ただし、当該事業者が当該消費者に対し当該事実を告げようとしたにもかかわらず、当該消費者がこれを拒んだときは、この限りでない。
3 消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対して次に掲げる行為をしたことにより困惑し、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。
一 当該事業者に対し、当該消費者が、その住居又はその業務を行っている場所から退去すべき旨の意思を示したにもかかわらず、それらの場所から退去しないこと。
二 当該事業者が当該消費者契約の締結について勧誘をしている場所から当該消費者が退去する旨の意思を示したにもかかわらず、その場所から当該消費者を退去させないこと。
4 第一項第一号及び第二項の「重要事項」とは、消費者契約に係る次に掲げる事項であって消費者の当該消費者契約を締結するか否かについての判断に通常影響を及ぼすべきものをいう。
一 物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものの質、用途その他の内容
二 物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものの対価その他の取引条件
5 第一項から第三項までの規定による消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消しは、これをもって善意の第三者に対抗することができない。
(媒介の委託を受けた第三者及び代理人)
第五条 前条の規定は、事業者が第三者に対し、当該事業者と消費者との間における消費者契約の締結について媒介をすることの委託(以下この項において単に「委託」という。)をし、当該委託を受けた第三者(その第三者から委託を受けた者(二以上の段階にわたる委託を受けた者を含む。)を含む。次項において「受託者等」という。)が消費者に対して同条第一項から第三項までに規定する行為をした場合について準用する。この場合において、同条第二項ただし書中「当該事業者」とあるのは、「当該事業者又は次条第一項に規定する受託者等」と読み替えるものとする。
2 消費者契約の締結に係る消費者の代理人、事業者の代理人及び受託者等の代理人は、前条第一項から第三項まで(前項において準用する場合を含む。次条及び第七条において同じ。)の規定の適用については、それぞれ消費者、事業者及び受託者等とみなす。
(不当利得の返還義務)
第七百三条 法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者(以下この章において「受益者」という。)は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。
(悪意の受益者の返還義務等)
第七百四条 悪意の受益者は、その受けた利益に利息を付して返還しなければならない。この場合において、なお損害があるときは、その賠償の責任を負う。