新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.970、2010/1/26 11:44 https://www.shinginza.com/jitsumu.htm

法の支配と民事訴訟実務入門(平成20年8月13日改訂)
【総論14、当事者が複数の訴訟、訴え提起後の当事者の変更、独立当事者参加、訴訟脱退、参加承継、引受承継、訴訟中断、訴訟受継、補助参加、訴訟告知、通常共同訴訟、必要的共同訴訟。】

Q:
1. 知人に500万円の貸金請求訴訟を提起したのですが、訴訟が面倒になってきましたので500万円の貸金債権を第三者Aに譲渡しようと思います。譲渡すると訴訟はどうなるでしょうか。
2. ところで私は、最近体調が不良で妻に付き添われて通院していますが、もし私が死亡したらこの訴訟はどうなるでしょうか。
3. 話は変わりますが、500万円は被告の仕事仲間Bから債権譲渡を受けたものです。もし裁判で負けたらBに損害を請求したいと思います。どうなるでしょうか。教えてください。
4. 知人に500万円の貸金請求訴訟を提起しようとしていたら、仕事仲間のCも300万円の貸金債権があるので知人に対して共同訴訟を一緒に提起しようと言っています。そんなことができるのですか。共同訴訟とはなんですか。

A:
1. 500万円の貸金請求権を訴訟係属中Aに譲渡すれば、Aは紛争の実質的当事者になりますからAは貴方の訴訟に参加する道が開かれています。これを独立当事者参加といいます(民訴 47条1項後段)。貴方は、訴訟を担当継続する理由がなくなりますから訴訟手続きから抜け出すことができます。これを訴訟の脱退といいます(民訴48条)。Aが、権利を譲り受けたのに当該訴訟に参加してこない場合は、紛争の実質的(適正な)解決になりませんし、訴訟経済上も無駄になるので原告、被告は継続中の訴訟をAに引き受けさせることができます。これを引受承継と言います(民訴51条後段)。

2. 貴方が死亡すると当事者がいなくなりますから貸金訴訟は新たな権利者が決まるまで中断します(民訴124条1項1号)。貴方の妻が500万円の貸金債権を相続すれば適正迅速な解決のため新たな紛争当事者となって夫の訴訟を受け継ぐことができます。これを訴訟の受継と言います(民訴 124条)。妻(被告も)が訴訟受継の申し立てをしないと迅速性、訴訟経済上の理由から訴訟の続行を裁判所から命令されます(民訴129条)。それでも知人である被告が出頭しなければ擬制自白とみなされ、証拠が十分と判断されれば判決が下されます(民訴159条。続行命令前中断中でも口頭弁論が終結していれば当事者に不利益がないので判決は可能です。民訴132条)。貴方の妻および被告(両当事者)が1カ月間出頭しないと公的な紛争解決の意思がない(私的自治の原則)とみなされて訴訟経済上訴えの取り下げになります(民訴263条)。

3. 貴方が訴訟に敗訴すると、Bは貸金債権の譲渡人として損害賠償を受ける可能性がありますから訴訟の成り行きに無関心ではいられないので、Bは貴方を応援するため訴訟に参加することができます。訴訟当事者ではないのでこれを補助参加と言います(民訴42条)。補助参加すると判決の効力(参加的効力)がBに対しても及ぶことになり、貴方が敗訴しても(貸金が弁済により元々なかった等)参加的効力を利用してBに対する損害賠償が可能になります。しかしBが補助参加してこない場合、貴方が万が一敗訴するとBに損害賠償請求をもう一度提起立証しなければならなくなり、2度手間になりますし適正、迅速、低廉な解決になりませんからBに対する参加的効力を及ぼすためにBに対して前もって当該訴訟に参加するかどうかの機会を与える通知をすることができます。これを訴訟告知と言います(民訴53条)。

4. 貴方は、知人に対してCと一緒に通常共同訴訟を提起できます(民訴38条)。共同訴訟とは訴訟の当事者が複数になる場合です。

解説
1. 原告である貴方が500万円の債権をAに譲渡すれば、貴方は訴訟を継続する意味がありませんし、逆に訴訟外のAは訴訟による解決の利益を持つことになりますから一般的には貴方は訴訟を取り下げ、Aは新たに訴訟を提起することになります。しかしこれでは今までの主張、立証は無駄になり被告にとり不利益ですし、適正、迅速、低廉な解決にもなりません。そこで従来の訴訟を継続し紛争の実質的解決を行うためAは「訴訟の目的の全部若しくは一部が自己の権利であることを主張する第三者」として被告を相手に本件訴訟に参加することができます(被告はAに500万円支払えという請求)。これを独立当事者参加と言います(民訴47条1項後段)。Aが、訴訟に参加するので訴訟は原告、被告及びAの3名になります。原告である貴方が、Aに対する譲渡を争えば、Aは貴方に対しても貸金債権不存在の訴えを起こすことになり三面訴訟になります。 

2. 貴方は、本件訴訟に参加していても権利を譲渡した以上勝訴の見込みもありませんから、このような無意味な訴訟を継続すること自体迅速、低廉な紛争解決という点から妥当性を欠くことになり原告である貴方は訴訟から脱退することができます(民訴48条)。継続中の訴訟から離脱すると脱退者と他の当事者の訴訟関係は消滅しますから、その訴訟内で紛争について今まで訴訟を担当し主張、立証をしてきた被告、参加人の利益を考慮し被告、参加人(参加人の同意は解釈上争われていますが、参加人も原告の離脱により原告に対する権利の確認訴訟ができなくなる不利益が残されていますので参加人の同意も必要でしょう)の同意が必要とされています(民訴48条)。すなわち、訴訟脱退は通常の訴えの取り下げと同じことになります(民訴261条2項)。しかし紛争の迅速、低廉な解決のため脱退を認めても脱退者が再度紛争の蒸し返しをすると結局適正、迅速低廉な解決になりませんので(再度貴方が500万円の債権を被告に請求することも可能)残された2当事者間の判決は脱退者にも及ぶことになります(民訴48条)。解釈上参加的効力により原告である貴方は、被告に対して500万円の請求の放棄をしたと同じ事になり再度紛争の再燃はありません(Aが原告に債権不存在、被告に貸金請求を提起し被告が債務を認め原告かAどちらか正当な権利者に支払おうと思っており同意を得て脱退した場合、被告は参加的効力により500万円の請求を勝訴者に対し認諾したことになります)。

3. 500万円貸金債権譲渡を受けたA(譲渡通知済み)が訴訟に参加してこない場合、訴訟を継続して被告が勝訴しても再度Aから500万円請求の訴えを提起される可能性があり現在の訴訟を継続しても適正、迅速、低廉な裁判にはなりません。そこで原告被告は、Aに現在の訴訟を引き受けさせることができます(民訴51条後段。引受承継)。Aが訴訟を引き受けると結局独立当事者参加と同じ構造になるので、民訴47条から49条が準用されています。

4.  尚、本件は債権という権利を承継した場合を説明しましたが、義務を承継した場合も同様であり民訴第50条「 訴訟の係属中第三者がその訴訟の目的である義務の全部又は一部を承継したときは、裁判所は、当事者の申立てにより、決定で、その第三者に訴訟を引き受けさせることができる。」第51条  第四十七条から第四十九条までの規定は訴訟の係属中その訴訟の目的である義務の全部又は一部を承継したことを主張する第三者の訴訟参加について準用する。」と規定して同じ理論により私的紛争を適正公平、迅速低廉に解決し法の支配を実現しています。たとえば、本件で言うとAが500万円の貸し金債務について免責的債務引く受けをしたような場合です。

5. 訴訟中に審判の対象が譲渡され当事者が変わっても権利であれ、債務であれ当該第三者を交えて参加承継(独立当事者参加も含め)、引受承継という制度により同一訴訟で一挙に公正に紛争を解決するわけです。三当事者の訴訟と考えると複雑なような気がしますが訴訟制度は法の支配の理念により公正な紛争解決が真の目的ですから当事者の数、変動、訴訟物の数、変動にはこだわらないのです。
    
6.  【書式 独立当事者参加申出書】

独立当事者参加申出書

(印紙)
平成20年5月1日

東京地方裁判所(    支部)民事部 御中

          〒     住所

                      電話番号         FAX番号

                参 加 人        氏        名

               相手方(原  告)     氏        名
   

相手方(被  告)     氏        名    

貸金請求等事件

訴訟物の価格   金  500万円

貼用印紙額    金   3万円

             参加人     氏       名    印
  
参加の趣旨

上記当事者間平成19年(ワ)第322号貸金請求事件について、下記の通り参加人は被告を相手方として訴訟に参加する。

参加の理由
原告は、被告に対し平成19年2月10日金500万円を期限の定めなく貸し渡し返済がないとして500万円の返還請求を求めているが、右貸金は、平成20年1月15日参加人が原告から譲り受けて譲渡の通知も被告に行っているので民事訴訟法47条1項により当事者参加の申し出をする。

請 求 の 趣 旨

1 被告は,参加人に対し,金500万円及び、これに対する平成20年1月15日からから支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3 訴訟費用は原告、被告の負担とする。
との判決並びに仮執行の宣言を求める。

請 求 の 原 因

第1 金銭消費貸借、債権譲渡
原告は、被告に対し平成19年2月10日金500万円を期限の定めなく貸し渡し、被告は返還の約束をして同日金500万円を受領しその後原告が相当の期間を定め500万円の返還を請求したが被告はこれに応じない。
その後原告は参加人に対し平成20年1 月15日上記貸金債権を譲渡し同月20日債権譲渡の通知を内容証明で通知した。(丙1債権譲渡契約書,丙2譲渡通知書、丙3配達証明)。

第2 結語
  よって、参加人は、被告に対し金銭消費貸借による支払い債務の履行として、金500万円及び、それ対する平成20年1月15日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払いを求める。

以上

立 証 方 法
丙1号証  債権譲渡契約書
丙2号証  債権譲渡通知書
丙3号証  配達証明書

付 属 書 類

独立当事者参加申立書副本                   2通      
丙号証正本、副本    各2通

7.      【書式  訴訟脱退届】

       訴訟脱退届

平成20年6月1日

東京地方裁判所(    支部)民事部 御中
                

原  告          氏        名
   
被  告          氏        名    

参 加 人         氏        名

上記当事者間平成19年(ワ)第322号貸金請求事件について、下記の通り原告は被告、参加人の同意を得て訴訟より脱退する。

            原  告     氏       名    印

上記脱退に同意する。
                            被    告   氏      名     印

                            参 加 人    氏      名     印

8.      【書式  引受承継申立書】

         引受承継申立書

(印紙)
平成20年7月1日

東京地方裁判所(    支部)民事部 御中
          
                     

                被   告            氏        名

                原   告            氏        名
   
                   〒     住所
                               電話番号
被申立人               氏        名    

       申立人(被告)      氏       名    印

申立の趣旨

上記原告、被告間平成19年(ワ)第322号貸金請求事件について、下記の通り被申立人は原告のため本件訴訟を引き受ける旨の裁判を求める。

申立の理由
申立人(被告)と原告は、平成19年(ワ)第322号貸金請求事件の当事者であるが、原告は被申立人に対し平成20年1 月15日上記貸金債権を譲渡し同月20日債権譲渡の通知を内容証明で通知したので上記の通り被申立人が原告のため本件訴訟を引き受ける旨の裁判を求める。

                   付属書類

             債権譲渡の内容証明       1通

9.  (当事者の死亡と訴訟受継)
貴方が死亡すると訴訟の当事者、原告が不存在ですから訴訟を継続できませんから終了してしまうようにも思いますが、訴訟で争われているのは権利、法律関係等ですからこれらの法的な権利関係は相続の対象になり相続人との間で権利、法律関係を解決することになります。そこで、一旦開始した訴訟について適正、公平迅速低廉に解決するために、まず訴訟は中断します(民訴 124条)。というのは、当事者が死亡し相続が開始しても具体的に訴訟の対象になっている権利関係を相続する者が遺産分割により確定するまで訴訟を追行する新たな当事者が不明であり継続すると不公平になるからです。相続人が決まれば相続人は訴訟を受け継がなければならずこれを訴訟の受継と言います(民訴124条)。前述した訴訟中の権利、債務の譲渡(参加承継、引受承継)と理論的には同様になるわけです。従って、訴訟中断以外は構造、手続きも同じです。訴訟の相手方、本件でいえば被告も訴訟の受継を申し立てすることができます(民訴126条)。迅速、低廉な解決のためです。相続人である妻、被告(当事者)が受継の申し立てをしないと中断したままですから、せっかくの訴訟が遅延し訴訟経済上も好ましくありません。そこで裁判所は、相続人が決まっていれば職権で訴訟の続行命令を命じることができます(民訴129条)。職権進行主義の現われです。それでも知人である被告が出頭しなければ擬制自白とみなされ、証拠が十分と判断されれば判決が下されます(民訴159条。続行命令前中断中でも口頭弁論が終結していれば当事者に不利益がないので判決は可能です。民訴132条)。貴方の妻および被告(両当事者)が1カ月間出頭しないと公的な紛争解決の意思がないとみなされて私的自治の大原則から訴訟経済上の理由もあり訴えの取り下げになります(民訴263条)。
   
10.  【書式  訴訟手続受継の申立書】

訴訟手続受継の申立書

平成20年8月1日

東京地方裁判所(    支部)民事部 御中

                                      

                被   告            氏        名

                原   告             氏        名
                    

       郵便番号  住所
電話番号                  FAX番号
       申立人 (妻)     氏       名    印

       郵便番号    住所
電話番号                  FAX番号
 
                      申立人  (兄)   氏       名     印

申立の趣旨

上記平成19年(ワ)第322号貸金請求事件について、原告は平成20年2 月15日死亡したため訴訟手続きは中断した。申立人は原告の妻であり、兄であるが、原告の遺産を相続したので上記訴訟手続きを受継するため申し立てる。

                   添付書類

             戸籍謄本       2通

11.  (補助参加)

原告である貴方が500万円の貸金訴訟に敗訴すると、Bは貸金債権の譲渡人として責任を問われ損害賠償を受ける可能性がありますから訴訟の成り行きに無関心ではいられないので、Bは貴方が勝訴できるように応援するため訴訟に参加することができます。適正、迅速な解決という面からも貸金債権の内容、事情を知っているBが主張立証に加わることは望ましいことです。しかし、Bはすでに500万円の貸金を貴方に譲渡していますから訴訟の当事者として参加することはできません。訴訟当事者ではなく原告である貴方を応援、補助するために加わるので補助参加と言います(民訴42条)。補助参加して貸金の裁判に勝訴すれば問題はありませんが、万が一500万円の債権は弁済により譲渡前に消滅していたなどの理由で貴方が敗訴した場合、当然貴方としては、Bに責任追及し損害賠償することになります。しかし、貴方が、Bに対して訴訟を提起しても必ず勝てるかどうかは保証されません。なぜなら、原告、被告間に500万円の債権がないという点については判決の既判力が及びますが、500万円を弁済したという抗弁事実については理由中の判断であり判決の効力は及ばないからです(民訴114条。主文にしか既判力の効果は及びません)。また、本判決は、原告被告間にしか及びませんので補助参加のBを全く拘束しないのです(民訴115条1項。誰に効力が及ぶかという既判力の主観的範囲の問題です)。それでは、判断が別々になる可能性があり紛争の蒸し返しになりますし、訴訟に参加しておきながら判決内容と異なる主張をすることは法の支配の理念、適正公平、迅速、低廉な解決という理想に反することになります。そこで補助参加した人に対しても、判決の効果を及ぼし同一紛争を一挙に解決しています。この判決の補助参加人に対する効力を参加的効力と言います(民訴46条)。条文上は、「裁判の効力が及ぶ」と規定していますが、本条の制度趣旨から、既判力とは異なる共同で訴訟を行った者の敗訴の責任分担という公平の理念と公正、迅速、低廉な解決のための特別に定められた参加的効力であり、補助参加人は、別個の訴訟で請求の趣旨、理由を含めての判断に反する主張はできない効力と解釈することになります。但し、公平の理念から認められた効力なので補助参加人に敗訴の責任がない場合(46条各号)は制限されます。たとえば、被告の500万円の弁済を原告が勝手に自白したような場合です(46条2項、45条2項)。
本件では、貴方が敗訴しても(貸金が弁済により元々なかった等)Bに対しても効力が及ぶことになり参加的効力を援用、利用してBに対する新たな損害賠償に勝訴することができるわけです。

しかしBが積極的に補助参加してこない場合、貴方が万が一敗訴するとBに損害賠償請求をもう一度提起して立証しなければならなくなり、2度手間になりますし適正、迅速、低廉な解決になりませんからBに対して参加的効力を及ぼすためにBに対して前もって当該訴訟に補助参加するかどうかの機会を与える通知をすることができます。これを訴訟告知と言います(民訴53条)。

 
12.    【書式 補助参加申立書】

補助参加申立書

(印紙)
平成20年6月1日

東京地方裁判所(    支部)民事部 御中

          〒     住所

                      電話番号         FAX番号

                補助参 加 人        氏        名

原  告            氏        名
   

被  告            氏        名    

        補助参加人         氏       名    印

参加の趣旨

上記当事者間平成19年(ワ)第322号貸金請求事件について、下記の通り参加人は原告を補助するため民事訴訟法42条により上記訴訟に参加する。

参加の理由
原告は、被告に対し平成19年2月10日付金500万円の金銭消費貸借契約に基づき500万円の請求を求めているが、右貸金は、もともと、参加人と被告により契約されたものであり平成20年1月15日参加人が原告に対して譲渡し譲渡の通知も被告に行っているので民事訴訟法42条により当事者参加の申し出をする。

攻撃防御方法の提出について

補助参加人は、参加の申し出とともに、原告の主張、を援用すると同時に、新たな主張、証拠は口頭弁論により提出する。

丙1号証  金銭消費貸借契約書    

付 属 書 類

補助参加申立書副本                       2通      
丙号証正本、副本    各2通

 

13. 【書式  訴訟告知書】

訴訟告知書

平成20年5月1日

東京地方裁判所(    支部)民事部 御中

          〒     住所

                      電話番号         FAX番号

                被告知人                 氏        名
                告知人(原  告)            氏        名
   

                被  告            氏        名    
 
                告知人             氏       名    印

告知の趣旨

上記当事者間平成19年(ワ)第322号貸金請求事件について、下記の通り告知人は被告知人に対して民事訴訟法53条により訴訟告知する。

告知の理由
原告(告知人)は、被告に対し平成19年2月10日付金500万円の金銭消費貸借契約に基づき500万円の請求を求めているが、右貸金は、もともと、被告知人と被告により契約されたものであり平成20年1月15日告知人、原告が被告知人から債権譲渡を受けて被告知人が譲渡の通知も被告に行っている。
従って、告知人原告が敗訴すると債権譲渡契約の債務不履行により損害賠償請求を行うことになるから民事訴訟法52条により訴訟告知する。

訴訟の進行程度
告知人は、平成20年3月1日訴訟を提起して、被告は答弁訴を提出し第1回の口頭弁論が平成20年4月20日に終了している。

                               以上

14.  貴方の500万円の貸金請求と、仕事仲間Cの300万円貸金請求は請求原因が異なり全くの別事件、訴訟物ですから各々勝手に訴えを提起すればいいはずです。しかし、金額は違うとはいえ、同一人に対する貸金請求ですから全く無関係であるとも言い切れませんし基本的事情が重なる場合もあります。そこで、紛争を、適正(紛争の真実を明らかにし判断の食い違いを防止できる)、迅速、低廉に解決するため、法は当事者の一方が複数となる共同訴訟を一定の要件のもとで広く認めています。これを通常共同訴訟と言います(民訴38条)。条文は、「訴訟の目的である権利又は義務が数人について共通であるとき、又は同一の事実上及び法律上の原因に基づくとき」と規定しますが、本件は、貸金という債権が共通ですから「権利が共通である」という要件に該当し共同訴訟は認められます。ただ、別々の、事件、訴訟物が便宜上同一訴訟内で審理するだけですから双方別個の紛争であり理論上互いの訴訟行為は他の共同訴訟人に影響を及ぼしません(民訴39条、共同訴訟人独立の原則)。従って、共同訴訟のメリットは同一訴訟内で複数の事件が審理されますので事実上主張、立証について共通の心証形成ができるという点に求められます。複数の当事者が最初から訴訟を開始することは、訴え提起後当事者が複数になる場合より広く認められています。訴訟開始後むやみに当事者の参加を認めると訴訟が混乱し遅延、訴訟経済上問題が生じるからです。勿論別個に訴えを提起しても何ら問題はありません。

15. これに対して、最初から共同で訴えを提起しないと訴訟自体認められない場合があります。必要的共同訴訟です(民訴40条)。例えば第三者が夫婦をお相手に婚姻無効確認を求める場合です。夫婦の一方だけ婚姻無効ということはあり得ないからです。「訴訟の目的が共同訴訟人の全員について合一にのみ確定すべき場合」とは以上の意味になります。

16.  以上のように訴訟制度は、当事者の数にこだわることなく法の支配の理念に基づき私的紛争を適正公平、迅速低廉に解決する為弾力的に作られています。訴訟制度をどのように利用するかは以上の理念から考え得るとわかりやすいと思います。

                           以上 

≪条文参照≫

民事訴訟法
第二節 共同訴訟
(共同訴訟の要件)
第三十八条  訴訟の目的である権利又は義務が数人について共通であるとき、又は同一の事実上及び法律上の原因に基づくときは、その数人は、共同訴訟人として訴え、又は訴えられることができる。訴訟の目的である権利又は義務が同種であって事実上及び法律上同種の原因に基づくときも、同様とする。
(共同訴訟人の地位)
第三十九条  共同訴訟人の一人の訴訟行為、共同訴訟人の一人に対する相手方の訴訟行為及び共同訴訟人の一人について生じた事項は、他の共同訴訟人に影響を及ぼさない。
(必要的共同訴訟)
第四十条  訴訟の目的が共同訴訟人の全員について合一にのみ確定すべき場合には、その一人の訴訟行為は、全員の利益においてのみその効力を生ずる。
2  前項に規定する場合には、共同訴訟人の一人に対する相手方の訴訟行為は、全員に対してその効力を生ずる。
3  第一項に規定する場合において、共同訴訟人の一人について訴訟手続の中断又は中止の原因があるときは、その中断又は中止は、全員についてその効力を生ずる。
4  第三十二条第一項の規定は、第一項に規定する場合において、共同訴訟人の一人が提起した上訴について他の共同訴訟人である被保佐人若しくは被補助人又は他の共同訴訟人の後見人その他の法定代理人のすべき訴訟行為について準用する。
(同時審判の申出がある共同訴訟)
第四十一条  共同被告の一方に対する訴訟の目的である権利と共同被告の他方に対する訴訟の目的である権利とが法律上併存し得ない関係にある場合において、原告の申出があったときは、弁論及び裁判は、分離しないでしなければならない。
2  前項の申出は、控訴審の口頭弁論の終結の時までにしなければならない。
3  第一項の場合において、各共同被告に係る控訴事件が同一の控訴裁判所に各別に係属するときは、弁論及び裁判は、併合してしなければならない。
 第三節 訴訟参加
(補助参加)
第四十二条  訴訟の結果について利害関係を有する第三者は、当事者の一方を補助するため、その訴訟に参加することができる。
(補助参加の申出)
第四十三条  補助参加の申出は、参加の趣旨及び理由を明らかにして、補助参加により訴訟行為をすべき裁判所にしなければならない。
2  補助参加の申出は、補助参加人としてすることができる訴訟行為とともにすることができる。
(補助参加についての異議等)
第四十四条  当事者が補助参加について異議を述べたときは、裁判所は、補助参加の許否について、決定で、裁判をする。この場合においては、補助参加人は、参加の理由を疎明しなければならない。
2  前項の異議は、当事者がこれを述べないで弁論をし、又は弁論準備手続において申述をした後は、述べることができない。
3  第一項の裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
(補助参加人の訴訟行為)
第四十五条  補助参加人は、訴訟について、攻撃又は防御の方法の提出、異議の申立て、上訴の提起、再審の訴えの提起その他一切の訴訟行為をすることができる。ただし、補助参加の時における訴訟の程度に従いすることができないものは、この限りでない。
2  補助参加人の訴訟行為は、被参加人の訴訟行為と抵触するときは、その効力を有しない。
3  補助参加人は、補助参加について異議があった場合においても、補助参加を許さない裁判が確定するまでの間は、訴訟行為をすることができる。
4  補助参加人の訴訟行為は、補助参加を許さない裁判が確定した場合においても、当事者が援用したときは、その効力を有する。
(補助参加人に対する裁判の効力)
第四十六条  補助参加に係る訴訟の裁判は、次に掲げる場合を除き、補助参加人に対してもその効力を有する。
一  前条第一項ただし書の規定により補助参加人が訴訟行為をすることができなかったとき。
二  前条第二項の規定により補助参加人の訴訟行為が効力を有しなかったとき。
三  被参加人が補助参加人の訴訟行為を妨げたとき。
四  被参加人が補助参加人のすることができない訴訟行為を故意又は過失によってしなかったとき。
(独立当事者参加)
第四十七条  訴訟の結果によって権利が害されることを主張する第三者又は訴訟の目的の全部若しくは一部が自己の権利であることを主張する第三者は、その訴訟の当事者の双方又は一方を相手方として、当事者としてその訴訟に参加することができる。
2  前項の規定による参加の申出は、書面でしなければならない。
3  前項の書面は、当事者双方に送達しなければならない。
4  第四十条第一項から第三項までの規定は第一項の訴訟の当事者及び同項の規定によりその訴訟に参加した者について、第四十三条の規定は同項の規定による参加の申出について準用する。
(訴訟脱退)
第四十八条  前条第一項の規定により自己の権利を主張するため訴訟に参加した者がある場合には、参加前の原告又は被告は、相手方の承諾を得て訴訟から脱退することができる。この場合において、判決は、脱退した当事者に対してもその効力を有する。
(権利承継人の訴訟参加の場合における時効の中断等)
第四十九条  訴訟の係属中その訴訟の目的である権利の全部又は一部を譲り受けたことを主張して、第四十七条第一項の規定により訴訟参加をしたときは、その参加は、訴訟の係属の初めにさかのぼって時効の中断又は法律上の期間の遵守の効力を生ずる。
(義務承継人の訴訟引受け)
第五十条  訴訟の係属中第三者がその訴訟の目的である義務の全部又は一部を承継したときは、裁判所は、当事者の申立てにより、決定で、その第三者に訴訟を引き受けさせることができる。
2  裁判所は、前項の決定をする場合には、当事者及び第三者を審尋しなければならない。
3  第四十一条第一項及び第三項並びに前二条の規定は、第一項の規定により訴訟を引き受けさせる決定があった場合について準用する。
(義務承継人の訴訟参加及び権利承継人の訴訟引受け)
第五十一条  第四十七条から第四十九条までの規定は訴訟の係属中その訴訟の目的である義務の全部又は一部を承継したことを主張する第三者の訴訟参加について、前条の規定は訴訟の係属中第三者がその訴訟の目的である権利の全部又は一部を譲り受けた場合について準用する。
(共同訴訟参加)
第五十二条  訴訟の目的が当事者の一方及び第三者について合一にのみ確定すべき場合には、その第三者は、共同訴訟人としてその訴訟に参加することができる。
2  第四十三条並びに第四十七条第二項及び第三項の規定は、前項の規定による参加の申出について準用する。
(訴訟告知)
第五十三条  当事者は、訴訟の係属中、参加することができる第三者にその訴訟の告知をすることができる。
2  訴訟告知を受けた者は、更に訴訟告知をすることができる。
3  訴訟告知は、その理由及び訴訟の程度を記載した書面を裁判所に提出してしなければならない。
4  訴訟告知を受けた者が参加しなかった場合においても、第四十六条の規定の適用については、参加することができた時に参加したものとみなす。
第五節 裁判
(既判力の範囲)
第百十四条  確定判決は、主文に包含するものに限り、既判力を有する。
2  相殺のために主張した請求の成立又は不成立の判断は、相殺をもって対抗した額について既判力を有する。
(確定判決等の効力が及ぶ者の範囲)
第百十五条  確定判決は、次に掲げる者に対してその効力を有する。
一  当事者
二  当事者が他人のために原告又は被告となった場合のその他人
三  前二号に掲げる者の口頭弁論終結後の承継人
四  前三号に掲げる者のために請求の目的物を所持する者
2  前項の規定は、仮執行の宣言について準用する。
(判決の確定時期)
第百十六条  判決は、控訴若しくは上告(第三百二十七条第一項(第三百八十条第二項において準用する場合を含む。)の上告を除く。)の提起、第三百十八条第一項の申立て又は第三百五十七条(第三百六十七条第二項において準用する場合を含む。)若しくは第三百七十八条第一項の規定による異議の申立てについて定めた期間の満了前には、確定しないものとする。
2  判決の確定は、前項の期間内にした控訴の提起、同項の上告の提起又は同項の申立てにより、遮断される。
第六節 訴訟手続の中断及び中止
(訴訟手続の中断及び受継)
第百二十四条  次の各号に掲げる事由があるときは、訴訟手続は、中断する。この場合においては、それぞれ当該各号に定める者は、訴訟手続を受け継がなければならない。
一  当事者の死亡
     相続人、相続財産管理人その他法令により訴訟を続行すべき者
二  当事者である法人の合併による消滅
     合併によって設立された法人又は合併後存続する法人
三  当事者の訴訟能力の喪失又は法定代理人の死亡若しくは代理権の消滅
     法定代理人又は訴訟能力を有するに至った当事者
四  次のイからハまでに掲げる者の信託に関する任務の終了 当該イからハまでに定める者
イ 当事者である受託者 新たな受託者又は信託財産管理者若しくは信託財産法人管理人
ロ 当事者である信託財産管理者又は信託財産法人管理人 新たな受託者又は新たな信託財産管理者若しくは新たな信託財産法人管理人
ハ 当事者である信託管理人 受益者又は新たな信託管理人
五  一定の資格を有する者で自己の名で他人のために訴訟の当事者となるものの死亡その他の事由による資格の喪失
     同一の資格を有する者
六  選定当事者の全員の死亡その他の事由による資格の喪失
     選定者の全員又は新たな選定当事者
2  前項の規定は、訴訟代理人がある間は、適用しない。
3  第一項第一号に掲げる事由がある場合においても、相続人は、相続の放棄をすることができる間は、訴訟手続を受け継ぐことができない。
4  第一項第二号の規定は、合併をもって相手方に対抗することができない場合には、適用しない。
5  第一項第三号の法定代理人が保佐人又は補助人である場合にあっては、同号の規定は、次に掲げるときには、適用しない。
一  被保佐人又は被補助人が訴訟行為をすることについて保佐人又は補助人の同意を得ることを要しないとき。
二  被保佐人又は被補助人が前号に規定する同意を得ることを要する場合において、その同意を得ているとき。
第百二十五条  削除
(相手方による受継の申立て)
第百二十六条  訴訟手続の受継の申立ては、相手方もすることができる。
(受継の通知)
第百二十七条  訴訟手続の受継の申立てがあった場合には、裁判所は、相手方に通知しなければならない。
(受継についての裁判)
第百二十八条  訴訟手続の受継の申立てがあった場合には、裁判所は、職権で調査し、理由がないと認めるときは、決定で、その申立てを却下しなければならない。
2  判決書又は第二百五十四条第二項(第三百七十四条第二項において準用する場合を含む。)の調書の送達後に中断した訴訟手続の受継の申立てがあった場合には、その判決をした裁判所は、その申立てについて裁判をしなければならない。
(職権による続行命令)
第百二十九条  当事者が訴訟手続の受継の申立てをしない場合においても、裁判所は、職権で、訴訟手続の続行を命ずることができる。
(裁判所の職務執行不能による中止)
第百三十条  天災その他の事由によって裁判所が職務を行うことができないときは、訴訟手続は、その事由が消滅するまで中止する。
(当事者の故障による中止)
第百三十一条  当事者が不定期間の故障により訴訟手続を続行することができないときは、裁判所は、決定で、その中止を命ずることができる。
2  裁判所は、前項の決定を取り消すことができる。
(中断及び中止の効果)
第百三十二条  判決の言渡しは、訴訟手続の中断中であっても、することができる。
2  訴訟手続の中断又は中止があったときは、期間は、進行を停止する。この場合においては、訴訟手続の受継の通知又はその続行の時から、新たに全期間の進行を始める。
(自白の擬制)
第百五十九条  当事者が口頭弁論において相手方の主張した事実を争うことを明らかにしない場合には、その事実を自白したものとみなす。ただし、弁論の全趣旨により、その事実を争ったものと認めるべきときは、この限りでない。
2  相手方の主張した事実を知らない旨の陳述をした者は、その事実を争ったものと推定する。
3  第一項の規定は、当事者が口頭弁論の期日に出頭しない場合について準用する。ただし、その当事者が公示送達による呼出しを受けたものであるときは、この限りでない。
(訴えの取下げ)
第二百六十一条  訴えは、判決が確定するまで、その全部又は一部を取り下げることができる。
2  訴えの取下げは、相手方が本案について準備書面を提出し、弁論準備手続において申述をし、又は口頭弁論をした後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。ただし、本訴の取下げがあった場合における反訴の取下げについては、この限りでない。
(訴えの取下げの擬制)
第二百六十三条  当事者双方が、口頭弁論若しくは弁論準備手続の期日に出頭せず、又は弁論若しくは弁論準備手続における申述をしないで退廷若しくは退席をした場合において、一月以内に期日指定の申立てをしないときは、訴えの取下げがあったものとみなす。当事者双方が、連続して二回、口頭弁論若しくは弁論準備手続の期日に出頭せず、又は弁論若しくは弁論準備手続における申述をしないで退廷若しくは退席をしたときも、同様とする。
(請求の放棄又は認諾)
第二百六十六条  請求の放棄又は認諾は、口頭弁論等の期日においてする。
2  請求の放棄又は認諾をする旨の書面を提出した当事者が口頭弁論等の期日に出頭しないときは、裁判所又は受命裁判官若しくは受託裁判官は、その旨の陳述をしたものとみなすことができる。
(和解調書等の効力)
第二百六十七条  和解又は請求の放棄若しくは認諾を調書に記載したときは、その記載は、確定判決と同一の効力を有する。

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