新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース 質問:私は、所有する土地の一部を駐車場として近くのマンションに住んでいる独身者に、8年前位から1台月2万円で賃貸しています。契約書は作成していません。昨年から賃料の滞納が始まり、1年以上も滞納しています。住んでいるマンションに確認したところかなり前から退去しており行方不明になっています。駐車場の車もそのままで困っています。車の処分、賃料の回収等どうしたらいいでしょうか。手続を教えてください。 解説: 2.(公示送達) 3.(訴訟手続) 4.(自動者に対する動産執行で目的を達することができないか。) 5.(強制執行手続) ≪参照条文≫ 民事訴訟法 民事執行法 民事執行規則
No.1025、2010/5/11 16:44
【民事・訴訟と執行・公示送達・自動車撤去駐車場明渡しと滞納賃料回収】
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回答:
1.借主が行方不明で賃料支払・自動車撤去を求められない場合、借主に対して訴えを提起し、判決を得たうえで強制執行手続をとることになります。この場合、相手方への送達の必要性から、借主の居所等の把握が必要となりますが、居所等不明の場合、公示送達によることもできます。申し立ての書式等については法律相談事例集キーワード検索965番、911番、749番、698番、666番、532番を参照してください。
2.訴訟としては、賃貸借契約に基づく賃料支払請求訴訟と賃貸借契約終了に基づく土地明渡請求訴訟を併合提起することになります(民訴136条、訴えの併合)。法律相談事例集キーワード検索969番参照。
3.そして、給付判決を得たうえで、不動産の明渡し執行及び金銭執行としての自動車執行の強制執行手続をとることになります。この場合、自動車執行を明渡し執行の前あるいは明渡し執行と同時に行うことで、滞納賃料を回収し、自動車撤去を実現します。申し立ての書式等については法律相談事例集キーワード検索1000番、904番、973番、998番を参照してください。
1.(裁判の必要性)
本件では、賃料を滞納しているとはいえ、自動車の所有権は借主にありますので、勝手に処分してしまうことはできません。また、賃料滞納によって賃貸借契約を解除する場合でも、解除に伴い原状回復義務が借主に発生するからといって、国家機関による強制執行手続を経ずに貸主が一方的に私的な原状回復をすることは許されません(いわゆる「自力救済の禁止」)。それゆえ、借主が行方不明で賃料支払や自動車撤去の請求が困難である場合でも、適法な強制執行手続によってそれらの権利を実現する必要があります。そして、強制執行のためには確定判決等の債務名義を得る必要がありますから(民事執行法22条)、まずは訴訟手続を行う必要があります。
このような訴訟・強制執行の手続にあたっては、相手方への送達の必要性(民事訴訟法138条1項、民事執行法29条前段)から、借主の居所の把握が必要となります。ただ、住民票等で探しても相手方の居所に行き当たらない場合、所定の要件を充たすことで公示送達という送達方法をとることができます(民事訴訟法110条、民事執行規則20条1項)。
送達は、送付を受けるべき者に対する書類交付の方法で行われるのが原則であり(民事訴訟法101条)、送達を受けるべき者の住所、居所、営業所又は事務所(以下「住所等」といいます。)ですることとされています(同法103条1項)。また、住所等が知れない場合には就業場所ですることができ(同条2項)、日本国内に住所等を有するか不明である場合には、出会った場所ですることができます(同法105条前段)。
そして、以上の送達場所が知れない場合(同法110条1項1号)、あるいは、就業場所が判明している場合でも、就業場所において使用人その他の従業員であって書類の受領について相当のわきまえのあるものに書類の受領を拒否された場合(同法107条1項2号・106条2項)には、申立てにより、公示送達をすることができます。公示送達とは、送達内容を裁判所の掲示板に2週間以上張り出すことにより(同法111条)、相手方が実際にその送達内容を見たかどうかにかかわらず、相手方に到達したものとみなすものです(同法113条)。
そのため、住民票や戸籍の附票等を辿ったり、営業所や勤務先等にあたったりしても以上の送達場所いずれも判明しない場合には、それらの調査内容を報告したうえ、裁判所書記官に公示送達を申立てることになります。また、就業場所が判明し、送達場所とした場合でも、その後の送達で就業場所において送達を受けるべき者に出会わず、使用人等にも書類の受領を拒否されたときにも、同様にして裁判所書記官に公示送達を申立てることになります。
本件において、まず、自動車撤去のためには、駐車場の明渡しを求める形で、賃貸借契約終了に基づく土地明渡請求訴訟を提起することになります。この場合、賃貸借契約を終了させるための催告や契約解除の意思表示は、借主が居所不明であるため、公示送達又は訴訟手続内であわせてなすこととなります。通常は、訴状に契約解除の意思表示をすることを記載して訴状を公示送達することにより契約解除の効果も発生します。次に、滞納賃料分の回収のためには、賃貸借契約に基づく賃料支払請求訴訟を提起することになります。そして、両者はいずれも民事訴訟手続という同種の訴訟手続によりますから、これらを併合提起することになります(民事訴訟法136条)。通常は訴状に「請求の趣旨」として自動車の撤去と土地明渡並びに未払い賃料と土地明渡完了までの賃料相当の損害金を請求する旨記載します。
ここで、滞納賃料分の回収のための賃貸借契約に基づく賃料支払請求訴訟のみを提起し、その判決によって金銭執行としての動産執行をするという方法について検討してみます。
賃料支払請求訴訟のみが提起され、その判決ののち金銭執行としての自動車執行が行われれば、その買受人が自動車を乗り去ることによって、自動車放置による借主の駐車場についての占有は事実上排除されることになるため、借主の占有について別途強制力を伴った権利実現をする必要はなくなります。他方で、賃貸借契約が解除されれば、理論的には借主の占有権原自体も消滅するため、貸主による以後の占有は実体法上も適法なものとなり、その貸主の占有の適法性確保のためには他に何ら強制力を必要とするものでもありません。このような訴訟・強制執行手続の実際上の機能を考えると、理論上は、別途土地明渡請求訴訟を提起することは不要であると考える余地もあります。
ただ、紛争の抜本的解決をめざす民事訴訟手続の制度趣旨からすれば、土地明渡請求訴訟もあわせて提起することで、借主が土地を明け渡す義務という、借主の占有を排除する内容の既判力を生じさせておくことが望ましく、それが原告の求めている解決内容の実態にも合致しているといえます。なぜなら、自動者に対する動産執行により事実上占有が回復しても、理論上は借主の駐車場という土地の占有権は残されており、その占有権原がないということを土地明け渡し訴訟の判決により確定しなければならないからです。そのため、土地明渡請求訴訟と賃料支払請求訴訟とを併合提起しておくことが適切であると考えられます。たとえば、自動車の執行だけですと自動車が処分された後で再度別の自動車を駐車されてしまうという恐れもあります。
そして、土地明渡請求訴訟及び賃料支払請求訴訟においてそれぞれ給付判決を得たうえで、土地明渡給付判決については不動産の明渡し執行の強制執行手続(民事執行法168条以下)、賃料支払給付判決については金銭執行としての自動車執行の強制執行手続(民事執行規則86条・民事執行法45条以下)をとることになります。強制執行手続は、給付判決に仮執行宣言が付されていればその給付判決を(民事執行法22条2号)、仮執行宣言が付されていなければ確定したその給付判決を債務名義として(同条1号)、裁判所書記官に執行文付与を申し立てて行います(同法26条1項前段)。
この場合、自動車執行を明渡し執行と同時に行うことで、自動車執行の売却による売得金から、滞納賃料を回収することができます(民事執行規則97条・民事執行法84条以下)。なお、登録自動車の場合、執行官が自動車の本拠を管轄する地方裁判所(民事執行規則87条1項)に執行を申立てて、強制競売を行うことになります(同規則86条)。 従って、駐車場のある土地(同法44条)と自動車の登録が違う住所のため裁判所の管轄が異なる場合は、別々の裁判所に申し立てることになります。
明渡し執行では、自動車を借主等に引き渡せない場合には執行官が売却することになりますから(同法168条5項)、その買受人が自動車を乗り去ることによって、撤去搬出が実現されます。なお、他に買受人がいないようであれば、自ら買受人となって自動車の所有権を取得し、処分することになります。この場合の代金は金銭執行である自動車の執行と異なり保管の費用等を除いて所有者が受領できることになってしまいます。
(交付送達の原則)
第百一条 送達は、特別の定めがある場合を除き、送達を受けるべき者に送達すべき書類を交付してする。
(送達場所)
第百三条 送達は、送達を受けるべき者の住所、居所、営業所又は事務所(以下この節において「住所等」という。)においてする。ただし、法定代理人に対する送達は、本人の営業所又は事務所においてもすることができる。
2 前項に定める場所が知れないとき、又はその場所において送達をするのに支障があるときは、送達は、送達を受けるべき者が雇用、委任その他の法律上の行為に基づき就業する他人の住所等(以下「就業場所」という。)においてすることができる。送達を受けるべき者(次条第一項に規定する者を除く。)が就業場所において送達を受ける旨の申述をしたときも、同様とする。
(出会送達)
第百五条 前二条の規定にかかわらず、送達を受けるべき者で日本国内に住所等を有することが明らかでないもの(前条第一項前段の規定による届出をした者を除く。)に対する送達は、その者に出会った場所においてすることができる。日本国内に住所等を有することが明らかな者又は同項前段の規定による届出をした者が送達を受けることを拒まないときも、同様とする。
(補充送達及び差置送達)
第百六条 就業場所以外の送達をすべき場所において送達を受けるべき者に出会わないときは、使用人その他の従業者又は同居者であって、書類の受領について相当のわきまえのあるものに書類を交付することができる。郵便の業務に従事する者が郵便事業株式会社の営業所において書類を交付すべきときも、同様とする。
2 就業場所(第百四条第一項前段の規定による届出に係る場所が就業場所である場合を含む。)において送達を受けるべき者に出会わない場合において、第百三条第二項の他人又はその法定代理人若しくは使用人その他の従業者であって、書類の受領について相当のわきまえのあるものが書類の交付を受けることを拒まないときは、これらの者に書類を交付することができる。
3 送達を受けるべき者又は第一項前段の規定により書類の交付を受けるべき者が正当な理由なくこれを受けることを拒んだときは、送達をすべき場所に書類を差し置くことができる。
(書留郵便等に付する送達)
第百七条 前条の規定により送達をすることができない場合には、裁判所書記官は、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める場所にあてて、書類を書留郵便又は民間事業者による信書の送達に関する法律 (平成十四年法律第九十九号)第二条第六項 に規定する一般信書便事業者若しくは同条第九項 に規定する特定信書便事業者の提供する同条第二項 に規定する信書便の役務のうち書留郵便に準ずるものとして最高裁判所規則で定めるもの(次項及び第三項において「書留郵便等」という。)に付して発送することができる。
一 第百三条の規定による送達をすべき場合 同条第一項に定める場所
二 第百四条第二項の規定による送達をすべき場合 同項の場所
三 第百四条第三項の規定による送達をすべき場合 同項の場所(その場所が就業場所である場合にあっては、訴訟記録に表れたその者の住所等)
2 前項第二号又は第三号の規定により書類を書留郵便等に付して発送した場合には、その後に送達すべき書類は、同項第二号又は第三号に定める場所にあてて、書留郵便等に付して発送することができる。
3 前二項の規定により書類を書留郵便等に付して発送した場合には、その発送の時に、送達があったものとみなす。
(公示送達の要件)
第百十条 次に掲げる場合には、裁判所書記官は、申立てにより、公示送達をすることができる。
一 当事者の住所、居所その他送達をすべき場所が知れない場合
二 第百七条第一項の規定により送達をすることができない場合
三 外国においてすべき送達について、第百八条の規定によることができず、又はこれによっても送達をすることができないと認めるべき場合
四 第百八条の規定により外国の管轄官庁に嘱託を発した後六月を経過してもその送達を証する書面の送付がない場合
2 前項の場合において、裁判所は、訴訟の遅滞を避けるため必要があると認めるときは、申立てがないときであっても、裁判所書記官に公示送達をすべきことを命ずることができる。
3 同一の当事者に対する二回目以降の公示送達は、職権でする。ただし、第一項第四号に掲げる場合は、この限りでない。
(公示送達の方法)
第百十一条 公示送達は、裁判所書記官が送達すべき書類を保管し、いつでも送達を受けるべき者に交付すべき旨を裁判所の掲示場に掲示してする。
(公示送達による意思表示の到達)
第百十三条 訴訟の当事者が相手方の所在を知ることができない場合において、相手方に対する公示送達がされた書類に、その相手方に対しその訴訟の目的である請求又は防御の方法に関する意思表示をする旨の記載があるときは、その意思表示は、第百十一条の規定による掲示を始めた日から二週間を経過した時に、相手方に到達したものとみなす。この場合においては、民法第九十八条第三項 ただし書の規定を準用する。
(請求の併合)
第百三十六条 数個の請求は、同種の訴訟手続による場合に限り、一の訴えですることができる。
(訴状の送達)
第百三十八条 訴状は、被告に送達しなければならない。
2 前条の規定は、訴状の送達をすることができない場合(訴状の送達に必要な費用を予納しない場合を含む。)について準用する。
(債務名義)
第二十二条 強制執行は、次に掲げるもの(以下「債務名義」という。)により行う。
一 確定判決
二 仮執行の宣言を付した判決
三 抗告によらなければ不服を申し立てることができない裁判(確定しなければその効力を生じない裁判にあつては、確定したものに限る。)
三の二 仮執行の宣言を付した損害賠償命令
四 仮執行の宣言を付した支払督促
四の二 訴訟費用若しくは和解の費用の負担の額を定める裁判所書記官の処分又は第四十二条第四項に規定する執行費用及び返還すべき金銭の額を定める裁判所書記官の処分(後者の処分にあつては、確定したものに限る。)
五 金銭の一定の額の支払又はその他の代替物若しくは有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求について公証人が作成した公正証書で、債務者が直ちに強制執行に服する旨の陳述が記載されているもの(以下「執行証書」という。)
六 確定した執行判決のある外国裁判所の判決
六の二 確定した執行決定のある仲裁判断
七 確定判決と同一の効力を有するもの(第三号に掲げる裁判を除く。)
(執行文の付与)
第二十六条 執行文は、申立てにより、執行証書以外の債務名義については事件の記録の存する裁判所の裁判所書記官が、執行証書についてはその原本を保存する公証人が付与する。
2 執行文の付与は、債権者が債務者に対しその債務名義により強制執行をすることができる場合に、その旨を債務名義の正本の末尾に付記する方法により行う。
(債務名義等の送達)
第二十九条 強制執行は、債務名義又は確定により債務名義となるべき裁判の正本又は謄本が、あらかじめ、又は同時に、債務者に送達されたときに限り、開始することができる。第二十七条の規定により執行文が付与された場合においては、執行文及び同条の規定により債権者が提出した文書の謄本も、あらかじめ、又は同時に、送達されなければならない。
(開始決定等)
第四十五条 執行裁判所は、強制競売の手続を開始するには、強制競売の開始決定をし、その開始決定において、債権者のために不動産を差し押さえる旨を宣言しなければならない。
2 前項の開始決定は、債務者に送達しなければならない。
3 強制競売の申立てを却下する裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
(売却代金の配当等の実施)
第八十四条 執行裁判所は、代金の納付があつた場合には、次項に規定する場合を除き、配当表に基づいて配当を実施しなければならない。
2 債権者が一人である場合又は債権者が二人以上であつて売却代金で各債権者の債権及び執行費用の全部を弁済することができる場合には、執行裁判所は、売却代金の交付計算書を作成して、債権者に弁済金を交付し、剰余金を債務者に交付する。
3 代金の納付後に第三十九条第一項第一号から第六号までに掲げる文書の提出があつた場合において、他に売却代金の配当又は弁済金の交付(以下「配当等」という。)を受けるべき債権者があるときは、執行裁判所は、その債権者のために配当等を実施しなければならない。
4 代金の納付後に第三十九条第一項第七号又は第八号に掲げる文書の提出があつた場合においても、執行裁判所は、配当等を実施しなければならない。
(不動産の引渡し等の強制執行)
第百六十八条 不動産等(不動産又は人の居住する船舶等をいう。以下この条及び次条において同じ。)の引渡し又は明渡しの強制執行は、執行官が債務者の不動産等に対する占有を解いて債権者にその占有を取得させる方法により行う。
2 執行官は、前項の強制執行をするため同項の不動産等の占有者を特定する必要があるときは、当該不動産等に在る者に対し、当該不動産等又はこれに近接する場所において、質問をし、又は文書の提示を求めることができる。
3 第一項の強制執行は、債権者又はその代理人が執行の場所に出頭したときに限り、することができる。
4 執行官は、第一項の強制執行をするに際し、債務者の占有する不動産等に立ち入り、必要があるときは、閉鎖した戸を開くため必要な処分をすることができる。
5 執行官は、第一項の強制執行においては、その目的物でない動産を取り除いて、債務者、その代理人又は同居の親族若しくは使用人その他の従業者で相当のわきまえのあるものに引き渡さなければならない。この場合において、その動産をこれらの者に引き渡すことができないときは、執行官は、最高裁判所規則で定めるところにより、これを売却することができる。
6 執行官は、前項の動産のうちに同項の規定による引渡し又は売却をしなかつたものがあるときは、これを保管しなければならない。この場合においては、前項後段の規定を準用する。
7 前項の規定による保管の費用は、執行費用とする。
8 第五項(第六項後段において準用する場合を含む。)の規定により動産を売却したときは、執行官は、その売得金から売却及び保管に要した費用を控除し、その残余を供託しなければならない。
9 第五十七条第五項の規定は、第一項の強制執行について準用する。
(公証人法第五十七条ノ二第一項の最高裁判所規則で定める執行証書の正本等の送達方法)
第二十条 公証人法(明治四十一年法律第五十三号)第五十七条ノ二第一項の最高裁判所規則で定める方法は、次項から第四項までの申立てに基づいてされる公証人による送達、執行官による送達及び公示送達とする。
2 債務者が執行証書の作成を公証人に嘱託するためにその役場に出頭したときは、債権者は、当該公証人に対し、当該執行証書に係る公証人法第五十七条ノ二第一項に規定する書類について、公証人自らがその場で債務者に交付してする送達の申立てをすることができる。
3 債権者は、送達と同時に強制執行を実施することを求めるときその他必要があるときは、執行官に対し、前項の書類の送達の申立てをすることができる。
4 債務者の住所、居所その他送達をすべき場所が知れないとき、若しくは次項及び公証人法第五十七条ノ二第三項において準用する民事訴訟法第百七条第一項の規定による送達をすることができないとき、又は外国においてすべき送達についてその送達が著しく困難であるときは、債権者は、第二項の書類の公示送達について、債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所(この普通裁判籍がないときは、請求の目的又は差し押さえることができる債務者の財産の所在地を管轄する地方裁判所)の許可を受けて、その地方裁判所に所属する執行官に対し、その書類の公示送達の申立てをすることができる。
5 民事訴訟法第百二条第一項及び第二項の規定は第二項の送達について、同法第百一条から第百三条まで、第百五条、第百六条並びに第百七条第一項及び第三項並びに民事訴訟規則第四十三条及び第四十四条の規定は第三項の送達について、同法第百十一条及び第百十二条並びに同規則第四十六条第二項の規定は前項の公示送達について準用する。
(昭五七最裁規六・平八最裁規六・一部改正)
(自動車執行の方法)
第八十六条 道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号)第十三条第一項に規定する登録自動車(自動車抵当法(昭和二十六年法律第百八十七号)第二条ただし書に規定する大型特殊自動車を除く。以下「自動車」という。)に対する強制執行(以下「自動車執行」という。)は、強制競売の方法により行う。
(執行裁判所)
第八十七条 自動車執行については、その自動車の自動車登録ファイルに登録された使用の本拠の位置(以下「自動車の本拠」という。)を管轄する地方裁判所が、執行裁判所として管轄する。
2 前項の裁判所の管轄は、専属とする。
(不動産の強制競売等の規定の準用)
第九十七条 法第二章第二節第一款第二目(法第四十五条第一項、法第四十六条第二項、法第五十五条から法第五十七条まで、法第五十九条第四項、法第六十一条、法第六十二条、法第六十四条の二、法第六十六条(第九十六条第二項の買受けの申出に係る場合に限る。)、法第六十八条の二、法第六十九条(第九十六条第二項の規定による売却許可決定に係る場合に限る。)、法第七十七条、法第八十一条、法第八十三条、法第八十三条の二及び法第八十六条第二項を除く。)、法第百十五条(第一項後段を除く。)、法第百二十条及び法第百二十七条並びにこの節第一款第一目(第二十三条から第二十四条まで、第二十七条の二から第二十九条まで、第三十条第一項第四号及び第五号並びに第二項、第三十条の二、第三十条の四、第三十一条、第三十三条、第三十四条中期間入札に係る部分、第三十六条第一項第五号から第七号まで及び第二項(第五十条第四項において準用する場合を含む。)、第四十六条から第四十九条まで、第五十一条から第五十一条の四まで、第五十四条(第九十六条第二項の規定による売却許可決定に係る場合に限る。)、第五十五条(第九十六条第二項の規定による売却許可決定に係る場合に限る。)、第五十五条の二並びに第五十八条の三を除く。)、第八十五条及び第百九条の規定は、自動車執行について準用する。この場合において、法第四十九条第一項中「物件明細書の作成までの手続」とあるのは「評価書の提出」と、法第七十八条第四項中「売却許可決定が確定するまで」とあるのは「売却許可決定が確定するまで、又は民事執行規則第九十六条第二項の買受けの申出の際」と、法第百十五条第一項及び第四項中「船舶国籍証書等」とあり、及び「船舶の船籍」とあるのは「自動車」と、同項中「五日以内」とあるのは「十日以内」と、法第百二十条中「二週間以内に船舶国籍証書等」とあるのは「一月以内に自動車」と、法第百二十七条第一項及び第二項中「差押物」とあるのは「差押えの効力が生じた時に債務者が占有していた自動車」と、第三十六条第一項第八号中「物件明細書、現況調査報告書及び評価書」とあるのは「評価書」と、第百九条中「差押物が差押えをした」とあるのは「執行官が占有を取得した自動車が」と読み替えるものとする。