新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース 質問:私は歯科医師ですが,6年前忘年会の帰り酒気帯び運転をして免許取り消しになりました。先日深夜,妻が台所で大やけどをしてしまい救急車を呼んだのですが,丁度出払っていてかなり時間がかかるというので,お酒を飲んでいたのですが数キロ先の救急病院まで妻を乗せて運転をしていたところ,行く途中検問で逮捕されてしまいました。どうしたらいいでしょうか。 解説: (2)犯罪の成否における問題点。 過剰避難がどうして任意的に減刑免除になるのかという点ですが,これは,違法性,責任が減少すると考えられます。違法性とは,当該行為が単に刑法の法規に当てはまるだけではなく,行為の実態を検討し刑法の処罰に値することをいいます(実質的違法性論といいます。)。刑罰が本来生まれながらに自由である個人の生命,身体の自由,財産を公正な社会秩序維持のため公的,強制的に剥奪するものである以上,刑法は謙抑的,限定的に適用されなければならないからです。具体的には権利等の利益侵害及び行為の主観(目的),客観(手段の相当性,法益の均衡)の要素から総合的に考慮し,社会倫理,道徳の秩序全体に違反し,刑法の処罰に値する行為かどうかを判断することになります(学説上倫理,法規範違反説と言われています。)。 (3)処分の見通しについて 2.厚生労働大臣による行政処分について (2)次に,医道審議会の具体的対応を説明します。 (3)以上の通り,本件のような場合,刑事処分と行政処分が強く関連していることが分かります。したがって,刑事手続きの段階から早急に弁護士に相談し,まずは軽い刑事処分に向けた活動を行うことが大切であるといえるでしょう。 【参照条文】 <道路交通法> <道路交通法施行令> <刑法>
No.1079、2011/2/3 16:29 https://www.shinginza.com/idoushin.htm
【刑事・医師の無免許・飲酒運転・医道審議会の処分・業務停止・対策・過剰避難の成否・根拠】
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回答:
1.今回,あなたの行為は無免許運転及び酒気帯び運転又は酒酔い運転に該当しますので刑事手続に服することになります。略式手続による罰金刑ではなく正式起訴されて1年前後の懲役刑が求刑される可能性がありますが,有罪判決には執行猶予が付されるものと思われます。
2.刑事手続が終了した後は,厚生労働大臣による行政処分手続が予定されています。かかる処分の判断にあたっては,刑事手続における量刑内容がその考慮要素の一つとなるため,起訴前から早急な対策が必要です。
1.刑事手続について
(1)総論
今回,あなたは,無免許運転及び酒気帯び運転又は酒酔い運転を行っています(道交法64,65T,117の2@,117の2の2@)。あなたはまず刑事手続に服することになります。以下,犯罪の成否における問題点及び処分の見通しを説明します。
刑法の条文には犯罪の成立要件が明確に記載されておらず,正当防衛等の違法性がなくなる場合,心神喪失等責任がなくなる場合等を個別に規定しています。しかし解釈上,犯罪の成立には,当該行為が各犯罪の規定の構成要件に該当し,違法性を帯び,且つ行為者に責任非難がみとめられる必要があります。刑罰は,個人の生命,自由,財産を強制的に剥奪するものであり,三つの面から慎重に検討されます。
ア 構成要件該当性について
今回,あなたの行為が無免許運転及び酒気帯び運転又は酒酔い運転の構成要件に該当することについて問題は有りません。なお,ここで,酒気帯び運転とは,酒気を帯びて車両を運転し,その際に,政令で定める程度以上のアルコール(血液1ミリリットルにつき0.3ミリグラム又は呼気1リットルにつき0.15ミリグラム。道交法施行令44条の3)を保有していたことをいいます。これは形式的に判断されます。違反点数は保有量により13点から25点(15点から免許取消,欠格期間に差異。)。また,酒酔い運転とは,実質的に酒気を帯びて車両を運転し,その際に,アルコールの影響により正常な運転ができない恐れがある状態にあったことをいいます。従って,アルコール保有量についての定めはありません。具体的には,歩行,視覚,言動等運動,感覚,判断能力の著しい減退を総合的に勘案して決めます。違反点数35点。
以上の通り,本件が酒気帯び運転に該当するかそれとも酒酔い運転に該当するかは,あなたがアルコールによって正常な運転ができない恐れがある状態だったか否かが1つの重要なポイントになります。
イ 違法性の有無
(ア)緊急避難の要件について
本件において,あなたの運転行為は大火傷した妻を早急に治療するためにやむを得ず行ったものであると推察されます。この場合,緊急避難(刑法37条)が成立し,違法性が阻却されるかが問題となります。緊急避難の要件は,@「自己又は他人の生命,身体,自由又は財産に対する現在の危難」A「を避けるため」B「やむを得ずにした行為であって」C「生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合」に違法性が阻却され,犯罪が成立しない,という考え方が通説,判例です。
(イ)要件@について
かかる要件は,人の生命,身体等に対する危険が切迫している状態のことを意味します。本件では,あなたの妻が大火傷をしており,緊急に妻を病院に連れて行って治療を施す必要がありました。すなわち,妻の生命,身体に対する危険が切迫していた状況だったものといえます。したがって,要件@は満たしているものといえるでしょう。
(ウ)要件Aについて
かかる要件は,緊急避難は,現在の危難を避けるための行為(以下,「避難行為」といいます)について成立するということを意味します。かかる避難行為は,行為者のみならず第三者に対して生じている危難に対するものも含みます。本件では,あなたにとって第三者である妻に対して生じている危難を避けるための行為でした。したがって,要件Aは満たしているものといえるでしょう。
(エ)要件Bについて
かかる要件は,他にとるべき方法がなかったこと,すなわち当該避難行為よりもより侵害性の低い行為(方法)が他に存在していないことを意味します。これを法的に補充性の要件と言います。緊急避難は,危難とは無関係の他人に対する侵害を許容するものであるため,危難回避のためには当該避難行為を行うしかなかったという限定的な場合にのみ肯定しようとする趣旨です。
本件では,あなたは,自家用車を運転する前に一度救急車を呼ぶという行動に出ましたが,救急車がいつ助けに来てくれるか分からないという状況でした。しかし,とにかく妻に早急な治療を施すことが目的なのですから,タクシーの呼び出し,や病院に電話して医師の緊急来診を求める,隣人等第三者への救助要請,打診,が考えられますので成立は困難なように思われます。実際に類似ケースにおいて,救急車のみでなくタクシー会社への連絡や医師の来診を適切な措置の具体例として明示している裁判例もありますし(東京高裁昭和46.5.24),あなたがタクシーに依頼することや医師に来診してもらうことを検討すらしていないような場合には,「やむを得ない行為」であったとは評価できない可能性があります。したがって,要件Bを満たしていない可能性があります。
(オ)要件Cについて
かかる要件は,侵害が回避された法益と,当該避難行為によって侵害された法益を比較し,前者が優越しているもしくは両者が同程度であることを意味します。これを法益の権衡とも言いますが,かかる判断は,具体的事案に即して,法秩序全体の見地から合理的な判断を行うべきものと解されています。
本件の場合,侵害が回避された法益は,妻の生命身体の安全という重大なものでした。他方で,侵害された法益は,道路・交通に対する安全や交通秩序ということになると思われます(道交法1条参照)。異なる法益間における比較は容易ではありませんが,本件の場合,大火傷により妻の生命身体に対して危険が生じており,仮に生命が助かったとしても大きな外貌醜状が残る可能性も十分考えられる状況の下,運転しようとした距離も数キロに留まるものでしたし,侵害された法益が,侵害を回避した法益を超えていたということはなかったものと解されます(本件と同種の法益の比較において,要件Cに関して肯定しているケースとして例えば東京高判昭57.11.29があります。)したがって,要件Cは満たしているものといえます。
(カ)過剰避難について
上記の通り,本件では要件Bを欠き,緊急避難が成立しない可能性があります。ただし,その程度を超えた行為であったとして,過剰避難が成立する余地があります(刑法37条1項ただし書)。過剰避難が成立する場合,違法性が阻却されるわけではなく,犯罪が成立することにはなりますが,情状により刑が減刑又は免除されうることになります。なお,過剰避難は,要件Cを欠いた場合のみならず,要件Bを欠いた場合にも成立するかが一応問題となります。この点,Bを欠く場合に過剰避難の成立を否定した裁判例もありますが(東京高判昭46.5.24等),Bを欠く場合にも過剰避難が成立する余地を認めた最高裁,高裁の判例もあるところであり,過剰避難の成立はBCを欠く場合どちらも含むものと考えて良いとおもわれます。
まず,最高裁(差戻上告)審昭和28年12月25日判決(狩勝トンネル事件),国家公務員の争議行為を禁止した昭和23年政令第201号違反(連合国最高司令官マッカーサーの同趣旨の書簡をうけて発せられた政令。)事件です。北海道の狩勝トンネル内の列車運行による熱気,窒息により運転する国鉄職員の生命,身体の保護のため列車を減らし,職場放棄し争議行為を行った事案について,列車減量は緊急避難を認めたが,職場放棄は危難を避ける唯一の方法ではないとして過剰避難が問題となっています。
次に,東京高等裁判所昭和57年11月29日判決,包丁をもった凶暴な弟に追われ逃げ回った兄が自宅の車を運転して警察に向かった酒気帯び運転について運転以外に他の方法もあったが,一連の行為全体を評価し原審を破棄して過剰避難を認め刑の免除を認めています。以下判決内容。
「そこで,刑訴法三九七条,三八二条,三八〇条により原判決を破棄し,同法四〇〇条但書を適用して,被告事件につき更に判決する。
(罪となるべき事実)
被告人は,昭和五六年八月二四日午後六時五分ころ,群馬県沼田市<以下略>α警察署附近道路において,酒気を帯び,呼気一リツトルにつき〇・二五ミリグラム以上のアルコールを身体に保有する状態で普通貨物自動車を運転したものであるが,右は,兼ねて不仲であり,酒乱で粗暴癖のある被告人の弟B(当三一年)が同市<以下略>所在の被告人方へ飲酒酩酊のうえ鎌を持つて暴れ込み,これを避けて自宅前に駐車してあつた前記貨物自動車に逃げ込んでいた被告人を,更に普通乗用自動車に乗つて追いかけようとしたため,やむなく被告人が右貨物自動車を運転して逃げ出し,約六・一五キロメートル運転を継続し,前記α警察署まで来て助けを求めたものであつて,本件行為は,被告人の生命,身体に対する現在の危難を避けるためやむを得ずなされたものであるが,その程度を超えた行為に当たるものである。
(弁護人の主張に対する判断)弁護人は,被告人の本件行為は,緊急避難に当たると主張するが,これを採用しえないことは,先に述べたとおりである。
(法令の適用)被告人の判示所為は,道路交通法六五条一項,一一九条一項七号の二,同法施行令四四条の三に該当するが,被告人がBの追跡を逃れ助けを求めるためα警察署まで酒気帯び運転を続けたことには,無理からぬ点があるから,刑法三七条一項但書を適用して,情状によりその刑を免除することとし,主文のとおり判決する。」
本来,緊急避難が違法性阻却事由として規定されている理由は,実質的違法性論から理論的に導かれます。自分の権利侵害が生じたとしても,本来であれば自力救済が禁止されていますので他人の権利を侵害することはできないはずです。しかし,自力救済の禁止は,国民が,自らの権利を保護し公正な社会秩序維持のために国家に対して自衛権を委託し,最終的に行政,司法権に従うことを誓約したに過ぎません。すなわち,国家権力の救済を待っていては,自己の権利が保全されない緊急事態の場合,国民は自ら生まれながらに有する自己の権利を防衛,擁護することができるのです(基本的にアメリカ独立宣言,フランス人権宣言の抵抗権,社会契約説の思想です。)。これが,正当防衛,緊急避難です。緊急行為の目的,手段の相当性,法益の均衡の検討を行えば(実質的違法性論),刑法に特に規定がなくとも理論的に違法性は阻却されることになります。又,刑事上の責任も認めることはできないでしょう。責任の根拠は,個人主義を基本とする限り本来自由な個人に対して適法行為を要請,期待できる場合に,その個人がこれらの要請,期待に反してあえて違法行為を行ったという個人的批難,道義的責任(行為の社会的危険性に基本的根拠を求めません。)の点に認められ(道義的責任論),このような正当防衛,緊急避難の要件を備える緊急事態においては適法な行為を期待,要請できないからです(この点,学説上違法性阻却,責任阻却及び双方を認める二元説もありますが,結論はことならないでしょう。)。
従って,緊急行為の1つの要件が欠けた場合であっても,違法性の総合判断,責任非難の判断において,刑事責任は減少することになります。これが,減刑,免除の根拠となります。従って,緊急避難において,補充性又は,法益の均衡がない場合でもいずれも,違法性,責任が減少すると考えられ過剰避難の適用は認められることになります。しかし,違法性,責任が失われる緊急行為は法治国家の例外として位置付けることができ,その要件は厳格性が求められることになります。よって,判例との比較から,本件では緊急事態であっても安易に無免許で運転しておりBを欠くと思いますし,他に種々の取りうる方法があり過剰避難の成立,減刑,免除となる可能性は少ないように思われます。
本件において,あなたは無免許運転(違反点数25点)及び酒気帯び運転又は酒酔い運転を行っていますが,両罪は観念的競合として,重い刑である酒気帯び運転又は酒酔い運転罪の刑によって処断されることになります(道交法117条の4A,117条の2@,117条の2の2@,刑法54T前段,10U)。すなわち,「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」(道交法117の2@)もしくは「5年以下の懲役または100万円以下の罰金」(道交法117の2の2@)の範囲内で処罰されることになります。無免許運転も1年以下の懲役30万円以下の罰金であり(道交法117条の4)観念的競合であっても飲酒運転の社会悪が叫ばれている現状から今回は,少なくとも罰金刑は免れられないでしょうし,6年前に道交法違反により免許取り消し処分がなされており,さらに今回,同種犯罪(道交法)違反ですから,正式起訴(公判請求)が一般的であると予想されます。求刑としては懲役1年前後でしょうか。後述の通り,罰金であってもその先,あなた対して医道審議会による行政処分が行なわれることになりますので,少しでも軽い処罰にとどめるよう起訴前から行動する必要があります。その方法ですが,起訴前であれば,@贖罪寄付,A略式手続,罰金への検察官との具体的交渉。B医道審議会の処分内容について検察官への説明。C過剰避難の判例詳細な主張。起訴後も基本的には同様となるでしょう。医師資格についての行政処分(業務停止)がある以上,執行猶予がつくかどうかは関係なく弁護活動が必要です。
(1)今回,あなたに対して罰金刑以上の刑が科されることについては先ほど述べました。かかる場合,あなたは「罰金以上の刑に処せられた者」(歯科医師法4B)として医道審議会にかけられ,その後,厚生労働大臣によって,戒告,3年以内の医業の停止,免許の取消しのいずれかの処分が行われることが見込まれます(歯科医師法7U)。かかる処分は,厚生労働大臣の裁量に委ねられているので,処分内容はケースバイケースになりますが,司法における刑事処分の量刑や刑の執行が猶予されたかといった判決内容を参考にすることを基本としつつ,その上で,医師歯科医師に求められる職業倫理に反する行為であったかどうかを加味して処分を決定するという指針があるとされています。この点,本件道交法違反の場合,罰金刑や重くても執行猶予付き判決にとどまるケースが多い上,犯罪の性質として歯科医師の倫理とは直接関係がないことが一般的なので,内容にもよりますが,概ね数カ月から1年以内の医業停止の間の処分になることが予想されます。
@緊急避難,過剰避難が成立しなくとも,医道審議会の弁明手続きでは,異なる角度からの主張が必要です。刑事手続きで有罪となったからといって,行政手続きでは主張,証拠の提出は自由ですし,刑事手続きの判断に拘束されません。刑事手続きと行政手続きは,異なる別個独立の手続きであり証拠の採用手続き,判断の目的も異なるからです。刑事手続きは,司法作用としてあくまで,公正な法社会秩序維持のために個人の責任を問い生命,自由,財産を剥奪するものであるのに対し,行政処分手続きは,法令に則り国家が国民を規律する法律行為に関する手続きであり国民の権利義務に変動をもたらすものであるが,その目的は,個人の責任追及ではなく法的安定性,迅速性を兼ね備えた合理的社会秩序の全体的維持にあります。従って,行政権の合理的裁量権が保持認められ,その行使の手続きは,刑事手続のように厳格には規定されていません。すなわち,証拠の提出,採用についても訴訟手続きとは異なり自由に主張,立証することが可能になります。又,刑事手続きで採用されなかった証拠,主張も有利なものは積極的に提出する必要があります。医師の資格はく奪制限は,その目的が医師への処罰ではなく,医療行政により国民の生命,健康をどのように保全するかという観点が重要であり,その点から証拠,主張を再構成する必要があります。例えば,医療業務の経歴と実績,患者との信頼関係,刑事事件と医療行為との相関関係,今後の医療への関与態度等です。具体的には専門の弁護士と協議が不可欠です。
A過去の処分例との比較公平の原則から,不公平にならないように過去の事案検討が必要です。例えば,医師法(歯科医師法)7条2項の処分と,行政処分を統制する平等原則が前提としてあります。最高裁判所昭和63年7月1日判決によれば,医師法7条2項の処分の選択は,「同法25条の規定に基づき設置された医道審議会の意見を聴く前提のもとで,医師免許の免許権者である厚生大臣の合理的な裁量にゆだねられているものと解するのが相当である。それ故,厚生大臣がその裁量権の行使としてした医業の停止を命ずる旨の処分は,それが社会観念上著しく妥当を欠いて裁量権を付与した目的を逸脱し,これを濫用したと認められる場合でない限り,その裁量権の範囲内にあるものとして,違法とならない」とされています。上記最高裁判例の示すところによれば,厚生労働大臣の裁量も無限定のものではなく,裁量権の逸脱・濫用が認められる場合には,当該行政処分は違法となります。憲法14条は法の下の平等について規定しているところ,行政処分を決定する際にも同条は妥当し,処分庁の裁量は,同条から導かれる平等原則,比例原則により統制されることとなります。よって,裁量処分といえども他の同種事案と比較して不平等な処分であると認められる場合には,裁量を逸脱・濫用した違法な処分と評価されることになります。具体的事件においても,処分対象者に対する処分を決定する際には,憲法14条から導かれる比例原則,平等原則に鑑み,過去の処分例を詳細に検討することが必要です。前掲最高裁判例によれば,処分の選択については「当該刑事罰の対象となつた行為の種類,性質,違法性の程度,動機,目的,影響のほか,当該医師の性格,処分歴,反省の程度等,諸般の事情を考慮し,同法七条二項の規定の趣旨に照らして判断すべき」とされていることから,過去の処分例等を検討する際にも,上記の判旨が掲げた観点から再検討することになります。
B前述のように刑事事件で主張できなかった事実,証拠関係を再度主張することが理論的に可能であり刑事事件の判決に全て拘束される必要はありません。
C処分により,新聞報道,インターネットの掲載もあり,名誉毀損の危険も生じるので,社会的制裁の主張も必要です。尚,事後的には,これらの社会的非難に対しての対応も専門家と協議しましょう。
第六十四条 何人も,第八十四条第一項の規定による公安委員会の運転免許を受けないで(第九十条第五項,第百三条第一項若しくは第四項,第百三条の二第一項,第百四条の二の三第一項又は同条第三項において準用する第百三条第四項の規定により運転免許の効力が停止されている場合を含む。),自動車又は原動機付自転車を運転してはならない。第六十五条 何人も,酒気を帯びて車両等を運転してはならない。
第百十七条の二の二 次の各号のいずれかに該当する者は,三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
一 第六十五条(酒気帯び運転等の禁止)第一項の規定に違反して車両等(軽車両を除く。次号において同じ。)を運転した者で,その運転をした場合において身体に政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態にあつたもの
第百十七条の二の二 次の各号のいずれかに該当する者は,三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
一 第六十五条(酒気帯び運転等の禁止)第一項の規定に違反して車両等(軽車両を除く。次号において同じ。)を運転した者で,その運転をした場合において身体に政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態にあつたもの
第百十七条の四 次の各号のいずれかに該当する者は,一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
一 第五十一条の三(車両移動保管関係事務の委託)第二項,第五十一条の十二(放置車両確認機関)第六項,第五十一条の十五(放置違反金関係事務の委託)第二項,第百八条(免許関係事務の委託)第二項又は第百八条の二(講習)第四項の規定に違反した者
二 法令の規定による運転の免許を受けている者(第百七条の二の規定により国際運転免許証等で自動車等を運転することができることとされている者を含む。)でなければ運転し,又は操縦することができないこととされている車両等を当該免許を受けないで(法令の規定により当該免許の効力が停止されている場合を含む。)又は国際運転免許証等を所持しないで(第八十八条第一項第二号から第四号までのいずれかに該当している場合,又は本邦に上陸した日から起算して滞在期間が一年を超えている場合を含む。)運転した者
三 第七十五条(自動車の使用者の義務等)第一項第一号の規定に違反した者
四 偽りその他不正の手段により免許証又は国外運転免許証の交付を受けた者
第四十四条の三 法第百十七条の二の二第一号の政令で定める身体に保有するアルコールの程度は,血液一ミリリットルにつき〇・三ミリグラム又は呼気一リットルにつき〇・一五ミリグラムとする。
第十条 主刑の軽重は,前条に規定する順序による。ただし,無期の禁錮と有期の懲役とでは禁錮を重い刑とし,有期の禁錮の長期が有期の懲役の長期の二倍を超えるときも,禁錮を重い刑とする。
2 同種の刑は,長期の長いもの又は多額の多いものを重い刑とし,長期又は多額が同じであるときは,短期の長いもの又は寡額の多いものを重い刑とする。
3 二個以上の死刑又は長期若しくは多額及び短期若しくは寡額が同じである同種の刑は,犯情によってその軽重を定める。
第三十七条 自己又は他人の生命,身体,自由又は財産に対する現在の危難を避けるため,やむを得ずにした行為は,これによって生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限り,罰しない。ただし,その程度を超えた行為は,情状により,その刑を減軽し,又は免除することができる。
第五十四条 一個の行為が二個以上の罪名に触れ,又は犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名に触れるときは,その最も重い刑により処断する。