新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース 質問:クレジット,消費者金融(サラ金),銀行カードローン等の複数の借入先からの借金・債務を一本化できるという広告を見聞きしますが,一本化とはなんですか。利用しても問題ないですか。 2.しかし,金利を引き下げて一本化するという勧誘や広告の中には,違法な整理屋が詐欺などのターゲットになる多重債務者を呼び寄せようとするものも多く含まれていますのでご注意ください。前もって手数料を要求されたり,別の業者に行って借入れをしてくるように言われたりする場合は,お金を渡すと相手との連絡が取れなくなってしまうことが多いようです。 3.また,そのような勧誘・広告をする業者から紹介される弁護士・司法書士も危険な可能性があります。詳しくは法律相談事例集キーワード検索299番を参照してください。 4.弁護士が分割弁済の交渉をして利息をカットしたり,債権者各社への分割返済金を弁護士口座に一括して振り込ませたりする場合がありますが,これは弁護士による任意整理といって,一部銀行等による一本化とは全く別のものです。弁護士以外の者は,原則として債務整理を業として行うことができません(弁護士法72条、例外として140万円未満の負債に関する司法書士法3条1項7号)。NPO法人等でボランティア活動として無料相談に応じるところもあるようですが、費用が掛かる場合は弁護士法72条に違反している可能性がありますのでご注意下さい。このような法律の規制は、無資格者によって国民の権利が侵害されるのを防止するために定められています。弁護士は,債務の整理を取扱業務として広告することはありますが,直接電話をかけるなどして「借金の一本化」を勧誘することは通常ありません。勧誘を受けた場合は,相手の弁護士名と登録番号を聞いて,弁護士会に確認するとよいでしょう。 5.債務の一本化をしたからといって,状況が改善するとは限りません。信用できる銀行等からの大口借入れによる一本化も一つのメニューですが,多数の借入先からの債務を負担に感じているなら,ご自分に最適な方法が何かを弁護士に相談してから決めるべきです。 6.債務整理関連 法律相談事例集キーワード検索997番,897番,889番,854番,853番,839番,833番,804番,799番,711番,673番,562番,463番,428番,401番,263番,184番,155番,147番,53番,9番 補足: 多数の債権者に対する負債を大口の借入れによって一括返済し,その後,その銀行等に対して返済をするというものが銀行等での一本化です。要するに,借換えをするわけです。高金利の消費者金融からの借入れをより低利の銀行等からの借入れで返済できれば,それ以降の利息を低く抑えることができます。銀行等に借金をまとめて一本化することにはそのようなメリットがあるといえます。 【要審査,誰でも一本化できるわけではない】 もっとも,誰でも利用できるわけではなく,申込みの際に返済能力について審査を受けることになります。金融機関として貸付けをするのですから当然のことです。審査の結果融資を断ることもその銀行等の自由です。 【借金の総額は減らず,返す必要のない部分を返してしまうことも】 一本化時点での債務残高が果たして本当に全額返さなければならないものかどうかは,借入先から取引履歴を取り寄せて利息制限法の上限金利に従った引き直し計算をしてみなければ分かりません。 【連帯保証人を新たに要求されることも】 銀行等での借換え一本化を申し込む際,連帯保証人を立てることを求められる場合があります。銀行等としても,いくつもの債権者から借入れをしているような,信用に不安のある方にまとまったお金を貸すわけですから,自分が貸すお金を確実に回収できるように連帯保証人を求めることはある意味当然ともいえます。 【銀行等による借換え一本化を利用することを検討してもいいケース】 ご自分が銀行等の借換え一本化の利用をしても大丈夫か,それともまずは弁護士に相談に行った方がいいかの目安を簡単にご案内します。 【貸します詐欺にご注意ください】 銀行等での借換えとは全く違うもので,ダイレクトメールなどで「他者で借りられない方にも一本化資金を低利で融資をします。」という勧誘がされることもあります。これは振り込め詐欺に発展します。詳しくは法律相談事例集キーワード検索648番を参照してください。 【弁護士への相談】 業者との交渉による任意整理,裁判所への破産申立て,民事再生申立て(個人再生申立て),簡易裁判所での特定調停など,弁護士は債務整理に関する全てのメニューを取り扱うことができます。詳しくは,法律相談事例集キーワード検索で「任意整理」などのキーワードで検索してみてください。相談をしたからといって必ず依頼しなければならないということもありません。相談の結果,銀行等からの大口借入れによる借換え一本化を選択するという結論もあり得ます。つまみ食いの知識でむやみに動いて,本当にどうしようもなくなってから弁護士に相談するのではなく,返済を滞らせているわけではないけど苦しいかなという段階から相談だけでもしておくことをお勧めします。 【参照法令】 利息制限法 弁護士法 司法書士法
No.1135、2011/7/21 14:57 https://www.shinginza.com/qa-sarakin.htm
【債務整理・消費者・一本化】
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回答:
1.一部の銀行や信用金庫などの金融機関(以下「銀行等」といいます。)がそのような営業を行っているようです。現在の借金の返済資金をまとめて貸し付けることにして各社へ返済を行い,その後,顧客(あなた)から貸付金の返済を受けるというもののようです。そのような一本化を行っても借金の総額を減らすことはできませんが,金利の低い銀行等に借換えができれば今後の利息負担を軽くすることができる可能性はあります。
【銀行等での借換え一本化,メリット】
利息制限法を超過した利息で貸付を行う債権者からの借入れがある場合には,契約したときの金利での債権額と利息制限法上の上限金利で計算し直した債権額が異なる場合があります。計算の結果,実際には支払う必要のない部分が出てくる可能性もあります。
しかし,その確認を全くしないで一本化してしまい,支払う必要がないはずの金額を支払ってしまうと,後から返還を受けることが事実上難しくなる可能性があります。
それだけではなく,銀行等からの借換え額は新しい有効な借金になるので,場合によっては,より有利な条件で債務整理ができたはずなのに,その機会を永久に失うことにもなりかねません。
その場凌ぎで借換え一本化をしてしまい,その後結局銀行等への返済ができなくなってしまった場合,連帯保証人に多大な迷惑をかけることになります。借入一本化前の各債務について連帯保証人がいない状態なのだとすれば,今,弁護士に依頼して債務整理をしても,迷惑をかける連帯保証人はいません。
金銭の問題だけでなく,大切な人間関係についても問題を抱えてしまうおそれがありますので,慎重な検討が必要です。
第一に,これまで滞納したことがなく,第二に,これからもこのまま返済を続けようと思えば続けられるけれど,できればもっと利息負担を軽くしたいという方で,第三に,これまでの借入れの利息が全て18%以下である方については,もっと利率の低い銀行等から借り換えることも検討の余地があるかと思います。
第一の点ですが,滞納がなければ,信用情報が健全である可能性が高く,このまま信用情報を傷つけることなく返済を続けられることにメリットがあるといえます。
そして,第二の点ですが,借りては返すという自転車操業に陥っておらず,このまま頑張って返済を続ければいつかは完済できるという目処が立っている方であれば,有利な条件での借換えによって完済の時期はもっと近付くことでしょう。反対に,たとえ借換えをしたとしても,現在の返済自体がぎりぎりの綱渡りであるという方は,一本化をしてもやがては行き詰まってしまう危険があるといえるでしょう。
そして,一番重要なのが第三の点,これまでの利率が全て18%以下のものであるということです。なぜなら,元金100万円未満の借入れに対する利息制限法上の上限利息が18%であるため,18%以下の利率の場合にはこれまで支払った利息は有効なものといえ,借金の総額は減らないのですが,反対に,これを超えている場合には引き直し計算により借金の総額を減らせる可能性が高いからです。18%を超える利息を支払っていた場合は,借換え一本化で将来の利息を抑えるだけでなく,現在の借金そのものの減額を図るべきです。
当事務所でも多くの債務整理の相談・依頼を受けておりますが,もっと早く来てくだされば色々な選択肢を提案できたのにという事案も少なくありません。
(利息の最高限)
第1条
1項
金銭を目的とする消費貸借上の利息の契約は、その利息が左の利率により計算した金額をこえるときは、その超過部分につき無効とする。
元本が十万円未満の場合 年二割
元本が十万円以上百万円未満の場合 年一割八分
元本が百万円以上の場合 年一割五分
2項
債務者は、前項の超過部分を任意に支払つたときは、同項の規定にかかわらず、その返還を請求することができない。
第72条(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。
第3条(業務)司法書士は、この法律の定めるところにより、他人の依頼を受けて、次に掲げる事務を行うことを業とする。
一 登記又は供託に関する手続について代理すること。
二 法務局又は地方法務局に提出し、又は提供する書類又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。第四号において同じ。)を作成すること。ただし、同号に掲げる事務を除く。
三 法務局又は地方法務局の長に対する登記又は供託に関する審査請求の手続について代理すること。
四 裁判所若しくは検察庁に提出する書類又は筆界特定の手続(不動産登記法 (平成十六年法律第百二十三号)第六章第二節 の規定による筆界特定の手続又は筆界特定の申請の却下に関する審査請求の手続をいう。第八号において同じ。)において法務局若しくは地方法務局に提出し若しくは提供する書類若しくは電磁的記録を作成すること。
五 前各号の事務について相談に応ずること。
六 簡易裁判所における次に掲げる手続について代理すること。ただし、上訴の提起(自ら代理人として手続に関与している事件の判決、決定又は命令に係るものを除く。)、再審及び強制執行に関する事項(ホに掲げる手続を除く。)については、代理することができない。
イ 民事訴訟法 (平成八年法律第百九号)の規定による手続(ロに規定する手続及び訴えの提起前における証拠保全手続を除く。)であつて、訴訟の目的の価額が裁判所法 (昭和二十二年法律第五十九号)第三十三条第一項第一号 に定める額を超えないもの
ロ 民事訴訟法第二百七十五条 の規定による和解の手続又は同法第七編 の規定による支払督促の手続であつて、請求の目的の価額が裁判所法第三十三条第一項第一号 に定める額を超えないもの
ハ 民事訴訟法第二編第四章第七節 の規定による訴えの提起前における証拠保全手続又は民事保全法 (平成元年法律第九十一号)の規定による手続であつて、本案の訴訟の目的の価額が裁判所法第三十三条第一項第一号 に定める額を超えないもの
ニ 民事調停法 (昭和二十六年法律第二百二十二号)の規定による手続であつて、調停を求める事項の価額が裁判所法第三十三条第一項第一号 に定める額を超えないもの
ホ 民事執行法 (昭和五十四年法律第四号)第二章第二節第四款第二目 の規定による少額訴訟債権執行の手続であつて、請求の価額が裁判所法第三十三条第一項第一号 に定める額を超えないもの
七 民事に関する紛争(簡易裁判所における民事訴訟法 の規定による訴訟手続の対象となるものに限る。)であつて紛争の目的の価額が裁判所法第三十三条第一項第一号 に定める額を超えないものについて、相談に応じ、又は仲裁事件の手続若しくは裁判外の和解について代理すること。